おいでたんですかあ

指導主事


研究授業の日,教室へ入るやいなや元気な声で当番の「起立!」の号令がかかる。教壇から生徒の顔を見回せば,これからはじまるお客さんの前での授業にすでにやや緊張感がみられる。生徒の緊張をやわらげるために,「これから,背のちっちゃいはげた指導主事がみんなの授業を見に来るけどたいした先生じゃないから,リラックスして授業を受けような。」 まだ緊張しているのか生徒に返事がない。「さあ,いつものとおりにやろう。はい,挨拶!」  「礼! 着席!」
生徒と一緒に礼をして,顔をあげると最後列の生徒の後ろにほとんど座っている生徒と同じ高さで朝日に輝く指導主事の頭があった。
おいでたんですか アハハハ  ハア
この日の研究授業は,生徒はいつものとおりにできたが,自分の緊張感は1週間とれなかった。