第三次ハリコフ戦ゲーム

KHARKOV 1943 [HC / Vae Victis #25]

Ecole de Guerre (VV #26) , vol. 3



その3

La Percée : 突破

現実と同様に、"Kharkov '43" における成功の鍵は、敵の配置内に穴を開け、前線にいる別の敵守備部隊を孤立させる目的で、自軍部隊をそこに流し込むことです。 それでも、この作戦モデルは最小限の手順を要します。というのも、突破口を十分に役立たせるには、決壊箇所に最大戦力を掻き集めるだけでは不十分だからです。皆さんの理解の手助けとなるよう、 以下に各陣営の突破の実例を掲げます。

● ソ連軍の突破

1.切断攻撃
突破を発生させるのは攻撃です。
強襲の成否がダイス運任せとならないように、十分な兵力を集結させるべきです。なにしろ、最初の強襲に失敗した場合、突破口が無いわけですから、活性化全体を上手に活用することを強いられます。 ただし、突破口を利用する方法に注意すること。


図1
のケースでは、ソ連軍プレイヤーは通常攻撃に戦車の支援を得た3個師団(その中の一つは砲兵師団)を投入しています。 さらに、プレイヤーの裁量で航空支援を考慮することになっています。

まだ全くドイツ軍が適切に配置されていない、プレイ開始時の攻撃の典型例を ここでは採り上げます。

後にドイツ軍の配置全体を不安定にすることに成功しない限り、プレイ中のソ連軍の動員能力は、突破を成功させるためには、より重要になりかねません。




2.突破口の拡大 (図2)

実際には、隣接ユニットを攻撃させるにせよ、直前に攻撃したユニットを追撃させるにせよ、突破を成功させたユニットの活性化を継続させることが必要になります。

ユニットに残っている作戦ポイント数と正確な情勢を把握していれば、チャンスは必ず到来します。そのため、この局面では活性化次第で大きく変動する可能性があります。

この時点での目標は、突破を妨げようとする敵の対応能力を弱めることです。


3.戦果の拡大



突破に成功した時、最初の戦闘に参加させなかった活きのいいユニットを敵の後方に侵入させて、孤立した敵部隊に対する包囲網を形成したり、後退陣地に敵が入る前にそこを占領します。(図3)


この例で考察することは、こうした様々な局面で活性化させるべきユニットの選択についてです。 史実と同様、突破口を開くのは歩兵であり、これに戦車と空軍、さらに砲兵の支援を付けるのです。 ソ連軍の歩兵はその部隊規模のおかげで、そうした任務に特に力を発揮します。

このような突破を実施するために戦車軍団を用いた場合、その潜在力を無駄にすることになるでしょう。実際、 作戦ポイントがそのように使われると、その後の戦果拡大の際にポイントが不足することになりますし、それよりも、局地的なドイツ軍の反撃をそれほど心配することなく (歩兵は) 敵の後方に進出できると言えるでしょうか?
 
実際、単独で突出部へ進出した狙撃兵師団は、ゲルマン人の反動に耐える力を持ってはいないのです。



●ドイツ軍の突破

ソ連軍の場合とは逆に、ドイツ軍の強襲は多くの場合、歩兵の支援無しで済まさなければなりません。

枢軸軍の歩兵はそれほど役立たずというわけではなく、むしろ最小の攻撃ポテンシャルしか持たないが故に、マップ上ですぐに地味な存在となってしまうのです。

そのためドイツ軍側の最初の強襲は、装甲師団の使用 (場合によっては歩兵の支援を伴う) が前提となります。(図4)



戦果の拡大については、(後方で待機していた) 別の装甲師団、さらには最初の強襲で進撃路を切り開いた装甲師団までもが、その任務にあたるのです。
ですから、ドイツ装甲師団を集中させることが、枢軸軍のあらゆる攻撃において至上命令となります。
(図5)


ですが実際には、装甲師団が多数のユニットに分割されているために、一度の活性化で大戦力を集中できないことが、ドイツ軍側の顕著な障害になっています。 例えば、1個 SS装甲師団は6個ユニットを有していますが、フォーメーションによる活性化は8個ユニットしか移動を認めていないのです (1個師団に加えて、2個ユニット) !

解決法は、他の部隊が敵を包囲する時、または突破を利用する時、さらには他の作戦区域の歩兵部隊を支援する時でも、各装甲師団の3個連隊を主力として用いることにより、師団の完全状態ボーナス (訳注 : 同一師団効果のような +2 DRM のボーナス・ルール) を得ることです。

さらに空軍は、ドイツ軍のあらゆる攻撃作戦行動において、ソ連軍の空軍よりも ずっと重要な構成要素の一つなのです。



 

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