第三次ハリコフ戦ゲーム

KHARKOV 1943 [HC / Vae Victis #25]

Ecole de Guerre (VV #26), vol. 2



その2


L' Assaut Communiste : 共産主義者の強襲

これら二つの理由により、ソビエト陣営は大規模な攻撃の火蓋を切る手段を有しています。

それでも、プレイのメカニズムと先程言及した戦力の均衡とを考慮して、イニシアティブを保つ為、そしてドイツ軍プレイヤーがミスを犯すように仕向ける為に、ソ連軍プレイヤーは何でもやる必要があります。 さもないと、スターリンの希望を叶えることが出来ません。


その為には、ソ連軍プレイヤーは自身の活性化を綿密に計画する必要があります。

各プレイヤーは、具体的で直接的、さらにもっと間接的な目標(ユニットの除去。包囲。次回以降の活性化時に敵ユニットに止めを刺す目的で、前もって敵を消耗させる、等)を持たねばなりません。
しかし如何なる場合でも、目的もなく自軍戦力をあえて移動させるようなことをしてはなりません。

敵の戦力を無効にする最善の方法の一つが、『孤立』であることには気付くべきです。
従って、ソ連軍プレイヤーは必ずしも敵ユニットの除去を優先すべきではなく、むしろ、その後で除去するのを容易にする『包囲』を行うべきなのです。


ソ連軍プレイヤーは、ドイツ軍の配置の最も弱体な部分にツケ入る為、そしてドイツ軍の行動を“反動の痣(あざ)”へ全て惹き付ける為に、自軍部隊を再活性化することもまた、躊躇してはなりません。

ドイツ軍プレイヤーが、あなたの行動に対応するために自軍を活発に動かす限り、あなたは主導権と革命の方向を保持することでしょう。
逆に、もしドイツ軍プレイヤーに再編成をさせる時間を残したならば、言い換えると、ドイツ軍に兵力、特に装甲兵力を結集させる暇を与えたならば、あなたは攻撃を継続するチャンスを全て失ってしまうのです。

実際、ドイツ軍の1個装甲師団は局地的な反撃をリードする能力を持っているので間違いなく厄介ではありますが、しかし赤軍の攻勢を食い止めることができるほど強力ではありません。 ところが、ドイツ軍の数個装甲師団から成る 1個集団は、それが出来るようになるのです。


敵を不安定な状態にするにつれてソ連軍プレイヤーが同様に遭遇する障害の一つが、両プレイヤー自身のプレイ・シークエンスです。
なるほど、そのシークエンスの構成様式は、“アクション - リアクション”型のプレイを助長しています。 このサイクルを断ち切るためには、プレイヤーは巧妙さを発揮しなければなりません。

第一の解決法は、一つの作戦行動を単一の目標に結びつけないことです。
例えば、一度の活性化でドイツ軍戦線に2箇所の穴を開けて、ドイツ軍の対応がまちまちになるように陥れるようにすることは可能です。

第二の解決法は、まるで闘牛場の闘牛のように反応する敵と向かい合う危険に晒される位置に、1個師団を残したままにしておくことです。
もしドイツ軍プレイヤーが、このマントの効能に耐えられず、この師団に激しく襲いかかるならば、それが別の移動を妨害するのと同様に、ユニットを奪い取ることになります。

要するに、プレイヤーは想像力を発揮しなければならないのです!


ソ連軍の突進力維持の最後の障害は、補給です。

敵よりも遙かに劣る柔軟性の無さが、先端ユニットへの補給を妨げています。
それでもソ連軍プレイヤーは、先端部分のユニットに僅かな停止をもさせることができないのです。 それ故、補給が困難だろうがなかろうが、ユニットを前進させ続けなければなりません。
たとえ、この障害が共産主義者の攻勢を停止させてはならないとは言っても、あまりに弱体化した目標を相手にするような好機をドイツ軍の反撃時に多く提供しない為にも、いくらかの注意を必要とします。




La Réaction Allemande : ドイツ軍の対応

ですから、ゲーム開始時のソ連軍の目標は、ドイツ軍の配置(戦線)に損害を引き起こすために“火を付ける”ことなのです。
このような強襲に直面したドイツ軍プレイヤーは、何よりも敵の後方で孤立したポケットを形成しないように、徐々に自軍部隊を後退させることが極めて肝要です・・・・・あまりに多くの戦力を救出しなければならないのですが。

この後退は、防衛すべき戦線を短縮すること、そしてその後の大反撃の為に最良の部隊(装甲師団)を結集するという目標を持って、整然としたものでなければなりません。

ドイツ軍陣地を不安定にすることが出来、大勝利を彼に保証する為の唯一の条件である『リズム』を共産主義者プレイヤーがゲームの間中ずっと保つことができれば、それは確かに驚くべきことなのですが。

ドイツ軍の主たる難事は、装甲師団ユニットを保持することです。

実際、歩兵部隊を助けるために、装甲師団から抽出した戦車部隊で援護することを頻繁に行います。 もしそのような支援が無かったら、ドイツ軍歩兵部隊が重大な危険に遭うのは間違いありません。

戦線は短縮されなければなりません。 というのは、戦力が集中している歩兵部隊は弱体な戦車部隊の支援を受けた赤軍に対して、より一層抵抗できるのは確かだからです。

装甲師団を分散させる事による危険とは、まず第一に次々に戦力を失うことであり、それもとりわけドイツ軍の攻撃的潜在力が消え去ってしまうのが分かることです。

実際、ソ連軍ユニットを効果的に攻撃するためには、その規模の優位を妨げる必要があります。
一方で、そのためにはドイツ軍プレイヤーは装甲部隊の長所に対して、そして何よりも師団が無傷であることを期待してはなりません。

したがって、ゲームの序盤からドイツ軍プレイヤーは装甲師団を分散させない、あるいは失わないように心掛ける必要があります。 その上、反撃を開始しやすい地域内で再編成を試みなければならないでしょう。

もちろん、戦線南部には反撃開始地区としての利点がいくつかあります。
増援の大多数が登場するエリアに近いにも関わらず、ゲームの勝利に多大な影響を与えるマップ南端上の他の部隊の防御を、この地域に配置された部隊は確かに支援できます。

ただし、ポルタワ東部を攻撃するための第2グループを編成するのは、多くの場合有益です。その方針でこの地域に配置した部隊は、その頃補給問題に悩まされているソ連軍機械化部隊の先端に対して、二重包囲を形成することが可能となります。

それでも、ドイツ軍の初期の損害が深刻な場合は、一つの攻撃グループの編成だけで満足した方が良いです。
目を見張るような戦果を得るには不十分な兵力で編成した2つの攻撃グループを、あなたが持ちたくないのなら。


次の問題は、そのような大反撃を「何時」始めるのか、です。

余りに早いと、ソ連軍は結集された一軍で対応する手段を依然として持っていますし、彼らの補給源にも近いのです。
遅すぎると、ドイツ軍には全ての敵をドネツ川の向こう岸へ追い払う時間が無くなる恐れがあります。

最良の解法は、後の大反撃の収穫物(形成したポケットの除去と、共産主義者の後方へ戦果の拡大を図ること)の全てを収穫する時間を残す為、ソ連軍に迅速な前進を促すことを念頭に置いて、ドイツ軍が素早い後退を実行することなのです。

とは言え、この計画を速やかに実行すべきかどうかがそれほど明白でない事に、プレイヤーは直ぐ気付くでしょう。
なぜなら、1943年の赤軍と同じくらい強力な軍隊(訳注:同年のドイツ軍)を前にして、相手は決して容易には移動しないですから・・・・・。


最後に、"Kharkov 1943" は、(このテーマに対する)絶えざる探求を行う為に、戦術上の多くの選択の自由をプレイヤーに提供するゲームです。
同様に、戦略レベルでプレイヤーに提供される好機も、電撃的で決定的な攻撃をターン毎にリードするチャンスとともに多数存在します。

東部戦線における流動的なシチュエーションに惚れるには、それ故に、エレガントなプレイが何よりも大切なのです!


 
Les Différents Type D'Unité (ユニットのさまざまな種類)

- 歩兵 : 歩兵は独ソ両軍の大部分を構成しています。歩兵は全く特徴が無いわけではなく、両陣営にとってゲームの間中欠かせない存在なのですが、(両陣営の間で)少し異なる役割を担う立場にあります。

ドイツ軍側では、主として土地の占有に役立ちますし、ソ連軍の前進を少なくとも作戦ポイントの面で高付くものとするのに役立ちます。

ソ連軍にとっても、確かに同じ役割を占めているのですが、その上さらに、規模の効果のおかげで強力な攻撃を主導することを完全に行えます。 特に装甲部隊の支援が不足している敵ユニットを相手にするのでしたら。



- 戦車 : 両陣営の精鋭部隊です。 戦車部隊は戦車の特性のおかげで 速くて強いのですが、悲しいかな、常に数が不足しているのです。

全ての攻撃と掃討戦に欠かせないので、両プレイヤーは最大限に注意して、戦車部隊の行動の一つ一つを管理しなければなりません。

ソ連軍の戦車旅団と連隊、ドイツ軍の戦車大隊、並びに両陣営の分遣隊は、より《上級な》ソ連軍戦車軍団(狙撃兵部隊による突破の後の掃討戦)、またはドイツ軍装甲師団(強力な反撃)にその本来の任務を委ねるために、歩兵の活動を支援させるのが妥当でありましょう。



- 砲兵 : たいがい、強力なユニットは反面で移動力に乏しい点が問題です。
従って、砲兵部隊は堅固に守られた目標に対する大攻勢を支援するか、あるいは全く逆に、決定的に重要なヘクスの頑強な防衛を支援するのが使命となります。



- 工兵 : 工兵の2ユニットは、広々とした平地に存在していたのでは無駄になります。
ところが、戦力関係に落差が生じる都市ヘクスでの攻撃・防御においては、際立ったサポート役となります。



- スキー部隊ユニット : 少々分かりにくいものの、より多くの有用性を持つユニットの別タイプ。
オリジナルの狙撃兵(歩兵)ユニットとは実際にはかなり異質なのですが、全く同等なユニット・タイプである点がとても重要です。

雪が降りだしたら、このユニットは包囲作戦や対応移動を繰り広げるための制限された移動において、戦車ユニットの代役に値することが明らかとなります。



- 空軍 : 航空支援は、どのような戦闘においてでも重要な支えとなり得ます。
この分野でドイツ軍プレイヤーは確たる優位にあり、おまけにゲームの間中その優位は増大します。
この兵器は幸いなことに、ゲーム中に生じるソ連軍の攻撃ポテンシャルの衰退に重大な役割を演じます。 ただし、気象状況に対して敏感であることには要注意。

 


 

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