マニアックな世界へようこそ。
ここは、ウォーゲームで戦闘を体験したい仲間が集まる和やかな場です。
軍事史とゲームが大好きな人々で大変賑わっています。
アステリスク記号
「 * 」 が付く太字の単語 は 本誌12ページからの用語集を参照してください。
( 訳者より : 用語集の翻訳版は
こちら )
“ウォーゲーム” と “シミュレーション・ゲーム” という用語は区別せず使用しています。
このホビーは 1950年代はじめの米国で出現し、70年代に急速に発展しました。フランスで大流行したのは 80年代の初め。青春真っ只中の若者達は、現在は休刊となっている雑誌
・
Jeux & Strategie ( 「ゲームと戦略」 : この雑誌は数学的かつ論理的なゲーム、ボードゲーム、そしてたまに付録付きでウォーゲームを特集していた
) や、とりわけ
Casus Belli ( カジスベリ : ロールプレイングゲームとウォーゲームの専門誌 ) を通じてウォーゲームの存在を知ったのです。当時、ウォーゲームを普及させようと力を入れていた玩具店を通じ、いくつかの出版社が自社製のゲームを販売していました。
90年代の末から出版社の商業サイトや世界的な公開討論サイトが現れ、インターネットが主要媒体の一つとなっています。その討論の場の一つである
老親衛隊 ( Les Vieux Grognards ) * は、ルールの問題点を話し合ったり、開発中の新作ゲームを話題にするのに大変便利なサイトです。
出現以来、何百ものウォーゲームが作られました。米国は、ヨーロッパや日本を本拠にする出版社であっても、殆どの名だたるメーカーを受け入れています
( 北米市場は最も重要なのです ) 。
この記事の対象読者は?
◆ 好奇心旺盛な歴史愛好家、ならびに シミュレーションゲームを通して歴史をより良く理解したいと望む経験論者。
◆ ボードゲームやミニチュアゲーム、ロールプレイングゲーム、またはカードゲームの経験がある人で、ウォーゲームをやってみようと思っている入門者。
◆ ゲーム狂ゆえに活動的な、幅広い人々。
この記事ではウォーゲームの世界の大まかな概観を描きます。 そして、あなたが最初に手にするゲームを選ぶ際の参考になるよう、ゲーム・メカニズムの基本に慣れ親しんでいただこうと考えています。
ウォーゲームの歴史
初期のウォーゲームは 17世紀を起源とし、軍人たちは 戦場 や 地形の起伏、戦闘部隊 をミニチュアで再現する方法を採りました。
戦闘をシミュレートするため、戦場や対峙する軍隊を表す地形図・金属製の駒を用いた 『 Taktisches
Kriegspiel 』 ( 文字通り、「戦術戦ゲーム」 ) が 19世紀の初めに発達したのは、プロシア軍将校 フォン
・ ライスヴィッツ ( von
Reiswitz ) 男爵 の功績です。 彼は戦闘解決の際にサイコロを使う ルール も創案しました。
その頃から戦術級ゲームはフィギュアを用いて発達することになります。
自費出版で販売する最初の商業ベースのウォーゲーム
“タクティクス ( Tactics
) ” を チャールズ ・ S ・ ロバーツ 氏 が開発したのは 1954 年です。彼はこれを機に アバロンヒル社 ( AH )
を創業し、58年に このゲームを再販しました。架空の紛争をシミュレートするこのゲームは、領域を描いたマップ ・ 厚紙製の部隊駒
・戦闘解決表 を使用しています。
1960年代の末からは他にも幾つかの会社が設立し、プレイヤー達に春が到来します。 ウォーゲームのもう一人の象徴的な立役者である
ジェームズ ・ F
・ ダニガン氏 が設立した SPI、 GDW、デカルト・ゲーム (フランス) の名が挙がりますが ・・・・・ 今現在の有名な出版社は
MMP
/ The Gamers、 デシジョン・ゲームズ、
GMT ゲームズ、
クラッシュ・オブ・アームズ、
それに アヴァランチェ
・プレス といったところでしょう。
タクティクス以来、シミュレーション用途としてゲーム・ルールは緩やかに進歩し、ウォーゲームの正確さ、詳細さ、それに史実性は、ゲームデザイナー達によって絶えず改善されてきました。
1994年に出現したカードを使用するゲーム ( CDG*
) や、もっと分かりやすい実験的なゲームといったものも登場しています。
プレイヤーが高齢化し、加えて 新しい世代の仲間がなかなか増えない状況ではありますが、ウォーゲーム市場は かなりの活況を呈しています
(インターネットのおかげです) 。 Vae Victis 誌が 12年間も存在し、活力を保っているのがその証拠です。
「
チャールズ
・ ロバーツ賞 」 で注意すべきは、1975年から毎年、部門ごとに最もプレイする価値のあるゲームに授与される賞であること、そしてこれには最も優れたウォーゲーム・デザイナーを表彰する
「 ジェームズ ・ F ・ ダニガン賞 」 も含まれている点です。
( 訳注 : 原文ではロバーツ賞とダニガン賞の位置づけが逆になっていますが、訳者の判断で修正しました。
)
ウォーゲームの定義
Wargame
( 文字通り、英語で 『戦争ゲーム』 の意 ) とは、限定された時間と場所における、現実 または 架空の闘争を再現する試みです。
その試みを実現するため、一定地域内の ( ゲームごとに規模の異なる ) 軍隊が 移動 や 戦闘ルール に従いながら迅速に 目標
を達成できるように、扱う時代に応じた様々な軍種 ( 陸 ・ 海 ・ 空軍 ) を演出しています。
ゲームで設定されている目標には、敵の領土や都市の奪取、敵部隊の殲滅、指定された場所を経由しつつプレイ領域内の部隊を突破攻撃する、などがあります。
チェス
や リスク ( Risk )
のようなボードゲームと呼ばれるゲーム、さらに、より複雑な ヒストリカル・ボードゲームといったものも上記の定義に当てはまり、これらはウォーゲームと見なされます。
ウォーゲームという用語は、英語圏の国々では、机上 あるいは ジオラマ上 でプレイする フィギュア・ゲーム を指す場合もあります・・・・・・混同するかもしれないので、注意しましょう!
この記事では マップ ( 地図 ) 上で駒を動かす ヒストリカル・ゲームのみを扱うことにします。
ゲームの選び方は?
あなたは冒険に身を投じようとしている。 けれども、何から手を付けていいのか分からないのでは?
ウォーゲームには膨大な品揃えがあります。 まずは プレイしてみたい 歴史の期間 (時代) と ゲームの規模 をハッキリさせましょう。
● シミュレートする時代
第二次世界大戦を扱うゲームが最もポピュラーですが、およそ考えられる全ての時代がウォーゲームでシミュレートされています。 もっとも、下記のように時代を区分できるのですが
・・・
◇ 古代;
トロイ、ギリシャ、ローマ、カルタゴ、ガリア等の軍勢間の対立や、蛮族の侵略など。
◇ 中世 (銃火器の登場以前);
暗黒時代 (カロリング王朝やバイキング)、騎士道の時代。
◇ 黒色火薬の出現; 百年戦争、(16・17世紀の) 宗教戦争、イタリア・ルネサンス戦争、七年戦争など。
◇ 米国の独立 および フランス革命;
ブランディーワイン から ヨークタウン まで、フルーリュスの戦い、バルミーの戦い、それに エジプト戦役。
◇ 第一帝政;
ヨーロッパにおける ナポレオン戦役。
◇ 第二帝政;
南北戦争、近現代の始まり : クリミア戦争、メキシコ革命、パリ・コミューンの戦い、日露戦争など。
◇ 第一次世界大戦;
1914〜1918年の世界的な対立。
◇ 第二次世界大戦; 1939〜1945年の世界規模の衝突。
◇ 現代戦;
インドシナ戦争、朝鮮戦争、アラブ・イスラエル戦争、ベトナム戦争、アフガニスタン戦争、湾岸戦争・・・。
現実には起きていない武力衝突をシミュレートできるウォーゲームもあります。
◇ 仮想戦; 第三次世界大戦、特に
(ヨーロッパでの) 東西対立。
◇ フィクション;
SFゲーム、ヒーローファンタジー、怪奇ゲーム…。
● お薦めの ゲーム・スケール (ゲームの規模)
それでは古代戦、おなじみのアレです。 古代戦ゲームに取り組むとしたら、どのレベルをお望みでしょうか? 海戦をシミュレートしたいから、三段オールの軍船
(ガレー船) を操縦するレベル? それとも、かの栄光のローマ帝国史を追体験したいので、もっと特別な政治家や支配者のレベル?
ウォーゲームは、数人での対決や、無数の戦闘員による戦闘をシミュレートできますし、あるいは全世界的な戦争を題材にすることも可能です。
ゲームのディティール (詳細さ) やメカニズムは、ゲーム・スケール (対決、戦闘、および戦争) に応じてそのゲームのルール (制約)
が妥当と感じられるように、さらに 詳細化 または 簡略化 されます。
☆
超戦略級; 世界大戦の状況の中、複数の戦闘が繰り広げられ (マップ (地図)
は全世界、または交戦中の国々のすべて、あるいはその一部が表示されるように世界の大半が描かれている) 、ユニット (部隊駒) はおおよそ
“軍” 規模 (一駒が10万〜100万人、数百機の航空機、または数十隻の艦船を表す) 、時間は数ヶ月単位 (1ターン=3ヶ月以上)
で経過します。 このスケールでは (戦争に投じる労力や政治・外交活動をシミュレートするため) 経済や資源の活用といった要素が入っています。
このスケールは多くの場合、マルチプレイヤー (多人数) ・ゲームであり、参加者はそれぞれが列強の中の一つ、または複数の国家を担当します。
☆ 戦略級;
このスケールでは一つの作戦地域 (例えば、第二次世界大戦での 北アフリカ戦全体を扱う地中海戦域や (ロシアでの)
東部戦線、あるいはローマとカルタゴが争うポエニ戦争の舞台となった地中海・・・) を描き、長期に渡る一つの戦役または戦争全体を再現します。ユニットは師団
(1万〜10万人) や軍団を表します。同様に、1ゲームターンは数週間単位となり、多くの場合、政治・経済・外交のルールが使用されます。
☆
作戦級; マップ上には戦役が繰り広げられた地域の一部が描かれ、ユニットは大隊 (およそ1,000人)
〜 師団規模、1ゲームターンは 1日 〜 約1週間 を表します。 天候の確認 および 兵站の規制 (増援部隊や補給物資の輸送に使う鉄道や車輌)
といった別要素がプレイ手順に組み込まれています。 厳密に言うと、このスケールでは政治ルールは存在しないものの、勝利条件
* の中にそれが盛り込まれている場合が多いです (敵側のシンボルとなる都市の占領、犠牲を厭わずに絶望的状況下の土地を保持する、敵部隊の士気を喪失させる・・・・)
。
(編集部註 : 戦いというものは、時代の変遷によって戦術級にも作戦級にも分類されうる点を留意すべきです。)
☆
戦術級; とある戦闘が発生した地理的に明確(そして適切な、例えば標高などが)な場所がマップ上に描かれ、ユニットは1個分隊・小隊・中隊(
5人〜約100人)、または 何頭かの象、あるいは数台の車輌等を表します。1ゲームターンは数分〜数時間。天候の要素も考慮されますが、しかし、何よりも目を見張るのは、勝利条件(重要拠点や丘・塹壕の占領、敵リーダーの殺害、または単に敵部隊の殲滅)から垣間見える人間の機動性です。武器の故障や煙幕の展張といったイベントが盛り込まれており、ゲームの展開に影響を及ぼします。
☆ 戦闘級 (英語では Skirmish
(小競り合い) ) ;
極めて戦術級に似てはいますが、さらに一段とスケールは小さく、ユニットは数名の兵士や機材、さらには部隊が使用する弾薬まで表します。
● 他に考えておくべき事柄
第二次世界大戦の作戦級ゲームがお気に入りですか?
ゲームを購入する前に、まだ別の問題が残っています。 自分が孤立したゲーム・プレイヤーなのか、あるいはプレイ仲間がいるのかどうか?
ルールの難易度がどの程度までならプレイに没頭できるのか? 毎回、どれほどの時間をゲーム・プレイに割けるのか?
殆どのゲームは
2人でのプレイを前提にしていますが、ソロプレイ *
専用の特殊なゲームも存在します。そのゲームがソロプレイに向いているのかどうかが分かるように、たいていは箱の裏面に 1 (ソロプレイ不可)
〜 10 (ソロプレイ専用) の段階表示がなされています。 これは重要な事です。 というのも、ゲーム仲間が毎回必ず集まるのは困難ですし、それに
プレイ途中のゲームをそのままの状態で次回の会合まで置きっぱなしにしておくのも難しいことを考えて、大多数のプレイヤーは一人でウォーゲームをプレイしているのです。
一方、個別のゲームの難易度を測定する基準は、まだ確立していません。 箱の裏面には 1 (簡単 - 初心者向け) 〜 10
(非常に難しい - エキスパート向け) の段階表示がなされています。
あなたが初心者なら、 “どのゲームから始めたらいい?” の章を参照すればゲームの選び方をちゃんと理解でき、スムーズにプレイを始められます。
経験豊富なプレイヤーなら、 “さらに一歩進むために” の記事 (
訳注 : 本誌 58 〜 69 ページ。 翻訳未定 ) を読めばゲーム選択の目途がつくようになります。
プレイ時間はゲームによって まちまち です。 難易度の低い簡単なゲーム や ショート・シナリオ では 1 〜 数時間 ほどで終了しますし、チームを組んでプレイするような複雑なゲームなら
数十、否、数百時間は必要です。 お分かりのように、プレイ時間は ほぼゲームの難易度に比例します。
遊び方は?
こんな小さなボール紙の切れ端が何の役に立つの?
なんでプレイするのに 10ページものルールが必要なの?
そもそも、ウォーゲームの遊び方って?
プレイ手順を説明する前に、ゲームの箱の中味を チョット見てみましょう。
● 箱の中には・・・・
ゲームを初めて買ったばかりですか? それとも買いに行くところですか? 箱の中には何が入っているでしょう?
ウォーゲームは、その殆どがハードカバーの箱に入っていて ( ジップロック
Ziplock* 入りのものしか在庫にないゲームもある ) 、プレイに必要なパーツがその中に含まれています。
以下、詳しく説明しましょう。
■
厚紙 または 丈夫なボール紙製 の ゲームマップ
。 戦場、つまり軍隊同士が対決した場所を描いた地形図です。 (米国の) マップ・サイズの規格は A1判 (メートル法で 56cm
× 86cm、アングロサクソン法で 22インチ × 34インチ) に対応していて、およそポスター1枚分のサイズです。 たいていのマップは
一辺が 1〜2cm の六角形 (ヘクス) のマスで区切られていて、部隊駒 ( ユニット
* ) が6方向へ自由に移動できるようになっています。
ゾーン (碁盤の目状、または地域 ・ 国境 ・ 地形 の起伏等を考慮して区割りした様々な形状のエリア) 形式や、複数の四角形の間を何本もの線で連結して地形の起伏のリアリティ、つまり移動の難しさを表現した
"Point to Point"
形式を採用しているゲームもあります・・・。
また、戦闘解決のためのガイド や ターン数の表示欄 などがマップ上に直接印刷されているものもあります。
■
軍隊 や 軍事資材 、それに 装備品 ( 武器 ・ 車輌 ・ 大砲 等々 ) を表示する 駒 や マーカー
* が印刷された シート ( ユニット・シート
) は、簡単に切り離しができるように あらかじめ 1/2インチ ( 1.27センチ ) または 9/16インチ
( 1.43 センチ ) 規格の正方形の切れ目が入っています。 これは円滑にゲームを機能させる上で欠かせないものです。
木製のブロックを使うゲームもあります。 この場合、対戦相手には自軍ユニットの能力が分からないようになっていますし、さらに戦闘による
損害 * や部隊の 自然減 ・ 摩耗 による戦力の増減を表すためにブロックは回転できるようにもなっています。
■ ルール冊子 にはゲームのメカニズム、プレイ手順、シナリオなどが詳しく説明されています。さらにゲームの背景となるヒストリカル・ノートや構想ノート、プレイの手引きも掲載されています。
シナリオはルールの習熟に便利です。キャンペーン・シナリオが (仲間との) 一回の会合でプレイするには長すぎる場合に会戦の一部分を短時間でシミュレートできますし、他にも、現実とは違う状況のシミュレート
(仮想シナリオ : もしそのような決断を下したら、その戦い結末はどうなるのだろうか?) が提供されることもあります。
■
CDG (カード・ドリブン・ゲーム)* で用いる
史実カード のサイズは 「トランプ」
と同じです。 このカードには 政治 ・ 経済 ・ 軍事 の指令情報が記されていて、ゲームの推移、特に軍隊の運用面に直接影響を与えます。
■ カード形式の 補助アイテム
( 厚紙製で、ラミネート加工のものもある ) は多くの場合、地形タイプ別の移動コスト情報や戦闘結果表、モラルチェック表、シナリオ開始時のユニット配置表などが記載されています。
これらの補助アイテムは、各プレイヤーがルール冊子をいちいち参照しなくても済むように作成されています。
■ ダイス (サイコロ) が必要な数だけ用意されています。
これは戦闘解決時や、偶然の介在を要する あらゆる軍事行動 (の表現) のために使います。 ゲーム・プレイのマンネリ防止、それに戦闘の不確実性をシミュレートするためには不可欠の要素です。
● ウォーゲームのメカニズム
( 訳者より :
この項目はとても重要なのですが、ウォーゲーム未経験者には少々難解な内容かと思われます。無理せずに読み飛ばしても良いでしょう。
→ 次の項目
どのゲームから始めたらいい?
へどうぞ!)
ゲームの内容物を見た後は、箱の中にある ルール・ブック に目を通します。そこには 1 ゲーム・ターン の プレイ手順 と、それを実行するための戦場における軍隊の活動を規定するメカニズムが解説されています。
ゲームは ターン制 で進行します。ターン は活動期間を表すもので、ゲームの規模が大きくなるにつれて長くなります。ターン数 はプレイするシナリオによって異なります。
一つの ターンは複数の フェイズ に区分されていて、さらに 各フェイズ が複数の ステップ に区分されている場合もあります。
次に挙げる ゲーム の シークエンス (手順) は、第2次世界大戦をシミュレートする作戦級ゲームの典型例です。
▽ 管理フェイズ:
イニシアチブ ( 主導権 ) 、つまり最初に 攻撃側 * プレイヤー ( フェイズ・プレイヤー とも呼ばれる
) を決める ・・・・ サイコロ等を用いて無作為に、またはルールで予め決まっていることもある ・・・・ 他方のプレイヤーは
防御側 * となる。 そのほかにも、増援の到着 ( 戦闘序列で予め到着の日付が定まっているか、あるいはサイコロを使って無作為に決める
) 、 ユニットの補給状態 や、そのターンの 天候状況 などを確定する。
↓
▽ 移動フェイズ
(フェイズ・プレイヤーの):
フェイズ・プレイヤー が自身のユニットの全て、またはその一部を、勝利条件
* で定められた目的地へ到達させるために、マップ上で前進させて動かす。
↓
▽ 戦闘フェイズ
(フェイズ・プレイヤーの):
撃滅または撃退するため、敵陣地への攻撃を開始するのはこの時である。 フェイズ・プレイヤーは自身の攻撃を解決し、結果が許すならば自軍ユニットをマップ上で前進させる。
↓
▽ 突破フェイズ
(フェイズ・プレイヤーの):
幾つかのユニット ( 機械化部隊 のような最も機動力のあるユニットで、大抵は NATOシンボル
* で識別できる ) は条件付きで 移動 ・ 戦闘 ができる。
以上を終えたら、手番を交代します。 防御側がフェイズ・プレイヤーになり、上の3つのフェイズ ( 移動 〜 突破 )
を新たに実行します。
↓
▽ ゲーム・ターンの終了:
もし必要なら、2人のプレイヤーはそのターンに獲得した勝利ポイントを記録したり、ターン ・ マーカー
を 1マス 進める作業をそれぞれ適切なトラック上で行う。
最終ターン時には 勝利条件をチェックし、勝者を確定する。
|
この シークエンス ・ タイプ ( プレイ手順 の型 ) は、"I
Go, You Go"* ( Igo - Hugo : まず俺がやって、そのあと お前がやる ) と呼ばれることが多いです。
敵の全ユニットの行動が終わってから ようやく防御側プレイヤーが対応できるようになるので、このタイプは インタラクティブ性 ( 双方向性
) に欠けています。
この同時進行性の欠如は現実味があるとはあまり言えないので、幾つかの条件下で対応手段を導入することがあります。それは移動フェイズと戦闘フェイズの間に
『 リアクション (対応)・フェイズ 』 を挿入するか、または相手 (手番) プレイヤーの 一駒 または スタック
が 自軍駒の近くに移動してきた場合、自軍 (非手番プレイヤーの) ユニットの一部を動かせるようにするか のどちらかです。
あるゲームデザイナーが提示した別の解決策は、プレイヤーが一回の手番で活性化できるユニットを 一部だけに限定し、行動を終えたら相手側に手番を渡す。その相手も
また自分のユニットの一部のみを活性化して再び最初のプレイヤーに手番を返す。 以下同様、ユニット全体が活性化されるまでこの手順を繰り返すのです。
この手法は 活性化方式 * と呼ばれています。
フェイズ・プレイヤーは大きめの不透明なカップから チット または マーカー を無作為に引き当てますが、CDG
* のゲームなら手札の イベントカード を使用します。 これらの方法で選択されたチットやマーカーに記載されている
リーダー ・ 参謀本部 ・ 司令部 は、その指揮範囲内にある部隊を活性化できるのです。
ゲーム・スケール や 扱う時代 に応じた別の基準を用いると、ゲームの手順を面白くできます。
例えば、外交フェイズ (プレイヤー間の同盟によって複数国家による戦争が始まったりする)
や 経済フェイズ (新しいユニットを造るための資源ポイントを記録する)
、それに第2次大戦のゲームでよく使われる 航空部隊の 移動 ・
戦闘 フェイズ、 混乱 * や 潰走状態 のユニット
( 南北戦争 または ナポレオニック のゲームで散見される ) のための 集結
(再編成) フェイズ があります。
一般に、リアル指向の強いゲームほどゲーム手順が細かく、なかなかプレイが進まないゲームとなります。
ゲーム・ターンの正確な進行のために、例えば次のような疑問に答えることで、ルールのメカニズムが明確になります。
どうやってユニットを動かすのか?
戦闘解決の方法は?
兵站 ( 食料 ・ 弾薬 etc ) をどのように準備するのか?
ここでは ほとんどのウォーゲーム で共通して最もよく使われている メカニズム のみを紹介します。
大多数のゲームでは 一つの ヘクス内には 一つの陣営の駒しか置けません。 つまり、自軍ユニットと敵軍のそれを 一緒 に混ぜて
同一 ヘクス内 に置いてはいけないのです。 敵ユニットのいるヘクスを占有したい場合、そのヘクスを取り囲む六つのヘクスのうちの 一つの中へ
自軍ユニットを移動、続いて戦闘することにより、その敵ユニットとの接触 (交戦) を達成しなければならないのです。
現実では有り得ないような迂回機動を回避するための概念
- 殆どのウォーゲームで取り入れられている - が、支配地域
( ZOC * ) です。 これは、あるユニットが周囲の環境に与える影響を表現しています。 一般に、 ZOC は
そのユニットが占有するヘクスと、それを取り囲む六つのヘクスの全て、またはその一部に及びます。
マップ上に置いたユニット (駒) に方向性を持たせている戦術級ゲームでは、例えばユニットの正面方向にある 3 ヘクスに ZOC
が広がります (側面および後方には広がりません) 。
ほとんどの作戦級と戦略級ゲームでは、ユニットの周囲 6 ヘクス に ZOC が広がります。その効果の一つが、ユニットの移動を抑制
( 半接着性(弱) ZOC ) または遮断 ( 接着性(強) ZOC ) することです。 その他にも敵ユニットの後退を妨げたり、補給を断つといった拘束的な効果が課せられます。
移動力 は それぞれの駒に表示されていて (通常は右側に。 これは別のゲームでもすぐに見当がつくので便利!) 、これにはユニットの種類
(歩兵や騎兵など) や士気が考慮されています。 この移動という (移動ポイントの形で数値化された) ファクターは、ユニットが通過する地形に左右されます。例えば、8
移動ポイントを持つ 1個戦車旅団が平地ヘクスなら 8ヘクス 通過できるとすると、森林や湿地では 1ヘクス、あるいは 2ヘクスに制限されるのです。そのヘクス内に通行用の道路が無ければですけどね!
地形効果表 ( TEC * ) のような補助アイテムには、ユニットの種類別に地形コストが詳しく解説されています。
それぞれの駒には戦闘のファクターも記載 (通常は左側) され、練度 ・ 士気 ・ 損耗 などの質的な面を考慮した、兵員の戦闘能力を示すものと見なされています。
この (戦闘ポイントの形で表示された) 通貨ファクターは 自身を守る際にも使用されますが、幾つかのゲームでは駒上に攻撃と防御の両方のファクターが記載されています。
戦闘を解決する際は、投入されたユニットの戦闘力を基に比率を計算します。
例えば、敵に隣接している攻撃側ユニットの戦闘ポイントが 合計 10、防御側のポイントが 合計 5 ならば、戦闘比は 2 対 1
(2/1) となります。 戦闘結果表 ( CRT * )
を参照し、計算で導き出した 戦闘比 と サイコロの出目 を交差させて結果を得ます。 防御側を 後退 または 除去 し、攻撃側に
2 ステップロス * を適用する・・・・。
地形や士気、損耗 といった別の要因によって 戦闘比 や ダイス (サイコロ) の 出目に修正 ( DRM
* ) が加えられ、戦闘が 有利 ・ 不利 いずれにもなります。
ルールを 一通り読み終えたら、ようやく 一勝負 できるようになります。
つまり、テーブルにマップを広げ、プレイするシナリオの初期配置 (訳注
: シナリオの指示通りに駒をマップ上に並べること) を行ってプレイの準備をする段階です。
駒は同じゲーム空間上に置かれるので、プレイヤー全員が同じ戦場を共有することになります。 そのため、各プレイヤーは戦場全体を眺め、対戦相手と自分の部隊の位置を把握できます。
この “人工衛星からの戦場景観” は 戦略上の不確実性 ( ウォーゲームマニアの専門用語では 「戦場の霧
」* と呼ばれる。 アングロサクソンの用語 "Fog
of War" の逐語訳 ) を損なっています。 なぜなら、現実の参謀本部は敵の正確な位置を把握していないため、断片的な情報を基に決断を下さなければならないからです。
戦場における 視認の不確実性 をゲームに付与する方法を見つけ出す、正に それこそがゲームデザイナー達の挑戦なのです。
例えば、敵に接触 (隣接) して初めてその敵の情報が明らかになる (駒を裏返し、数値が書かれている面を上にする) 、駒の上にマーカー
(補助駒) を置いて数値を隠す、対戦相手の駒のスタックを持ち上げたり調べたりするのを禁止する、等々・・・・。 別の方法として、これはマップの周囲にスペースが必要ですが、自分の部隊の
一部を 対戦相手には見えないように 専用の補助カード の上に置いておくのです。 マップ上には その部隊の上級司令部 (HQ) 、あるいは数隻の艦艇で編成された部隊を表す
“タスクフォース” 駒 だけを置きます。
“戦場の霧”
* の不備を補完する ダブル・ブラインド 方式 と呼ばれるシステムを使うゲームがあることも知っておきましょう。
これには全く同じゲーム用具 (マップや駒) が二組 (二人分) 用意されており、プレイヤーの他に審判役がいるとスムーズにプレイできる場合が多いです。
ただし、このタイプのゲームは極めて少数に留まっています。
もっと最近 (1990年代) のゲームでは、戦略規模での 史実的 ・ 政治的 ・ 外交的 なリアリティーを追求するための新要素が出現しました。
手札のカードをプレイするこれらのゲーム (英語では CDG *
) では、1セットのカード (プレイヤー毎に1セット) を使用します。 史実での出来事がプレイヤーを拘束 (例えば、戦争に必要な生産物や原材料の使用権を得るための投機)
しますし、ゲームの展開状況によってはボーナスが与えられることもあります・・・。
もともと、この手のゲーム (CDG) の一番のウリは、比較的簡単なルールを使って迅速なプレイ (半日でプレイ可能) を提示することでした。
その
移動システム は ウォーゲーム よりも 改良型の フィギュア・ゲーム に近く、 “ポイント・トゥ・ポイント” ( ヘクスではなく、一本または複数本の線で相互に連結
(これで移動が拘束される) された正方形のボックスを用いる ) と呼ばれ注目を集めています。
これは このホビーに新人を呼び寄せる正真正銘の目玉です。
このゲーム・システムは、数年前からプレイヤー達の間で人気が集まるにつれ、次第に複雑化してゆく傾向にありました (特に、最近発売された、ヘクスを使うゲームでは)。
ルール習得の時間を減らすため、ゲーム・システム の共通化も進められています。 シリーズもののゲームをプレイする際、 『 一般
(共通) ルール 』 を一度読んでしまえば、あとは個別の作戦区域用の特別ルールを読むだけで済みます。
『 モジュール 』 と呼ばれるゲームもあります。 これは 一つの戦線で構成される戦役を、複数のゲームを連結して集合体として扱うゲームのことです
(例 : エウロパ (Europa) *
シリーズ) 。
"Gamettes"
または “エキスパンション” (基本ゲームの拡張) とも言います ( 例 :
ASL *) 。
シリーズ全体で一つの戦役を扱うというよりも、むしろ戦史に多大な影響を残したいくつかの主要な戦闘に取り組むことを目標とし、各ゲームが独立しているシリーズもあります
(例 : SCS *) 。
これらのゲーム・シリーズは、ルール習得に必要な時間がほとんどゼロに近く、ゲーム・ボックス の シュリンク を破いたら直ぐにプレイできる
(訳注 : そこまでシリーズに精通した)
プレイヤー達には大人気、という点に ご注意を!
どのゲームから始めたらいい?
さぁ、これであなたはウォーゲームがどういうものなのか、その概略を知りました。 しかしまだ、ウォーゲーム・キャリアの手始めとなるゲームを選択しなければなりません。
この難しい任務の手助けとなるよう、大まかな時代区分ごとに 3 つの ゲーム・スケール のゲームを選出しました。
以下に挙げたゲームを選ぶ際、次の3つの重要事項を目安にしています。
★ なるべくフランス語版のあるゲーム。
★ ルールのページ数が少ないもの。
ゲームの難易度がある程度反映されるため、4〜6ページが理想的。
★ ショップで購入できる、または中古品を簡単に入手できるゲーム。
できればシリーズものを推奨したいところです。 ひとつのゲームを一旦理解してしまえば、新たにルールを学び直すことなく、そのシリーズの別ゲームに移行できるからです。
● 古代
♪ 戦術級 :
Commands
& Colors, GMT社の古い作品で英語版。在庫あり。地中海の覇権を争うローマとカルタゴの対立を、ザマ
や カンネー 等の10の戦いで再現する。
♯ 作戦級 :
Optimus
Princeps, Vae Victis 67号付録の仏語版ゲーム。在庫あり。このゲームは現代のルーマニアを征服するローマ皇帝トラヤヌスの戦役を明らかにする。
♭ 戦略級 :
Imperator
I と
II,
VV42号 および 56号 付録。仏語版。在庫あり。 蛮族 や 簒奪 (さんだつ)
者 に対するローマ帝国の戦いのシミュレートを専門とするゲーム。
Plutot
mort que Perse, VV49号付録のフランス語ゲーム。在庫あり。ペルシア帝国と対立したギリシアの古代都市の戦いを再現する、ペルシア戦争もの。
● 中世
♪ 戦術級 :
Au
fil de l'epee シリーズ, 仏語版。在庫あり。このシリーズは中世の15の戦いを扱うが、そのうちの幾つかは
VV の付録として在庫があり、その他は箱入りの形で Canons という出版社から発売されている。
Men
of Iron (GMT) は英語版で在庫がある。Crecy (クレシー)
や Bannockburn といった中世の6つの戦いを追体験できる。
Cry
havoc シリーズは仏語版の中古を入手できる。これは中世の小規模な局地戦を再現し、城塞の包囲や十字軍への参戦を体験できる。
● ナポレオン一世の時代
♪ 戦術級 :
Jours
de gloir シリーズ, 仏語版で在庫あり。このシリーズのゲームは VV誌の付録 (例 ・
VV71号のイエナ戦)、または
Canons 社の箱入りを入手できる。本シリーズはナポレオンの幾多の武勲たる主要な戦いを生き生きと描く。
♯ 作戦級 :
Jours
de gloir campagne シリーズ, 仏語版。在庫あり。これは Vae Vics誌で扱っている。
♭ 戦略級 :
Age
of Napoleon (Phalanx Games), 英語版。在庫あり。 1805〜1815年のナポレオン時代を追体験できる。
● 十九世紀 および 南北戦争
♪ 戦術級 :
Solferino
1859, VV55号付録。仏語版。在庫あり。ナポレオン3世とオーストリア皇帝フランソワ・ジョセフが争ったソルフェリーノの戦いをシミュレートする。
♭ 戦略級 :
De
Bull Run a Appomatox, VV36号付録。仏語版。在庫あり。アメリカ南北戦争の全ての戦いのシミュレーション。
● 第一次世界大戦
♪ 戦術級 :
La
fleur au fusil, VV68号付録。仏語版。在庫あり。1914年8月の国境戦をシミュレートする。
♯ 作戦級 : Clash
of Giant II (GMT), 英語版。在庫あり。 ガリシア (ポーランド南東部からウクライナにまたがる地方)
におけるロシアとオーストリア=ハンガリーの戦役と、1914年の イープル (ベルギー西部の都市) の戦いを論じている。
● 第二次世界大戦
♪ 戦術級 :
Lock'
N Load : Band of Heroes
(Lock'N Load Publishing), 英語版。在庫あり。ノルマンディー戦役時の米軍落下傘兵とドイツ兵との一連の小競り合いを再現するゲーム。これはシリーズものの一作で、ベトナム戦やフォークランド紛争もプレイできるモジュールが用意されている。
En
pointe toujours シリーズ,
VV31号 および
51号
付録で、仏語版。在庫あり。
♯ 作戦級 : Leningrad
(デシジョン・ゲームズ), 英語版。在庫あり。1941年のバルバロッサ作戦におけるドイツ北方軍集団の戦いをシミュレートする。
Gazala
1942 (アヴァランチェ・プレス), 英語版。在庫あり。リビア砂漠でのロンメル将軍の伝説的な戦いを追体験できる。
Alsace
1945 (アヴァランチェ・プレス), 英語版。在庫あり。1945年の西部戦線における最後の大攻勢のひとつを再現する。
これら2つの最新ゲームは アヴァランチェ・プレス社の入門用の易しいゲームシリーズ(World War 2 Battles)6作の一部である。
♭ 戦略級 :
Tempete
sur l'Europe, VV66号付録。仏語版。在庫あり。第2次大戦のヨーロッパ戦線をシミュレートできる。
Typhon
sur le Pacifique, VV40号付録。仏語版。在庫あり。1941〜45年の太平洋戦争をシミュレートできる。この2つのゲームは一人用であることに注意。
どこでウォーゲームを手に入れる?
あなたは自身の好みの時代区分をもとに、どこから手をつけるのかを理解し、プレイするゲームを選択しました。ですが、まだ、お望みのゲームを見つけて買わなければなりません。
この入門記事ではあなたのお手伝いをするため、お探しのゲームを見つける際に役立つアドレスをいくつか用意しておきます。
これまで例としてあげた Vae Victis の付録ゲームは
Vae
victis のサイト で注文できます(訳註 :
この記事で紹介されている VV誌 のバックナンバーは多くが絶版になっています)。
Canons en Cartons の出版者はサイトを開設しており、ルールの最新バージョンとゲームの注文手段を用意しています。
http://www.fredbey.com/
情報収集用途には、フランス人編集者によるサイトが2つあります。
Pratzen
と Hexasim
がそれで、現在はナポレオン時代と第1次世界大戦のゲームの情報を提供しています。
この2つの商業サイトで たいていのゲームは見つかります (フランス語)。
http://www.jocade.net/
http://www.ludikbazar.com/
(中古ゲーム専門)
http://www.blitzgames.org/
http://www.ebay.com/
と
http://www.ebay.fr/
(著名なオークション・サイト)
もう一つの手懸かりは、Jeux Descartes (デカルト・ゲーム) の お店へ出掛けることです。 パリ、リヨン、ボルドーに店舗があります。
(サイト内の在庫リストは・・・
http://www.jeux-descartes.fr/
) (訳註 : Jeux Descartes
は既に廃業しており、パリの店舗は下記の OEuf Cube の販売所になっています。)
OEuf Cube
(ウフ・キュブ ・・「四角い卵」 の意) も利用できます。
24 Rue Linne 75005 Paris
トゥールーズ地方の人には Jeux
du Monde
14 Rue Maurice Fonvieille-Passage Saint-Jerome 31000 Toulouse
私たちの友人であるベルギーの人達には
Antre
Jeux ( 「ゲームの巣窟」 の意 )
Avenue de la Cauronne, Brussels
こうしたゲーム専門店の長所は、お望みのゲームの箱をじっくり眺められること、それに店員さんのアドバイスを受けられることです。
さぁ、これであなたは理想のゲームを見つける手立てを得ました。
他の人から多くの意見やアドバイスを得たり、質問に答えてくれる人を常時見つけられるサイトは、htttp://www.strategikon.info/
ケベック州のカナダ人プレイヤーも このサイトで質問できます。
http://wargames-quebec.actifforum.com/
どうぞ、ゲームライフを満喫してください!
おわりに
ここまでの ウォーゲームの世界 の簡単な概要説明で、あなたがゲームを始めたいと思って頂ければ幸いです。
米国の関わりの有無が 多少は好みに反映されているものの、およそ全ての戦争・戦場がゲーム化されています。既存のゲームの中で同じ戦いの作品を見つけるのは確かに容易ではありませんが、何度もシミュレートされている有名な戦いもあります
( 南北戦争のゲティスバーグ戦 ・ 第2次大戦時のバルバロッサ作戦 ・ 1944年のアルデンヌ戦など、例に挙がるのは僅かです )
。 ゲームデザイナー達は、各々の見解を有名テーマのゲームに注ぎ込んでいるのです。
さらに 本誌58ページには 《 Pour aller plus loin (さらに一歩進むために) 》 というタイトルの記事が掲載されています。そちらでは
時代別 ・ レベル別 (戦術〜戦略級) に分類された幅広い品揃えのゲームが解説されています。
戦術ゲームに手を染めようとお考えの読者には、本誌の付録ゲーム "En
Point Toujours" が手始めに丁度良いでしょう。
ウォーゲームの今後は?
シミュレーションゲームは次第に高度かつ専門的となり、ますますリアルになるよう努めていますが、多くの場合、単純さ や プレイのし易さ
を犠牲にしています。
DTP * 出版社は、シンプルかつ一晩でプレイ可能なウォーゲームを入念に作り上げ、ユニーク
or あまりシミュレートされていない 時代 とテーマ に取り組むことで、そうした窮地を巧みに切り抜けています。
インターネット と チャットルーム は、プレイヤー と ゲームデザイナー との間に 本物の絆 を形成しています。これらのおかげで
口うるさいプレイヤー達は完全に満足することとなり、より多くの人に手頃なゲームがいつでも入手できるようになっているのです。
イザベル・フォレの協力に感謝します。
〈 本誌掲載写真・図版の解説
〉
△ 4ページ
上段 : 2006年11月、リヨン市 のラ・ドゥア で開催された第7回ヒストリカル・ゲームWE (Week End?)
における GMT の宗教改革ゲーム "Here
I Stand" の多人数プレイの様子。
下段 : 1975年に出版された SPI のゲーム "Search
and Destroy" のマップ。30年の期間に培われたグラフィック技術の進歩が理解できる。
△
5ページ
上段 (左上) : 1978年に SPIから出版された "The
Next War" のマップ。わずか3年足らずで多色刷りのマップに置き換えられた。
中段 : ゲームの駒をいくつかピックアップ。 (上から) "Three
days at Gettysburg" は同名の戦いを扱う戦術級ゲーム。 "Ukraine'43"
はクルスク戦のその後を描く作戦級ゲーム。"Downtown"
ベトナムでの航空戦を扱う作戦級ゲーム。 以上の3ゲームはすべて GMT製。
下段 (右下) : 2003年に出版された GMTの "Rise
of the Roman Republic" のマップ。前出の2つのマップと見比べるまでもなく、細部にわたる描き込みやグラフィック技法は完璧に近い。
△
6ページ
上段 (右上) : GMTの "Great
battles of Alexander" の駒。アレキサンダー大王の戦役を扱う戦術級ゲーム。
中段 : CoAの "1777
the Year of the hangman" アメリカ独立戦争を扱う作戦級ゲーム。次にもっと簡単な DGの
"Leningrad"
は1941年のバルバロッサ作戦を戦略レベルで扱う。 最後に GMTの "Clash
of Giant" は1914年のタンネンベルクの戦いのゲーム。
下段 : アルデンヌの戦いを扱う GMTの "Ardennes'44"
。 戦場の自然景観を大変上手く描ききっているオーソドックスなマップだ。
△
7ページ
上段 (左上) : 第1次世界大戦を扱う GMTの "Path
of Glory" のマップ。 ポイント・トゥ・ポイント形式だ。
中段 (右上) : 1980年代の戦術戦を扱う West End Gamesの "Fire
Team" の地形図的なマップ。
下段 (右下) : チカマウガ会戦を扱う CoAの "Chickamauga"
のエリア形式マップ。
△
8ページ
左側 および 次ページ : 様々なプレイ補助カード。ゲームによっては使用の際に多少手間取ったり、複雑だったりする。
中段 : 支配地域の概念図。作戦級ゲーム用 (上) と、ヘクス内での方向が設定されている戦術級ゲーム用 (下) 。
△
9ページ
左上 と 中段 : 第1次世界大戦時の英国と米国の仮想戦を扱う Avalanche Press
の "U.S.Navy Plan Red"
の艦艇駒。 1942年のガダルカナル戦を扱う MMPの TCSシリーズ "Bloody
Ridge" の日本軍駒。 最後が The Gamers/MMP の OCSシリーズ "Sicily"
の駒。
右上 : 2006年11月にリヨンのラ・ドゥアで開催された第7回ヒストリカル・ゲームWEでプレイされた GMTの
"Enpire of the Sun"
。
△
11ページ
色々なゲームのカウンター・シート。
10ページに掲載されているのは、GMTの "Thirty
Years War" のシート。30年戦争を扱う戦略級ゲーム。
右上は "The Next War"
(SPI) の大量のシートの一つで、駒の色使いが非常に簡素だった頃のもの。
右下は GMTの "Army
Group North" で、1941年のバルバロッサ作戦を扱う。部隊の識別を容易にするため、多くの色を使っている点に注目。
Fin
本記事掲載誌の
Vae
Victis Hors-Serie 第6号は、2007年冬に発行されました。
この非公式翻訳文は Vae Victis 編集部の許可を得て公開しています。
Translated
by T.Yoshida
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