-) 御自身のことを
少し話していただけますか? あなたはゲーマーなのでしょうか? 今でもプレイされてますか? もしプレイなさっているなら、どんなゲームをプレイしておられるのでしょうか? |
1/300 のフィギュアと第2次大戦用のフランス語ルールを用いて、1978年にゲーム・プレイを始めました。La
Flèche et l'épée(弓と剣)に少し触れ、次にゲームマップを使う
JP
Défieux のアウステルリッツを経て、それから "PGG" (Panzer Gruppe Guderian
/ SPI) 、その後 友人達と何ヶ月も屋根裏部屋に不法入居して "Wacht am Rhein" だったかな? をプレイしました。今でも多かれ少なかれ、定期的にプレイを続けていて
( 私はロールプレイングも結構プレイしています:
D&D と
クトゥルフ を )、フィギュアを使うゲームも よくプレイします
( ここ最近何年かは
DBM
( De Bellis Multitudinis ) のトーナメントのいくつかに参加してますし、SA
(
Section d'Assat ) や DBN (
De Bonnaparte á Napoleon
) もプレイしています。l 'Empereur ? をプレイために、ブリアンフに行くつもりです )。Vae Victis
の付録ゲームや、出来の良いボードゲーム ( たとえば、シミュレーションゲームを好まない人や子供達と “マンモスの谷
” をプレイします )、それに
指輪物語のボードゲーム を息子とプレイしています。でも
まぁ、以前よりはプレイする機会は少ないですね。
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-)
どのような経緯で Vae Victis 編集部で働くことになり、そして編集長に抜擢されたのですか? |
それについては、Théo (Théophil Monnier
氏) が VV 誌の最新号(50号)で詳しく述べていますよ。私たちは
ある共通の友人宅で引き合わされました。その時 彼は執筆者を何人か探していたのですが、私は新雑誌の創刊と最初の付録ゲームのディベロップメントに深く関与することになったのです。あとは自然の成り行きです。:Théo
は Cyber を始めたくなり、それを実行に移すには誰か VV を手伝ってくれる人が必要だったのですが、そのとき丁度、私は手が空いていたのです。
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-) 差し支えなければ
お答えください。Vae Victis 誌の販売は順調なのですか? 質問を言い換えるなら、VV 誌は 100号まで到達するでしょうか? |
良い質問ですね。そうなることを願ってますよ(但し、その時点で私が VV誌に関与していても、いなくてもね)。 そうだなぁ、Vae
Victis の読者数は割と良く保たれていますよ。その秘訣は読者の入れ替えなのです。:何らかの理由で読者が離れる度に、入れ替えを行う必要があります。今のところ上手くいってますね。でも
いつの日か、読者の 15 % を失ったら、それは VV の “終わりの始まり” となります。
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-) VV
誌は非常に多様な読者( ウォーゲーマー、フィギュア愛好者、歴史家(の卵)、そして コンピューター・ゲーマー )を対象にしていますが、これら各層は
VV 読者の中で どのような割合になっていますか? それと、私は VV 読者の年齢層は かなり若かったと認識しているのですが、あなたはこれをどう説明なさいますか? |
歴史シミュレーション・ゲームというホビー同様、確かに VV 誌の読者はとても多様です。もし私達が、もっぱら一部の層だけを対象にしていたら、この雑誌の将来性は無いでしょうね(
コストが上昇します)。このことは、今現在も VV 誌の刊行を続けていられる理由なのです。言ってみれば、この雑誌の読者は
(各層を 4分の1ずつ) 集めた部分集合 : ウォーゲーマー、歴史ファン、それに コンピュータ・ゲームファン? から成るグラビア雑誌と似ているかな?
狂信的なマニアや強硬派はどこにでも居ますが、そうした読者からの、より専門的な要求に対しては、VV の記事の補完をしてくれる同人誌
(fanzines) や海外誌が存在します。
前途のある 11〜12 歳の読者 ( Ravage または White Dwarf も読む人達)が、この雑誌には何人かいます。この年頃に
歴史やゲームに興味を持つ人は、たとえ少しの間 それらから遠ざかっていようと、いつでも復帰してくるものです。 ( 学業を終えた後や結婚した後で、ゲームを止めてしまった人は誰ですか?
)
さらに、こうした若い読者は 私と同世代の人々の子供ですから、しょっちゅう彼らに (私自身がプレイしていた) ゲームを手ほどきしましたよ。
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-) 米国(それに他の外国)の読者は、VV
誌をビジュアル面での質と付録ゲームをしばしば例として挙げていますが、彼らの存在はどの程度の規模なのでしょうか? |
私達は、かなりの数の外国人 (米国、イタリア、ベルギー、その他の国々)
読者と定期購読者を抱えており、総売上の 約 20 % を占めています。彼らの多くは非常に熱狂的で、たとえば VV 誌付録ゲームの大部分は英訳ルールを入手できます。日本語に翻訳してしまった人達さえいるのですよ! (
訳註 : 苦笑 )
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-) あなたの前任者で且つ
“パトロン” でもある Théophile が、素晴らしい "PC 4 War" を創刊したことを最近知ったのですが、Cyberstratège
部門の将来は いかがなものでしょうか? |
基本的には何も変わりません。こちらのトーンは、PC
4 War のそれとは微妙に違いますし、あちらは より詳しい専門誌の好例と言えますね。
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-) VV
誌の製作過程を簡単に教えていただけますか? |
まず、しっかりと段取りを組み、次に、記事の執筆を依頼する段階を経てから、普通は最終締め切り
( きっちり予定通りに原稿を届けてくれる人のためのものであり、そんな人はほとんどいない ) の1ヶ月前には 原稿の読み直し、イラストや写真を探す、といったような作業を始めます。
付録ゲームは上記とは違う方法で処理されます。つまり、大抵は遙かに以前から準備に取り掛かっているのです ( アクシデントがなければね
) 。
結局、製作作業 ( イラストのスキャニング、記事のレイアウト、最終的な読み返し、ユニット・シートの作成、ゲームマップの再チェック、それに校正
) は、最終締め切りの2週間前に始まります。
執筆者は全員、趣味で記事を書いていて別に仕事を持っているフリーライターですから、誌面の 約 1/3 は いつも2週間で処理されます。ですから、最終締め切りの時期は、1日1日が
ヒジョ〜に長く感じられることになります。
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-) 記事が掲載されるための採用基準はどうなっているのですか?
記事を投稿できるのは、どのような人なのでしょうか? |
どなたでも私宛に記事を投稿していただいて構わないのですが、記事のテーマは読者の関心を惹くものでなければなりません。いずれにせよ、記事には常に準備期間があって、例えば、私が執筆者に内容の概要を要求し、次に記事本文を書いてもらい、それから校正作業を経て、それから適切な絵図を付与するのです。
採用基準で最も大切なのは、やはり正しいフランス語で書かれていることじゃないかな?
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-) VV
誌を観ていますと、各カテゴリー間の連携が不足していることに驚きを禁じ得ません。たとえば、歴史記事の最後に簡潔なゲーム・リストが掲載されたことさえ一度もないのです。フィギュア向けの歴史記事は、同テーマのシミュレーション・ボードゲームやPCゲームのプレイヤー向けには書かれていません。これは意図的にそうしているのですか? どうしてなのでしょうか? |
そのようなつもりは全くないのですが、確かに、やむを得ず 記事の執筆者が資料に接することができない場合は私自身が代わりに実行する覚悟で、各種の記事(シミュレーション・ボードゲーム、フィギュアゲーム、あるいはコンピューターゲーム)の中に
ちょっと詳しいコラムを歴史の挿絵風に掲載できれば、これはなかなか良さそうですね。
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-) VV
誌は少数の競合相手がいる状況にあります。: S&T、Against the Odds、Alea ですよね? あなたはこれらの雑誌をどのように考えていますか? Vae
Victis 誌と比べて、これらをどう位置づけているのでしょうか? |
他誌との競争について話すことができるかどうか、私には分かりません。というのも、これらが全く同様な雑誌というわけではないからです。
S&T と AtO は、両誌ともに ボール紙製のユニットを付けた完全なゲームを提供し、価格は VV の4倍も高く、しかも英文です。私が思うに、この2誌は、英語を読むことができて、しかも
より複雑で完成度の高い( 「大抵の場合」であって、「常に」ではないが )ゲームを望む人向けの申し分の無い補足雑誌、つまり、我々の読者の中の一部の人達だけに向けられた雑誌なのです。義勇兵
(Franc-tireur) や老親衛隊 (ヴィエイユ・ギャルド) 、あるいは ケルト人のホーン吹き
(Carnyx) が現存していることに私が満足しているように、この二誌が存続している (しかも、我々が定期的に両誌を紹介している)
ことを非常に嬉しく思っています。 Vae Victis は、読者の一部を失うようなことでもない限り、あえて ASL
や GMT の最新作の批評に 10ページもの誌面を割くことはできないのです。VV は極めて専門的な分野における 『一般誌』
であり、したがって (できる限り) 統合的で、多彩で、網羅的であることが義務だということを見失ってはいけない、のですよね?
|
-) VV
誌のウェブサイトは、概して きちんと更新されているとは言えませんね。面白い可能性を秘めているのに、なぜ、あのように放ったらかしにしているのでしょうか?
(それと、エラッタやシナリオに対する多くの反応は如何ですか?) |
私達のウェブサイトに問題があるのは確かです。もう少し、手間を掛けるのに必要な時間をちゃんと確保しないといけませんね。年末までには、全てのクラブのアドレスを最新のものに直して、ダウンロードできる完全な索引を用意し、とくにエラッタをネット上に掲載するつもりです。
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-) Vae
Victis 誌に掲載される付録ゲームとフィギュアのルールの選択基準を教えていただけませんか? 今までの付録ゲームの選び方は古典主義的すぎる、と非難している人達もいます。あなたはそのことをどのように考えますか? |
古典主義的ですか? 私達が出した ここ最近 15冊の新刊 (36〜50号)
を見ますと、第2次大戦ものが4つ ( 1940年、東部戦線'41年、西部戦線'44年、太平洋戦線)、ナポレオニックが2つ、1870年が1つ、南北戦争が1つ、18世紀の闘いが1つ、中世が1つ、古代ギリシャ・ローマが2つ、16世紀の闘い
(50号) が1つ、現代戦が1つ、第1次大戦が1つです。これでも私には、多彩なラインナップに思えますよ。
ここで申し上げておかなければならないのは、古典主義的であるのは VV ではなく、付録ゲーム目当てに VV を購入している一部の読者だ、ということです
(小売店で最も売れ行きが良くないのは、18世紀の闘いです) 。
こうした理由で、ポピュラーな時代と、そうでない時代が混ぜ合わされているのです。 (16・17世紀の) 宗教戦争は、まだ全く採り上げていないテーマで、近々、その経緯がよく分かるようになりますよ。上記のリストを見れば、私達のことを
余りにも古典主義的すぎると非難することはできないと思いますけどね。
フィギュアとシミュレーションゲームのテーマの選択は、主としてその戦闘の時期 あるいは その戦いに対する関心度、扱う時代の混ぜ具合を考慮しています
( 誰もが探していたものを見つけられるように、それに いくつもの異なる歴史時代の記事を扱うように、いつも気を配っています
)。
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-) ここ最近、VV
誌の最新号の付録ゲームは、ほとんどが以前の号の付録ゲームのルールを再利用していました。これから先、テスト済み または試行中のルールを用いたゲームと、新システムのゲームの比率はどうなっていくのでしょうか? |
そういう事は特に何も決めてないです。50号は新システム、51〜53号は基本的には既存のシステム、54号は結果がどうなるか予言するのは困難ですが、斬新なシステムになるでしょう。2004年には
Ardennes'44 のシステムを用いた、フランス軍関連のゲームが多分現れるでしょうが、同時に 1942年の夏期攻勢を扱うゲームも準備中でして、これは別のアプローチを使用することになります。
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-) これから掲載される予定のフィギュアゲームとシミュレーションゲームのラインナップは? |
フィギュアでは: 50号に Tanks! 3 と古代の小戦争、次にアフリカ植民地のゲームとファショダ事件の記事、コンスタンティノープルでのシュメール、Cid
(WHAB) ?
シミュレーションでは、EPT 3:クルスク戦、1814年戦役 (モンミレイユ、シャンポーベル)、CdB 4 :東アジアの軍勢
(日本、中国、モンゴル、朝鮮)、ソルフェリーノまたはマジャンタ、1944年のアルザス戦役、かな?
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-) 付録ゲーム全体の中では、海戦ゲームが唯一欠けているテーマだと思われます。意図的にそうしているのか、あるいは単に
うっかり忘れているのでしょうか? |
いや、それだけじゃなく、航空戦も欠けてますよね?
海戦ゲームの問題は、ニッチ(市場の隙間)の中のニッチであることと、一般的にプレイが かなり厄介であるということです。私は元・商船の航海長ですし、フランス海軍で航海もしていますし、フリート・シリーズ
(VG) や ハープーン (GDW) をプレイしたり、あとは省略しますが、加えて、"the Hunt for Red
October" を息子に手ほどきしてみるつもりでもあります。つまり、私は海戦モノが好きなんですよ。でも、付録ゲームの中心に海戦ゲームを据えてしまうと、小売店での売り上げは半分になってしまうでしょう? ですから、ボーナス・ゲームとしてならばともかく、率直に言って
VV 誌に純粋な海戦ゲームはあり得ないと思います ( "Typhon sur le Pacifique"(40号)のような要素なら、2、3、あるかもしれません
) 。
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-) Strategikon
のフォーラム(掲示板)に向けて、Vae Victis 関連のメッセージを あなたが今現在お持ちかどうかは分かりませんが
(ウォーゲーム・クラブの古だぬきの連中は、「そんなワケないだろう」、と噂してますが?) 、何人かの人達が書き込んだ VV
誌についての提案を あなたはどのように思われていますか? (2号に渡って付録ゲームを掲載する、等々…)
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そうした提案のいくつかは もう思い出せないのですが、それは典型的な
《良くもあり、悪くもある》 アイディアです。もし読者が前半部分を気に入らなかったら、後半が掲載されている2冊目を決して買わないでしょう。もしそのような案が適用可能で、一部の読者に不利益を与えない(シミュレーションゲームの分析記事を
10ページ、あるいはその号全体での解説部分も 10ページで)なら、それも良いでしょうね。
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-) 『
journal de marche 』(訳註:付録ゲームのマップ裏)は、次第にエラッタや行事のお知らせに『占拠』されるようになりました。しかし創刊号では、このスペースを読者に解放するとアナウンスしていました。私達がそのスペースで読んでいるのは違ったモノであるということは事実です。私は読者からの手紙や付録ゲームのディベロッパーズ・ノートで構成された『
journal de marche 』を想起しています。こうした現状は、読者の協力不足あるいは紙面スペースの不足が原因なのでしょうか? |
特にスペース不足が原因ですね。でも、私の勘違いでなければ、49号には
Ardennes'44 に関する長文の構想ノートが掲載されていますよ。
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-) あなたも
VV 誌の付録ゲームのいくつかをデザインなさっています。お気に入りを3つ挙げるとしたら、どれになりますか? |
自分の作品 : Kharkov 1943、Belisaire システム(
十字軍 ( Croisades )、ペルシアよりは死を!( Plutôt mort que Perse !
))、EPT 1(テーマの点で)と 2(ルールの簡略化の点で)。
他人の作品 : Paris vaut bien une messe (パリはミサに値する)、Imperator、DBP
( Dien Bien Phu )。
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-) とうとう最後の質問です。"Stratigos"
というのはペンネームですか? この質問をするのは私が何でも知りたがる性格だから、そしてなによりも、戦略 ( Stratégie
) (それと戦術 ( tactique ) )
ゲームの雑誌に "Stratigos" と名乗る編集者が在籍することは、統計的にみてありえないと思うからです! 幸運の巡り合わせなのでしょうか? |
きっとそうなのでしょう。Nicolas Stratigos、これは確かに私の本名ですよ。
Fin
Translated
by T.Yoshida
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Vae
Victis
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