Reviewed by Mark Olson
ゲームショップからウォーゲームの棚が撤去されてしまう。 そんな妄想は店の前から聞こえてくる叫び声
(近頃流行のマジック・ザ・ギャザリング・ブースターパックを使った決闘にのめり込んでいる連中の声だ) で掻き消される。 棚の上にあるゲーム
…… パンツァークリーク Panzerkrieg …… は馴染みの品だ。裏面の宣伝文句は英語とドイツ語で書かれている。 外国産? いや、違う。デザイン・クレジットは
ジョン・プラドス John Prados 名義だし、この前確認したときは、 3W 社はまだカリフォルニアに存在していた。君の所有ゲーム・リストを頭の中で確認してほしい
… 既にこのゲームはあるだろうか? 手に入れるチャンスだ。店の棚に並んでいる光沢のある黒箱は、このゲームの第4版だ。
最初に Rand Games が ( “フォン・マンシュタイン”
の商品名で) 発売したパンツァークリークは、1978年に Operational Studies Group
(OSG) 社が発売し、1983年にはアバロンヒル (AH) 社が再販した。最近発売されたこのバージョンは Cosi/3W
社製だ。Cosi社の関わりは、裏箱にあるドイツ語の宣伝文で説明されている。
『 待ってくれ、俺はそのゲームを所有したことがないんだ 』 と君は言う。そいつは一体、なんのゲームだ?
パンツァークリークは、南ロシアとウクライナにおける戦役を扱う、第2次世界大戦の東部戦線ゲームだ。作戦級、1ターンが一週間、ユニットは師団規模。しかしマップ・スケールやヘクス・サイズは
(私が見た3つの版のいずれにも) 記載されていない。Cernauti からスターリングラードまでの南ロシア全体が、34インチ
x 22インチのマップ1枚に収められている。
内容物に目を向けると、この
Cosi 版は ジョー・ユースト Joe Youst の手による とてもカラフルで真新しいカウンター・ユニットを用意している。さほど独創的とは言えないが
(NATO シンボルを使用)、カラフルで出来は良好。遺憾ながら、良い知らせはそれだけだ。悪い知らせは、カウンター・ユニットが
まともじゃ無いってことだ! ドイツ国防軍の第3装甲師団がどこにも見あたらないし、ソ連軍の戦闘航空パトロール (CAP) マーカーの枚数が不足している。第3装甲師団の欠如については、君自身がその部隊ユニットを作成
(あるいは、このゲームの古い OSG 版か AH 版からユニットを拝借する) しないと、少なくともシナリオの一つがプレイ不可能だ。これ以外の内容物は、全然グレード・アップされていない。マップは、OSG
版のそれを配色に至るまで、そっくりそのままコピーされていて、元の OSG 版の版権日付まで記されている。OSG 版のマップは現在の水準から見ても出来が良いため、コピーしたこと自体に異論は無い。背景が濃いベージュ色で、他の地形物と良好なコントラストを形成している。渡河ヘクスが黄色でなければ良かったと思うが、私なら薄い青色を選ぶだろう。新版のマップの問題点は、色彩のコントラストが低下してしまっていることだ。とは言え、この新版のマップは
AH版よりは改善されている。AH版のマップはサイズがほんの少し縮小されていて、ブックケース・ボックスの大きさに折り畳み可能な、厚みのあるボール紙に貼り付けられている。ユニット駒が密集するこのゲームでは、
(AH版の) その僅かに小さなヘクス・サイズが大問題を引き起こしている。3つのバージョン (版)
のマップの中では、今でも OSG版のマップが最良だと思う。
ルールは光沢紙を使用した二つの冊子に収められている。ゲーム・ルール用に一冊、シナリオとヒストリカル・ノート用に一冊。アバロンヒル社が
1983年にこのゲームを再販した時、彼らはルールブックを再編集し、さらに幾つかの曖昧な表現を分かり易く書き直した。Cosi/3W
は、これらのルールを忠実に一語一語、文字通り、フォントに至るまで完全に複製した。 (私はフォントのことにも触れた! デイヴ・ウッド
Dave Wood は鼻高々だろう。)
赤色で重刷されたシナリオのスタート・ラインを除くと、ルールは白黒で印刷されている。ここで Cosi/3W は混乱の素を取り除くチャンスを逃してしまった。彼らはシナリオの戦闘序列表示で枢軸同盟諸国ユニットの色分けを怠ったのだ。このゲームの4つのバージョンの初期配置表では、未だにルーマニア軍・ハンガリー軍・イタリア軍の見分けがつかない。
OSG 版の頃からプレイ補助カード類はこのゲームの欠点だったが、この Cosi/3W 版もその伝統を継承している。何故、各シナリオのターン記録表をシナリオ冊子に印刷しているのだろう? 天候トラックはどこにある? これらはマップ上に印刷されてしかるべきものだ。ゲーム・プレイでは使用しない黒海のように、南側には十分なスペースがあるではないか。アバロンヒルはチャート類を2枚のカードに印刷するという改良を施した。Cosi/3W
は カードの形態は引き継いだが、チャートは1枚しか用意していない。それと、不細工な六面体ダイスをなんとかできなかったのだろうか?
なんだか苛々する (しかも 第3装甲師団の件は腹立たしい) けれど、内容物の問題はそれほど致命的ではない。実際、このゲームは見栄えが良く、とりわけ
新しいユニット・カウンターはそうだ。欲求不満の根源は、訂正が容易であるはずの幾つかの問題点が無視されたことにある。
ゲーム・システムは、パンツァークリークがデザインされた当時はポピュラーだった
Igo-Hugo
のターン手順に基づいている。戦闘では戦闘比を用い、攻撃目標へクスを奪取するに十分な戦闘比は おおよそ3対1、それもサイの目修正に左右される。とは言え、何かしら劇的な事態を引き起こすには
かなり高い戦闘比 (6対1、または7対1 … これは簡単には達成できない比率だ ; 以下参照) を要する。各プレイヤーはターン中に
(どちらが先手か後手かはシナリオによって異なる) 全てのユニットの補給状態を確認してからユニットを動かし、続いて航空攻撃や地上攻撃を行う。そして、極めて限定的な突破前進と戦闘を行う。管理フェイズ
(もともと OSG 版では 「保護 (protective)
フェイズ」 と呼んでいた) でプレイヤー・ターンを終える。
平凡なプレイ手順なのに、多くの点でゲーム・システムがあまりにも斬新すぎて理解されていない (されなかった?)。 パンツァークリークには、デザインされた当時は革新的と見なされていたであろうメカニズムが多く採用されている。このホビーの歴史的観点からみると、これは興味深いことなのだが、しかし結果的にその概念を実行に移す以上の欲求不満が後味を悪くしている。こうした
クロムめっき (革新的なメカニズム) の断片の多くは、興味深い事態や選択を生み出しているが、中には間の抜けたものや意地悪なものもある。
パンツァークリークが表現する “予備” の概念は、このゲームがデザインされた時期に ほぼ特有なものだ。この概念は最近のゲーム作品において、
“予備” の活用をデサインされる際の参考になっているようだ。残念ながら、パンツァークリークの “予備” の扱い方は非常に原始的で、必ずしも適切とは思えない。この概念の本質は、全ての攻撃が宣言された後、防御側が攻撃対象へクスから5へクス以内にある都市へクス内で司令部とスタックしている戦闘ユニットを活用できる、というものだ。これは、防御側が1ヶ所の攻撃の戦闘比をコントロールする裁量が大きいことを意味する。それを攻撃側が抑制するには、あらゆる場所を攻撃し、防御側に
どこへ重点を投じるのかという些か困難な選択を相手に強いるのが唯一の良策だ。
そうするのが軍事的に正しいと誰もが言い、先に予備を使い切った奴が負けるという原理を引き合いに出すかもしれない。 それが真実なのだろう。 しかしパンツァークリークにおけるその効果は、圧倒的な戦力を
一地点に集結させる典型的な作戦、戦果の乏しい “重点” 形成である。これは特にドイツ軍プレイヤーに対して 攻勢時、史実にかなり近い作戦を採り続けることを強いる。 さらに
どう贔屓目に見ても、戦力がほぼ互角となっているシナリオで攻勢を成功させるのは困難であり、消耗が即、勝利への鍵となる。
予備のルールがこのゲームのプレイ・フィールドにおける流動性を減少させているとするなら、突破ルールがその状況を打破してくれる。
装甲ユニットが (少なくとも1個) 参加している高戦闘比での攻撃では、戦闘結果が 『 突破前進 (BkTh) 』 となることがある。
『 突破前進 』 が発生すると、攻撃実施ユニットに隣接して待機させておいた自軍装甲ユニットを、突破フェイズ中に移動・戦闘させることができる。表向き、これは良さそうに思える。しかし実際には非常に実現が難しく、とても達成できそうにない。戦闘比が最高であっても、攻撃側がサイの目修正を掻き集められない限り、突破前進の戦闘結果が出るチャンスは
たった 64% しかないのだ。攻撃側には、相手の予備部隊よりも長く持ちこたえ、それらを食い物にしてしまうほどの大戦力を準備万端整えて集結するチャンスが殆んど無い。その結果、突破前進と重大な突破は、既に相手側が撃破されている状況下でのみ発生する。これらは妥当であり、さらには望ましくさえ思える。
問題は、そのどちらも正しくないように感じることだ。多くの東部戦線ゲームは、プレイ開始の段階で生じる戦線突破と後方への進出を再現している。しかし
パンツァークリークでそんな状況は発生しそうにない。予備や突破前進のルールは、(最初に移動を行うプレイヤーが先に初期配置を済ませるという)
シナリオ・セットアップ・ルールと相まって、そのような現象が起きる可能性を大幅に減らしている。そのため、突破前進を企図するのは無駄となる。典型的な例はキエフ・シナリオだ
(このシナリオでは第3のプレイヤーが居ると想像してプレイする必要あり)。 初期配置でソ連軍の狙撃兵師団を ウマーニ の鞄の中に
8〜10 個ほど配置する。これらを隔離するためにドイツ軍プレイヤーが為すべきは、この状況を利用した上でキチンと勝利を一回だけ
もぎ取っておくことだ。これは上述したルール (および、枢軸軍の兵力供給量も見よ) が原因で、毎回必ず達成できるとは限らない。
(私の) 最初のプレイでソ連軍は完壁に脱出した。キエフ・シナリオを何回プレイしても、キエフ・ポケットは形成されなかった。つまり、ソ連軍が満足のゆくプレイをする機会は
そんなに無かったのだ。この二つのルール (予備と突破前進)
は、当時としては革新的であり、しかも理論上はたいへん適切なものだったが、実際は 「突破」 ・ 「反撃」 ・ 「追撃」 という
(東部戦線の戦いを特徴づける) “ドラマ” を消去しただけだった。
パンツァークリークは指揮・統制 (コマンド・コントロール)
を二段階で試みようとしている。司令部は予備の派遣を可能にするだけでなく、攻撃の実施にも必要となる。攻撃の実施には、攻撃に参加するユニットが司令部から7へクス以内
(枢軸同盟国ユニットは4へクス以内) に位置していなければならない。連絡線の確保は必要なく、支配地域や地形に制約されることもない
(1941年の無線交信事情は、私が思っていたよりずっと良かったのだ) 。このメカニズムは上手く機能しているようだが、無意味とも思える。私のプレイ経験では、攻撃を手控える必要に迫られたプレイヤーは一人もいなかった。その理由は、1つの司令部に拘束されることなどないからだ。史実的観点から言うと、指揮・統制能力面でのドイツ軍とソ連軍の違いを再現していない。
指揮・統制に関する別の概念は、「リーダーシップ」 に影響を与えている。古今の多くのゲームとは異なり、パンツァークリークは指揮能力の質や、戦役におけるその効能を再現しようとしている。主要リーダー達は
(時として強力な) 戦闘力を持つユニット・カウンターとして表現され、まるで戦闘ユニットのように活躍する。リーダーの戦闘力は地形効果や補給状態の影響を受けない。しかも戦闘ではサイの目修正を提供し、突破前進の結果を出す
(あるいはそれを抑止する) ために必要不可欠となる。このメカニズムはリーダー達の様々な特性を (非常に具体的な観点から) 数値化しているが、どう贔屓目に見ても簡略化しすぎだし、古色蒼然としている。
争いごとには向かない人間から見ると、戦争に適性のあるパーソナリティ (資質)
を持つ人を気の毒に思えるものだ。
航空ルールには触れただろうか? まだ全然、ちゃんと説明していないと思う。 航空システムはパンツァークリークが大失敗した領域である。各航空ユニットは、弱体な歩兵師団とほぼ同じ戦闘力を有する。移動フェイズ時に飛び回り、戦闘フェイズで地上ユニットと共同で、または単独で攻撃を行う。移動フェイズ中、攻撃側プレイヤーが先を見越して
(それに自信過剰により ; 上記参照) 突破セグメントでの攻撃時に敵ユニットを叩くつもりで航空ユニットを動かした場合、そのユニットは突破前進時に攻撃を実施できる。
航空ユニットは 地上ユニットによる攻撃に連携することで、コラム・シフトに必要な最後の一押しを提供できる。あたりまえだが、これは時間の消費と、実に面倒な戦力計算を促進する。中には多数の航空ユニットが
(ありとあらゆる場所に) 登場するシナリオもあり、一ヶ所の攻撃目標へクスに最大で何個の航空ユニットを振り向けられるのかルール上で規定されていない為、(とりわけ、渡河支援の際は)
全てのルフトヴァッフェ・ユニットが一ヶ所の攻撃にその全戦力を投下している光景を目にすることも珍しくない 。 これは非現実的だし、強烈過ぎる。
その一方で航空ユニット単独による攻撃は貧弱だ。この場合、航空ユニットは地上ユニットの場合と同様に戦闘比を計算し、攻撃目標ユニットを混乱状態にするためにダイスを振る。戦闘比が6対1未満なら、混乱の結果を出すにはツキが良くないと駄目だ。今回の再販に伴って、重要なルール明確化が公開されたにもかかわらずである。
(航空ユニットは、目標スタック内の全てのユニットを攻撃する必要は無い。;スタック内の1つのユニットを選んで攻撃してもよい。)
初期配置時に各プレイヤーが所持する地上戦闘ユニットの総数を考慮すると、混乱状態になることは重大な脅威とは言い難い。混乱状態になったユニットは、次の(自軍)管理フェイズまで戦闘力が半減する。もし、かなり多くの敵戦闘ユニットを混乱させることができて、しかも戦闘力より移動に影響を与えられるのなら、このゲームはもっと現実的に
(そして面白く) なるのだが。 敵の司令部をターゲットにするのが、混乱の最も重要な使用法だ (混乱状態になった司令部は予備を派遣できない)
。 司令部ユニット (戦闘力1) だけは航空機を恐れる必要があり、その為に戦闘航空パトロール (CAP) という防空の傘が存在する。
各陣営には戦闘航空パトロール (CAP) ・マーカーが与えられていて、管理フェイズ時にこれを配置する。CAP は不可侵なものであり、敵の航空ユニットは
CAP が配置されているへクスには絶対に進入できない。これには幾つか疑問がある。 まず、一週間に亘って広大な領域を完全に防御するという考え方に私は反対だ。次に、各プレイヤーは凡そ全ての自軍司令部をカヴァーするのに十分な
CAP マーカーを手にする。これは航空戦力の最善の使用法を完全に無効にしてしまう。各シナリオの後手プレイヤーは初期配置時に
CAP マーカーを配置できない為、活用可能な予備を恐らくは持てなくなる。とは言え、その事を承知していれば、考慮に入れた上で算段することは可能だ。
私に言わせるなら、戦闘航空パトロールは余りにも単純明快に過ぎる。つまり、この難易度のゲームの中でこの航空ルールは、ほんの僅かな効果のために余りにも多くの無駄をもたらしている。
この記事を読んでいる読者は、私がこのゲームを嫌っているという印象を抱くかもしれない。これまでの論調が激しい失望である反面、このゲームを嫌ってなどいないことを述べて読者を安心させよう! パンツァークリークには、非常に良質なゲームたらしめる有益な特性がいくつもある。 私の疑問の発端は、Cosi/3W
が この良質なゲームを、シミュレーションとして興味深い特性を持つ優れたゲームに変身させるチャンスを逃してしまったことにある。
ゲーム的な観点から見ると、パンツァークリークには貴重な長所がたくさんある。私が気に入っているのはシナリオの数だ。 キエフ・ポケット、冬季反攻、スターリングラード
(青作戦とウラヌス作戦の両方) 、フォン・マンシュタイン元帥の後手からの一撃、クルスク戦後のソ連軍による反攻、ドニエプル河を巡る戦い、そして
コルスン戦。これら8つのシナリオがパンツァークリークには用意されている。さらに、アバロンヒル版と Cosi/3W 版にはクルスク戦直前の状況を扱う仮想シナリオが一つ追加されている。各シナリオ
(仮想シナリオを除く) には、無味乾燥で少し古臭いけど興味深い、戦史の要約が用意されている。シナリオは比較的短いので (最長で12ターン)
、一気に終わらせる (多少時間が掛かるかも) ことが可能。現在の販売価格は妥当なところだ。
プレイ・バランスも良好。私がプレイした全てのシナリオでは、少なくとも後半のターンまで競争心と緊張感をバランスよく保つことができた。勝敗は最終ターンで決したのがほとんど。革新的なメカニズム
(訳注 : 原文では “クロムめっき” と表現)
も非常に良い。河川と渡河、それに橋頭堡の処理は興味深い。橋頭堡のルールは、どこの国の陸軍でも直面する問題を表現しているのだが、これをまともにシミュレートしようとするゲームはほとんど無い。支配地域
(ZOC) のルールには面白い工夫もある。歩兵ユニットには ZOC が無いのだ。これは、このゲームのスケール
(縮尺) がもたらしたグッド・アイディアであり、予備や突破前進のルールが提供する流動性が損なわれる事態を無くす手助けになると思う。補給ルールに基づく鉄道線はシンプルだが、前進ルートと攻撃優先権を決めるものとして有効に機能する。
幾つかの特殊なメカニズムには疑問を感じているが、しかし殆どのシナリオは史実に即した方向へ流れる傾向にあるし、平均して史実に近い結果になることを認めなければならない。パンツァークリークは典型的な
「結果のためのデザイン例」 と見なされる。では、このゲームは “ ジキル氏 と ハイド氏 ” なのだろうか? 私はこのゲームが好きだし、(初版発売から
)20年近く後の今でも ちゃんと通用するゲームだと信じているのに、たぶん Cosi/3W はこの再販ゲームを携えて貧乏旅行に出て、美しく体裁を整えた製品を一個
33ドルで売りだしたのだ。このゲームには まだ未開発の資質があり、明らかに Cosi/3W はその資質を掘り起こすチャンスを逃してしまった。彼らの唯一の貢献は、(とても重要であるのは認めるが)
ルールとシナリオのエラッタと明確化を掲載した1ページの印刷物を追加したことだ。しかしこの貢献は、不完全なカウンター・シートを印刷して出荷してしまうという間抜けな品質管理で相殺されている。
Cosi/3W だけがそんな過ちを犯すゲーム会社では決してないのだが、訂正を入手できる確信は全く無い。
今回の版では、ソ連軍の戦闘序列が一ヶ所、マイナーチェンジされている。どうやら、赤軍の編成に関する Cosi/3W の広範なリサーチによって、彼らはソ連軍親衛戦車軍団の戦闘力を再考する気になったらしい。各シナリオで
一部の 6-11 駒を 7-11 駒に取り替えるよう指示する一節がある。この変更には理由説明が無く、別の腹立たしさを思い出す。ジョン・プラドスは
1978年以来3回もこのゲームの発売を許可しているが、依然として彼はデザイナーズ・ノートを提供する気が無い。なぜ、このゲームのデザインが
20年経った今でもそのまま通用すると思うのか、是非、彼に聞いてみたいものだ。ゲーム・デザインは、メカニズムや焦点の当て方という面での開発ルネッサンス期はとうに通過した。新しいグラフィックス技術により、ゲームの内容物は斬新な色彩や品質等で充実してしまっている。かつてのソ連邦から流出した新情報によって、東部戦線の戦闘序列は今まで以上に正確になった。パンツァークリークで提示したアイディアの多くは、その後、現代のゲーム・デザインにおける重要かつ刺激的な概念へと発展している。Cosi/3W
の関係者は手っ取り早く荒稼ぎしようとするあまり、誰も、わざわざそんなことを考慮しなかった。私は、そこに腹が立つのだ。
何を尋ねたっけ、もう一度言ってくれるかい・・・・・もう君は このゲームを持っているかな? 答えは YES だ。既に君は
このゲーム (訳注 : 旧版のこと) を持っている。君のカウンター・ユニットはどれも同じようには可愛くないかもしれないけれど、
(君が気をつければ) 問題ない。どうせ君が自力で既に解決してしまっているであろう 1ページのエラッタや明確化のために払う 33
ドルは高すぎる (しかも 第3装甲師団ユニットが欠けてるのだ)。
まだ君がパンツァークリークを持っていなくて、(写実性を若干犠牲にしつつも) 時間と場所をそれほど必要としない、良質でプレイアブルな東部戦線ゲームを楽しみたいのなら、こいつを手に入れることだ。ほんの数ドルで
アバロンヒル版か OSG版の中古を入手できるはずだ。駒が2・3個欠けているかもしれないが、とにかく、すべてが揃うチャンスなのだ。
Fin
本記事掲載誌の Paper Wars 21号は、1995年に発行されました。
この非公式和訳文は、Omega
Games の許可を得た上で公開しています。
Copyright © 2008 Omega Games.
Copyright © 2008 T.Yoshida.
Translated
by T.Yoshida
Panzerkrieg
のページへ戻る
ハリコフ戦ゲームのページへ戻る
|