reviewed by
Mark Olson
第2次世界大戦で発生した戦闘や戦役の中には、私が まだ充分には理解していないものがある。その戦いで起きた出来事よりも、むしろ
その戦いの趣旨を理解するのに苦労している。1943年春に発生したドイツ軍の反攻 ( フォン ・ マンシュタインの 『後手からの一撃』
と呼ばれることが多い ) は、頭を掻きむしるほど私を悩ませる 『よくわからない戦闘リスト』 の中でも、特に重要なものだ。私は度々、理解が不充分であるがゆえに、この戦いを扱うゲームを探し出そうとする。というのも、私は軍事戦役を扱うゲームをプレイすることによって、その戦役に関する多くの知識を得ているからだ
(これは確かなことである) 。
GMT Games の Von
Manstein's Backhand Blow (訳註
: 以下、VMBB と略す)
が登場した。これはビッグ・チャンスだ! 私が信頼する出版社から発売されたこのゲームのコンポーネント (内容物) は きっと上質だろうし、デザイナーは尊敬する
ディルク ・ ブレネマン氏だ。 今まで切望していた、この有名な戦役に関する深い理解を、今回は最終的に得るつもりだ。ついでに、私にレビューを書かせるよう、あの
Paper Wars 誌の編集者を丸め込んで、このゲームを
タダで入手するぞ!
敬愛する編集者を騙した後、ほどなくして我が家にゲーム ・ ボックスが届いた。
内容物の第一印象は申し分ない
… 私は GMT Games の高品質なカラーグラフィックに期待を寄せているのだが、VMBB
は私を失望させなかった。
カウンター ・ シートにザッと目を通す。ユニット ・ カウンターが 5/8 インチ角ではなくて、3/4 インチ角であることに気付いた。これは素晴らしい。
私は歳をとったので (来月、遠近両用眼鏡を購入する) 、大きめのカウンターは実に有り難いのだ。 毎度ながら、マーク ・ シモニッチは上出来のマップを作成している。見栄えも良くて使いやすい。
残念なことに、GMT Games らしく大量の補助カード類も含まれている。もし、様々な状況や情報を表示するチャート類を置くために、さらにもう一枚分のマップと同じスペースを要するのなら、ゲームを一枚のマップに集約するという当初の目標が全く達成されていないことになる
(このゲームは一枚マップだ) 。 二枚組のマップにして、そのマップ上に記録トラックや表を記載する方が良い。私の経験では、34インチ
× 22インチ ( 訳註 : フルマップ 一枚のサイズ )
の紙を置く場所があれば 大抵はそれを二枚置くこともできるし、そうすることで、デザイナーに、省略した別の戦闘エリア部分を載せる余裕を多く与えることになる。
ゲームを何かしらプレイした経験を お持ちの方なら誰でも直ぐ分かることだが、ゲーム ・ デザインの成否を決定づけるのは、見栄えの良さ
と共に、『ルール』 である。 私がいつもやっている、新しいゲームを習得する方法を辿ってみよう。
プレイ手順に特に注意を払いながら ザッとルールに目を通し、次に デザイナーズ ・ ノート と ヒストリカル ・ ノート を読む。 VMBB
は、実際にはシステム ・ シリーズ ( Schwerpunkt
Series ) の一部であり、そのため、ルールブックが二冊用意されている! (デザイナーズ
・ ノートも2組!) 。
第一段階では、ルールにサッと目を通してゲーム進行の要点を掴む。
複雑、あるいは独特なものとして目を引くようなルールが実際には何もないことが分かる。 Schwerpunkt
シリーズは、ディルク ・ ブレネマン氏がデザインして Moments
in History 社が発売したゲーム作品から発展したものである。私は "Turning
the Tables" ( 1998年出版、Paper
Wars #30 にレビュー掲載 )
をプレイ済みだ。 もし、あなたが MiH 社の Turning
the Tables シリーズのいずれかのゲームを既にプレイしているなら、Schwerpunkt
シリーズをプレイするのに支障は無いだろう。 ( 他のタイトル "Velikiye
Luki " Critical Hit
/ Moments in History は、Paper
Wars #39 にレビューが掲載されている )
デザイナーズ・ノート を開く。 私はデザイナーズ・ノートが大好きだ。 実際にゲームをプレイすることに次いで、そのゲームのデザイナーが何故そのようなゲーム・システムを設定したのか
を議論する以上に面白い事など無い。ブレネマン氏は Schwerpunkt
シリーズ (そしてエキスパンションである VMBB
) の基本的なアイディアをデザイナーズ・ノートで明確に説明しているが、それは私に向けて特大の骨付き肉を放り投げたに等しい。私は
ここで自分自身の考えを提示するのではなく、不精なレビューアがよくやる方法で、彼の4つの指針について単に見解を述べることにする。
● 「ベテランプレイヤーなら、このゲームを2時間以内で習得できます。」
かなり無味乾燥な書き方でルールは記述されているが、私はこの陳述を支持するし、実際、ルールを読むのに2時間も掛からなかった。
Schwerpunkt
はゲームデザインにおける新領域を ちっとも開拓していない。だから、ここ5年から8年の間ウォーゲームをプレイしている人なら、誰もが
このシリーズのルール概念には事前に触れていると思われる。
● 「
このゲームのルールを対戦相手に説明するには
15分も掛かりません。」
これには難癖をつけることができる。 30分、というのが むしろ正しいと私は思うからだ。もちろん、 説明に30分掛けても、普通は
対戦相手がプレイに 「参加」 するのに必要な(最小限の)分量しか説明できないし、本当の意味で 「勝負」 できるところまでには至らないことは誰もが理解している。
新参者が本当の意味であなたを後悔させるようになるには、通常、少なくとも1回は 始めから終わりまでプレイする必要がある。
● 「一回の会合の時間内に、結末までプレイできます。」
私は もう一度、これに異を唱える。 『一回の会合』 の定義とは、どれほどなのか? 4時間? 6時間? 8時間? これまでのところ、
ゲームを合計4時間連続でプレイすると私はエキサイトしている。従って、『一回の会合』 とは 4時間である、と言いたい。対人プレイであれ、ソロプレイであれ、私は4時間で一つのゲームを終了させたことがない。もし一回の会合を8時間と定義するなら、私は同意するだろう。
● 「このシリーズの各ゲームは、少なくともコンポーネントの数量を一様化します。
(例えば、マップは一枚だけにします。) 」
先に私は内容物についての見解を述べた。けれども、さらに言わせてもらうなら、毎回 チャート類を大量に用意する GMT
Games が、そう簡単にコンポーネントを一様化できるとは、私にはとても思えないのだが。
ルール自体は良く整理され、非常に簡潔に、ほとんどぶっきらぼうに 〜
要点を記述しているのだ 〜 書かれている。
話を進めよう。 全般的にはそれで良いと思うのだが、説明が簡潔過ぎるために、ウォーゲームの知識があることを前提として 明確には説明されていない箇所がいくつかある。掲載されているプレイ例は役に立つものの、誰かが時間を掛けて
まるまる1ターンの詳細解説をやってくれれば良かったのだが。
ルールブックと比べて、詳細解説以上に私を魅惑するものは無い。 経験のあるゲーマーなら、詳細解説なしでも 私と同じように何とかやっていける。しかし、ルールがどのように機能するのか、という実践的な描写を提供するために詳細解説は役立つし、経験の浅いプレイヤーの場合、現実に何をしなければならないのかを理解する際に、とても重宝する。
( 編集者註 : プレイ例はゲームを理解する際に多くの事柄を提供してくれるが、それは
そのプレイ例が正確である場合に限られる。不正確なプレイ例では、事態を酷くしてしまいかねない。
… John D.Burtt )
VMBB のゲーム・システム自体は、補給と指揮統制の諸問題を処理する
ターン・シークエンス構造を持つ、大幅に変更された Igo-Hugo
システム ※ だ。 通常、各プレイヤーには ターン毎に3回の行動機会が与えられている。
全部で4回ある Schwerpunkt
セグメントでは各自2回ずつ交互に実施し、全部で2回実施する総合セグメントでは交互に各自1回。これらのセグメントでは交互に行動することが決められているため、どちらのプレイヤーも自軍側の行動セグメントを2回連続して実施することができない。ただし、もしあなたが最初のセグメントで補給能力
(訳註 : C3Iポイントのことか?) を消費し尽くしてしまうと、その後のセグメントでは殆ど何もできなくなってしまうことがある。
( ※ 訳註 : Igo-Hugo
システム とは 米国のウォーゲーム界で使われているスラング。 将棋やチェスのように相互に一手ずつプレイするのではなく、ターン毎に
一方のプレイヤーが自軍フェイズ (移動や戦闘の手順) をプレイしてから 他方のプレイヤーが自軍フェイズをプレイするという、ウォーゲームの伝統的なターン・シークエンスを表す。
"First I go, then you go in each turn" の略語である。 ・・・・
以上は Omega Games の Bill Gibbs
氏の説明より)
Schwerpunkt
セグメントの特徴は、同一セグメント中に 移動と戦闘を自軍ユニットに対して実行させることができるという点である。この特典と引き換えに、プレイヤーは行動ポイント
(下記参照) を消費しなければならない。当然ながら、この 貴重な行動ポイントは常時不足気味なので、あなたは苦しむことになる。あなた自身が望む場所で移動や戦闘を行うことなど、決してできないのだ。さらに
セグメント開始時には、ユニットを先に移動させるのか、あるいは先に戦闘させるのかを宣言しなければならない。これがシミュレーションとしてどのような意味合いがあるのか、私には
よくわからないが。
実際のプレイでは、2つの自軍セグメントと その間に設けられている相手側の対応セグメント時に、限られた行動ポイントおよび 移動/戦闘シークエンスを巧く使いこなすことに挑戦するという、とても面白い
“パズル” が発生する。
総合セグメントは、あなたの戦闘計画に想像力を加える機会となる。このセグメントでは、ユニットを無料 (
訳註 : 行動ポイントが不要 ) で移動や戦闘させることができる。しかし、各ユニットは 移動 もしくは 戦闘
のどちらか一方のみ実施でき、両方は許されない。
上記の複合セグメントは全てが相互に影響を及ぼす。このシステムを理解するのは簡単だが、攻撃 ( あるいは防御 ) を完璧に遂行する道具として
これを使いこなせるようになるのは容易じゃない。実際、その相互影響が原因で、手に負えない状況が生じることもあると私は感じている。
複合セグメントであること、及び、利用できる行動ポイントが制約されていることが理由で、防御側の対応能力と比較して攻撃側の襲撃ペースは若干遅くなる。 防御側は敏捷に過ぎ、且つ、対応が
あまりに素早すぎると私には感じられる。設定された時間枠 (1ターンは実際の3日間に相当) に対して全体的な活動量は適切であるものの、ターンそれ自体が多数のセグメントに細分化されているため、そのテンポが遅く感じられる。
これは私が未だに “パズル” をマスターしていないからだろうか?
そうかもしれない。 だがその一方で、このゲームは 第2次世界大戦の機動戦としては、あまりにも ノロすぎる。
大概のウォーゲームでは、プレイヤーに与えられる情報が多過ぎる。 敵の戦力は (そして味方の戦力も!)、容易にその状態を判断・評価
そして比較できるように数値化されている。
多くの場合、 (勝利条件があるので) 敵の意図はある程度分かるものだ。 通常、敵の所在位置は確認が容易であり、多くのゲームで
プレイヤーは敵の位置を キッチリ正確に示すことができる。地形は常時完璧に図面化されている。プレイヤーは遥か以前から天候を予測していることも
稀ではない。
近頃では、プレイヤーが知ることのできる情報・知識の 「質」 を制限したり、なるべく流動性を取り入れたりすることで、ゲーム・デザイナーは上述の影響を軽減しようとしている。
Schwerpunkt
システムでは その両方の手法を用いることによって、この問題に取り組んでいる。
前にも述べたが、移動と戦闘を Schwerpunkt
セグメントで実行するには行動ポイントを消費しなければならない。その行動ポイントの備蓄は、 C3I ポイントを素にして作り出す。Schwerpunkt
セグメント毎に、C3I ポイントを消費してからダイスを振り、活動能力表を参照して そのセグメントで入手できる行動ポイントを確定する。
ソ連軍には、その指揮組織に基づく特別制限がある。
彼らはゲームがカヴァーする戦域の指揮を2つの方面軍に分割して割り当てているので、行動ポイントを2つの方面軍の間で分配しなければならない。
では、あなたは C3Iポイントをどのくらい入手できるのだろうか?
C3I ポイントは、増援部隊と同様、毎ターン配分される。その数量は天候の悪化によって減少することもあるが、各ターンに受け取るポイント数は予め決まっていて、変動することはない。先に述べたように、あなたは
決して充分な行動ポイントを得ることはない。攻撃目標候補の中で達成可能なものを選び出し、それに向かって集中し続けることを習得しなければならない。あなたの部隊は、どこでも望みの場所で敵と交戦出来る、というワケにはいかなくなるだろう。
このことは、プレイヤーが 『質』 の高い情報を得てしまうという難点を、上手い具合に軽減してくれる。 なぜなら、知り得ることを全て活用することなど、あなたにはできないからだ。
VMBB は、戦闘解決の際に決定打となる戦力要素を配分するメカニズムを採り入れることにより、単純なダイス振り
以上の変動性を得ている。その決定打となる戦力要素とは、直轄部隊ユニット (重戦車や工兵)や航空支援、あるいは特殊戦術 (つまり、機動戦や人海戦術など)
を表す “戦闘解決修正チット” のことだ。
これらは全く無作為に配分され、チットは目隠しした状態でカップから引かれる。ただし、この無作為抽出に影響を与える要素がいくつか存在する。最も重要なのは
ユニットの戦術値。 (各戦闘で) 相手よりも高い戦術値を持つ側が、より多い枚数のチットを引き、その多くを手元に残して戦闘に影響を与えることが出来る
(引いたチットを全部手元に残しておけるわけではない。 それでも、残しておきたいチットを選ぶことはできる) 。
ある特定のチットを入手できる可能性は、ターン毎に変化する。 戦闘チットは増援として容器に追加され、あるいは定められたスケジュールに従って回収されもする。
戦闘チットは戦闘解決時のダイスの出目を修正したり、戦闘力を変化させたりする (つまり、対戦車戦力は敵の戦車戦力を半減する)
し、さらには損害を与えたりもする (両軍へのステップ・ロスを増減させる) 。こうした 「切り札」 によって修正値や最終戦闘比が大幅に変動するので、通常よりも重大な影響が戦闘に及ぶことがある。その一方で、両プレイヤーが提示したチットが互いに相殺してしまい、さほど効果が大きくならないことも
しばしばある。
チットの配分は戦闘解決に大波乱を巻き起こすだけでなく、 (軍事史フリークが文句を垂れないという前提で) 相対的なユニットの戦術値を、とにかく戦闘力値と同程度まで重要なものにしている。
当然ながら、 VMBB は対象となるテーマの戦役
(第3次ハリコフ戦)
を どの程度上手くシミュレートしているのか、と尋ねる人もいるだろう。 この記事を書いている者として、この質問に答えるのは義務だと思う。故に自問自答しよう。
その答えは … 良く出来たゲームではあるが、イベントの展開に関して、プレイヤーは多少の硬直性を受け入れなければならない
… となる。
ゲーム開始早々、ソ連軍は強大な部隊と かなり多目の C3I ポイント、それに多数の戦闘チットを所有しているし、非常に攻撃的な勝利条件の組み合わせも課せられている。 ドイツ軍には小規模ながらも
かなり強力な部隊、少ない C3I ポイント、そして相手よりも少ない枚数の戦闘チットが手元にある。
ゲームが進むにつれ、ソ連軍の そうしたアドバンテージは徐々に減ってゆく。
まず、ドイツ軍が利用できる戦闘チットが増え始め、初め頃はソ連軍のチットを相殺できるようになり、ソ連軍の攻撃はリスキーとなって成功し辛くなる。そうした上で、C3I
ポイントの割り当てに変化が生じ始める。 ソ連軍の活動量は減り、ドイツ軍は増えるのだ。最終的にはドイツ軍が相当数の増援 (とりわけ、史実で反撃の先頭に立った
SS 部隊) を受け取る。
これはヒストリカルなのか?
まったく その通り。 ソ連軍は補給基地から さらに遠くへと前進するにしたがって、彼らの兵站インフラは限界を越えて伸び始める。彼らの指揮統制と強大な戦力の変移は、かなり良く再現されていると私は思う。反対に、ドイツ軍は自軍基地へと退却しているので、退却する前よりも補給が楽になるのだ。
VMBB が抱える問題点は、上記のゲーム進行に不確実性が欠如していることだ
と私は思う。
増援と C3I ポイントの割り当てを ちゃんと調べれば、モメンタム (訳註
: どちらの側に勢いがあるかという概念) の変化がハッキリ分かる。それによって このゲームで味わう試練を軽減することにはならないが、ある意味、私の好みとは言えない方法で
これらの試練の本質を変えてしまうことになる。
ソ連軍をプレイするなら、アドバンテージを握っている間はできるだけ激しく攻撃すること。そして、最後の攻勢を発動するのか、あるいは守勢に転じて
お約束の反攻を乗り切るかの決断をせまられている時には、あらゆる活動の中に まだ決定的瞬間が存在することを忘れないこと。
ドイツ軍をプレイするなら、モメンタムが移るのを待っている間は防御態勢を維持すること。そして指揮統制 (訳註
: C3Iポイントの意?) と 貴重な戦力が あなたの側へと ひるがえるのを待っている間、防御戦の範囲外に どれだけの戦力を温存できるのか
を計算しておく必要がある。
上述したように、これらは興味深い試練ではあるが、しかし、影響を与えるような不確実性がそれほど多くあるわけではない。どのターンにソ連軍が燃料切れを起こすのかを
あなたは既に知っているし、いつドイツ軍が逆襲するのかを かなり確信を持って予測することもできる。このことは、多くの優れたゲームを含めて、現在注目されている多数のゲームと
さほど違いがあるわけではない。
第3次ハリコフ戦には、もっと上手く 一連の出来事をシミュレートする良い方法が無い、というのが本当のところなのかもしれない。
でも、それは少し決定論的すぎると私には感じられる。
それでは 最後の、そして 一番重要な質問だ。 まず最初に、 このゲームは面白いのか?
まったくそのとおり。上ではボヤいていたが、私はこのゲームをかなり楽しんでプレイした。プレイ進行は まぁまぁ スムーズであり、開始から終了まで適度な時間
(ディルク・ブレネマンが主張するほど速くはない) でプレイでき、両陣営ともに やり甲斐があるようにできている。 ちょっとプレイすれば、本当にいつの間にかシステムを理解できるようになるが、実際にはソロプレイの経験を積むことによって理解が深まることが分かる。
VMBB はソロプレイ用としても上手く機能する。ほんの少しだけ決定論的だと見なした上述の要素
(訳注 : 不確実性が少なく、展開が予測しやすいこと)
は、実際には このゲームを ソロプレイに適した作品に仕立てている。
私が苦労してこのゲームを手に入れた元々の動機 (15段落ほど前で説明した)は、この戦役を充分に理解することだが、このゲームはその用途にもかなり役立ってくれた。
プレイ・バランスは まずまずだが、ソ連軍の方が相手よりも苦しい時間を過ごすことになる、と個人的には考える。大勝利の可能性を得るには、私が対人プレイとソロプレイのどちらでも成し遂げられなかったような、何かしらの輝かしい勝利を早めに達成しておく必要がある。それはつまり、控えめにプレイしている限りは、「引き分け」
あるいは 「平凡な勝利」 を手にするのは難しくない、ということでもある。
繰り返しプレイする価値があるかどうかは、遙かに重要な問題だ。
たった2つのシナリオしか選択肢が与えられていない。ソ連軍による初期の攻勢活動を扱う 4ターンのシナリオと、キャンペーン・ゲームだ。最初から最後までキャンペーンを2〜3回プレイして初めて、あなたは両陣営の戦闘能力の変遷を完全に理解することができる。そして
このゲームは、あなたが指揮する陣営の戦力・資質を最大限に発揮できるようにプレイを微調整するための練習の場となる。自軍部隊の最適な運用方法と戦力
(増援) スケジュールを一旦理解してしまうと、意外性が不足気味となり、繰り返しプレイする面白味が損なわれてしまう。
Von Manstein's Backhand Blow
は 1943年の冬から春にかけてのウクライナにおける戦役を 啓発的 ※
に論じているのだ、ということに私は気付いた。 Schwerpunkt
システムは習得が容易 (熟達するのは簡単じゃない) で、非常に速くプレイできる。このゲームは見栄えも良く、プレイして楽しいシステムだ。
この特殊な戦役を扱うにはゲーム・プレイが滑らかに進行しなければならない、という やや決定論的な観点は、このゲームを繰り返しプレイする価値を少なからず制限してしまう。
(※訳注 :「 一般の人が看過しがちな問題および問題点について、知識を与えるように」
の意)
Fin
Translated
by T.Yoshida
本記事掲載誌の Paper
Wars 54号は、2004年5月に発行されました。
この非公式和訳文は、Omega
Games の許可を得た上で公開しています。
Copyright © 2004 Omega Games.
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