第三次ハリコフ戦ゲーム
Nach Stalingrad ! [HC / Vae Victis #54]

Notes de Conceptions pour Stalingrad

+ Exemple de Jeu


Jornal de Marche (VV #54)


スターリングラードに関する構想ノート と プレイ例

Journal de Marche (VV #54 マップ裏)



by
Hervé BORG

目次

構想ノート  シナリオ解説   プレイ例


● 2つの駒を持つソ連軍ユニット :

1942年の春以来、赤軍は新設の機械化部隊である 「戦車軍団」 を保有していた (VV 53号を参照) 。だが、この新しい部隊は機械化部隊に適した戦術をまだ用いていなかった。その年の夏、「戦車軍」 も幾つか編成されたのだが、機械化部隊としてのバランスがとれていなかった為、間もなく解隊されてしまう。その戦車軍が数個戦車軍団を指揮していた同じ頃、他方で別のソ連軍部隊は、戦車軍団を歩兵部隊の如く運用していた。そのような状況だったにもかかわらず、ソ連のドクトリンは 1942年11月の反攻準備の頃には進歩していた。つまり、同じ 「軍」 の編成内でも、機械化軍団を打撃集団の中核として使うようになっていたのである。機械化軍団は戦闘力と新しい運用方法を 「軍」 にもたらしたのだ。
というわけで、従来の 「軍」 の中に機械化軍団を導入することを象徴する “機械化駒” の作成を私は決意し、単純に晩秋頃には使用可能としたのである。その機械化軍団は、全ての 「軍」 へ配備するには数が少なすぎた。けれども、我々はプレイヤーの皆さんに完全な自由を提供するため、襲撃部隊の代用が可能となるよう、全ての 「軍」 に機械化駒を用意したのである。



● 空軍 :

爆撃機ユニットの使い勝手は、ソ連軍よりも枢軸軍の方が断然良い。ソ連軍は1個の爆撃機ユニットをターン毎に1度しか使えないのに対し、枢軸軍側は3度使えるからである。そして戦闘においては、ソ連軍は空軍ユニットを1個だけしか支援に使えない。おまけに、機動攻撃時にはドイツ軍の空軍ユニットしか介入できないのだ。
以下が私の言い分である :

△ まず第一に、ルフトヴァッフェ (ドイツ空軍) は陸上戦闘支援を意図して創設・拡張してきたため、ドイツ軍装甲ユニットの突破や進撃を支援するための恐ろしく効果的な兵器となっていた。それに、南方作戦を指揮する第4航空艦隊司令官は、この戦争全体でも最優秀な戦術空軍司令官であろう フォン ・ リヒトホーフェン だった。ドイツ軍パイロットは練度が高くて経験豊富であり、彼らの爆撃機 (有名なスツーカ) もまた、一日に複数の任務をこなすことができた。我々は、空軍の活用面でドイツ軍の迅速な戦いに匹敵するドクトリンを持たないソ連軍の空軍部隊を、常に同列に扱うことなどできるわけがない。ソ連軍のパイロットはドイツ軍ほど経験豊富ではなかったし、それほど鍛え上げられてもいなかったのだ。

△ 第二に、ドイツ空軍は地上部隊に随伴する将校を常時派遣していた (Flivo, Flieger verbindungsoffizier : ドイツ空軍の連絡将校の意) 。その名称が示すように、空軍の連絡将校は陸 ・ 空軍のあいだでの連絡役を務め、空軍部隊が必要とされる場合に、大量かつ迅速な介入を可能にした。単に赤軍にはこの種の無線交信が無かったという事実が、数的優勢だったにもかかわらず、能力面でドイツ空軍に劣っていた理由となる。



● ヴォルガ河と主要都市 :

このスケールで市街戦の特殊な状況をシミュレートするのは困難である。主要都市におけるルールは、勿論、パウルスの部隊がスターリングラードで経験した泥沼を表現するために考案したものだ。市街区域に逃げ込めば、防御側は攻撃軍のあらゆる優位 (物量および技量面での) を帳消しにしてしまう 「 1対1」 の接近戦を強いることができる。このことは、市街戦ボックスの追加といったような、『 ヘクス内ヘクス 』 の類を形成する必要性を示す。
しかし私が思うに、スターリングラードの場合で最も重要な事実というのは、ヴォルガ河の重要性よりも、むしろ市街戦の凄まじさの方である。もし第62軍が、交戦期間中ずっと数的劣勢のままだったとしたら、結局はドイツ軍部隊よりも人数の多い市民を代わりに投入していただろう。ドイツ軍が在り合わせの兵員を掻き集めて1個または2個の補充大隊を得ようとしていたのに対し、第62軍が受け取った文字通りの増援の洪水は、その全ての損害をほぼ終始一貫埋め合わせてしまっていたのである。
チュイコフ将軍が認めたように、市街の廃墟に しがみつくことを第62軍に許したのは、ヴォルガ河で構成された難攻不落の後方陣地だった。故に、注意深いソ連軍は、スターリングラードの市街戦ボックスでの戦闘を持続させることができるだろう。それでも私は、ドイツ軍に目的を達成する手段を与えるべく努力した。ヴォルガ河沿岸における戦闘の激しさを明瞭に見せてくれるような、困難かつ予測不可能なバトルが発生すればいいなと思う……。



● 司令部 と 活性化 :

活性化と様々な種類の司令部が用意されたゲーム・システムは、複雑且つ少し無駄であるように見える。しかし実際には、それらは簡単な法則に従っているので、活用は容易だと分かるようになる。しかも、このシステムはドイツ国防軍と赤軍の基本的な違いを映し出すために考案されているのだ。 枢軸軍ユニットは、ほぼ自由に行動可能で連携も容易、必要なだけ攻撃を実施することもできる。それとは逆に、赤軍の司令部組織は敵よりも硬直的で細分化されている。それが原因で、赤軍の司令部は少ない選択肢による行動を連携させることができず、次の作戦行動に取り掛かる前に、ドイツ軍に逃げられてしまう時間を残してしまうのであった。
1942年、赤軍は近代戦を学習している真っ最中であったのに対し、ドイツ国防軍はそれを遂行する術を心得ていた。尤も、1942年は赤軍にとっての転換の年だった。数人のスタフカ ( Stavka : ソ連軍の最高司令部 ) の代理人 ( ここでは ジューコフ と ヴァシレフスキー ) を戦地に送ることにより、それまでは近隣の部隊というものを考慮せずに行動していた複数の方面軍を協力させて動かすことが、やっとできるようになったのだ。
Nach Stalingrad ! の司令部ルールが狙うのは、まさに、この段階的な改善を反映することである。1942年と43年にかけて赤軍は、 まるで鋭敏さの欠片も無い大衆の群から、より鋭敏かつ有能な軍隊となり、44年と45年の輝かしい勝利の基礎を築いたのである。



● 軍集団指揮官 :

一度、その仕組みを理解してしまえば、軍集団指揮官の活用は容易となる。共にスタックしている司令部の指揮範囲内で発生する戦闘に対して、軍集団指揮官は影響を及ぼす。ソ連軍では方面軍レベル、ドイツ軍では軍集団レベルで軍集団指揮官は活動する。
キャンペーン序盤におけるその主な役割は、非常に弱体なソ連軍が有利な戦況になるよう、徐々にバランスを取り戻させることである。 その一方で軍集団司令官は、『その場で踏みとどまれ!』 と いつも口うるさい指導者 ( ヒトラー または スターリン ) に背く権限を有している。故に、後退あるいは敵の攻勢を阻止するため、さほど危険ではない戦線から兵力を撤退させることができる。 私は皆さんが自由にその決断ができるよう、これらのルールを開発した。
もちろん、この選択は代償を伴う : 大変貴重な彼ら指揮官達は、不服従を理由に パトロンによって解雇されてしまう、かもしれないのだ。おまけに、割と複雑で、多分あんまり使うことの無い2つの特別ルールの修得をあなたに強いる。そんなわけで、これらは選択ルールとせざるを得なかった。
最後に、唯一人のドイツ軍軍集団指揮官 ( フォン ・ マンシュタイン元帥 ) は、1942年11月のソ連軍による反攻以降でないと 登場しない。しかも、彼の活躍は、次号 ( VV 55号 ) に掲載される後半戦シナリオに期待しなければならない (次項を参照) 。



● 何故に、雪を話題にしているのか? :

Nach Stalingrad ! では第9ターンまで積雪の影響が無いとはいえ、このゲームのシステムは 1942年6月28日から 1943年3月末にかけての、ロシア南部における作戦全体を扱う目的で開発されている。
あいにく、誌面のスペースと時間的な都合により、1942年11月のソ連軍の反攻 ( ウラヌス作戦 ) は 次号の Vae Victis 誌に掲載するほか無かった。 冬季の特別ルールを加筆して出版するよりも、むしろ今後掲載される全てのシナリオでそのまま再利用できる完全なルールを今から皆さんに入手していただいていた方がずっと良い、と思ったのだ。
同様に、一部のユニットは次号に掲載するシナリオだけで使用するのだが、次号の付録ゲームの為にカウンター ・ シートを節約するため、今号のシートで提供している。


2ヶ月後の続編記事で、またお会いしましょう!

 




Nach Stalingrad ! シナリオ解説



◆ 第1ターンの特別ルール :

このルールは、A軍集団が7月9日まで攻勢に出なかった史実を反映している。


◆ 装甲損害ステップの抽出 :

7月末、ヒトラーが スターリングラード方面 ( “灰色アオサギ作戦” ) と コーカサス方面 ( “エーデルヴァイス作戦” ) へ同時侵攻することを決断した際、彼は赤軍が 『壊滅』 しているものと見なしていた。それ故、彼は装甲部隊の一部を北方での攻勢に使用したのである。 この決断の影響が スターリングラードを巡る戦いの経過に現れたことは、皆さん良く御存知のことと思う。その一方、ドイツ軍部隊がある程度の線を越えてしまった時点で、マニチ湖東部の防衛に自動車化1個師団を割り当てている。この側面警戒任務は、ドイツ軍ユニットから抽出された装甲損害ステップによって間接的に表現されている。


◆ 部隊名称 :

ソ連軍プレイヤーは、第9ターンから 第5軍を自由に使用できる。もちろん、これは第5戦車軍のことである。しかしながら、初代の第5戦車軍 (1942年7月に存在した) との名前の取り違えを避けるため、我々は 第5軍をそのまま残しておくという単純な方法を選んだ。
この部隊名称 ( 第5軍 ) は、1942年11月の (訳註 : 二代目の) 第5戦車軍が、2個戦車軍団と騎兵軍団に加えて 6個の狙撃兵師団を有していただけに、当然必要なのである。だから、完全な戦車ユニットにはできなかったのだ。逆に、この第5軍は、我々が各 「軍」 を2つの駒で表現するに至ったソ連軍の組織構成を象徴している。


◆ 勝利段階 :

ドイツ軍の戦略的勝利 :
コーカサスがドイツの手中にあるということ。それは枢軸軍の大勝利のみならず、主要な石油供給源の喪失という、ソ連邦にとっての大敗北をも意味する。 この段階では、トルコは枢軸軍に合流しており、ソ連軍部隊の主力は叩きのめされている、と少なくとも考えることができる。 スターリングラードの占領は如何なる戦略的要求にも合致しないが、しかしヒトラーは、彼自身の宿敵の名を持つこの都市を攻略したい、と毎度ながら絶対に執着する。 というわけで、スターリングラードは勝利条件の中で優先権を持つ。
ドイツ軍の作戦的 ・ 戦略的勝利は、ドイツ軍がソ連邦に対して戦争に敗れない、という一つの可能性を依然として垣間見せてくれる。というのも、これらの勝利においてソ連軍の機械化部隊は、大反撃に備えて忍耐強く蓄積されることなく既に消耗されてしまっている。他方で、ドイツ国防軍の潜在力は保持されているのだ。
引き分けの段階から、1942年の夏季戦役によって確実にソ連邦を敗北あるいはまさに滅亡させるはずだった独ソ戦は、ドイツ第三帝国にとって見込みの無い戦いになる、と思われる。

 


● プレイ例 :




※ 使用領域 :
西 (2012) → 東 (2412) 、北 (1916) → 南 (2416)


※ 使用ユニット :


 赤軍 :
第51軍 (2ステップ) : 2216
第62軍 (3ステップ) と 第64軍 (3ステップ) : スターリングラード市街戦ボックス内
第66軍 (2ステップ) : 2213
第21軍 (2ステップ) : 2013
スターリングラード/ドン方面軍司令部 + ロコソフスキー将軍 : 2012
南東/スターリングラード方面軍司令部 + イェレメンコ将軍 : 2414
ジューコフの司令部 : 2312

 ドイツ国防軍 :
第11軍団 (4ステップ) : 2113
第51軍団 (4ステップ) と 第8軍団 (4ステップ) : 2114
第48装甲軍団 (4ステップ) + ホト将軍 : 2116
第4装甲軍司令部 : 2015



プレイ開始時のユニット配置図


◆ 北部区域の天候フェイズ :

ソ連軍プレイヤーは “凍結” の天候表上でダイスを降り、3を出した。したがって、地表状況は “凍結” 、空模様は “曇り” となる。


◆ 補給フェイズ :

全てのユニットが補給下にある。


◆ 増援フェイズ :

ソ連軍は狙撃兵4ポイントと機械化2ポイントの補充を受け取る。
彼は狙撃兵補充2ポイントを使用して 第66軍 を4ステップまで到達させ、さらに機械化補充2ポイントを このユニットに加えた。第66軍 の狙撃兵駒を機械化駒 ( 待機予備ボックス内から ) に置き換える。残りの狙撃兵補充2ポイントを ヘクス 2414 からマップ上に送り出し、2ステップの損害マーカーでこれを明示した上で ヘクス 2314 に置く。 ソ連軍は ヘクス 2111 に置く補給ユニット1個と、追加の空軍ユニット3個も受け取った。

枢軸軍は、増援も補充も全く受け取らない。


◆ 航空フェイズ :

ルフトヴァッフェ ( ドイツ空軍 ) は 11ユニットあるものの、天候が “曇り” なので、5ユニットだけを使用できる。彼らの配分は次の通り。 :
戦闘機として2ユニット、航空補給に1ユニット、爆撃機として残りの2ユニット。

ソ連空軍は6ユニットで開始し、そこから3ユニットだけが自由に使える分として残る。ソ連軍は2ユニットを戦闘機として配置し、爆撃機としては1ユニットしか残さなかった。



☆ 枢軸軍の作戦フェイズ :

第4装甲軍の活性化。ドイツ軍の全ユニットを活性化できる。


▽ 第1移動セグメント :

第51軍団第8軍団 を統合させる。 : 第8軍団 から 第51軍団 へ2損害ステップを与える。その後、第51軍団 ( 6 ステップ ) はスターリングラードの主要都市ヘクス内に入る。故に、市街戦ボックスで移動を終えなければならない。
ホト将軍 とスタックしている 第48装甲軍団 が、第51軍 ( ヘクス 2216 ) に機動攻撃を仕掛ける。これには2移動力 ( 凍結時の平地への移動に1ポイント、機動攻撃に1ポイント ) のコストが掛かる。戦力比は 16対7 であり、つまり 2対1 になる。2つの先鋒ユニットの練度差によって、戦力比は 4対1 に引き上げられる。機動攻撃では2コラムシフトのペナルティーが生じるので、戦力比は 2対1 へと戻される。枢軸軍は空軍ユニットを1個使うことにしたので、戦力比を右方向へ1マスずらす。ソ連軍は移動セグメントの間には空軍ユニットを使用できない。最終的な戦力比は 3対1攻撃側の先鋒ユニットは装甲ユニットであり、1個の空軍ユニットがこの戦闘を支援している。 : したがって、 “電撃戦” のボーナスを枢軸軍は享受する。 用心深い彼は、起こりうる自軍側への損害を1つ減少させることを選択した。ホト将軍 は、ダイスの出目に2を加えるボーナスを提供する。枢軸軍プレイヤーはダイスを振り、3を出した。ボーナスによってダイスの出目は5に修正され、戦闘解決表の 3対1 の戦力比列では 「 1/ 」 の結果が示されている。防御側は後退とステップロスを強いられる。故に、第51軍 は 1損害ステップを失い、ヘクス 2416 へと 2ヘクス後退した。第51軍 は機動攻撃を受けたので混乱状態となり、したがって ZOC を失う。攻撃側の戦闘結果は 「 1 」 だが、“電撃戦” のボーナスによって 「 0 」 となる。
第48装甲軍団 は ヘクス 2315 へと移動を継続し、第51軍 に対する機動攻撃を再度行う。移動開始以来、第48装甲軍団 は5移動力を既に消費している。戦力比は 16対4 、すなわち 4対1 。練度差の効果と機動攻撃のペナルティーは相殺する。枢軸軍は2個目の爆撃機を使用し、最終的な戦力比は 5対1 になった。ホト将軍 は常にダイスの出目に +2を与え、しかも 第51軍 は混乱状態なので追加の +2も受け取る。ドイツ軍は改めてもう一度 “電撃戦” のボーナスを使用でき、今回は敵の損害を1増やすことにした。ダイスを振って出た目は1、ボーナスによる修正で5になる。結果は 「 0/ 」 。この結果は “電撃戦” のボーナスにより、 「 0/ 」 となる。第51軍 は、少なくとも3ステップのステップロスを強いられるが、これは部隊の壊滅を意味する ( 訳註 : 後退は2ヘクスまでしか許されないことに注意! ) 第51軍 のユニットは次のターンのマス目に置かれる。第48装甲軍団 は ヘクス 2416 に進入しなければならない。ホト将軍 の移動力ボーナスのおかげで 第48装甲軍団 には3移動力が残っており、ヘクス 2315 と 2215 経由で ヘクス 2114 へ行くことができる。と言うのも、スターリングラード市内のユニットは市街戦ボックス内にいる為、この主要都市の隣接ヘクスには ZOC を及ぼさないのである。
第8軍団 ( 2損害ステップしか持たない ) は、この時 ヘクス 2315 へ移動した。


▽ 戦闘セグメント :

この時、ドイツ軍プレイヤーは唯一の航空補給ユニットを ヘクス 2015 に置き、スターリングラード市街戦ボックス内で攻撃することを宣言した。彼は移動セグメント中に既に使用している2個の爆撃機をこの戦闘に投入した。2個の爆撃機は、再び右のマス目へと動かされる。


▽ 対応 :

ソビエト軍はこの戦闘に対応移動させることができるユニットを全く持たない ( 第66軍 は敵の ZOC 内に存在する。 ソ連軍は、この戦闘に唯一の爆撃機を投入した。


▽ 補給 :

ドイツ軍プレイヤーは2コラムシフトのペナルティーを回避するため、航空補給ユニットを消費した。


▽ 戦闘解決 :

戦力比は 13対20 で、これは 1対2 となる。第51軍団第62軍 とのあいだの練度差は、攻撃側有利の 1 ( = 3−2 ) コラムシフトを提供する。 : これで 1対1 。次に両陣営が投入した空軍ユニットを数えることによって、戦力比は 2対1 に達する。ソ連軍側は、軍集団指揮官とスタックしている2つの司令部の指揮範囲内に存在している。各指揮官はドイツ軍が振るダイスの目から1を差し引く特典を与えることが可能。指揮官は一人だけしか任命できないので、ソ連軍は イェレメンコ将軍 を選択した。ドイツ軍プレイヤーはダイスの出目への +2のボーナスを得るため、自軍の損害を1つ増やすことにした。彼はダイスを振り、6の目を出す。ボーナスの +2とペナルティーの -1を加味して、出目は 「7」 になる。戦闘結果表における市街戦の 2対1 の列では、7の出目は 「0/2」 の結果を示す。防御側は各ユニットを1ステップロスさせて、その場に踏みとどまった ( いずれにせよ、正確にはこの場合、後退できないだろう ) 。攻撃側は戦闘結果が1増えるので、第51軍団 を1ステップロスさせなければならない。


▽ 第2移動セグメント :

ホト将軍 と常にスタックしている 第48装甲軍団 は1移動力を消費して ヘクス 2113 へ移動し、そこでさらに2移動力のコストが掛かる機動攻撃を 第66軍 に対して宣言した。初期の戦力比は 16対19 、つまり 1対2 。ここで再度、練度差の効果と機動攻撃のペナルティーは相殺する。しかし枢軸軍は爆撃機を1個投入し、空軍ユニット自体は右のマス目へ移動させた。 : この時点からターン終了時まで、その空軍ユニットはもう使用できない。 戦力比は 1対1 となり、枢軸軍は “電撃戦” のボーナスを使って自軍側の損害を1減らすことにした。ホト将軍 は常に +2のボーナスを提供してくれる。ドイツ軍プレイヤーはダイスを振って2を出した。これは修正して4となり、戦闘結果は 「0/1」 。防御側は 第66軍 に1ステップロスを適用させることにする。そうすれば、 第48装甲軍団 は直ちに移動を停止させなければならなくなるし、さらに、もし 第66軍 が後退してしまうと混乱状態になってしまうのである。
このセグメントの最後に、ドイツ軍の最後の爆撃機を最も右側のマス目に置く。そのため、このゲームターン中にもう爆撃機を投入することはできない。



★ ソ連軍の作戦フェイズ :

ジューコフの司令部の恩恵によって、ソ連軍は2つの方面軍司令部を組み合わせることが可能となり、このプレイ例に登場している全ユニットを活性化することができる。


▼ 第1移動セグメント :

ソ連軍には、ヴォルガ河での輸送力が2ポイント残る [ 5 − 2 ( 凍結 ) − 1 ( スターリングラード市内にドイツ軍ユニットが存在する ) = 2 : 「ヴォルガ河制限表」 を参照 ] ので、ヘクス 2314 に存在する2損害ステップは この大河を渡ることができる。第62軍第64軍 は、それぞれ3損害ステップへ回復する。


▼ 戦闘セグメント :

ソ連軍プレイヤーは、第48装甲軍団 とスタックしている 第11軍団 に対して戦闘を宣言する。
( 訳註 : 本当は、第48装甲軍団もいっしょに攻撃対象としなければならない。ルール10.1を参照 )
彼は補給ユニットを消費した。戦力比は 28 第21軍 ( 2で割る ) = 第66軍 23 対10 、つまり 2対1 。ドイツ軍の先鋒ユニットは 第11軍団 ( 熟練度 3 ) 、ソ連側は 第21軍 ( 熟練度 2 ) である。( 訳註 : 練度差が -1なので、) 戦力比は 1対1 になる。 ロコソフスキー将軍 の存在のおかげで、ソ連軍は “人海戦術” ( ダイスの出目に +1、ただし自軍側の損害も1増加 ) を活用でき、さらにこの将軍はダイスの出目に1を加えるボーナスも提供する。ソ連軍プレイヤーはダイスを振って4を出した。修正して6となり、戦闘結果は 「1/2」 ( 訳註 : 「0/2」 が正しい)。防御側は先鋒ユニット ( 第11軍団 ) が1ステップロスを被り、1ヘクス ( 2114へ )後退した。攻撃側は2ステップロス ( 訳註 : もちろん、1ステップロスが正しい ) を適用した上で前進する。 第66軍 は再び通常の狙撃兵 (歩兵) ユニットに置き換える。


▼ 第2移動セグメント :

もはや、このセグメント中に行動できるユニットは無い。



◆ 航空消耗フェイズ :

ソ連軍プレイヤーはドイツ軍の損害を確定するためにダイスを振る。:
出目は 5。 +2 (曇り) と +2 (ソ連軍の戦闘機) の修正を加えて9となる。:
ドイツ軍は空軍ユニット1個を喪失。
ドイツ軍プレイヤーもソ連軍と同様に行う。ダイスを振って2を出した。これに天候とドイツ軍戦闘機の修正を加えて6になる。:
ソ連軍は2ユニットを喪失。

プレイ終了時のユニット配置図


◆ ターンの終了 :

 赤軍ユニット :
第62軍 (3ステップ) と 第64軍 (3ステップ) : スターリングラード市街戦ボックス
第66軍 (4ステップ) : 2113
第21軍 (1ステップ ( 訳註 : 2ステップ ) ) : 2113
スターリングラード/ドン方面軍司令部 + ロコソフスキー将軍 : 2012
南東/スターリングラード方面軍司令部 + イェレメンコ将軍 : 2414
ジューコフの司令部 : 2312

 ドイツ国防軍ユニット :
第11軍団 (3ステップ) : 2114
第51軍団 (5ステップ) と 第8軍団 (2ステップ) : 2315
( 訳註 : 第51軍団はスターリングラード市街戦ボックス内に存在、が正しい )
第48装甲軍団 + ホト将軍 : 2114
第4装甲軍司令部 : 2015

 

おわり

 

 訳者より : さらなるプレイ例が、VV56号のリプレイ記事中に用意されています。
        こちらを御覧ください

 



本記事掲載誌の Vae Victis 54号は、2003年12月に発行されました。

この非公式翻訳文は Vae Victis 編集部の許可を得て公開しています。

Translated by T.Yoshida

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