この前、乾宣子さん(HP「お医者さんの薬に関する法律講座」の著者)のメールで上田市医師会長の「処方箋発行停止したい」との発言があったことを知りました(H9.6.12)。その後、一応曲がりなりにも解決したそうです。下記のyukapy
さんのメールにもありますように「道理の通らない出来事」も時には起きるでしょうが、「医薬分業」の大きな流れを止めることは誰にも出来ません。私はそう思います。分業推進派の皆様方、決して動揺する必要はありません。薬剤師の方々は、これを機会に更に副作用の説明に磨きをおかけになり、患者さんを納得させる技量の向上に努めて頂ければと思います。尚、yukapyさんのメール(上田市の件について書かれたものではありませんが)に私の言いたいことが全部載っています。是非ご一読下さい。
(私、吉田が「yukapyさんのHP」にメールしました。これはそのご返事です。)
アンケートにご協力いただきありがとうございました。貴重なご意見、今後の参考にさせていただきます。実は、このメールは先生のHPから作成させていただきました。実は、これまでもすでに何回かおじゃましていました。(^^;
先生のHPは薬剤師には非常に有名であると思います。私もひそかに尊敬していますので。。
(^o^) 先生のHPがYahooさんに載った時から、「こんな協力的なDrがいらっしゃるなんて・・・」と、本当に感激していましたので。。。先生のお声も聞きましたし。。(^^;
先生のHPの「協力的」という言葉の意味を、その通り受け入れるだけでなく、逆に言えば我々にきちんと責任を与えているという厳しい面もきっと持たれているのでは??と勝手に想像している次第です。
昨今、我々医療界を取り巻く現状は益々厳しさを増し、一般方におかれましては不安感だけでなく、不信感を持って見られる方が少なくありません。現場もチーム医療という理想論はあるものの、医療関係者どうしの立場が交錯してしまい、道理の通らない出来事が後を絶ちません。医師をはじめ医療関係者全員が自己防衛に走ってしまえば、チーム医療などという言葉は、その瞬間に空中分解だと思うのです。先生のように協力的にお考えいただけるDrは、まだまだ少ないですよね。 先生がアンケートに書かれていらっしゃったように、Drは服薬のデメリットを患者さんに説明すればするほど、コンプライアンスが不良になるとお考えの方が殆どです。つまり「余計なことを言うな!!」です。でも、そんな時代は確実に終止符をうたれてしまっていることに気が付かれていないのか、付かない振りをされていらっしゃるのか・・・
薬剤情報提供は義務なんですよね。インフォームドコンセントは今後義務になるかもしれないんですよね。「このお薬を飲んでください。」と、患者さんに勧めた時、もし我々側の義務が遂行されておらず、そして万が一、何かトラブルがあった場合、法的に訴えられる恐れもあるんですよね。高松高裁で出たフェニトインのLyell症候群の判例(作者注、参照)はショックでした。資料が入手でき、全文購読したのですが、他人事には決して思えませんでした。 この現状を何とかするためには、「情報開示+患者さんが自分で飲むことを選択しているという自覚」以外にはないと思い、HP「お薬のお勉強会」の作成に着手しました。しかし、実際には薬剤師としての仕事と「二足履く」ということの大変さを実感しています。(作者注:稀な副作用でも、重篤なものは患者さんに説明する義務があるという判決が下され、医師側が敗訴。調剤と情報1996年7月号p83-86
、メディカル朝日1996年 12月号p60-61)
とは言え、思った以上に反響があり、ご質問や苦情などにメールをお返しするだけでも大変です。先生のHPは整然とされていて、内容も充実していますが、私のHPなど素人を代表していて、その辺りの井戸端会議を想像するような内容でお恥ずかしい限りです。こんな私のHPにリンク希望をしていただき、とても光栄です。今後ともできる限りHPの更新に努めたいと思っていますので、引き続きご指導いただければ幸いです。最後に、先生の益々のご清祥を心からお祈り申し上げます。。。
(追伸)このメール、ひょっとして「全国からのメール」に載ってしまったりします?(^^;先生、あのイルカちゃん、とてもかわいいです。。ファンです。。。(ギクゥ!こんなことを書いてしまうと、私の性格が・・・(^^;;;
松田内科医院:松田成器(奈良県奈良市、医師) |
奈良で開業している松田と申します。私は7年前に開業し、2年前に完全医薬分業にしています。先生の医薬分業に関するご意見を「メディカル朝日」で読みました。私も医薬分業には原則賛成なんですが、まだ現状では問題が少なくないと思います。以下に私の考える問題点の一つを述べてみますので、先生の御意見をお聞かせ願えればと思います。
今医薬分業を進める上で最も問題なのは、多くの薬剤師さんに臨床経験がないということです。少なくともその有無が問題にされることはありません。私が主に処方箋を出している薬局は私と月一度程度の勉強会をしていますし、薬剤師さんが優秀且つ熱心なので安心していられます。またこちらが教えられることもしばしばあります。しかし他の薬局に行かれた場合にしばしば不適切な説明、時にとんでもない説明を聞いてこられ、後でトラブルになることがあります。しかし、こちらでどの薬局に行ってくださいとは指示できません。
薬剤師さんは化学的なことには強いと思いますが、処方薬局で点数を取る以上やはり何年かの臨床の研修/教育が必要と思います(看護婦や医師と同様に)。しかし、店頭に立つに当たってこのことが考慮されているとは思えません。このこととは、何年店頭に立っているかではなく、正しくプログラムされた研修を受けたかどうかです。日本で医薬分業をもっと進めるためには、薬局の分布の問題よりも、薬剤師さんに臨床経験をもっとつけてもらうことの方が重要な気がします。薬学部に臨床研修を組み入れるため6年制にするなどの話があるそうですが、それは実現したとしてもかなり先になると思いますので、とりあえず、薬剤師会で「各処方薬局で自主的に研修をする」などを課していただければ良いと思うのですが。
往復書簡
吉田均 |
確かに仰るとおりですね。私の地区の薬剤師たちは誰も臨床経験がありません。分業する前は本当に服薬指導できるのか不安でした。でも分業してみて、先生の所の薬剤師さんと同様とても優秀で熱心であることが分かりました。臨床経験があれば勿論それに越したことはありませんが、無くてもかなりやれるものだなぁーと思っています(薬剤師の方々、とても失礼な言い方で、御免!!)。私の処方ミスもたくさん見つけてもらいましたし、かなりつっこんだ副作用説明もとても上手です。最近思うのですが、医者が臨床所見に基づいてする薬の説明と、薬剤師の「薬という物」に対してする説明は違ったものであっても良いのではないかと・・・。誤解を与えるような言い方ですが、患者の病名や病態を知らなくても「薬剤師の立場としての説明」というものがあるのではないかということです。勿論、先生のおっしゃるように臨床経験の基礎があれば、更に中身のある説明が出来ることは確かですね。
「処方薬局で自主的に研修をする」ことは大賛成です。伝え聞いたところでは、長野県の上田薬剤師会では、調剤薬局で何年かの経験を積まなければ開局できない決まりになっているそうです。うらやましいですね。
他の薬局に行かれた場合に、確かにそのようなトラブルは起きるでしょうね。ご参考になるか分かりませんが、私の場合は処方箋を応需する全薬局と勉強会をしてます。そのためか、処方枚数の少ない薬局でもトラブルは起きてません。
最後になりましたが、先生の益々のご活躍お祈りいたします。今後とも分業仲間としてご指導頂ければありがたき幸せです。
野田内科小児科医院:野田正治(愛知県瀬戸市、医師) |
愛知県瀬戸市で開業している野田です。公開されているメールは、ほとんど薬剤師の先生からの発言で、医師からのものが少ないことが不思議です。やはり、意識が低いのでしょうか?
私は 9月1日から医薬分業にしました。 1年前から当地でも薬剤師の先生達と勉強会をしていました。そこで得た知識で、部分的に院外処方箋を出し始めましたが、 1年たっても月に10件ほどにしかなりませんでした。そこで、完全分業にするぞ!と声を上げまして、周辺の薬局に声をかけ、瀬戸市ではおそらく初めての面分業を始めました。勉強会に参加していた薬剤師の先生達に、先月は激励会まで開いてもらいました。激励されて、そんなに大胆な事をしたのかと逆に心配になったほどです
。 私の周辺では分業と言ってもまだまだ門前ばかりで、開業医が面分業を決断するには、状況が整備されているとは言えませんでした。周辺の開業医の先生達と分業についての会をもちまして意見を交換した所、殆どの先生が条件さえそろえば近い将来分業するつもりだとおっしゃっていました。そして、条件がそろったら一斉に分業を始めたいと一様におっしゃっていました。しかし、条件が整備されるのを待って、分業に踏み切ろうとしても門前と異なり、我々開業医がアクションを起こさなければいつまでたっても面分業は無理だと思いました。そこで、私が起爆剤になろうと決心した次第です。走り出してから考える性格の私ですが、周りの薬局の先生方も協力的でともかく始めました。
ヒダ薬局:飛田日出夫(新潟県上越市、薬剤師) |
ご無沙汰しています。私達の新潟県薬剤師会で開いているパソコン通信アルファーネットで先生のホームページが話題になっていますので、会員のメールを1つ紹介します。
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以上のメールですがまずはご一報をいたします。
ヒダ薬局:飛田日出夫(新潟県上越市、薬剤師) |
早速連絡をしなければいけないと思いつつ、今日は休日急患診療所の調剤業務の当番で、朝から午後4:00間まで勤務しましたので少し遅れました。帰宅しまして、武藤先生に早速連絡をとりましたところ、気持ちよく承諾をいただきましたのでHPにご利用ください。
今日経験したのですが、医薬分業はやはり絶対必要な医療制度だと改めて感じました。アリメジン散が1日量8gと記載された処方箋がきました。驚いて事務の方に8gで計算しましたかと聞きましたら「そうしましたが・・。」との返事。「これは一桁多いよ。」生命には危険ではないが、そのままにしてはおけないので処方医師に疑義紹介をしました。やはり勘違いであることが解りました。まだこのような程度の薬品だからいいですが、もっと薬理作用の強い薬なら大変な問題です。私達薬剤師も、責任においては医師の先生と半々だと思っていますので、気を張りつめて調剤をしています。
医療機器メーカー:小窪直昭(北陸営業所所長) |
こんにちわ 7月中旬に突然先生の仕事場へ訪問した小窪です。先生にお会い した後いろいろ考えた結果、医療機器メーカーの立場から、石川県の医薬分業のために全力を注ぐ決心をしました。当面の目標は、医師と薬剤師の架け橋になって、1%でも分業率を高めるよう努めたいと思っています
。 手始めに、地元のある医薬品卸に対して分業推進部を創るよう提言しています。また、開業Dr.とお会いする際には、分業に対する意見をお伺いする事が多くなりました。それから事後報告になりますが、先生のホームページを活用しています。先生のご了解を得ましたので、「分業のすすめ」は当社全国の営業所に配布しました。また、私の知り合いの薬剤師、医薬品卸の管理職、開業医師の方々へもコピーして簡易製本したものを差し上げています。もちろんコピーを渡す際には分業に対する理解を深めて頂くようお願いしております。吉田先生のホームページをこれからも時々訪問して最新情報を頂戴いたしたいと思います。はなはだ勝手ですが、これからもよろしくお願い申し上げます。
エルメッド エーザイ(株):熊本八重(東京都、薬剤師) |
はじめまして。私は、エーザイの子会社として昨年春にできたばかりの製薬会社に勤める者です。その中の”企画部”に今春就職しました。現在は、とりあえず”企画部情報”というものを作成しています(編集員兼編集長です)。保健法を中心に勉強をしているのですが、今日(9月16日)、朝日新聞の記事を読んで早速、ホームページを拝見いたしました。(今度、医薬分業のメリットというものを説明しようと思っていたところです。)実は、私の実家は薬局を営んでいまして、就職(今年4月)する以前から”医薬分業”にはとても興味を持ち、そして、拡大を望んでいました。
金沢には金沢大学薬学部に4年間、大学院に2年間の6年間住んでいました。ですから、とても大好きな場所です(第二のふるさとです)。金沢に住んでいた時に思った事は、薬局があまり見受けられず、むしろドラッグストアが多いという事でした。その割には、お医者さんは多いですよね。やはり、分業率が低いということでしょうか。薬をご自分の手で出したいという医師の気持ちも、その場で薬を受け取りたいという患者さんの気持ちも分かりますが、薬の知識は薬剤師の方が多いハズですし、薬の説明の手間は薬剤師に任せれば、その分患者さんをじっくり診ることができて良いと思うんですけどね。
最近規制緩和といことでコンビニでも一部医薬品が置ける方向に進んでいて、薬局の存在が危うくなっているように思えます。となると、分業率を高めるための絶対的な薬局数の増加も難しくなっていますよね。薬局は、販売よりも調剤に専念する方向に進むのが良いんでしょうか。
先生のホームページを読んでいると、思わず「うんうん」とうなずいてしまいます。普段、両親が考えていることや、やりたいと言っている事、実際にやっていること(FAX分業など)が沢山書かれています。とても、分かりやすいと思います。このホームページによって、もっともっと多くの医師が医薬分業を考え、そして推進してくれればと心から思います。社内にも紹介したいと思います
。それでは、簡単ですがこのへんで失礼します。又、メールを送っていいでしょうか?金沢に住んでいる方とのメールの交換が単純に嬉しいんです。はい。あきれずに相手をして下さい。それでは、私は急に寒くなって風邪をひいてしまいましたが、先生も気をつけて下さい。
坂本るり子(愛知県豊橋市、子供の母親として、病院薬剤師) |
大変興味深く読ませていただきました。専業主婦から薬剤師に復活して2年に なります。(病院でパート勤務をしています。)今日は、薬剤師としてではなく、患者として意見を述べさせていただきます。小児科でいただく薬は、水薬や粉薬なので、薬剤師の私が見ても何の薬か、わかりません。情報提供の義務がある今日でも「薬の名前を教えてください。」とは言えません。院外処方にしてくだされば名前がわかるのになぁ、と思うことがしばしばです。先生のような医師が増えることを願っています。
となりのトトロ(東京都下東村山市、子供の母親として、病院薬剤師) |
初めてメールを送らせていただきます。私は東京都下東村山市(トトロのふ るさとと言ったほうがわかりますか?)の病院に勤めております薬剤師です。先生のHPは以前よりよく拝見させていただいています。先生のおっしゃることにはうなずかされることばかりです。
患者第一なんていうのはたやすいことですが それを実行するのは難しいこと ですね。出産のため職を退いて、一患者として改めて病院に目を向けると、なんて患者のことを考えていないのだろうと憤ることがしばしばあります。普通の会社でもマーケテイングといって、消費者やクライアントの意見や要望を知ろうとしますよね。医療関係者にはそれがないのです。患者さんの意見や要望をすくいとってくれる病院がどれだけあるでしょうか?いつも患者はだまって待ちつづけ、医師の言うことを文句も言わずに聞くものだと思い込んではいないでしょうか?
病院に勤めておりますと、裏の部分までいろいろ見えてきます。本来は患者さんのことを真っ先に考えねばならないところが、残念ながらそうなっていないことが多いのが現状です。私の勤める病院は医薬分業制で、外来患者さんに調剤薬局へ行っていただいています。しかし、いまだ「かかりつけ薬局」の認識度は低く、結局門前薬局のみが繁盛しています。また医療関係者ですらも[あるべき分業の姿」を理解していません。新規の患者さんには平気で門前薬局を指定しています。ただ外でもらうだけの医薬分業なんて患者さんにとって面倒なだけですよね!
保険制度の改革で薬は「もらう」から「買う」ようになったのですから、分業がなぜ行なわれるようになったのか、もっと患者さんに知らせるべきです。高いお金を払ってまで使わなければならない(そう思えない薬も沢山ありますが・・・)薬をどう生かしたらいいのか、一般的な啓蒙が全くと言っていいほどなされていないと思います。おのおのの薬局は服薬指導や薬歴作成に力をいれておられるでしょうが、患者さんの側にしてみますと、おそらくは何をやっているのかわからないのではないでしょうか。
最近になって、薬の内容は文書で渡されるようになってきましたが(ところで、その後、上田市はどうなったでしょうか?)、医師がノンコンプライアンスを恐れるが故に、本当に必要な情報は提供されていません。私自身、子を持つ母親ですから子どもにどんな薬が出て、どのような副作用の出る恐れがあるのか、たとえ出ても気にしなくても良いものと悪いものとがあるのか、知っておきたいのは当然だと思います。また食べ合わせがあるように、飲み合わせがあることをどれだけの人が知っているでしょうか・・・
小さな一薬剤師、一薬局の力ではどうにもなりません。どうして「分業」なのか人々に理解してもらうためには大きな力が必要です。そのためにも吉田先生のような医師・医療関係者の増えることを願っています。これからもますますのご発展をお祈りいたします。