全国から寄せられたご意見、ご感想(4)

ホームページを開設して7ヶ月、全国の皆様から多数の激励のメールを頂きました。誠にありがとうございます。新聞社や情報紙からの取材もありましたし、今回は執筆依頼までありました。しかもインターネット関連の特集とか・・・一年前の私は医師会主催のパソコン入門講座でマウスに初めて触れ、インストラクターに言われるまま右も左も分からず、あちこちクリックするだけでした。勿論、今でもインターネットを使いこなしているわけではありません。それでもこんな依頼が来るものなんですね。これもインターネットのなせる技でしょうか。ただ驚くばかりです・・・・。

1)原稿執筆依頼させていただきたい・・・・

東京大学:佐藤 均(東京都、副薬剤部長・助教授)

初めてメールを出させていただきます。実は現在、南山堂「薬局」という薬剤師向けの雑誌におきまして「インターネットと薬剤師」という特集号を企画しています(平成10年4月発刊)。私は現在、その企画案作成をまかされていまして、人選を進めております。先生は画期的なホームページ「医薬分業のすすめ」を運営され、多くの薬剤師とインターネットを介して全国的な規模で対話されていらっしゃいますので、この機会に是非とも原稿執筆依頼させていただきたいと存じます。

吉田先生には、「インターネットと医薬分業」(仮題)のようなタイトルで、ホームページを立ち上げる際の技術的な工夫、インターネットを利用して医薬分業を説く動機・意義・効果、これまでの反響で良かったこと・困ったこと、さらには先生のホームページの今後の抱負などについて御執筆いただけないかと考えております。他の先生方(大学、官公庁、病院、調剤薬局、製薬会社の先生方が含まれます)にも、それぞれのお立場と切り口で「インターネットと薬剤師」の関係について執筆していただきたいと考えております。1つの原稿につき、刷り上がりで6〜8ページくらいの分量(原稿用紙では400字詰めで20枚くらい+図表4〜6枚)を予定しています。特集全体としては、刷り上がりで約60ページを予定しています。原稿締切は来年1月末です。

もし執筆が可能でしたら、私に御返事頂ければ、その後に編集局から最終的な企画書及び執筆依頼書が届くことになっております。御多忙とは存じますが、どうぞ宜しくお願い申し上げます。 

ところで私は、昭和62年から平成3年まで金沢大学薬学部にて勤務しており、金沢市旭町に住んでおりました。辰口町にも行ったことがあります。確かに、石川県には病院が多い割に調剤薬局が少なく(少なくとも当時は)、その意味で先生のホームページには関心を持っておりました。新聞等で紹介されて大変とは思いますが、今後とも頑張っていただきたいと存じます(本業に支障ない範囲で)。


2)卒後の我々も一生懸命勉強をしようと・・・

佐藤賛治(静岡県伊東市、病院薬剤師)

はじめまして。私、伊東で病院薬剤師をやっている佐藤賛治というものです。先生のホームページ「医薬分業のすすめ」を興味深く拝見しました。特に、薬剤師への心配りが感じられ、痛みいりました。

確かに、入院患者さんのところに服薬指導に行くと、「このことはお医者さんには内緒だよ。」という言葉を何回か聞いたことがあります。やはり、患者さんは、医師には言いにくく、看護婦さんも忙しそうにしているので、ついつい薬剤師が来た時に、医師には話せないことを喋ってくれるようです。そんな情報をフィードバックできればと思っています。


「薬剤師は良きパートナー」というお言葉が、我々薬剤師には大変うれしいものです。我々薬剤師は、この言葉を胸に、がんばらなければならないと思います。医薬分業での、我々病院薬剤師のメリットとしては、とにかく現状の外来調剤に追われる仕事から、入院患者さんの臨床業務(服薬指導・副作用のチェック・薬効の評価など)に移行できればと思っています。確かに、先生のご指摘通りに、薬剤師は臨床の経験がありません。しかし、薬学部のカリキュラムが徐々に変わっていっていますし、卒後の我々も一生懸命勉強をしようという姿勢は忘れないようにしています。

さて、私も本当につたないながら ホームページ を開設しております。内容は、一般の方向けの「くすりのはなし」とおまけに「伊豆の観光地案内」というものです。そこで、是非、先生のホームページにリンクさせていただきたいのですが。ご検討の程、よろしくお願いいたします。



3)薬剤業者、誤変換で『やくざ異業者』と・・・・・

しらけ鳥、医師


私の知っているある病院では『どちらが得か』という議論を延々としたあげく、最近になって処方を院外薬局に出すことになりました。来てもらう薬局も交渉の末に決まったようです。バックマージンとかがあって、病院にとって最も利益になるところがやってくるのでしょうか。


最近開業した私の友人は『今時、院内薬局なんて馬鹿のすることだ。外に出せばずっと儲けがいいんだから』とうそぶいています。彼は自分の医院の近くの空き地を買ってそこにビルを建て院外薬局を入居させるという計画を立てています。家賃で儲けるんだそうです。


薬剤業者に儲けさせ、開業医たちにも儲けさせ、薬局建築の工務店もほくほくでまことにいいことだらけではあります。医療費を切りつめて行かなければ財政が崩壊してしまうと叫んでいるはしからこの景気はどうしたことでしょう?足りないはずの医療費は今や『薬剤業者』(誤変換で『やくざ異業者』となりましたが)に流れはじめ、バブル景気さえ生んでいます。病院の周りにもさぞかし金がかかったと思われるような豪勢な薬局が勢ぞろいしてきました。『金』『金』『金』『金』『金』『金』『金』『金』『金』すべてがこの論理で進んでいます。


私には厚生省がなにか深遠な理想があってこの『院外薬局化』を推進しているようにはとても思えません。今になって、彼らがご執心なのは薬剤師協会へ『天下り』するためか、薬剤師協会理事とどこかの料亭でおいしいものでも食べたからにほかなりません。彼らは大規模な改革を行ったという業績をもって次官、国会議員、大臣と出世の階梯を登っていくのでしょう。まこと、血税というものはこんなことのためにあたら流されるものではあります。


その程度の官僚のお先棒をかついで『医薬分業』賛歌を歌うことなんて私にはとうていできません。先生のご趣旨はよくわかりますが、たった一つの理想は決してほかの多くの理想を踏みにじるための大義名分にはなりません。しかも、それが金銭欲にまみれたものであればなおさらです。こんな気持ちでいる医者もいることを知っていただきたく、メールさせて頂きました。(11/28)


4)私のHPはこのような「お方々」のお先棒を担ぐ・・・・

吉田均



初めまして、HPへのアクセスとメールありがとうございます。 先生のおっしゃることは医薬分業の負の一面(かなりの面かもしれませんね・・・)を捉えていて、私も大いに賛成です。私の言う「理想」分業は残念ながらごく少数派かもしれません。門前&リベート分業が多数派なんでしょうね。きっと!


薬価差益が無くなった。それじゃどうすりゃいいんだ。分業すれば、差益以上の処方せん料が入るし、交渉次第では一枚につき100円(orもっと?)のバックマージンがもらえるということだし、こんなにうまい話はない。更に家賃での収入もあるかもしれない。薬局側から搾り取れるだけ搾り取ろう!これに喜んで乗ってくる『やくざ異業者』も多いそうだし、入札制で決めようかな?これが現実なのでしょう。とても残念ですけど・・・


そのような「お人」から見れば、私の言う分業論は「青白き」書生論なのでしょう。私のHPはこのような「お方」のお先棒を担ぐことになるのでしょうね。となればHPの存在価値はゼロ以下ですね。うーむ・・・・・・


さて、お願いがあります。先生のご意見はとても貴重で、有意義です。HPの「全国からのメール」コーナーに載せたいのです。「分業派」にとっては逆説的でもあり、とても刺激的です。勿論匿名で結構です。たとえば、「義憤の人」、「ご意見番」、「しらけ鳥」等々。是非是非是非、良きご返事を頂きたい!楽しみにお待ちしております。


5)『あたる相手が違うんじゃない』と言われても仕方ない・・・

しらけ鳥、医師

先日は、なんでも意見を聞かせて下さいという先生のご趣旨に甘えてついつい日頃感じていたことを書かせていただきました。後から考えて『ちょっと、大人げなかったかな』と後悔しています。理想を掲げて邁進している人に冷や水をかけていたんじゃ『あたる相手が違うんじゃない』 と言われても仕方ないですね。


未曾有右の経済破綻、企業倫理の荒廃、医療財政の破綻など最近の社会状況を見ていると、この国もとうとう第二の敗戦を迎えた、という思いがつのります。先の大戦でアメリカに負けた日本は『精神では勝てなかった、物量に負けた』とばかりに『精神』をなおざりにし『物質』文明にひた走ってきました。一時はアメリカを凌いで『Japan as number one』とまでうそぶいていたのはつい昨日のことです。あのころがきっと『パールハーバー』だったのでしょうか。先の大戦は物量に負けただけではありません。『哲学』においても戦う前から既に負けていたのです。そこのところを勘違いしたまま『物量崇拝』に邁進してきた戦後の経済発展が破綻を迎えています。ビッグバンともなれば進駐軍ならぬ外国資本が大挙押し寄せてくるでしょう。今こそ、日本人全員『なにが間違っていたか』を真剣に考えるべき時ではないでしょうか?


こんな時にも関わらず『哲学』抜きに ニンジンに釣られてパカパカ走っているだけの今の医薬分業では既に先は見えていると言わざるを得ません。薬剤師のレベルアップや診療活動における地位向上など一顧だにされていないではないですか。患者にとってはただ窓口が変わっただけであり、薬剤利権が医師から薬剤業者に譲渡されただけです。と言う意味で、先生のような人こそ大事な人だとは思うのですがなにぶん愚痴を言える人が近くにいないものでつまらぬ繰り言をお聞かせしてしまいました。小生の駄文がお役に立つので有れば、ご自由にお使い下さい。

6)今後とも、当ホームページに辛口のご意見・・・

吉田均


早速のメールありがとうございます。期待通りのご返事で感激しております。昨夜、「全国からのメール4」にアップしました。一緒に私の返事も付記しました。そして、先生の今回のメールも載せてしまいました。その方が説得力が出ますし、先生の本当のお人柄が分かりますし・・・事後承諾になりますが、もしだめならすぐ取り下げます。よろしくお願いいたします。今後とも、当ホームページに辛口のご意見お願いいたします。お待ちしております。


7)「しらけ鳥」さんの危惧はかなりあたっている・・・

さくらい クリニック:桜井 隆(尼崎市、医師)

なかなかするどい指摘が出てきましたね。がぜんおもしろくなってきました。分業しない、できない派はどうも少数のような気がしていましたが。私も「薬立つ話」の取材で少し言ったように「しらけ鳥」さんの危惧はかなり当たっているように思います。これに対しては薬剤師さんの反論を是非聞きたいですね。もっとも「しらけ鳥」さんのいうような薬剤師はこのホームページを見ないかもしれませんが。院内、院外、最終的には患者さんが選ぶべきでしょう。そのためには診察を受ける前にこの医院は院内処方か院外か、まるめか出来高か、その意味を含めて患者さんに理解し、納得していただく必要があるでしょう。(12/1)                  

8)やはり分業は患者が主役です。

山崎太可堂:山崎茂(石川県、薬剤師)

「しらけ鳥」医師の見解、拝見いたしました。薬剤師は山口組でもなんでもありません。「やくざ」と言われるのはいささか「カチン」ときましたが、おっしやる通り、一部の「金亡者(かねもうじゃ)」もいるのも事実かもしれません。そのような「金、金、金」と言っているお人たちは決して良い仕事はできないと思います。やはり分業は患者が主役です。患者のための分業が自分自身の自己啓発になり、あとから収入がついてくるものだと思います。以前、金沢、彦三の友人「きかん歯医者」に言われました。「夜中に患者が来るからちょっと大変やよ。」と言いましたところ「医師も薬剤師も大変やろうけど、もっと大変な人は患者さん自身や。」と言われました。日頃、「きかん」ことばかり言う歯医者ですが、心のこもった見解でした。その言葉が私には励ましとなりました。これからも患者、弱者のためにがんばるつもりです。(12/1)



9)処方公開の権利に目覚めてもらう・・・

キクヤ薬局 :林寺篤(滋賀県、薬剤師)

本年の先生の活躍は我々薬剤師にとり忘れがたきご恩のある内容で、心より感謝申し上げるものであります。我々の医師への偏見が、先生の姿勢により取り除かれ、患者に対しては医師・薬剤師はもとより看護婦・検査技師等と同次元に立つ医療人であることを確信させられました。

来年は分業が強制のごとく行政主導でなされていくでありましょうが、患者が戸惑うような分業を避けるよう努めねばと思う次第であります。ただ、保険財政の破綻のため、患者高負担の一環として分業を進められるなら、分業への偏見を持つ医師の発言と同様になりはしないかと危惧いたします。戦後30年から40年慣らされ、保険制度で温存されてきた医師のパターナリズムの医療社会で、既得権を失う辛さを医師がどこまで受け入れられましょうかなと心配いたします。

我々薬剤師は、医師から権利を奪うのではない。患者は、本来持つべき権利を、医師への遠慮という下に放棄させられてきた過去があります。「患者のための医療」を進める上でも、そして処方公開の権利に目覚めてもらうためにも、調剤業務・薬歴指導をなさねばならないと思う次第であります。但し、その業務は、医師の処方内容まで立ち入り、患者に不安を与えるものであってはならない。

最後に、私は薬科大学に進学させてくれた両親に感謝をもっております。この天職を誇りに思っております。矛盾に満ちた医療社会であるゆえに、非常にやりがいがあるとも言えます。来年もまっすぐに生きようと思います。よろしくお願い申し上げます。(12/10)