全国から寄せられたご意見、ご感想(12)


イギリスへ留学した薬学生:高熱が出てクリニックへ。診察後、ドクター「Very Good.Go Back Home.Take a Rest.」

<今日、よしだクリニックで実際にあった話>

2歳の女の子、4日間の発熱で受診:診察後「熱長いですが、カゼだけだと思います。」「じゃ薬飲まなくていいですね。」「おっしゃる通りですね。確かに、風邪は自分で治します。しかし、そこまでできるおかぁさんは珍しいですね・・・・。」「カゼはほっといても治るんじゃないかと思いまして・・・・。以前に他の医院で座薬で低体温になったこともありましたし・・・・。こちらは座薬は使わないと聞いていましたので・・・。」「そうですか。それは賢い方ですね。」「今日は他の病気でないかだけ診てほしかったんです。」「じゃ、熱が下がらなければ2日後に又おいで。肺炎など合併症をチェックしますので・・・。」

私も含め、日本の小児科医は病気に介入しすぎているのではないか。self-limitedな病気は合併症が起きない限り特別治療しなくても良いのではないか。小児科医は、単なるカゼなのか、あるいはそうでないのか、病気の診断することがその役目ではないか。今日の患者さんを診てつくづくそう思いました。(99/3/16)


調剤薬局の利益は薬剤師の犠牲によって生みだされているとのメールが届きました。みなさん、どのように思われますか?


1)医療従事者の報酬を考える。

管理薬剤師(勤務薬剤師を守る会)

初めてお便りします。私は個人開業医のいわゆる門前薬局の責任者をしている薬剤師です。 いきなりですが今一番不思議に思うこと少し記述させていただきます。

それは、医療従事者(特に医師、薬剤師)の報酬額です。1人の医師または薬剤師の仕事に対する報酬額は、述べるまでもなく医療保険の定めるところの報酬額によって決定されます。 

たとえば薬剤師を例にとって、具体的な金額を持って説明しますと規定により1人の薬剤師につき処方箋1日40枚となっています。調剤技術料の平均が1枚1500円ですので40X1500=60000円/日、半日診療、祝日を勘案すると月22日計算で6万X22=132万/月になります。この数字はあくまでも経費0円、いわゆる商店での粗利額で、ここから経費(光熱費・消耗品費・家賃・人件費等)を差し引くと、多くても60万〜80万程度だと思います。(退職金・手当等も含めた月平均値)この数字をどう解釈するかですが、多いと思われる方もいれば、少なすぎると思われる方もいると思いますが、私個人の意見としては、薬剤師は所詮こんなものだと思いがします。

今、厚生省は、技術料等の引き下げを検討している様子です。仮に20%ダウンになると多くても48〜64万の報酬しか得られないことになります。報酬額が全てではありませんがこの報酬額では、将来的に自分自身の生活も不安ですし、また薬剤師自体の職業に魅力を感じるものが少なくなってくるのではないかと思われます。細かい数字は、長くなりますので省きました。先生の報酬額に関する意見お待ちしております。中途半端ですが、今日はこれにて失礼いたします。



返信
吉田均

薬剤師のお給料について貴重なご意見いただきました。ありがとうございます。お給料は高いにこしたことはありませんね。

薬剤師の経験度によって異なると思いますが・・・・・60−80万では少なすぎますか?医者と薬剤師を一律に考えられませんが・・・・医者の場合、私的病院ではこれ以上もあるでしょうが、公立病院ではもっと少ないのが一般的ではないでしょうか。地域にもよりますが・・・。大病院の総婦長でもこれくらいもらっている人は少ないと思います。調剤薬局の場合は利益率は他の業種に比べても良い方だと思っていました。お給料も高い方だと・・・。それでも、もっと高いお給料がお望みでしたらご自分で開局されるのも一つの手だと思います。

返信の返信
管理薬剤師(勤務薬剤師を守る会)

早速のご返事ありがとうございます。昨日の報酬のメールについて少し追加させていただきたいと思います。

まず、月額60〜80万の内容について補足しますと、この数字は一般にいう月額給与ではなく年収(ボーナス含む)を単に月額で割った値でもちろん諸手当も含む数字です。しかも、退職金をも割り当てた金額です(年収720〜960万)。

他企業について少しインターネットで調べますと、民間企業の細かい年収等を記述した内容に出会えませんでしたが、千葉県職員の細かい給与が記載されたページがありましたのでそれを参考にしますと、1人あたりの平均年収は740万円の様です。これに退職金を含めますとおそらく年収820万程度だと思われます。公務員は一般に民間企業よりも給与が低いと言われていますので、おそらく製薬企業の従業員の平均年収は1000万ぐらいになるかと思われます。実際私も一時製薬会社にいましたので間違いのない数字(おそらくこれ以上だと思われます。)であると想像されます。ちなみに薬剤師だけを見ますと、製薬会社>調剤薬局>ドラッグストア>病院の順の給与です(耳学問で)。
以上のことをふまえて医療保険の報酬額(人件費の面から)を考えますと、薬価を引き下げ製薬企業の給与を下げ、病院薬剤師に対する報酬額を上げれば、病院薬剤師の給与が上がり薬剤師の中での給与平均格差は縮まります。話は元に戻りますが、この数字が確かだとすれば、薬剤師の報酬額というのは公務員と同等であると結論づけられます。また、厚生省はおそらく薬剤師の調剤技術料は公務員を基準に算定していると想像できます。


さて、先生の返信に調剤薬局は高い利益がとれるのではとの記述がありましたがこれまでの内容で決して高い利益を上げているのではないということがご理解いただけたものと思います。

それともう一つ独立をすれば高い収入を得られるかということですが独立したとしてもこれぐらいの収入になります。もう少し詳しく述べますと、1人薬剤師で仮に門前薬局を開局したとすると、その相手医院がたまたま1日平均40枚の処方箋がでたものとすると月の技術料は132万円そこから事務員の人件費25万、光熱費リース代等15万、家賃20万、建物の減価償却費15万計75万で収入は57万になります。(現実はこんなものです。)これでは、経営者としての利益もでません。

ところで、こんなに利益がでないはずなのになぜ、調剤薬局チェーンは多額な利益を上げているように見えるのでしょうか。(実際にあげているところもあるのですが)それは、第一に薬剤師パートのおかげです。薬剤師のパート賃金は平均1300円程度月40枚をクリアするには平均週32時間働けばよいことになっていますので(99.2発表)週約42000円月多くても20万程度、前の計算からも経営者は全部パートでまかなえば何もしなくても月37万の収入が得られます。これが1日120枚の処方箋になれば単純に計算しても3倍の100万の収入を得ることができます。(実際には経費は枚数が3倍になったとしても2倍程度ですのでもっと利益が上がります。)

つまり、現在のチェーン薬局の繁栄は、薬剤師の給与の犠牲?があってこそ成り立っているのです。私の一番訴えたいことはここです。確かにパート薬剤師も正社員の薬剤師も薬剤師に代わりはありません。(もちろん法的にも何の問題もありません)しかし、正社員薬剤師にとっては大いに問題となるのです。もう一つ書き忘れましたが若い薬剤師の存在も一緒です。なぜか、それは生涯安定した給与の上昇と退職金の支給が行われなくなるということです。つまり、経営者側にとってはより安い賃金の薬剤師の方が利益が上がるので、正社員薬剤師(特に年輩の)はなるべく雇わないようにします。(実際管理薬剤師のみが正社員で残りはほとんどがパートという薬局が多く見うけられます。)これでは勤務薬剤師のお先は真っ暗です。

ここまでは、薬剤師の立場のみの話ということになるのですが、ところが実はこれではすまないのです。それは、院内の無資格調剤と同様のことが薬局内でも浸透しつつあるということです。パート薬剤師はそれなりの理由があって正社員とならないのですが、その多くの理由が時間的長期拘束をさけたいのが大半の理由です。子育て等で夜間の診療時間の勤務にはでられない人がパート薬剤師の道を選びます。(経営者側はそれを盾に正社員にしないようにするのですが。)



ということは、夜診の時間は1人薬剤師になってしまうことになります。そうすると先の1日120枚の例でいけば夜診の時間は40枚程度の処方箋を1人薬剤師でこなすことになります。約150分で40枚、1枚あたり服薬指導を含め約3.7分で全てをこなさなければなりません。ピーク時間がその中でも必ずありますのでひどいときには1−2分で1枚の処方箋をこなさなければなりません。そうなると物理的に薬剤師1人では限界です。

そんなとき、猫の手も借りたいということになるのですが、実際は猫の手ではなく事務の手が借りたい・・・借りる・・・違法行為。それが現実にという話はよく耳にします。このようなことを書くと、医薬分業のすすめ・・・のはずだったがという内容になってしまっては困りますので、これはあくまでも利益追求型薬局の例だということを付け加えておきます。もちろん私は、違法行為はしていません。

一番先生に伝えておきたかったのは、まじめに取り組み、薬剤師にそれなりの給与を支払ったならば決して調剤薬局はハイリターンではないということです。目立つ利益追求型薬局を基準に厚生省が技術料の引き下げを行ったならば、薬剤師の給料はさらに下がり、まじめに取り組んでいる薬剤師の気力を失わせ、違法行為も増えることが予測されることを付け加え、長くなりましたが、今日はこれにて失礼いたします。


又返信
吉田均

薬剤師のお給料についてお教えいただき、多くのことを知りました。ありがとうございました。
製薬会社のお給料は年収1000万ほどですか。銀行員なみに高サラリーですね。医療費が製薬会社に流れすぎていると主張しているドクターもいます。その主張を裏付ける(?)ようですね。

調剤専門薬局チェーンのクラフトはジャスコと、アインファーマシーズは丸紅と資本業務提携に入るそうです。その背景に門前調剤薬局を巡る経営環境の悪化(門前薬局規制、面分業への患者の移動、薬価差益の減少)があるといわれています。経営破綻したところも出ています。体力の弱い門前薬局にお勤めの薬剤師のお給料は、今後、厚生省のやり方次第ではもっと厳しくなるかもしれませんね。そういった点から個人の新規開局も今までよりは難しくなるでしょう。特に門前、マンツーマンタイプの分業を目指した場合はおっしゃる通り「経営者としての利益もでません」になるかもしれませんね。

そこで、質問ですが、ご呈示の新規開局の試算についてもう少し詳しく教えてください。

処方箋一枚に付き1500円の利益として計算されていますが、調剤基本料は何点で計算されているのでしょうか?基準調剤加算は含まれているのでしょうか?これ如何によってかなり点数が変わってきますので・・・・・

私は前回のメールでは面分業での新規開局を想定していました。当HPの性質上・・・・。そしていわゆるパパ・ママ薬局で、ある程度の開局資金を準備されているという条件のもとでと勝手に決め込んでいました。そこでは事務員の採用も必要ないでしょうし、減価償却ももっと少なくなるかもしれません。その条件でハイリスクと申し上げたのは、面分業でしかもある程度の患者数を確保するにはかなりの努力が必要と考えたからです。でも、もしここを乗り切れれば収益は十分望めるはずと思ったわけですが・・・・。どこか間違っているでしょうか?現実とかなり乖離していますか?

新規開局でない場合は、さらに条件は良くなるはずです。すでに減価償却は終わっているでしょうし、家賃も払わなくて良いケースも多いと思いますので・・・。(99/3/15)




またまた返信
管理薬剤師(勤務薬剤師を守る会)

さて、吉田先生からの第一の質問ですが。新規開局の試算についてもう少し詳しく書かせていただきます。前回表示したものは、貸店舗(20坪)で経営者自身が薬剤師として働く場合を想定しております。地域差によりかなりのばらつきはありますが、店舗家賃は駐車場を含め20万程度は妥当な線だと思います。建物(正確には内装費)の費用が坪30万として約600万その他、新規開局の場合店舗敷金礼金11ヶ月(不動産手数料含む)220万、薬剤師会への入会金30〜40万、看板代100万、薬の在庫代(卸の売掛金の回収流によるが)300万、他で少なくとも1500万程度は最低必要。これは、あくまでも私の知る限りの最低開局資金です。

実際はこれ以上にかかります。(借地で建物自分で建設したり、建物ごと買い取ったりした場合。門前薬局の場合はもっとかかる場合が多く(医院のすぐ近くにそのような物件があることはまずないため、民家を丸ごと買い取って改装したり、地主の都合で建物が20坪程度にも関わらず敷地が300坪もあったりといった例もあります。) 新規開局には、いろいろ場合があるので一概には語れないのが実状です。もちろん経営者はその都度試算をはじき出し利益を計算し出店計画を立てます。 もう少し具体的な事例を出してくだされば、詳しい内容をお送りします。

第二のご質問ですが、この報酬額の例は雑誌等で発表されている数値と自分の集めた情報から推測したものです。調剤薬局のレセコンには必ずと言っていいほど報酬額平均値が計算されて帳票としてでてきますので責任者ならば必ずわかっています。もちろん先生の言われるとおりこの数値の取り方により利益額が変わってきます。ただ、報酬額も開局資金予測と同様にいろいろなパターによって変わってきますので一概に全ての薬局が平均1500円/枚にはなりませんが。

 参考までに、技術料の内訳をもう少し加えておきます。まず、1枚の処方箋で必ず取れる技術料は、基本調剤料490円(集中率や月枚数で減点あり)、薬歴管理料320円計810円(最高値)です。ここから先は内服・頓服・外用で、投与日数などそれぞれ計算方法が異なり平均値を出すことは困難です。ちなみに、老人一包化加算350円、計量混合加算(散剤を計って混ぜる)400円などの加算もあります。(この技術料を高くするため門前薬局は、不必要な用法の変更(用法の種類が多ければ多いほど技術料は多くなります。)や加算がとれるように処方の変更をお願いします。誤解のないように記述しておきますが、これらの技術料が決して高すぎると言うことではありません。(一包化加算などは内容によっては350円では安すぎると感じるときもあります。)



 問題は、1枚の処方箋で最大限の技術料を得ようとする不必要な処方の変更を依頼する姿勢なのです。先生のおっしゃるとおり今、門前薬局の経営は圧迫されてきています。そこで、薬局側はいかにこの危機を乗り切るかと言うことを必死に模索しています。 薬価差で利益の得られるときは、いかに薬価差がとれるかを考え、取れなくなればいかに技術料で稼ぐかを考えます。(当然処方権は薬局にはありませんが、なぜか門前の場合は自然と・・・)。また、話が変わりますが、そこで犠牲になっているのが薬剤師なのです。

加算料は薬剤師の手間賃を勘案したものですので、当然同じ枚数の処方箋でも、加算が増えるごとに薬剤師の労働力は増えます。しかし、給与は増えませんが・・・

長くなりますのでこの話は次回以降と言うことでお許しください。

最後に、いわゆる面分業型の経営について少しふれておきますと、現状は、大変厳しいものだと思います。理由は、門前薬局に比べ効率が非常に悪いからです。多くの医療機関の処方箋を取り扱う場合、一番の問題は薬の種類の多さです。備蓄を増やせば当然不良在庫が増えます。また、在庫を減らせば、患者さんを待たせてしまうことが多くなり、時には、服薬指導等で努力してきたことが水の泡となることもあります。

また、薬を調達するための手間がかかります。奥さんが、薬の調達のために走り回っているという話もよく聞きます。たとえ、パパママ薬局でもこの状態では人を雇わないわけにはいかないと思います。それと、ついでに付け加えれば確かにパパママ薬局の場合人件費は、薬局側から見れば人件費ゼロではありますが、1個人から見れば立派な労働者なのです。簡単に言えば、他で働けば賃金がもらえると考えると、事務員を雇っていると同じことなのです。独立して夫婦で働いても、それぞれが他で働いているときの給与の合計の方が多かったなどという話もよく聞きます。

話を元に戻しますと、門前と面どちらが利益率が高いと言えば答えは門前です。(すいませんが細かいことは再び省かせていただきます。) 確かに調剤基本料の減点はありますが、そんなものは微々たるものです。医院の方に少し協力、先に述べたようなことをお願いすればすぐに取り戻せます。 また、破棄してしまう薬の量もかなり違います。(面分業薬局では100錠買って14錠使っただけで・・・今日もおそらく2枚ほど赤字の処方箋だったなどという話をよく耳にします。)

 ところで新規開局でない場合・・・の話ですが確かに一時は設備費はいらないとは思いますが、やがて建物が老朽化した場合のことを考えそのための貯蓄をしなければなりません。また、現状すぐに面分業としてやっていける内装を持った薬局はおそらく皆無だと思います。処方箋を受け入れるために改装が必要な薬局がほとんどです。 おそらく、先生の思われている程、個人薬局(一人か二人の薬剤師)は儲かっていません。くどいようですが調剤薬局の利益は薬剤師の犠牲によって生みだされているのです。

本日も長くなりましたが、これにて失礼させていただきます。 P.S 先生のお知りになられたいことは、できる限り迅速にお答えいたしますので、質問お待ちしております。



又又又の返信
吉田均

調剤薬局経営の実状を詳しく教えていただき、とても勉強になりました。面分業では不良在庫が経営を圧迫するとのこと。以前から指摘されていることですが、門前ではこの点は効率が確かにいいでしょうね。

{面分業型の経営の現状は、大変厳しい}とのこと。確かに全国的に門前薬局型分業がほとんどといった状態ではおっしゃる通りだと思います。しかし私は近い将来大きく変化していくと見ています。患者さんの薬に対する認識が変わってきて、かかりつけ薬局の重要性が広まり、面分業が当たり前の状態になるというふうに・・・・。そこでは「かかりつけ薬局加算」といわれている基準調剤加算300円がとれます。そして、その場合は、門前薬局の処方箋が面に広がっていくということを意味しますので、そのタイプの薬局経営は困難に直面すると(実際すでに倒産したところも出ていると聞いています)。以上のことは、そこにお勤めの薬剤師には申し訳ないことですが・・・・。ところで面分業の進んでいる上田市や、東京都蒲田地区の薬局の経営状況はどうなんでしょうね。後者の薬局では2000品目の備蓄は当たり前とか・・・。そんなに備蓄しておれば経営はやはり厳しいのでしょうか。


薬価差で利益の得られるときは、いかに薬価差がとれるかを考え、取れなくなればいかに技術料で稼ぐかを考えます。(当然処方権は薬局にはありませんが、なぜか門前の場合は自然と・・・)。


{なぜか・・・自然と}とおっしゃるのは具体的にはどのように話が進むのでしょうか?その際、医院側から見返りを要求されることも考えられますが・・・そして、実際どのようなテクニックで技術料を増やすのでしょうか?「用法の変更」については分かりましたが、「加算がとれるような処方」とは具体的にはどのようなことですか?その他、裏技すべて教えてください。



その返信
管理薬剤師(勤務薬剤師を守る会)

メール返信ありがとうございます。最近は、どうも忙しく・・・ケアマネジャーの仕事で・・・私もできる限りメールを送ります。

まず最初に、面分業の加算の弊害について書かせていただきます。

面分業では確かに、技術料について優遇されている面もありますが、それがかえって面分業を妨げることになることもあります。それは、患者の負担量の増加です。面分業で加算が400円増えると3割負担の患者さんでは、同一処方にも関わらず120円の負担増になります。実際、お宅の計算が違っていると文句を言われることもしばしばあるとか。この負担増は、患者さんには実に説明しにくいことです。たいがいは、説明不足もあるかもしれませんが納得してもらえず、門前薬局に戻られてしまいます。この不景気な世の中同じ薬ならば、やすい方がと思われるのは至極当たり前ですが。

おそらく、先生には120円余分に払ってもこの薬局で薬をもらいたいというサービスをするよう努力してください。と書かれそうですが。現実は、少しでも安い方がいいと思われている患者さんも多いのが現実です。(特に不景気な今は)

次に、門前薬局の加算の上手な取り方についてふれたいと思います

まず、医院へのリベート等は、昔に比べれば皆無といった状態だと思います。あったとしても盆暮れの付け届けや、月1ぐらいのゴルフ接待や飲食ぐらいだと思います。今、医師は表にでるリベートの発覚をかなり恐れています。(おそらく経営コンサルト等がかなり注意を促していることも影響していると思います。)また、薬局側もそれに答えるだけの余力もかなりなくなっていることもありますが。ですから、何かをお願いするときも友好関係?的お願いなので、こうしてやるから何かメリットをなどということはまずありません。(利益追求型薬局は、まだ可能なようですが)

ついでに書かせていただくと、医師はお金よりも薬局側に薬剤の情報を得られるとか、気軽に薬の質問ができるいうサービスの方が有り難く思われているように感じます。実際、薬の相互作用などについてよく質問されます。薬局などに聞かず、MRや問屋の情報室などに聞けばすむことだと言われる開業医さんも多いと思いますが、病院時代の医局と薬局のような関係(チーム医療?)を持ちたいと思っている開業医さんも多いと聞きます。

話が少しずれましたので元に戻しますと、長年おつきあいいただきますと、多少は無料で(?)、信頼関係があってのことだと思いますが、要望を聞いていただけます。逆に、今では細かいことで金品を要求する医師の門前は、いくら患者さんが多くても賢者の経営者は開局しようとしません。(なぜ開局する前にそんなことがわかると疑問でしょうが、壁に耳あり障子に目あり医師の性格等は調べればすぐにわかります。ドクターご用心!) 薬局経営者同士の会話では、「ばばつかみ」だとか言っております。


続いてどうやって技術料を増やすのか?という質問ですが。2,3実例をあげて説明します。

最初に、用法の種類を増やして加算を増やす方法について(わかっていらっしゃるとは思いますが) 仮に3種類の薬剤が1日3回食後3日の処方ででていたとしますこのときの調剤料は6X3で18点です。この処方を少し変え、1日3回食後3日の薬を2種類、1日2回の薬を1種類に変更したとしますと36点になります。 

2番目に計量混合加算を増やす方法、1種類の散剤の処方の場合この加算は取れません。しかし2種類の散剤を混合する(1包にする)とこの加算が取れます。これでおわかりだと思いますが、剤型を錠剤から粉に変更するなどです。 

3番目に老人の1包化加算を取れるようにする方法。この加算が取れるには細かい規定がありますので割愛しますが、取れない処方を取れるように処方変更してもらう。

以上が代表的な例です。もちろん、誤解のないように記述しておきますが、良心のかけらのある?薬局では、患者さんを犠牲にするようなことは絶対にしません。(そこが薬剤師のテクニックです。)負担額を増やさず薬効に変化がないように考えます。

その他、薬剤情報提供加算などを利用する方法。自家製剤加算など利用する方法などがあります。

ところで、調剤加算を増やす目的でなくとも、患者さんのことを考え、このような処方の変更はもちろんあります。「医者の薬がわかる本」の木村先生のHPにはこのような記載が載っていますが、用法が多いのは薬局を儲けさせるためだと決めつけていらしゃるのはいかがかなと思います。


<吉田・注>勿論、門前薬局すべてがこのような方法で利益を捻出をしているわけではありません。限られたごく1部の薬局のことだと思いますし、またそう信じたいです。


それともう一つ、良心のかけらがある薬局は、患者さんの負担額を減らし保険者から利益を増やす方法を考えています。(結果的には、医療費の増大につながり患者さん自身の負担増につながりますが・・・矛盾)今のところはこれで済みますが、厚生省が技術料の引き下げを行ったならば、あらゆる手を尽くして(患者の犠牲を伴うようなこともあり得ると思います。)利益を上げるように薬局側は考えに考え、ドクターにお願いするでしょう。薬局も生きていくため必死なのですから。衣食足りて礼節を知る。

それともう一つ付け加えておきたいことは、前にも記述したのですが、偶然テレビで医療ミスのニュースが流れてきたので再度書かせていただきます。この事故はどうして起こったのかの解説で、看護婦さんの過酷な労働条件も一つの要因ではないか?といった意見が出されていました。このことは薬剤師にも同様に当てはまると思います。技術料の引き下げが薬剤師の労働を増やし、調剤ミスを引き起こす原因ともなりかねないということを切に訴えておきたいと思います。

いずれにしても、技術料の引き下げは一部の利益追求型薬局のために行われるようなものでその他大勢のまじめな薬局は、いらぬとばっちりを受けるようなものです。

次に、分業先進地上田地区などの話について

上田地区の状況もかなり厳しいようです。1昔前までは、薬価差益等に支えられ豪華な?薬局が建設されたり、待合室の豪華さを争いあっていた感がありましたが、(薬局の中には勤務薬剤師の海外研修があるところもあった(ある)?とか。)私の耳にする限りそのような栄華は影を潜めているようです。(私欲を肥やすことしか頭にない薬局経営者よりはよほどましですが)今は、昔の貯蓄でやっていけるとか、いけないとか。

それにしても不思議なのが大手商社や流通業者が、調剤分野に進出しようとしていることです。よほど本業に限界を感じているのでしょうか。それともよほど儲かると思っているのでしょうか。どういう試算を行っているのか一度聞いてみたいです。(きっと薬剤師の人件費を抑えて・・・などと考えているのでしょうね。)また、過去にリベート問題などがあった薬局と言うことを知らないのでしょうか。罪を憎んで薬局を恨まず。(少し意味が違いますか。)なのでしょうか、身内に国会議員もいらっしゃる方が・・・



最後に、先生のHPの趣旨に添った意見を一つ

(それでも門前薬局の方がよい)ドクターに贈る上手な門前薬局の選び方について-------

1.信頼ある薬剤師が管理薬剤師であること

薬剤師の私がいうのはなんですが、薬剤師同士の中にはかなり実力の差があります。薬剤師が不安な者のであると、ドクター側の患者の減少につながることもあります。中には、平気でドクター批判をしたり、患者さんを怒らしたり、調剤ミスが多い薬剤師もいます。できればその薬剤師の評判を調べられた方が無難です。チェーン薬局の場合は特に要注意です。うちには実績とノウハウがあるから安心といった言葉をよく使いますが、患者さんに接するのは、あくまでも薬剤師個人ですそのことをお忘れないように。詳しくは次に述べます。

2.チェーン薬局は安心は嘘(利益追求型チェーン薬局に限る。)

第一に人の入れ替わりがあります。たいていの場合、新規開局時にはその薬局の有能な薬剤師が責任者として働きますが、落ち着くとたいてい責任者が変わります。枚数が少なければ、それなりの薬剤師が責任者になってしまいます。(一般の会社の支店長と同じようなもの)人手不足の薬局などはひどいもので、1.2年の経験しかない若い薬剤師が責任者として働いていることも珍しくありません。また、良心的な薬剤師は経営者の考えに嫌気がさしてやめてしまうことも少なくありません。

第二に急に撤退などということも平気でします。利益が上がらなければドクターに迷惑がかかることを承知で撤退します。利益優先で医療は二の次と考えているからです。

第三においしい話にご用心。どこか一件でも目を付けられれば芋ずる式に・・・いらぬとっばちりを受けます。

第四に利益を追求するあまり人員を最低限にし、その結果、患者さんに迷惑がかかることもあります。人手不足は患者さんの待ち時間の増加と調剤ミスの増加につながるのです。(特にリベートをご用意させていただきます。などという提案をしてくる薬局にご用心を、彼らはリベートを捻出するため医療を犠牲にしていると言っても過言ではありません。今、患者さんのことを真剣に考えている薬局は、リベートを支払うほどの余裕はないと思います。)

以上のように利益追求型チェーン薬局は、業務拡大や私欲を肥やすことしか頭にありません。何をするにも金・金・金。医療は三の次ぐらいです。お金のことをすぐに話題にするような薬局はあまり相手にされない方が将来的に無難だと思います。

3.私的なことにあまり関わらない薬局であること。

これには二つの意味があるのですが、そのうちの一つは親戚だとか知り合いの人だからとか特別な人に頼まれたからだいう理由で、選ばれますと後悔の元になります。必ず薬局側に甘えが生じ、処方の変更・在庫の処分などいらぬ要求をされることがあります。

二つ目の意味は、薬局と親しくなりすぎないということです。薬局側と公私にわたって親密になりすぎますといらぬ噂(リベートをもらっているとか)がたつことも、また、先のことを要求される場合もあります。

最後に、ではドクターにとって理想の門前薬局をまとめますと

1.面分業も積極的受け入れる姿勢のある薬局であること。

2.責任薬剤師が有能で責任感が強いものあること。

3.ドクターの大切な患者さんのことを第一に考えてくれそうな薬局であること。

これからの時代、ご存じな様に病院も激戦です。くれぐれも目先の利益に目がくらみ大事な患者さんの数を減らさないようよくお考えください。



その又返信
吉田均
>厚生省が技術料の引き下げを行ったならば、あらゆる手を尽くして(患者の犠牲を伴うようなこともあり得ると思います。)利益を上げるように薬局側は考えに考え、ドクターにお願いするでしょう。薬局も生きていくため必死なのですから。衣食足りて礼節を知る。

門前薬局の生々しい内幕を率直に語っていただきとても勉強になりました。こんなお話をお聞きしますと、やはり「門前薬局タイプ」の分業には賛成しかねますね。すべてがそうだとは言いませんが、「癒着」しやすい体質があるということだと思います。

>それともう一つ、良心のかけらがある薬局は、患者さんの負担額を減らし保険者から利益を増やす方法を考えています。

この点は理解できませんでした。どうすればこのようなことが可能になりますか?その「方法」をもう少し詳しく教えてください。


>最後に、先生のHPの趣旨に添った意見を一つ
>ドクターに贈る上手な門前薬局の選び方について-------

私のHPの趣旨に添ったご意見ということでうれしいんですが、ちょっと誤解があるようですので・・・・

「門前薬局を選ぶ」という『事』の初っぱなにそもそも間違いがあると考えています。「選ぶ」ということはいろんな条件の提示、各種取引がなされるということにつながります。薬剤師が優秀かどうかだけで決まることは少ないのではないでしょうか。この初っぱなが間違っていると、「裏取引」などの素地を生みやすいことになります。

ドクターに贈る上手な「医薬分業」(私の場合):まず、地元薬剤師会の長に「処方箋発行しますのでお願いします。」と伝えることです。最初から面分業をアピールすることが大切です。これ以外にはお勧めできる分業形態はありません。

以上感想を述べました。今後とも役立つ情報をメールください。よろしく。(99/3/26)



その又又返信
管理薬剤師(勤務薬剤師を守る会)


早速ですが、先生からのご質問に答えさせていただきたいと思います。

>良心のかけらがある薬局は、患者さんの負担額を減らし保険者から利益を増やす方法を考えています。の件について。

 簡単に説明しますと、患者さん負担額を減らす方法は、次の1点しかありません。 薬剤負担費を減らす。(薬剤の種類を減らす)ことのみです。 もうこれでおわかりだと思いますが、薬剤負担費を減らし加算を増やすというのがその方法です。

簡単に具体的な例をあげますと、例えば2種類の薬剤を14日分投与されている患者さんの薬剤負担額は、420円です。これを、ゼロにする処方に変更して計量混合加算を取れるようにしますと、加算額は400円増えます。3割負担として120円の負担額が増えたことになります。しかし、薬剤負担費はゼロになったので差額の300円負担が減ったことになります。(実際は薬剤費を減らすことが多いのでもう少し負担が減ります。(205円ルール))一方、薬局側の利益は薬価差分の利益は減るものの加算400円が増え黒字となります。ちなみに、良心のかけら、、、と書いたのは、現在薬価差がかなり減少したとはいえ全くゼロではありません。一部の薬局は努力に努力を重ね?現金問屋との交渉に切磋琢磨?しています。つまり、薬剤費を増やせば以前と同じように薬価差益により利益が上がります。当然患者さんの負担額は増えることになり自分の利益のために患者さんに迷惑がかかることになります。このようなことはしないという意味で記述しました。

2番目に。

>ドクターに贈る上手な門前薬局の選び方について-------の箇所ですが

言葉足らずのところがあって申し訳ありません。正確には、それでも門前薬局の方がよいドクターに贈るにとりあえず現在は変更してください。とりあえずと書いたのは、門前が良いのか面がよいのか、先生のHPを読んでも正直なところ自分自身、判断が現在のところつかないからです。ある程度意見がまとまり次第、このことには後日メールさせていただきます。


ついでに、この場を借りて全国の薬剤師の方に一言だけ言わせてください。お願いします。

今も将来的にも、勤務薬剤師は薬剤師の運命を握っていると言っても過言ではありません。なぜならば、勤務薬剤師が薬剤師としてのモラルを持つならば、免許貸しなどもなくなり、薬剤師がいなければモラルの低いドッラグストアは出店できませんし閉鎖することさえあると思われます。また、きちんと薬剤師を雇用したならば、人件費がアップした分利益が減るため、薬に対して特価などというプライスはつけられなくなります。そして、管理薬剤師が法的にも認められいる権力を行使し(たとえ経営者の意に反したとしても)患者にとって良い薬局、モラルや法の厳守を目指したとしたら、薬剤師不要論なるものもわき上がってこないと思います。それがひいては、薬剤師の地位向上や待遇等の改善につながると思います。

薬剤師のみなさん、今すぐは無理かもしれませんができるところからやっていきましょう。薬剤師の仕事してますか? 自分一人のために多くの薬剤師に迷惑をかけていませんか? 法やモラルに反したことしてませんか?経営者の言いなりではないですか? 薬剤師という資格に誇りがありますか? ぜひ、もう一度よく考えてみてください。(99/3/30)


2)会社をやめました・・・・


新米薬剤師


吉田先生、お久しぶりです。 まず、報告が2点。

会社をやめました(笑)。いろいろ問題はあったのですが、やはり、最終的な問題は、薬剤師という国家資格の取り扱いがずさんだったことです。保険薬剤師の登録、変更に関する問題で、保険課から指導を受けたのです。私が直接、何かを指導された訳ではありませんでしたが、この先の事、会社の方針等を考えてやめることにしたのです。自分にはそういったルーズさは我慢できません。薬剤師の資格は、私の固有財産であり、また、その付加価値をつけてゆけるのは、私だけです。何かを得たり、成長したり、という事を考えても、今の会社の状況は、悪いお手本として今までで十分です。

そして、新しい薬局への就職を決めました。

経営者は、薬剤師ではありませんでしたが、医療関係の仕事を長くやっていらしたかたです。会社という組織についての善し悪しも、十分に踏まえた上で、薬剤師の職能を十分にいかして、患者さんの事を十分に考えることができる経営者だと、私は感じました。諸事情で、管理薬剤師をやるはめになりそうですが(…その点については管理薬剤師(勤務薬剤師を守る会)さんに、ええっ!!と非難されそうですが…私、4月でやっと二年目ですから)、苦労は覚悟の上です、今まで経験できなかった薬剤師の新しい道を、選びました。

この新しく決まった薬局でやりたいことは、レセコンの新規購入、在庫管理(いままでやってなかったとか)、調剤業務のシステム(マニュアル)化、附近薬剤師との勉強会(薬剤師会の講習とは別の、勉強したい薬剤師の自主的な会合)です。レセコンはともかく、後の3つ、どうなるかは、また、追ってお知らせします。



門前薬局への患者誘導についても考えを述べさせてください。

薬局への誘導は、法律上禁止されていますよね?しかし、この禁止事項、どうなんでしょう?薬局で、医者を紹介してくれ、と言われることがあります。そうすると、知っている医師や、自分がかかって良かった医院、評判のいい医師がいる病院(これは患者のなかで、ということですが)などを、教えてあげることがあります。こういった情報の提供の仕方は、医師が禁止されている誘導と、どこが違うのでしょうか?(例えば、該当の医院の門前にある薬局ならば、その医院を紹介するでしょう。)医師側の方で、そう言う質問を受けることは、多々あると思います。私の知ってる専門医の方では、門前薬局がありますよ?とか、ひどいときには、このお薬は、門前なら必ず置いてありますから、と、暗に門前へ誘導することもあるとか。(もちろん、自分の好きな薬局に持っていっていいのですよ、と、一番初めに説明することが原則ですが、どこにあるの?とか、知っているところを紹介してくれ、という患者さんもいるようで、このような回答が生まれたようです。)

根本的なことを考えれば、「誘導」は、医師側の門前薬局以外の薬局に関する情報の不足が、原因になるわけですよね?医師と薬剤師、共に同じ地域で共生していく為には、医師側へもっと薬局としての情報を提供すべきなのでは?もっと医師と薬剤師が近くなって医療をしやすい環境を作れないのか?そう考えます。

そして、やはり、患者さん側の意識の向上を促すこと。誘導を希望する患者さんがいるあいだは、形だけの分業であって、地域に根ざして、しっかり患者個人をトレースできる形の真の分業とは言えないと思います。…とはいえ、あまりにも、マクロ的な話で、方法論も浮かんではこないのですが(笑)。

久々にメールで、ちょっと考えがまとまらないので、今日はこの辺にします。失礼しました。(99/3/29)