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●No.0031 不自然だからこそ人間
ヒトとして生まれたからには、動物としてではなく、人間として認められるような生きかたをして、死んでいきたいものですが、どうしたら人間になれるのでしょう。
自分は動物ではないというその誇りが、人間としての行動と生き方を生み、人間になれるかどうかの鍵を握っているような気がします。
動物の一種類であるヒトでありながら、動物ではないという誇りを持つ人間、そこに人間の不自然さと矛盾が常につきまとっています。
しかし、これまで述べてきたように、人間は、あくまでも不自然な存在です。
縦長で、二足歩行をしていること自体、不自然です。
人間の生涯は、自然を離れ、自然と戦い、不自然な存在となっていく道程そのものかもしれません。
近ごろ、自然にリラックスして生きるのが流行ですが、要するに楽して生きようということのようです。
「自然に帰れ」というのは、窮屈に生きてきた人間に対して、救いを与える意味で使われた言葉でした。
ただでさえ放縦で、我儘で、我慢することを知らない人間が多い時代に、「自然に生きろ」というのは、「人間になるな、動物に帰れ」と言っているようなものではないかと、不安を覚えているのは私だけでしょうか。
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