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(本稿群の総(一括文書全体)2001.05.27時点のデータ)
 容量(byte)  : 168748
 物理的な行数 : 4115
 原稿文字数  : 90098
 (注 : 制御文字を除き、半角・全角共に一文字としてカウント)

(分類私考)
 神社庁という場所柄、神道関係(者)の書物が多いのは当然。
日本目録規則による分類には、神道や有職故実などの項目が存在するが、一般図書以外では管理検索面で実用には問題がある。蔵書が増えた各所に於ても移行が始まっている。しかし、既存の神道関係図書については移行しがたい面もあり、現在は日本十進分類法(NDC)に準拠し、次の神道図書分類細目表等と併用している。

「NDCに準拠」の内容(主なもの)
00〜総記(情報科学)
10.20〜図書、書誌学(資料収集・整理・保管。目録)
30〜百科事典
40〜一般論文集、一般講演集
(50.60.70.80 逐次刊行物)
70〜ジャーナリズム、新聞
80〜叢書、全書、選集
110〜哲学各論
120〜東洋思想
130〜西洋哲学
140〜心理学
150〜倫理学、道徳
160〜 宗教

『現代神道研究集成』等にみえる、現代神道図書の分類細目表は以下の如。
170  神 道
  .1 概論
  .2 神道史・神社史・神道考古学
  .3 参考図書(書誌・辞典・便覧・目録)
  .4 論集・評論・随筆・雑記・(歌句集)
  .5 逐次刊行物(雑誌・紀要)・年間・統計
  .6 学会・団体(本庁・神社庁も)・会議
  .7 研究・指導法
  .8 叢書・全集・講座
  .9 (無記)
171  神道思想
  .1 概論
  .2 神道思想史
  .3 諸神道説
   31 両部神道
   32 伊勢神道
   33 吉田神道
   34 伯家神道
   35 吉川神道
   36 垂加神道
   37 儒家神道
   38 仏家神道
   39 復古神道
  .4 神道神学(川面・筧・今泉も)
  .5 神仏習合(本地垂迹・神仏分離・修験道も)
  .6 他宗教との交渉
172  神 祇
  .1 神概念(氏神・産土神など)
  .2 神名・神系
  .3 神階・神位
  .4 神徳・神威・神違・神託・霊験・説話・縁起
  .5 神像・神体・神札
  .6 神器・神宝
173  神 典
  .1 古事記
  .2 日本書紀
  .3 古語拾遺・先代舊事本紀・新撰姓氏録
  .4 神祇令・神祇式
  .5 風土記
  .6 古典雑書・伝疑古典・神代文字
174  神社・社殿
  .1 神社と国家・神社行政・政教問題
  .2 神社法規
  .3 社格(官国幣社・式内社・二十二社・一宮・総社 等)
  .4 神社有職故実(調度・装飾・神紋・服制・衣紋 等)
  .5 神社建築(境内地・社殿・鳥居・施設 等)
  .6 神道美術・神社文化財・宝物
  .7 神社運営(実務・財務・経済 等)
  .8 神官・神職(制度・資格・養成・研修・伝記 等)
  .9 (無記)
175  神社誌・参詣記
  .1 神宮
  .21 東京都
  .22 神奈川県
  .23 埼玉県
  .24 群馬県
  .25 千葉県
  .26 茨城県
  .27 栃木県
  .28 山梨県
  .31 北海道
  .32 宮城県
  .33 福島県
  .34 岩手県
  .35 青森県
  .36 山形県
  .37 秋田県
  .41 三重県
  .42 愛知県
  .43 静岡県
  .44 岐阜県
  .45 長野県
  .46 新潟県
  .47 福井県
  .48 石川県
  .49 富山県
  .51 京都府
  .52 大阪府
  .53 兵庫県
  .54 奈良県
  .55 滋賀県
  .56 和歌山県
  .61 鳥取県
  .62 島根県
  .63 岡山県
  .64 広島県
  .65 山口県
  .66 徳島県
  .67 香川県
  .68 愛媛県
  .69 高知県
  .71 長崎県
  .72 福岡県
  .73 大分県
  .74 佐賀県
  .75 熊本県
  .76 宮崎県
  .77 鹿児島県
  .78 沖縄県
  .8 海外神社
176  祭 祀
  .02 概論
  .1 皇室祭祀(大嘗祭・恒例祭 等)
  .2 神社祭祀(諸祭も)
  .3 民間祭祀(祈祷・卜占・当屋制・座・講・氏子・崇敬者等)
  .4 祝詞・祓詞・宣命・寿詞・神賀詞
  .5 祭式・行事作法・祭具・神饌・幣帛・奉幣 等)ママ
  .6 歌舞音楽(神楽・神事芸能・雅楽 等)
  .7 行法(鎮魂・禊祓・斎戒)
  .8 禁忌・触穢・服忌
  .9 葬祭・祖霊信仰
177  教 化
  .1 概論
  .2 教化史
  .3 教化法
  .4 教化活動事項
178  教派神道
  .02 概論
  .1 神道大教
  .2 大社教
  .3 大成教・神道修成派・神理教
  .4 神習教・禊教
  .5 扶桑教・実行教・御嶽教
  .6 黒住教
  .7 金光教
  .8 天理教
  .9 その他
179  外国語神道図書
  .1 英語
  .2 独語
  .3 仏語
  .4 その他
と、実用欠くべからざるに従って発展してきた様子は理解できるが、175或は176・177の02の存在などから一目瞭然のように、多少の混乱を包有し、非常に使いにくい分類に至ってしまったのは甚だ残念なことである。

 扨、神社庁の図書についてであるが、目録作成に際して気付いたことを些か記録しておきたい。
(分類候補)
 一般にはジャンルによるキーワードに従うが、調査項目によっては関連の経緯が発生する。
・各資料
 歴史資料 各社の古文書、連歌などの記録
 民俗学、神学 →川面凡児、下同様の郷土史会(母と子の民俗など)
 郷土史 →各地教育委員会、福岡県、九州大学、郷土史研究会(筑紫史談など)
 外国語 →翻訳された古事記など
 上記(その他)には一部神社或は関係機関(大学なども)からの出版物
 →神道大系など
 祭式有職故実関係
 規程・実務関係
・辞書事典類
 神道大辞典、古事類苑、廣文庫、国語英和辞書、(図書・索引)目録など
・社史、社誌、社報誌、名鑑、各神社庁〃史、庁(報)誌、神社新報(縮刷版など)
・雑誌 神道宗教、神道文化、神道古典研究など
・各種小冊子
 本庁関係 氏子のしおり、北方領土関係、各部資料など
 崇敬団体など 神青会・敬神婦人会などの刊行物
・その他著作物
 寄贈本 関係著者からのもの。(庁誌及び各崇敬団体などは除く)
  一般図書として販売されているもの。自作の随筆・詩集に至るまで幅広い

 これだけでも重複が認められると思うが、まづは各神社(関係)の出版書。大概は社史等だがこれも一冊合本形式で資料を内包しているケースが当然である。神社庁史に庁報も同様(長崎県等)。
 而、例えば「八幡宮」について調べたいと思うと、八幡宮の研究書で事足りればよいが、八幡宮の社史資料や、八幡宮連合会の雑誌もある。しかし『八幡宮の建築』を、このジャンル(八幡など)に則して分類するより、神社建築の資料として纏める事も考えられる。分類した司書ならば記憶していても、初めて書架に向う者には『古事類苑』の部分類で調べるのか、『廣文庫』の様に辞典として調べるのかは大変な効率の違いが発生する。

(大小の物理的相違)
 現今利用する用紙サイズについての議論をよく耳にする。作成時に文字数などの制限があるにしても、只今第一の問題は整理時に問題が発生することである。各本はそれぞれ立派なもので、纏められた方のご努力には敬服するものの、現場で非常に困るのが出版された本の「物理的な大きさの相違」。自由なことは良いことだが、「作ってしまえば終り」では勿体ない。書架の高さを調整するのは些末なことだが、何より今後、資料として立派に活用する為の仇になりかねない。製本・分類の手腕が大いに拘ってくるのではないかと思われるのである。
 例えば写真集などで「荘厳さ」を出すために大判にされるのは理解できるが、各地の神社庁の庁誌関係でも大小さまざまである。資料を載せる具合にも因るだろうが、当然な事に、背の低い本はページが増す。例えば事前の基礎出版がB5サイズであった場合、その版下に追加訂正するだけで続けられる所為ではないだろうか。A4サイズに変更しても、写真も大きくなるし、文字も大きくなり以前の担当者にも再び読みやすくなる。大版はページ単位の情報量は多くなるが、その中に文字が小さくびっしり、というのは読手の意欲を殺ぐ。大きな本の分、余白だけがとってあるというのも困ったものである。
 縦横の問題もある。和本などはその材質からいって、昔ながらの方法でないと保てないのである。虫干も綴糸の補修も使っていれば「あたりまえ」の事。デジタルに較べて多少手間が掛るだけである。打込みの手間よりは遙かに「簡単」な事だが、実行するとしないとでは本の寿命を大きく左右する。架ける問題(横置き)もある。
 今回は大判により、どうしても出来てしまう「小冊子でさえ縦には入らない狭い棚」に止むを得ず、本来横に置く和本を配したが、スチールケースの中では管理上の問題が未解決の侭となった。

(その他)
 新報、庁報などリアルタイムで出された版物の情報は、PCにスキャンによる外は、記事事典ともいうべき項目或は語句索引での整理が妥当。索引や補巻の存在はつくづく有難い。復刻版刊行に際しては単に原版のブラッシュアップに留まらず、「更に良いもの」を願う次第である。既刊分を作成された編集者の方々には真に敬意を顕したい。
 小冊子は昔は紐で綴れるようにパンチ穴が開けられていた(届いてから空けることも可能)が、あれも一つの良い方法だったと思う。広報としては安価で手軽だが、情報としては埋没し、遺物となり易い欠点がある。
 紙縒を撚っていた時代の方が整理がしっかりしていたというのは皮肉な話である。ペーパーメディアにはデジタルにない良さがあり、分類・管理もかつての最高の方法で接するのがベストだった。読手も管理者と共に、中古市場などが流行の斯様な時代ではあるが、本が保有する情報内容を活かすために、本に対する接し方を考えていただきたいものである。

 PCでデジタルブックを読んだり、資料を検索するのは容易いが、あくまで利点の一つ。故障やOSの管理に較べれば和本の管理など大したことではない。
・仰向(寝物語)には文庫本や和本が最適である。時々埃が落ちてくるが顔さえ洗えばよい。PD等では顔に落ちてきて痛い。本庁の典故考究は腕を鍛えるエクササイズに最適である(が、顔に大怪我をする)。
・(蛇足の蛇足)臥向ではこの問題は解消される。液晶ならノートでも読むことが出来る。水分で本を汚さない注意が必要である。和本だと「顔に書いてある」次第。PCだとマザーボードに侵入させぬよう。ベッドで俯せは珍しく、これは布団の文化であろうか?と考察。(閑話休題)

(今後の購入希望)
 民俗学大事典
 論文集(明治神宮刊行など)
 製本機(或は過去に製本したノウハウの再掘)
 乾燥或は除湿剤

(現状)
 残念ながら折角の図書、それも神職にとって現実に「参考」となるべき資料がなかなか利用されていません。それでも大方の神職は、或は神社庁職員と連携し、或は平素殆んど孤立無援で健闘しています。整理しないと大損ですね。

(利用一考)
各図書の目録類を出来るだけ一個所に纏めてあります。先づこれを利用して必要な本を探してみてください。
これまで利用されてきた主なもの。例えば
『明治大正昭和 神道書籍目録』(非売品)加藤玄智編 S28/11/3
(『神道分類総目録』佐伯有義編 S12/2/15春陽堂書店 は私個人が所有済)
の他に、
皇學館大學神道研究所から刊行されている目録資料。
大学や本庁蔵書については、上記『現代神道研究集成』別巻に神道関係書目録が、
(但しパンフレットの掲載論文一覧表は相違が大きすぎ。再版を切望)
神宮関係著書,論文目録は『神宮,明治百年史』補遺(稿:田中 卓編:復刻版が更にベター)に、
資料研究論文としては「神道資料の分類体系について」(『國學院大學博物館學紀要』)
などがあります。
他の庁の例としては「庄本光政文庫利用規程」等。

(ルールの明示)
 制約と保護は表裏一体です。規程制定の有無はここでは云々論じません。あくまで参考として。しかし、実用のためには「わかりやすいルール」の明示は不可欠だと思われます。(ということで「別稿利用の注意」参看のこと)

 色々な利用者が考えられますが、庁と来庁者の両者の歩み寄りの上に成立するルールであり、双方の環境づくりを、利用希望者の一人としてお願いし、擱筆します。
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