分業率25%を突破!(97年2月現在)

処方せん年間3億枚に迫る勢い!

私が、医薬分業の準備をしていた1993年度の処方箋受取率(下記参照)で見た分業率は、全国平均が15.8 %でした。その後4年間、データを調べることもなく、自分の分業に専念していました。私の周辺での医薬分業の進展状況は遅々としたものでしたので、全国的にも同じようなものと、思い込んでいたのです。

処方せん受取率= 処方せん枚数/ (医科診療実日数×68.8%+歯科診療実日数×11.9%)
処方せん受取率とは、病院・診療所の外来患者のうち、投薬の対象となる患者に対し、実際に保険薬局で調剤を受けた割合をもって受取率とするものです。 68.8%などの投薬率は厚生省統計情報部「社会医療診療行為別調査」を基に算出したものです。
ドクターとすればどれくらいの数の医療機関が分業しているのか知りたいところですが、部分分業の所も多いためその正確なデータはありません。

ところが過日、日本薬剤師会の佐谷圭一理事よりいただいたメールで、96年12月で分業率が25%を突破し、処方箋が年間3億万枚に達する勢いであることを知りました。その後、京都の薬剤師さんからのメールで、分業の遅れていた京都府でも処方箋の発行が急に増え始めたことを知りました。そこで、 日本薬剤師会のホームページ で処方箋受取率を調べてみたところ、本当に97年2月の全国平均が25.8%に達していたのです。1986年からの4年間で+2.3%の伸びしかなかったのに、1989 年からの4年間で+4.5%、次の1993 年からの4年間で+10.0%と飛躍的に伸びています。京都府の場合はここ4年間で1.8 %から6.1%に増えているのです。私の知らないうちに全国では着実に、そして加速度的に増えていたのですね。

19**年度 86
87
88 89 90 91 92 93 94 95 96 97年2月
全国平均処方箋受取率 9.7% 10.1 10.6 11.3 12.0 12.8 14.0 15.8 18.1 19.7 23.9
社保
25.8
社保

分業率30%以上が16都道府県に拡大!


処方箋受取率が30%を越すと分業に弾みがつくと言われていますが、ここ1年間で9都道府県から16都道府県に増えています。ちなみに、4年前は4県のみでした。そして、トップの佐賀県はついに50%を越えました。

処方箋受取率別都道府県数
/ 93年度(全保険) 96年1月(社保) 97年2月(社保)
50%以上
40-50%未満 2 4
30-40%未満 4 7 11
20-30%未満 9 13 10
10-20%未満 13 14 12
10%未満 21 11 9

矢野経済研究所(日本薬剤師会:薬局のグランドデザイン中間報告)による院外処方箋枚数予測によると、処方箋受取率が今後、2次曲線状に増え、3年後の西暦2000 年には全国平均で30%を越え、8年後の2005年には全処方のほぼ半数が院外処方となると予測しています。分業進展の変動要因として、すでに実施された薬価差の縮小や、今後予測される定額制の拡大など38の影響因子を挙げています。そして、いずれかの要因が短期間で大きな影響を及ぼすようであれば、予測値よりも急速に増加する可能性があるとしています。

石川県の分業率全国最下位に

現在のところ、医薬分業の進展度にはかなりの地域差があります。一般に、分業の進んでいるところほど進展度が大きく、遅れているところほど小さい。受取率で見ると、北陸、四国、関西が全体に低くなっています。そして、一番低い県が、4.6%のわが石川県です。4年前は受取率3.0%で下から8位、2年前は4.0 %で下から4位、昨年は4.5 %で下から2位でした。そして97年1月についにお隣の福井県にも抜かれ、最下位となりました。伸び率も
4年間で+1.6%しかなく、これも最低でした。


97年9月から実施される薬剤に関わる一部負担金の新設、その後、予想される薬価基準制度の見直しや定額制の拡大を考えれば、その先に見えてくるものは医薬分業しかないように私には思えるのですが・・・ドクターそれぞれいろんなお考えがあって当然です。しかし、「薬剤事故を未然に防ぐ」、「医療の質を向上させる」ということには異論はないはずです。患者さんの望む「情報開示」も時代の要請となっています。そして、医療費が上がれば「対価に見合った患者サービス(例:大病院の薬の待ち時間短縮)」が求められるでしょう。それでも、分業が進まないのは、厚生行政に対する不信からなのでしょうか?横並び意識のためなのでしょうか?それとも現状の医療に満足しているためなのでしょうか?あるいは逆に競争が激しすぎるため、分業による患者離れ(・・これは誤解ですが・・)を心配して、できないのでしょうか?

本当に分業が進まないとすれば、石川県民は分業のメリットを享受できず、残念なことだと思います。しかし、私には、石川県のドクターが患者さんのためになることをいつまでも放置しておくとは思えません。分業が全国で一番遅れているということは、良質な分業ができる余地がそれだけ大きいとも言えます。実際、私は分業し始めてから多くのドクターから熱心な質問を受けています。今は石川県は「分業の黎明期」にあると認識しています。そして、数年後には必ずや全国レベルにまで達すると確信してます。