岡村祐聡(おかむらまさとし)氏のプロフィール


左:岡村氏、右:吉田
水戸市にて


昭和34年7月30日生まれ。高校までは横浜で育つ。昭和60年明治薬科大学薬学部薬剤学科を卒業。研究室は薬物学で、卒業論文は漢方薬の抗アレルギー作用についての研究。卒後は(株)SRLの八王子ラボに勤務の後、千駄木調剤薬局へ入局。そこで素晴らしい薬局長(山田眞理子先生)に出会い、薬剤師の基礎を厳しく指導される。今の自分があるのは薬局長のおかげとのこと。そして同じ会社の光ケ丘調剤薬局の島田光明先生の指導により、「患者志向の窓口対応」をテーマに日本病院薬剤師会関東ブロック学術大会で数回にわたり発表。平成7年4月、茨城県最大の調剤薬局チェーンに本社調剤事業部次長として入社。東京から茨城へ引っ越す。会社では新店の立ち上げを任されるようになり、初めて作った薬局では、薬歴など主要なシステムをすべて変え、POSを導入。新人の教育、在庫管理の効率化、情報提供文書発行ソフトの開発などに貢献する。会社の仕事とは別に、地元の薬剤師たちとの交流から、つくばファーマシューティカルケア研究会を創設。薬剤師会からも公式の場で「彼らの活動は注目しています。」と言われる。平成11年4月退社、日本全国の薬 剤師のレベルアップに少しでも貢献できないかと考え、有限会社服薬ケア研究所を6月に設立。幅広く活動している。


<岡村さんの著書>

1)「薬剤師って何する人?」

ー医療の担い手としての薬剤師の役割ー

どんな仕事もそうですが、単に業務をこなして行くだけではつまらないと思います。やはり、お仕事に生き甲斐を感じてこそ、日々楽しく過ごせるものです。薬剤師というお仕事はその社会的重要性にもかかわらず、他の医療者や患者さんから十分評価されていないように思います。そういった点から生き甲斐を見失い、単にクスリを作るだけでむなしく日が過ぎていく、そんな生活を強いられている人も多いのではないでしょうか。そんな方にお薦めの小冊子です。新人の薬剤師も是非読まれてください。ワンランク上の薬剤師になれるはずです。

2)服薬ケアと窓口対応

 「対談」でも述べられていますが、薬剤師のお仕事を“調剤”のみとしてしまうと、医療に対しての関わりが非常に狭い範囲に限定されてしまいます。薬剤師としてもっと広い範囲で患者さんと関わっていこう=服薬ケアと理解しました。じゃ、実際に何をしたらいいんだという疑問に答えたのが本書です。医者の立場で読んでも大変勉強になりました。

3)POSファーストガイド

(つくばファーマシューティカルケア研究会第9回定例会報告)

POSやSOAPいったい何のこと?薬剤師にそんな小難しいことがどんな役に立つというの?とおっしゃる薬剤師の方いらっしゃいませんか?パソコンの本で「猿でもわかるなんとか・・」というのがありましたが、この小冊子は初心者向けに書かれておりとてもわかりやすい。

私はかって大学病院に勤務していた時、POSのお陰で病気の診断が出来た経験があります。心臓が悪いというふれこみで赤ちゃんが入院してきました。確かに聴診所見、心電図、胸部レントゲン写真は重症の心臓病の所見でした。これをプロブレム1としてカルテ記載しました。ところが、頭囲が少し大きかったので一応これをプロブレム2としましたが、あくまで心臓病が“主”で、頭は“従”と考えていました。ところが、プロブレム2についてSOAP形式でカルテを書こうとしたときに、所見をもっときちんととらなければとてもアセスメントまで書けないことに気づき、頭部を詳細に診察し直しました。そして、聴診器を頭に当てみて、「はっ」としました。なんと、“頭蓋内巨大動静脈ろう”の特徴的雑音が聞こえてきたのです。そして、心臓病の原因はここにあったことに気づいたのです。すなわちプロブレム1はプロブレム2から派生したものだったのです。“主”と“従”が逆だったということです。

問題点を文字化して整理するということで、思考が深まり、より正確な診断にたどり着けるということをこの時初めて経験しました。

これを薬剤師に当てはめてみると、たとえば、病気に新しい症状が加わったときにそれを聞き流すのではなく、薬歴簿にプロブレムとしてまず記載してみる。そうすれば次にアセスメントとプランが待ってます。「なぜこの症状が出たのだろう」という疑問が自然にわき上がってきます。そして、それが稀な副作用にたどり着くきっかけになるかも知れないのです。