「厚生労働省ホームページ」より抜粋<スチーブンス・ジョンソン症候群、中毒性表皮壊死症の報告><要約>
調査期間:平成9年4月1日から3年間症例数:882名(内81名死亡)被疑薬:医薬品259成分報告の多い推定原因医薬品:抗生物質製剤、解熱鎮痛消炎剤、抗てんかん剤、総合感冒剤、合成抗菌剤、痛風治療剤、消化性潰瘍用剤、催眠鎮静剤・抗不安剤、サルファ剤、眼科用剤<本文>
平成9年4月1日から平成12年3月31日の3年間に,薬事法に基づく企業からの企業報告,医療機関から直接厚生省へ報告される医薬品等安全性情報報告制度によって報告された件数は69,872件であった。それらのうち副作用がSJSあるいはTENとされた報告は約1.3%の882件であり,そのうち一般用医薬品が被疑薬に含まれている報告は約6%の54件であった。882件の転帰は,約76%の668症例は“軽快”あるいは“回復”とされた症例であり,61症例(約7%)が何らかの後遺症を来し,81症例(約9%)が医薬品が関連した死亡とされた症例であった。残り約8%の72症例については,医薬品以外の原因による死亡,あるいは転帰不明とされた症例であった。なお,これらの報告症例については重複症例があること,医薬品との因果関係が明確でない症例も含まれていることにご留意いただきたい。 被疑薬として報告があった医薬品は259成分であり,報告数の多かった医薬品10品目を下記に示す。なお,報告数順位については,各医薬品の販売量が異なること,また,使用法,使用頻度,併用医薬品,原疾患,合併症などが症例により異なるため,単純に比較するこ とはできないことにご留意いただきたい。<まとめ>
SJS,TENはその発生頻度は極めてまれではあるものの,いったん発症すると皮膚症状が軽快した後も眼や呼吸器官などに障害を残したり,多臓器障害の合併症などにより致命的な転帰をたどることがある重篤な皮膚疾患である。厚生省への副作用報告症例の調査の結果,3年間でSJS,あるいはTENの被疑薬として報告のあった医薬品はおよそ260成分にものぼり,幅広い医薬品が原因になり得ることがうかがえた。また,それらのうち報告の多かった医薬品は,汎用されている医薬品(抗生物質製剤,解熱鎮痛消炎剤等)や長期使用される医薬品(抗てんかん剤等)などであり,約7%が何らかの後遺症を来し,約9%が死亡という転帰であった。SJS,TENの発症の予知は現在において極めて困難であるとされている。これらの皮膚障害は,非常に稀とはいえ,個人や医薬品を問わず起こり得る可能性がある。薬疹に対しては,被疑薬の投与を中止することが最も重要で最良の治療法とされており,医薬品投与後に高熱を伴う発疹等を認めた時は,直ちに被疑薬の投与を中止するとともに,SJS,TENの発症を疑った場合には,皮膚科の専門医を紹介することが必要と思われる。 <報告の多い推定原因医薬品(薬効分類別)>抗生物質製剤 解熱鎮痛消炎剤 抗てんかん剤 総合感冒剤 合成抗菌剤 痛風治療剤 消化性潰瘍用剤 催眠鎮静剤・抗不安剤 サルファ剤 眼科用剤 <報告の多い推定原因医薬品(医薬品別)>カルバマゼピン ジクロフェナクナトリウム ゾニサミド アロプリノール セフジニル サリチルアミド・アセトアミノフェン・無水カフェイン・メチレンジサリチル酸プロメタジン(PL顆粒) フェニトイン(含フェニトインナトリウム) 塩酸セフカペンピボキシル フェノバルビタール セフテラムピボキシル