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 出発は関西空港からでした。今回の旅行はアフリカの旅行で一緒だったメンバーもたくさんいます。
 小林さんと、小林さんの奥さんのあいこさん、娘さんでお菓子を作る学校へ通ってる愛美ちゃん、それから以前の同僚で、最初に私の文章で小さい手つくりの冊子を作ってくださって、そのことがたくさんの本を作っていただけることにつながったのだけど、そのほかにも講演会などでもお手伝いしてくださっている大谷さん、それから北海道からこられた菊池さん、そして大阪で保母さんをされている藤尾さんが今回の旅でも一緒でした。そのほかに、高校生の藤尾さんの娘さんの淑未ちゃん、愛知の高校生、天の子と書いてたかこと読む天子ちゃん、そして東京から来られた天明さん、全部で10名の旅になりました。 
 今回は10名という割合少人数だということと、ツアーとはまた違った旅にしようという小林さんの提案があって、手つくりの旅ということになりました。飛行機の便とホテルの手配だけを旅行社にお願いして、あとは朝食から観光まで全部、自分たちでしようというわけです。そうは言っても、ボストンとトロントでは講演会に呼んでくださった方がお世話をしてくださることになっているということで、プリンスエドワード島のすごし方を大谷さんと私とが担当することになりました。
 担当してねと言われても、もちろん出かけたこともないところです。本屋さんに行って関係の本を買ってこようと思っても、プリンスエドワード島の景色の写真集やエッセイはいくつか見つかったけれど、地図や観光地などについてはなかなか調べることができませんでした。そこでインターネットで「プリンスエドワード島」や「赤毛のアン」を調べたら、たくさんのホームページを見つけることができました。そこでは地図も、赤毛のアン由来の土地へのくわしい行き方も、それからおすすめのお店も、知りたい情報もいっぱい知ることができました。
 大谷さんが、「地球の歩き方」とインターネットで見つけたページを印刷したものを見ながら行き先を決めてパンフレットをつくってくれることになったので、私は旅行に参加される方へのおみやげを作ることにしました。プリンスエドワード島は赤毛のアン以外に、キルトでも有名なところなので、10センチ×10センチくらいの小さい額に入ったキルトを作ることにしました。少しずつ用意は進んでいったのですが、大切なことがまだ残っていました。プリンスエドワード島は交通の便が悪く、夏に出ている観光バスのツアーに参加するか、国際免許をとって、レンタカーで移動するかどちらかなんだけど、ホームページはどれも、レンタカーをすすめていました。自動車の数が少なく、ラッシュなどもないし、道も割合わかりやすいからということでした。
 10人だから車は二台、2人だけが運転手だと旅先で体の具合が悪くなったりしたときに心配だからと、小林さんとあいこさんと大谷さんと私の4人が国際免許をとることにしました。本当は小林さんは「僕とあいこと大谷さんの3人がとればいいね」と言ったのだけど、でもね、私だって毎日運転してるのだから、少しは足しになるかもしれないし、もしできるなら、私、なんだって経験したいのですもの。だから小林さんに「私もとりますね」と言いました。小林さんはそのとき、どうしてかちょっと困った顔をされたので、どうしたのかなと思ったら、普段の私のおっちょこちょいを知ってる小林さんは大谷さんに「山もっちゃんも運転したそうだけど、きっと100メートルほど、見晴らしのいい、車のいないところを運転させれば満足するだろうから、一緒にとりにいってあげて」と頼んだらしいのです。もう、小林さんったら心配ばかり・・・確かにおっちょこちょいだけど、運転は毎日してるから大丈夫なのにね。
 ところで国際免許っていったいどうして取ったらいいのでしょう。免許センターに電話してわかったのだけど、大き目の自分の写真と、運転免許証とはんこと手数料を持って免許書センターに行ったら、書類を提出するだけで国際免許証はいただけるということでした。そして本当にあっけなくもらえちゃったので、「え?交通ルールとか勉強してないけどいいの?運転技術の試験はしなくていいの?」と心配になったほどでした。もっとも交通ルールや運転技術の試験があったら、私が免許証をもらえるかどうかはすごくすごく怪しいです。というわけで無事に免許証を手にすることができました。
カラー印刷されたパンフレットと、キルトの額と、そして旅行中に使えるように、大きいけれど小さくして持ち歩ける便利バッグをセットにしておみやげの袋ができあがって、それを空港でみんなに分けました。それから飛行機のチケットを旅行社の方からもらって、日本円をアメリカドルで1万円、カナダドルで4万円くらい換金していよいよ飛行機に乗り込みました。

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