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●No.0016 表現すること
あるものを見たときに、それを見る人間には能力の限界がありますから、それをどれだけ把握することが出来るかきわめて疑問です。
フランスの言語構造学者ミッシェル・フーコーは、「我々が見た事実は、我々が見たものの中には宿らない」と表現しています。
仮に正しく理解できたとしても、語る人間の表現能力に限界があります。
表現するときに、そこからまた多くの事実が零れ落ちていき、先ほどの言葉を借りれば、「我々が見たものは、我々が語るものの中には宿らない」ということになります。
仮に正しく表現できたとしても、聞く人間の理解能力に限界があり、正しく理解できないという問題があります。
先ほどの言葉を借りて言えば、「我々が語るものは人が聞くものの中に宿らない」ということです。
ある事実を認識して、それを言葉で表現して、相手に伝えるためには、こうした二重三重のハードル、問題があり、ものごとを正しく表現し、理解されることがいかに難しいかを我々は知っておく必要があります。
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