薬剤師は良きパートナー
1)地区薬剤師会全体で受け皿づくりを
- 薬剤師会全体で処方箋を応需し、各薬剤師に親切な服薬指導ができれば、分業は必ず成功します。それには薬剤師会との話し合いや勉強会が必要で、処方箋発行まで準備期間として少なくとも6ヶ月、出来れば一年ほどかけた方が良いでしょう。「患者さんのメリットを最優先にする分業」をお互いしっかりと確認し合うことが重要です。分業してみると思わぬ行き違いや不満が生ずることがありますが、この「基本理念」さえしっかりしていれば、どのような問題も容易に解決できるはずです。
2)薬の備蓄
- 処方薬リストにどの薬を入れるかは、ドクターそれぞれお考えがあると思いますが、私は次のようにしました。すでに発行されている広域病院の処方薬リストの中から、使い慣れたものを中心に低薬価のものを選択しました。更に、リストにない薬で、どうしても入れたいものを厳選の上加えました。これは薬の備蓄がしやすいようにとの配慮と、患者さんの医療費負担を考えてのことです。又、調剤ミスの危険を避けるため、同効薬でミリグラム数の違うものは、商品名の異なるものを選びました。それぞれの薬は使用頻度別に、AA,A,B,Cの4ランクに分類しました。そして、レセコンから取り出した地域別患者数を薬剤師会に示し、各薬局はどのランクまで備蓄すべきか検討してもらいました。患者さんがほとんど行かない遠方の薬局にも備蓄してもらうためです。万が一、備蓄がない場合は他の薬局から調達し、早急に自宅配送することも申し合わせました。
- 3)服薬指導
- 小児科医に内科の服薬指導が出来ないように、薬剤師に初めから上手に説明するよう求めても無理というものです。ドクターは一人前になるのに何年もかかります。病気の説明も初めから上手なわけではありません。経験が必要です。同様のことが薬剤師にも言えます。副作用の説明は難しく、奥が深い。同じようにお話しても患者さんによって受け取り方が随分違います。薬剤師にも試行錯誤の経験が必要です。私は副作用を積極的に説明するようお願いしていますが、指導がうまく行かなかった時でも「それはよい経験をしましたね。これに懲りず、今後も積極的にお願いします。」と言うようにしています。ちょっと、おこがましいですが「良きパートナーを育てる」という気持ちでいます。
4)薬剤師との連携を大切に
- 私たちの地域薬剤師会では、小児科の処方箋の経験が少ないので「子供の病気と私の薬の使い方」というテーマで何度か勉強会を開きました。また、処方箋の書き方も重要です。基本的なことですが、飲み薬は必ず「食前、食後」を指示し、処方変更の場合は「薬を追加します」、「前薬を中止します」、「前薬終了後服薬ください」などと記載します。塗り薬もどれを、どこに、どのように塗るのか指示します。面倒なようですが、カルテ用のはんこを作り、レセコンにはあらかじめ指示文を登録しておけば手間はかかりません。処方箋は希望の薬局へFAXしますので、薬剤師は服薬指導マニュアルなどにあらかじめ目を通しておくことも出来ます。さらに処方箋に書き切れないものは「説明指示書」も同時に送り、指導しやすいように配慮しています。このような「説明指示書」は、服薬指導に慣れてくれば必要が無くなると思います。尚、処方箋は判読ミスが生じないようにレセコンでプリントアウトしています。
- 5)薬剤師からの問い合わせには優しく答えましょう
- 処方箋に疑問点があった場合、薬剤師は「疑義照会」が義務づけられています。処方ミスを問い合わせもせず、そのまま調剤した場合、法的責任が問われます。薬剤師の「疑義照会」は医療事故を未然に防ぐ大切なものなのです。薬剤師は遠慮がちに尋ねてきますので、日頃から質問しやすい態度でいましょう。ミスは指摘する方もイヤなものです。私は「よく発見してくれましたね。ありがとう。」と言うようにしています。
6)薬剤師は良きパートナー
- 私は、薬剤師とはお互いを尊重し、対等の立場で接するよう心がけています。本来の業務以外のことで注文を付けることは慎んでいます。薬剤師は金品の提供はもちろんのこと、労働や便益の供与も禁じられています(療養担当規則及び薬局業務運営ガイドライン)。当然、受付の手伝いや駐車場の除雪もできません。「自分たちのメリットを優先する分業」に陥る危険性があるからです。