医薬分業Q&A(患者さんの質問)
Q1:今まで薬は医院でもらえたのになぜ薬局に行くの?
- A:「薬の安全性」のためです。薬の専門知識を持つ薬剤師さんが薬の量や飲み合わせに間違いがないか確かめた上で正確に調剤します。もうひとつは「情報開示」です。薬の名前や効能、副作用などを親切に説明します。
Q2:じゃぁ薬剤師を雇えばいいんじゃないの?
- A:それはいい質問ですが、経営的にせいぜい雇えるとしても一人です。ところが、町の薬局は法律上、一日40枚の処方箋につき一人の薬剤師を置かなければなりません。40枚以上来れば二人、80枚以上なら三人の薬剤師が必要ということです。余裕を持って調剤や薬の説明が出来ます。その上、町の薬局は、処方ミスを見逃して調剤しただけでも法的に責任が問われます。そうなれば自分の薬局の存亡にも関わります。そういった面でも慎重にならざるを得ないのです。患者さんにとっては、より安全な薬がもらえるということになります。一方、病院の場合は元々薬剤師が居ますが、この「員数規定」が町の薬局より緩いので、一般に薬剤師不足で服薬指導の余裕がない。しかも、「調剤はドクターの診療の一環である」との認識のため、薬剤師としての主体性が弱い。法的責任は町の薬局よりも小さいということでもあります。
Q3:薬剤師のいる病院でも分業しているところがあるのはなぜ?
- A:病院の薬剤師は、入院中の患者さんに薬の説明をして治療効果を上げる大切な仕事があるためです。分業してないと、外来の調剤に忙しすぎてこの薬剤師本来の仕事が出来ないのです。
Q4:分業しているところは医療費が高くなるんじゃないですか?
- A:薬剤師の技術料の分、少し割高になるのは確かです。その点ご迷惑をおかけします。しかし、私は薬の安全性の方が患者さんにとってより大切と考えています。「薬の副作用から身を守るためのコスト」というふうにご理解ください。
Q5:私は先生にもらった方が安心だし、その方が効くような気がします。
- A:薬剤師は4年間大学で薬のことを学んだ専門家です。信頼できます。ともかく一度行ってみてください。丁寧に薬のことを説明してもらえますし、どんな質問にも親切に答えてくれるはずです。他の病院の薬との飲み合わせもチェックしてもらえます。それに、当院の薬と同じ薬が出ますのでご安心ください。
Q6:日曜日や夜も薬はもらえるの?
- A:もちろんいつでももらえます。薬剤師は医者と同じで特別の理由がない限り、休日でも調剤しなければなりません。
Q7:先生も何かメリットがあるから分業するんですか?リベートとか。
- A:私の最大のメリットは、薬のことは薬局がサポートしてくれるので安心して診療に専念できるということです。職員も調剤しなくてもいい分、患者サービスが向上するはずです。薬局からのリベートは法律で禁じられており、厳しく罰せられます。私は、患者主体の医療をするために医薬分業するのですから、そのようなことは考えたことはありません。(この質問は一度だけ受けたことがありますが、このように思っている人は結構居ると思います。私は「李下に冠、瓜田に履」の気持ちで薬剤師の方々と接しています。)
- Q8:同じ内容の処方箋提出しても請求される金額が薬局によって異なることがあり、不思議です。
- A:大型門前薬局規制のための点数配分がなされおり、処方箋枚数および一医療機関からの処方箋集中度によって点数が変わります。患者さんにとってみると大型門前薬局ほど医療費が安いということになります(皮肉なことですが・・・)。
- A)調剤基本料(1)a;処方箋受付4,000回/月以下および集中度70%以下:49点
- B)調剤基本料(1)b;処方箋受付4,000回/月超および集中度70%以下 :44点
- C)調剤基本料(2)a;処方箋受付4,000回/月以下および集中度70%超 :39点
- 処方箋受付600回/月以下および集中度70%超:44点
- D)調剤基本料(2)b;処方箋受付4,000回/月超および集中度70%超 :21点
- 特定の保険医療機関からの処方箋受付回数が患者一人につき月6回以上の部分:11点
- *基準調剤加算 :20点
- 月600回以上の処方箋応需、特定の医療機関の処方箋70%以下
- 在宅患者訪問薬剤管理指導
- 以上の7条件を満たす薬局は適正な分業をしているということで点数加算できる。
- *薬剤服用歴管理指導料 :32点
- *薬剤情報提供加算 :7点
- 薬局の状況により点数が異なり、服薬指導の内容によって点数加算できる場合とできない場合があり、同じ処方箋でもご質問のようなことが起きます。厚生省の考える良い医薬分業への誘導策とは言え、患者さんにしてみれば分かりにくくなっていますね。