第2次ハリコフ戦ゲームの
ミニ ・ レビュー
Vae Victis #88
ドイツ軍による1942年の夏季攻勢の直前に起きた第2次ハリコフ戦は、確かにマンシュタイン元帥の反攻で名高い第3次戦ほどポピュラーではないものの、それでもやはり人気のあるテーマだ。 5つのゲームがこの戦いを扱う。
by Luc
OLIVIER
Kharkov
: The Soviet Spring Offensive は
1978年に SPI から Strategy & Tactics
誌の 68号付録として出版された。 5月12日〜21日までの戦いを、1ターン=1日で扱う。 ユニットは旅団(連隊)または師団規模で、1ヘクスは約7km。
ソ連軍ユニットの戦力値は表面に記載されていないので両陣営には分からないのだが、(個々のユニットの)最初の戦闘解決時に裏面に返され、やっとその戦力が明らかになる。 また、戦闘フェイズの後にドイツ軍
(のみ) の機械化移動フェイズがある等、同じ
SPI の Panzer
Gruppe Guderian の基本ルールを踏襲している。 両陣営の移動はターンの進行に応じて制限されており、ソ連軍とドイツ軍との形勢逆転もまたしかりである。
ルールは簡単で、分量は8ページ。プレイ進行はかなり速く、当時としては標準的である。
Prelude
to Disaster, The Soviet Spring Offensive of 1942
は 1991年に Clash of Arms から出版された。 このシミュレーションは 5月12日〜 6月1日までの戦闘を、ソ連軍の攻勢、そしてドイツ軍の反攻
の2つのシナリオで描写する。1ターン=2日、1ヘクスは約7.5km。ユニットは大隊〜軍団規模。
Prelude to Disaster は複雑かつ難解なルールで有名な Winter
Storm Campaign シリーズの6作目である。 冊子には標準ルールの第2版が記載されていて、さらにもう一冊には専用ルールとシナリオ、そして史実解説が添えられている。 専用ルールでは、特にパルチザンの活動や、ドイツ軍の最大限の柔軟性について扱っている。
Charków
1942 は 1998年にポーランドの DRAGON
社から出版された。このゲームは 5月11日〜31日の戦いを1ターン=1日、連隊から旅団規模のユニットでカヴァーする。1ヘクスは約2.5km。
第2次ハリコフ戦の局面の推移をシミュレートするため、2つのシナリオが用意されている。 このゲームは WB95 (Great
Battles 1939-1945) のルール・システムを使用している。
Turning
the Tables : The Axis Defeat of the Soviet Spring '42 Offensive
は 1998年に Moments in History から出版された。 5月12日〜27日の戦闘を描写し、1ターン=2日、ユニットは大隊〜軍団規模。1ヘクスは8km。
Turning the Tables は独ソ戦で起こった様々な戦いをシミュレートする
T3 シリーズの先駆けとなった。 このゲームは戦闘に彩りを添える
C3i マーカー (訳注 : 戦闘チットの意?)
や各陣営のフェイズに分割されたゲームターンを用いる。 戦闘の重要局面、あるいはこの戦い全体をシミュレートするため、3つのシナリオが用意されている。
Kharkov
1941-1943 は 2003年に日本の雑誌、Six Angles
第8号付録として出版された。 ここでは参考までに挙げておく。
ハリコフを巡る4つの戦いを同一のルールとマップを用いてシミュレートする。 シナリオの一つが 1942年の戦いを扱う。
本誌 29 ページ の写真説明
上 : 北部のソ連軍攻撃部隊に対するドイツ軍の反攻。 SPI の Kharkov。
中 : 第3および第23装甲師団の攻撃。 COA の Prelude to Disaster。
下 : 第38軍がドイツ軍装甲師団の強襲に直面して後退。 MiH の Turning the Tables。
本記事掲載誌の Vae
Victis 88号は、2009年9月に発行されました。
この記事の翻訳は Vae Victis 編集部の許可を得て公開しています。
Translated
by T.Yoshida
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