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私蒐 解説指導に際して一考、および正誤表


H12年度 神社庁祭式指導者養成講習会 質問用紙(追加分)より抜粋・再編しました。
『神社祭式同行事作法解説』神社本庁編 より
 これまでの蓄積から第六刷を使用させていただきました。相違はさほど無いと存じます。

※Pは頁数、Lは行数(マイナスは終行からの行数)

P45第六図  塩湯器が「ただの丸」となっています。明示していただきたいと思います。
 また、塩湯を省略した場合、大麻を斜に置く理由はないと思われますが如何でしょうか
 (玉串が少ない場合も)。※後述(二十三行後)「置方」と関連

P57 L2 灑ぎて祓ふ
 塩湯行事は本来「禊」であり、禊には「はらふ」の訓があることが一般的な漢和辞典にも
記されております。
 H9かH10の研修中に長谷先生に質問しましたところ、「灑ぐやな。検討します」とお返事
いただいております。(私は「清む」では如何ですかと質問しました)

 同L5 小麻と明示してありますが、研修会に於て祓っておくことは聞きますが
 具体的な作法をお示し下さい。
P57 L-6  祓主は禰宜とありますが、この後祭場にて献饌(陪膳)・献幣をご奉仕します。 
もっと下の祭員に任せるべきではないかと存じます。
同頁項目八   誰が撤するのでしょうか。白丁でしょうか。雑色でしょうか。
P60 L5  同時に著床とありますが、上臈起ち(ここでは著床)とまではいかないにせよやはり逡巡
すべきではないでしょうか。
 同頁 「向をかへる」 「向をかへる」解説について
 作法として規程にないものが解説に出てきている例(他にP69笏拍子の打ち方等)です。
指導上必要だと思われますが何故規程されないのでしょうか。女子の笏についての規程
は存在しているのに、です。円座も見受けられないものの一つです。以下、同様に解説な
どに出てきているのに、「規程にない」ため指導に困るものがありますので列挙します。
 ・姿勢 著床中の姿勢(起居及び進退に著床はある)
     叉手(直立の項はある。敬礼及び警蹕か)
     候する姿勢
 ・起居及び進退 向のかへ方(著座の項はある)
 ・敬礼及び警蹕 目礼
         心中祈念
 ・執方持方扱方 祝詞袋 唐櫃 折櫃 円座 傘 笏拍子 手水具
  順々に項目が増えてきた過程は存じておりますが「置方」も必要ではないでしょうか
  (弁備時や塩湯の例など)。(『神道祭式の基礎作法』(みそぎ文化会刊)P98(四)置き方
  の基本 の如)また、授受(三手)の指導もあるとおもいます。
 上記は既に講師の先生方によって解説していただいておりますが、規程にない分は教授
 (引責)しにくいところがあります。
第一に「神社建築」が扱われていないのは非常に疑問であります。その理由として
・本廳にはすでに一定の基準がある
 何々造りということではなく、例えば境内地模様替えの申請を提出しますと「手水舎が
 見受けられない」などのご指摘を受けることから、基準をお持ちなのは明らかです。
・第十六図(P77)にあるように神饌所を明示することが出来ています。また、神饌所が
 祭員の上位にある場合、雁行となるため、下位にある時と異なり手長が起座する相違を
 指導せねばなりません。
・解説には、地長押・枢など研修会で受講生が知らない(読めない時点で判明)部位も
 出てきます。
 他にもありますがこの三点からしても、建築を扱う必要があると思われます。
金光造爾著『祭式大成 調度編』では先以て扱われておられます。
向をかへる については正誤(後述)に記しました。
P115 L1では表記されていませんが
 深揖、(正中へ向をかへ)次いで進む起座 だったと記憶しております。
 しかし祗候の座に入って深揖直前に(回転後)跪居であることを考えると著座の状態で
 向をかへるより、深揖、(跪居、逆行の折にて正中に向き)次いで進む起座のほうが従前
 の大床にせよ適当ではないかと思いますが如何でしょうか。
P61 「此の間奏楽警蹕」 「此の間奏楽警蹕」と並記されていますが、紛らわしい表現です。
 また、P8奏楽表(成立過程は解りますが)にて「五常楽」が示してあります。しかし
 ここは宮司の起座を見計らって奏し始めねばならず、このような主管の長い曲は
 難しいとの意見も聞きます。
P63 L3  後方に余地があっても、宮司と御鑰唐櫃の間が通れない場合もあるのでは
 ないでしょうか。その場合、余地のない場合と同様か、玉串後取のように廻るのか
 どちらでしょうか。
P117 L3  では「後方を通り」のみしか記されていません。開閉扉の如き記述に
 すべきではないでしょうか。同様にP116 L-1も「起ち」としか記されていませんが、
 同一の祭場であるのですから、省くなら、いっそこの記述の方がよいと思います。
 同L-6〜5 これでは祝詞の授受に於る「相対して」との違いが表現されつくして
 いません。後取が宮司に対して真正面や斜に跪居している原因だと思います。
P64  御匙御鑰の總紐が長い場合、取る心得もあると思います。
P65 L-1  枢を解いた後、その構造によっては扉を引いておくことも示すべきだと思います。
P68 二項目  これはご説明がなければ実習中に質問させていただきます。
 また老婆心乍ら、この場合の後取の名称もです。
 同L-1  便なる場合とありますが、両方共出入可能な場合、宮司の位置或は目的の位置
 に、近い方と解釈して宜しいでしょうか。
P69  警蹕発生の音量についてご教授願います。
 故実に散見される「大音声」か、同じく「社頭などでは不要」とあるどちらを採るか
 です。
P70 L-1合奏、P74 L3「三管合奏にうつる頃」(他略)をご理解いただいてない方もおられ
るのではないでしょうか。
P72 L2  「其の地」を、「其の他」の誤植だと思われておられる方が多いようです。
 従前の規定を準用されてあるようですが、現在の流通事情からみて「其の地」は、
 そぐわない表現となっているのではないでしょうか。
P73 L-2  「大角等」の「等」には三方も入るのでしょうか。「三方等」や「雲脚台等」
 ではいけませんでしょうか。
P76 L4  三項目につき、開扉二人作法(P66〜)の如、明示していただければ幸いです。
P77 L-1  順次とは抽象的な表現。(図では神饌所が明らかに下位にあるが)雁行でも順次といえる。
P78 L-5  「一旦両足を揃へ」とあるのは「たとえ空手であっても」に対する配慮かも しれませ
んが、では神饌を乗せた三方を持っている方はというと、P113 L4を見るまでは確たる
記述がありませんので、両者共止立することを明記すべきだと思います。
同頁 L-6  「膝退の左(正中と反対)回転」というのは解らないでもありませんが祭場に
 もよると思われますので、「確定」せずにP82 L-2の括弧書のように記述しては如何
でしょうか。
P79 L8  上記に対してここでは末位の手長の作法が忘れ去られています。
 退く起座とありますが、末の手長にとっては伝供道(P78 L7では進む起座と明記して
 あります)よりも、復す本座は更に正面方向(上位)になるのですから、進む起座では
 ないかと考えられます。(P94 L7禰宜の進む起座も参看)
  仮に何らかの理由(祭場で末位の手長の前に壁がある等)で退く起座をしなければ
 ならないならば、P78 L7の記述もおかしいということになり、ここのみ云々という
 訳にはいかなくなります。
P85 L-1  ここで後取が起つと、持笏へ戻る時間(祝詞を後取に授ける時、左手で笏を支
 えていた為)の分だけ遅れた宮司(膝進の左回転をして起つ)を後取が見下すことがよく
 見受けられます。後取の配慮不足でしょうが、解説の記述通りに作法を行うと、どうし
 てもこうならざるを得ません。宮司本座での御鑰後取、献幣使祭詞奏上時の随員の授
 受、P119 L-3配膳所役も同様ですが宮司も移動するだけに特に目立つ気がします。
 献撤饌時の手長の作法やP110 L-2の祭員の作法を考慮して後取を一歩膝退後、右回転
 して起つとしては如何でしょうか。
P88 L5 二項目  服制表に出ていることですから、ここで檜扇についても記述があれば
 と思います。
P90 L5  「一旦扇を腿上の中程まで」連続動作、置扇の場合ですのでよいのですが
 関連事項として、『祭式大成男女神職作法篇』P49,P56を見ますと
 ・正扇 「凡そ二十センチ(六〜七寸)」
 ・懐扇(直前) 「腹部の正面(約十五センチ 五〜六寸の所)」とあり、即ち
 懐扇時に腹部の正面に持っていく際は、「正扇の位置までいかない」という
 解釈でよろしいでしょうか。
P91 注意の二 当県であった質問ですが、男子の場合体の大きさからどうしても笏を
 円座の外に置かざるを得ない。床に笏(或は扇)を置くのか、というものでしたが、
 如何でしょうか。
 また、膝前への置扇時に「倒したくない」心理から軾の縁に立てかけられたことも
 見ました。直ぐに指導しましたが、いろいろなことが起ります。
P92  従前になかったとはいえ、S23以降は本廳制定のはずです。
 献幣という行事自体に献幣使は実際に奉仕していませんが、禰宜を所役とみなして
 献幣所役或は後取の如、適当な呼称はつけられないものでしょうか。
 P110の祭員についても、(以下単に祭員)と、ここは他の行事と較べて表記が
 特異に思われます。従前に準じられないからでせう。
P92 L3 またP95注意の二ならびに三
 現行では献饌後に鋪設していますが、解説では献饌の項では記されず、ここに初めて舗
 設すること、更に撤することが記されています。しかし撤饌の項では(本庁幣案及び薦
 は、神饌を撤する前に陪膳がこれを撤却する)と明記され、不統一です。撤饌に書ける
 のであれば、この侭で献饌にも書いて良いはずですしその方が便利だと思われます。
 三については、(神饌案も同様P73 注意十一)案後取が外陣まで鋪設しにいくのであれ
 ば、その解説をお示しいただきたいと思います。
開扉はされるのでしょうか。 また、献饌の注意(P73)と併せて見てみると、
 十一の予め では献饌に不便で(後で献幣する禰宜を、本庁幣案後取とでも
       よべるのでしょうか)
 九、十のような注意が献幣の注意にあればよいのですがP95には見あたりません。
 (神饌案とある所を本庁幣案として)
P94 L1 随員が正笏から小揖するのに笏を判るのかその侭か判別し難い記述です。
 P123 L3典儀の小揖についても同様で、作法にて夫々を正笏をするところから実習し
 ているのですから笏を判らずとも単に記述なしという訳にはいかないと思います。
 笏を判るP66,86,88,104,115の如、明記すべきです。
同L7  (ニ)にて跪居 宮司(P65 L2斜めに神前に向かひ)に較べ、浅く(或はほぼ相対し
 て)著座する人を多く見ますが、P93第十九図(ニ)、深揖は神前に対して行っている
 こと、同様にP110 L3には「斜に」とこちらには明記されていること等から、むしろ
 P64第十三図がその後十二へ進むことを意識して描かれていると考え、表記が不統一
 であると思います。(P110 L7の跪居も同じ)
P96 L3  〔次に総代祈願詞を奏す〕
 この行事解説に(大祭式の行事として示してあるものですが)、神葬祭の弔辞・一般
(故 人の友人など)しのびの言葉も準ずべきでしょうか
同頁 L6 総代は適当な服装(198頁附録参照)を著け、祈願詞を懐中し
 とありますが、P198で示されているモーニングコートで懐中できる祈願詞
 のサイズとは如何なるものでしょうか。
P106注意の一  肝心の五人、七人の座後列拝が示されていません。幾つか考え
 られますが、例をお示しいただきたいと思います。
 また、座後列拝に対して「自座列拝」なる語句を聞きます。解説では一切「自座」
 なる語句は用いられておらず、本座に於て列拝(P107 L3)とありますが、この
 「自座」とはいつ頃、どこから出て、どのような弊害があるものでしょうか。
 (H12.9櫻井氏より。儀註最終版に見えているのが最後と思われるとご指摘)
P107 同、四 伶人の坐礼(楽坐)と、この場合の平伏の角度が決っていましたら
 お教え下さい。
P109 L-1  従前の祭式の本に「幣帛保管」の心得が出ているものがあります。
 祭員(明記されてないが神饌所に立入るところから恐らく膳部と推察)は撤饌時に
 もう一度神饌所へ入りますが、直会所が別にある場合退出することとなりますが
 撤幣後の取扱いはどのようにすべきでしょうか。
P115 L4  一拝、同頁 L-2叉手 の記述からそれぞれ著座、跪居という姿は
 「推察」できるが、P66 L7の方が解りやすい。
 同L-1 至り 祭場にも依るがP66 L7がほぼ膝退といえるのに対してここは膝進か
 膝退かが明記されておらず。配膳の大床での膝退(P75 L-6、P112 L6)と混同する人が
 多ようです。他の記述から見て膝進と記してよいのではないでしょうか。
P120 L8  加えてもよい とありますが、P71附記三(但し同九、十四を除き)に示して
 ある通り、現行の丸物神饌では難しいと思います。調理するか否かは記してありません
 のでなんとも言えませんが。
P122 L4  先づ拍手一つ とあります。『教範』青戸波江著では後手しか見えず、酒の
 飲み方の云云をいうは無粋ながら、この行事の記述全般に関しては参照の観がして
 なりません。

『神社祭式同行事作法解説』神社本庁編 正誤 

P5 L-5 献徹  →  献撤
P13 L-6 始めて  →  初めて
P59 L6 向を更へ
次頁L5  向をかへ
P65 L2 神前に向かひ
P74L6(P111 L-1も)  向を換へと、表記が不統一。
P77 第十六図中 四ノ手長  →  末位の手長(四ノ手長)
 本文の説明(P78:図の方が先に出ている)とともに補足如何
P114 第二十四図中、十と十一を入れ換え
 本文の説明(P115 L8)と合っていないため
 但し開扉(第十三図本文P65)と統一を図るならば上記本文を訂正がよい
(以下は増刷後に生じた誤植→手持の六刷と九刷にて確認)
P99 L-2 初めん  →  始めん
P103 L-4 後取の右手下  →  後取の右手上
P108 L-6 ポンボリ  →  ボンボリ

『神社本廳規程類集』 正誤(平成四年版(緑色))

P170など 正座  → 正坐
※明治四十年内務省告示(制定)では「座法」(ママ)
 昭和十七年(改正)以降、正坐
他にもありますが、提出期限との関係、さらに最新版も持ち合せておりませんので
頁数のみ記させていただきます。
38,130,172,178,187,189,204,218,336,380,
同書追補分44


以上です。