一社の故実(いっしゃのこじつ)とは、その神社の特殊な由緒、或は古儀により、明治以降継続して行はれてゐる事柄を指す。
 『神社祭式同行事作法教本』
「戦後、このやうな慣例が生じた」と云ふものではない。『祭式大成』


塩湯(えんとう)は、又は「しほゆ」ともいふ。塩は潮水に代へたもの、之を湯にするのは浄火で沸かして一層清める意なりといふ。塩湯を水器に容れ、榊の小枝で灑ぎ、大麻と同じく神籬以下のものを祓ふ。『神社有職故実』


大麻(おほぬさ)は、榊の枝に麻苧(あさを)又は麻苧と紙垂(しで)とをつけたもの。神籬(ひもろぎ)・幣帛・神饌・祭典関係員其の他一切の不浄を祓清めるに使用する。之を左右左と振つて不浄を祓清める。『神社有職故実』


献幣使(けんぺいし)とは、「本庁幣供進に関する規程」(昭和33年6月11日、規程第五号)に基づいて、全国神社に本庁幣を供進する為に使わされる者である。
神社本庁より、当該神社の例祭、鎮座祭、本殿遷座祭及び式年祭に、神徳を顕揚し、斯道の興隆を祈願し、奉賛の誠を捧げる趣旨で、本庁幣を捧持して参向する使をいふ。『神社祭式同行事作法教本』


修祓(しゅばつ)とは、祓を行ふこと。修祓には多く大麻(おほぬさ)、小麻(こぬさ)、切麻(きりぬさ)、塩湯(えんとう)などを用い、その形式方法も多種であるが、今日普通に用いられるのは、大麻・塩湯である。『神社有職故実』


正中(せいちう)とは、神座の正面正道を指し、祭場中最も尊い所で、古来「神」の渡らせられる道として、人間は、みだりに正中を歩まないことになってゐる。正中は祭場の中央にあるのを通例とするが、神座が左、又は右に偏することに依り、祭場中央に当らない場合もある。『神社祭式同行事作法教本』


幣帛(へいはく)は、又「みてぐら」ともいふ。幣帛の種類は多種多様であつて、古来の例に徴すると、布帛、衣服、紙、玉、兵器、貨幣、農耕具、紡績具、楽器、鳥獣、幣串、散銭の類であつた。然し現在では、以上の内、主として布帛の類を以て幣帛とする。幣帛は現品を以てするのが本体で、之を奉る場合は、紙で包んで柳筥(やないばこ)に納め、柳筥を更に白布で包み、麻苧を以て横で上下二カ所を結切(むすびきり)に括る。神前にはそのまま縦に奉奠する。『神社有職故実』


神籬(ひもろぎ)とは、臨時祭における神霊憑依の鋪設であつて、先づ庭上又は床上に新薦を敷き神籬案を設ける。(案下に浜床・厚畳を敷くこともある)案上には神籬台(板の四隅に柱を立て上部四方を貫(ぬき)でつなぎ、それに添うて四方に注連縄を廻らす。板の真中に柱を立てる)を安き、台の中央の柱に榊枝(八垂の紙垂と麻苧とを附ける)を麻苧で上下の二個所に括り附ける。『神社有職故実』


※祭場の座位について

  昭和17年10月5日、内務省告示第608号
 「祭場ニ於ケル座位ハ幣帛供進使(割註略)地方長官、神祇院高等官及地方高等官ハ左 宮司(割註略)以下ハ右トシ参列者ハ便宜ニ従フ」

  昭和23年5月15日、神社本庁規程第10号
 「祭場に於ける座位は、宮司以下祭員は左とし、献幣使、総代及び氏子崇敬者は、便宜に従ふ。」


  神社祭式行事作法改正要項
 「祭場の座位について従前の規程は、戦後神社が宗教法人として位置づけられた際に、巳むを得ずして措置した経緯に鑑み、今般宮司以下祭員の座位については、従前の例に復し、之を「右」とした。」


 宮司の座位       昭和17年、右 → 昭和23年、左 → 昭和46年、右 といった変遷を経ている。