1)小児科に来る患者の約三分の一は薬はいりません。


解熱剤不使用派薬剤師


吉田先生、ご無沙汰いたしております。先生の著書「ちょつ待って!そのクスリを飲む前に」は当調剤薬局のスタッフ全員(と言っても4人だけですが)で読ませていただきました。ありがとうございました。 

解熱剤の使用方針について当調剤薬局の処方箋の大半を占める小児科の先生からお聞きした範囲でご報告いたします。 元院長(現在は副院長で、息子さんが跡を継ぎ院長になっていますので翁先生・若先生と略します。)には私の子供達の主治医として小児医療の何たるかについて診療を通して色々と教わりました。翁先生は小児医療の先駆者として日々診療のかたわら、母親教育を実践されていました。その先生から教わった事は、小児科に来る患者の約三分の一は薬はいりません。残りの三分の一は薬はやってもやらなくてもよい。本当に薬が必要な患者は三分の一です。だが薬を出さなければ母親が承知をしない。また、普通の子供には解熱剤は必要ありません。しかしながら、中には熱に弱いタイプの子供がいる(痙攣。麻痺・嘔吐)。そこでやむを得ず解熱剤を処方します。そして「熱だけ下げても意味は無い。」と患者さんに常々おっしゃっていました。

幸いにして私の子供達は余り病気らしい病気にはかからずにめったに先生のお世話になりませんでした。診察は受けてもほとんどお薬の処方はありませんでした。お薬を処方していただいたのは、子供が膀胱炎にかかった時と感染性胃腸炎にかかった時。そして水疱瘡にかかった時ぐらいだったと記憶しております。

若先生が跡を継がれてからは、解熱剤は頓服で三回分は処方されますが、出来るだけ使わないように指導されています。すなはち使用の目安として「40℃を越えたら使いなさい。」と。 これは私の個人的な見解ですが、熱が40℃を越える事はめったにない事。また熱が40℃を越えると母親が辛抱しきれなくなって夜間救急病院に駆け込んでしまう事等を考慮して(母親の安心の為)の事だと思います。現実に「私は子供に解熱剤を使った事は有りません」と言われるお母さん達が増えてきました。今後、解熱剤についての理解が浸透してくれば解熱剤の使用を控えるお母さん達が増えてくると思われます。

薬局の窓口で解熱剤を患者さんにお渡しする時に「解熱剤を使わないほうが病気の治りが早い」等の説明はしておりますが、なかなか十分に口頭では説明が行き届きません。そこで、補足説明として吉田先生の『解熱剤考』の文章の抜粋を調剤薬局内に掲示させていただいている次第です。今後とも宜しくお願い申し上げます。