医薬分業は患者さんのために

1)分業の目的
初めまして。このホームページにアクセスしていただき、ありがとうございます。あなたはきっと医薬分業にご興味のある方でしょうね。医療経営の合理化、薬価差益の縮小、消費税のアップ、レセプトの審査、集団的個別指導、薬に関する医療訴訟などが分業に興味を持たれた主な理由ではないでしょうか。医薬分業は確かにこれらにはとても有効です。しかしこれらはあくまで副次的なものです。医薬分業は本来患者さんのためのもので、もっと大切な意義があるのです。


2)情報公開
医療界はお役所と同様「情報公開」の遅れた業種です。特に薬に関して。インターネットの時代に、自分の飲む薬の名前さえ知らされていないのは(最近は厚生省の保険点数での誘導もあり、薬の名前の開示が徐々に進んできましたが)、ちょっとおかしいとは思いませんか?薬代を払うのは患者さん自身なのに。薬の副作用の説明をすると患者さんはいらぬ心配をし、治療の妨げとなり、結局患者さん自身のためにならないと、多くのドクターは言います。確かに一理あります。服薬の不安を与えないための一種の「思いやり」でしょう。しかし患者さんのニーズは、ドクターが考えている以上に確実に変わってきています。薬の名前、効果、副作用を親切に説明することが、今後一層求められてくると思います。薬の効能を追求する医療よりも、万が一の副作用を未然に防ぐ事の方が重要な時代がやってくるはずです。もちろん薬の説明はドクター自身がするのもいいでしょう。しかし時間的余裕がないドクターは薬剤師に任せては如何でしょうか。彼らはドクター以上に親切に、上手に説明します。しかも患者さんは、処方したドクターよりも、第三者の薬剤師のほうが質問しやすいと言います。
3)薬の安全性
多くの医院では、医療事務員あるいは看護婦が調剤しているのが現状ではないでしょうか。調剤ミスは今まで一度もありませんでしたか?私の所では苦い経験があります。やはり薬の専門家の薬剤師のほうが安心です。もちろん薬剤師も人間ですから絶対ミスがないとは言えませんが。先生の診療圏内に何軒かの薬局があるはずです。そこの薬剤師は貴重な人材です。利用しない手はないと思います。又、失礼なことを言ってお許し願いたいのですが、先生ご自身の処方ミスという事も考えておかなくてはなりません。私自身もありました。私の何人かの友人も正直に告白してくれました。ノーミスの方はむしろ少数派ではないでしょうか。安全を期すには、やはり薬の専門家に処方監査をしてもらうのがよいと思います。患者さんが複数の医療機関にかかっている場合、重複投与や相互作用にも気を付けて処方されていると思います。アレルギーの薬歴管理にも注意されているでしょう。しかし多忙などの理由でなかなか完全にチェックしきれないものです。やはりこれも薬剤師の力を借りればとても心強いものです。
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4)患者さんのための分業
さて、「医薬分業は二度手間で患者さんに迷惑がかかるので踏み切れない。」とおっしゃる方が多いのですが、如何でしょうか?私は発想の転換をして次のように考えています。分業は自分のためにするのだと考えるから躊躇するのでしょう。患者さんのためにするのだと考えれば積極的になれるはずです。もちろん患者さんに喜ばれる医薬分業であって初めて言えることですが。分業が患者さんのメリットになるのであればそれは患者サービスとなり、医院のイメージアップになるはずです。そして回り廻ってドクター自身のための分業となるでしょう。もし初めから患者さんのことを度外視し、自分のためだけの分業を進めれば、その逆の事が言えるかもしれません。情報公開と薬の安全性を大切にする分業をすれば、今までとは異なる新しい医療が見えてくるはずです。私はそれを未来志向型医療と呼んでいます。きっと社会の評価や信頼性を高め、先生ご自身も満足できる医療になるはずです。是非ご検討ください
投与薬の数が増えれば、副作用の起こる可能性は指数関数的に高くなる。

ドクターズルール425(医者の心得集)クリフトン・ミーダー著・福井次矢訳、南江堂