珠洲たの通信・2021年7月号


 暑い日が続いた後は,まるで梅雨のような長雨。そしてまた,夏が戻ってきたような気候。畑仕事も空の様子を見てタイミングをはかりながらです。私ごと。お盆前後はNPOの活動も一息ついていますので,自宅でうじゃうじゃしている時間が多い1ヶ月でした。
 さてCOVID-19のデルタ株が猛威を振るっていて,10代の子までをも襲っています。9月から学校が本格的に始まるのですが,このデルタ株の広がりが心配です。学校内に陽性者が出た途端に「学校閉鎖」ということになりそうでとても心配です。学校の日常が戻りつつあったのに,このままでは,一昨年度の年度末・年度初めの再来にならないかと危惧しています。
 また,たのしい授業学派を自称している私たちにとって,壮大な社会実験を見ることができそうです。それはアフガニスタンという国の将来です。マスコミだけを聞いていると,「タリバンはトンデモない野蛮なグループだ」というふうにしか聞こえてきませんが,そもそも住民の支持がないと,ここまで大きなグループにはなれません。詳しいことは次回サークルにでも話題にできればと思いますが,それまでに新しい国のいろんなことが決まっているかも知れませんね。今後,気になることといえば,
○どんな国名にするのか。国名には,めあてとする「政体」が現れるに違いない。これまでの国名は,アフガニスタン・イスラム共和国。…あれっ,もともと「イスラム」が入っているじゃん!
○国旗はどんな色・模様にするのか。テレビに出てきたタリバンの旗を見ると,白地にシャハーダが書かれていましたが,それを使うのでしょうか。できた国旗に込められる意味とは…。
○他の国がどのように支持をしていくのか。どの国が寄りそっていくのか,それはなぜか。寄りそう国には,必ず自国にとって利益があるはずですから。
○結局,日本の幕末のように「無血開城」となったわけですが,その後,日本の明治維新のように,御一新があるのか,ないのか。

 これらについて,予想を持って見ていくことが大切です。そして,自分なりの予想を立てるためには,一部の新聞・TVの情報だけではなく,自分でアフガニスタンの歴史や地理や隣国との関係なども調べてみることが必要でしょう。 

■7月の例会の参加者(6名)
 H.K   S.M   S.M   N.T   K.M   O.M 

■資料の紹介
1 「珠洲たのレポート7月号」 B5   4p     H.K
○小原茂巳著『ボクのたのしい教師入門』(ガリ本)
○齋藤裕子編『レモン萌ゆ』(ガリ本)
○犬塚清和著『輝いて』(仮説社,2003,2000円)

 この三冊は,仮説実験授業研究会のメンバーが書いたもの。仮説実験授業をしている教師たちというのは,どのように教育を見,授業を見,子どもたちを見ているのか。その見方は,一般の教師たちとどこが違うのか…。子どもたちへの圧倒的な信頼,押し付けの徹底的な排除,ヒーマニズムを推し進めていく先に見えるもの。どの本を読んでも,様々な場面で,そういう一面が見えます。Hさんがこれらの本から引用し紹介してくれている文の中から,いくつか転載します。
小原茂巳「予想して,問いかける。問いかけて,子どもがよろこぶもの(こと)を提供し,その結果で判断する」「異質な人を大切にする組織は発展する」「思いやりだけでは破綻する」
竹内三郎「事実は変わらないんだから,限りなく楽天的であることね」
大崎博澄「人の心の痛みへの想像力を持つこと。人生で一番大切なことはそのことだとボクは思う」(高知県元教育長)
西川浩司「してあげるは教師のおごり」

 わたしは,研究会の仲間が書いた文章を読んでいるときに赤線を引き出すと,全部に引きたくなります。板倉先生の本も,2度,3度と読むたびに,赤線が増えていきます。
 ほかにも,姜尚中著『母(オモニ)』(集英社文庫),町田そのこ著『52ヘルツのクジラたち』(中央公論社)や宇多田ヒカルのCDなども紹介してくれました。

2 「1学期が終わるけど」 B5  4p   S.M
 今月は仮説実験授業《空気と水》の授業の様子をまとめてきてくれました。
 この授業書を何度もやっているSさんは,「もんだい1」と「もんだい2」で,水槽の水に色を付けるタイミングを工夫したそうです。水の中にさかさにした空のコップを入れても,コップの中に水が入っているかどうか,なかなか分かりません。そこで,授業者はいろいろな工夫をするわけです。ただ,その工夫が授業書のねらいとあっているのかどうか…ことこ大切。そして「押し付けになっていないかどうか」も同じくらい大切です。
 「もんだい1」で,実験結果がよく分かるように発泡スチロール球などを浮かべて確認する方法もあります。これだと,水面がどこにあるのかがよく分かるからです。一方,水に色を付けても,水面がどこにあるのかよく分からないので,結局そのまま「もんだい2」へと進む方法もあります。Sさんは,どっちみち色水にしても結果がよく分からないのなら,「もんだい1」の結果は「よくわからないね」と,そのままして,次の「もんだい2」で色水にするという方法をとったそうです。色水にしておけば,ティッシュがぬれた場合にはキレイな色がつきます。実験前にそれを見せておけば実験結果は一目瞭然です。「もんだい2」では,ティッシュが乾いていることを示そうと,コップからティッシュを出した時に,下手をしてコップのふちに触れてぬれてしまうってこともよくあることですので,〈色水で確認〉は便利な方法かも知れません。
 仮説実験授業(の授業書+授業運営法)は,「熱心な教師なら誰がやってもうまくいく」ように作られた授業なのですが,子どもたちにより分かりやすく授業を進めていくことには,教師に任されている部分もあります。よりスマートに,押しつけなく,子どもたちとたのしい授業をするためには,事前の予備実験やこうした試行錯誤は欠かせないのです。また,「スポイト競争にも色水を使った」というのもいいですね。水に色がついていればスポイトにどれくらい水が入ったのかが分かります。子どもたちは,競争しながらも,「もっとたくさん水を入れるためにはどうすればいいのか」を試行錯誤することでしょう。
 さらに科学の勉強が日常に生きたという話(以前もサークルで話題が出ていましたが)がよかったです。水を怖がって顔を付けられない子どもたちに《空気と水》の学習を思い出してもらう。空気があると水は入れないということ。会話は次のようになります。
教師「鼻の中には何がある?」
子ども「空気があります」
教師「じゃあ,水は入りますか?」
子ども「そっか」「空気があったら水入らんから大丈夫」
教師「じゃあ,やってみようか」

の一言で,それまで怖がっていた子が水に顔をつけることができたとのことです。「がんばって,水につける」「みんなやっているでしょ」「大丈夫だから」と教師が励ましたり強制したりしている授業のなんと多いことか。そうじゃなく,子ども自らが「大丈夫!」といって顔を付ける。これこそ,科学の授業が生きた瞬間ですね。これ,みなさんも是非追試してください。でもそのときには《空気と水》を感動的に学習している必要があります。子どもが心の底から合点していることが大切です。ということで,《空気と水》は1学期にやってしまおう。典型的な仮説実験授業だし,プールにも役立つ。
 この水泳指導をめぐっては,峯岸さんの新刊本の紹介もありました,勤務校の若者たちが,この本を利用して,しっかりと水泳指導が出来ているというのです。さすが峯岸さんのフリップですね。古い言葉で「スモールステップ」というのがありましたが,それ以上のものが,この本にはしっかり入っているようです。
 プール指導に関しては,指導者の工夫を頭から否定する管理職の態度も話題に上りました。どうしてじっくりと実践を見て挙げることができないのかなあ。なにがあなたをそうさせる?
 赤ちゃん返りした1年生男児の扱い方も天晴れ。低学年ならではの話題がありますねえ。

3 「喃々レポ〈随時随所無不楽〉2021年7月号」 A5 8p    O.M
 今月は,「ばね指の手術から学んだこと」「ドライアイスの授業プランの比較」についてまとめてきました。
 ばね指とは「弾発指」と呼ばれる指の腱鞘炎のことです。私の場合は,注射を打っても再発していました。これが出てから,趣味の楽器も弾かないようになってしまいました。そこで,一番最初にひどくなった指(左右1本ずつ)を手術することにしたんです。
 あと,ドライアイスのプラン。これは先々月も少し話題に出していたのですが,漸く,今回の科学教室をキッカケに,これまでの実践プランを比較してみました。一覧にして比較すると見えてくるものがありますね。。
 仮説実験授業が広がっていくに従い,「学校の授業」という枠を飛び出していきます。すると,じっくり授業をする時間がないので,様々な簡略版ができたり,チョット目的を変えたプランができたりします。もちろん本格的な授業書をやりたいのはやまやまなんですが,現実的にそれは無理(塾でも開けば別ですが)な場合があるわけです。ルネッサンス高校のスクーリング版,あるは「科学映画の利用」,さらには,大道仮説実験や親子孫のプランなど…(学校内であっても特別支援などでは工夫が必要になる場合がある)。
 その講座の〈参加者〉や〈時間〉と相談して,「参加者になにを伝えたいのか」をハッキリさせることで,ある程度の「たのしい科学教室」はやれると思います。あと何回くらいお声がかかるか分かりませんが,決して,〈「一発もののおもしろ実験」ではないもの〉を準備していきたいと思います。それが学ぶ楽しさに繋がると思いますので。

 サークルでは,実際にドライアイスを用意して,いろいろな実験を体験してもらいました。その中からいくつかを選んで「夏休み科学教室」の内容を組み立てました。なおドライアイスは,JAすずしさんから購入しました。今後も,2.5㎏(1ブロック)=500円で提供してくださるそうなので,みなさんどうぞお電話を。
 最後に本の紹介もしました。マンガ・アニメ『銀の匙』『Dr.STONE』『はたらく細胞』,そして科学を学び直す入門書2冊『若い読者に贈る美しい生物学講義』『絶対に面白い化学入門』です。どれもお薦めですから,機会があったら手に取ってみてください。
                                     ※
 さて,本来ならサークルがお休みの8月ですが,コロナのため全国の研究会に出かけられなかったというみなさんのヨッキュウフマンを少しでも解消するために,今月は下記の時刻でサークル内「ミニ授業書体験講座」を開くことにしました。是非,ご近所お誘いの上,参加してくださるよう,お願いします。

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