仮説実験授業  サマー・サイエンス・スクール参加で思ったこと

山形晃市


2006.10.14

7月27、28日に金沢工大主催サマーサイエンス・スクールに菅原さんと授業を組ませていただき(鞄持ち?)として参加しました。通常の学校の子ども達と接する機会がない自分にとってこれはいいチャンス、ましては菅原さんの仮説の授業が見られるなんて・・・・。夏休み前からウキウキしていました。実験及び授業は菅原さん担当。自分はもの作り担当で当日に望みました。

すわらない・・・・
一,二年生の「空気と水」の授業、自分なりに子ども達のことや授業の流れ方を予想していました。(校種は違うけど自分の学校の子どもをみて) 開始時間が始まるにつれてぞろぞろ子どもたちが教室に入ってきました。う〜ん。やっぱり元気でうるさい。あたりまえか・・・。
初日、十時から開講式が始まりました。
「は〜い。いすに座って〜。」
の声に、二人の子どもが言うことを聞きません。さらに問いかけると眉間にしわを寄せて「ア〜ン。」とこちらを睨付けました。(子どもに睨まれたのは最近記憶にありません・・・。)また、その子どもは開校式ように設置した情報機器(プロジェクター、スクリーンなど)を触りまくる。触りまくる。プロジェクターに、映し出される学長の挨拶。でも二人の子どもはプロジェクターの前に立ちピースで影絵遊び。自分は「挨拶は一、二年生にとっては長く、難しいだろうな。」と思いつつ、注意をしてもまったく聞く耳をもたず・・・。さらには黒板の前に行き、落書きをしたり、授業で準備した水槽の水をはじいて教壇の菅原さんにかけたり・・・・。もうしたい放題。

それらの行為は授業がはじまっても一向にやむ気配はありませんでした。二人の子どもに対して「菅原さんはどんな反応するかな。」
でも菅原さんはそれほど二人の子どもを気にすることなく、さりげなくかわし、他の三十人に授業を淡々と続けていました。
一方ではとてもまじめで活発に意見を発表して授業を受けていました。(その二人の子どもがいるグループテーブルとは別世界・・・・)どうしても授業に支障が出る時のみ(実験の水槽の水に触る。水をかける。黒板に落書きをするなど)、菅原さんは軽く注意をするのみ。さっ、さっとかわしています。
授業のアシスタントをして下さった学生も自分も二人の子どもに注意をするがまったく効き目がなし。教室内を走り回る。机の下に潜り込む。そんな中淡々と授業が進められました。
しばらくすると学生さんが
「うるさいと苦情がきているんですが・・・・」
「えっ 後ろにいる保護者からですか・・」
「そうです・・・。」
「やっぱりね・・・。それは苦情が来るわ・・・。」
といった感じです。そしてなにやら忙しなく内線で連絡を取り合っています。菅原さんは淡々と授業。あ〜どうなるんだ・・・・・

お尻バシ!バシ!
その時です。走り回っている二人の子どもの一人を捕まえて、しかりつけた保護者がいたのです。その後、間髪入れずお尻を手でバシッと一、二、三発!!それを見た自分はとても驚きました。その保護者は年配の方で自分の子どもでも孫でもない子どものお尻を叩いたのです。年配の世代の方には、授業中に走り回って、好き放題をするといった光景はあまりにも衝撃的だったのでしょう。もう我慢できず見るに見かねて、しかりつけて一発!!といった感じだったのでしょうか。でも効き目は一向にありませんでした。
菅原さんは淡々と授業を進めています。
一区切りで休み時間になると、その次は大学の職員の方が僕の方によってきました。
「どんな状況ですか?」
自分は状況をありのままに説明すると、
「そうですか。そういう対処は、大きな声で叱ることです。去年は私も大きな声で叱りつけましたよ。これが一番効くんですよ。」
とアドバイスをくれました。そこでボランティアの学生が少し反論
「大きな声でしかると場の雰囲気が沈んでしまいませんか?他の子どもの楽しい雰囲気を壊してしまう。注意すればするほどつけあがってきますよ。」
と、そうあれこれ対策を練っている内に
「応援いりますか?」
と他にも学生が応援に駆けつけてくれました。なんなんだこれは・・・・。本当に「事件は現場で起きている・・・」といった感じです。
その後にサマーサイエンススクールの担当職員の方がおいでて
「どうですか?申し訳ありません。保護者に連絡をいれます。授業をきちんと受けられない場合は連絡をすると、申し込みの規定にちゃんと書いてあったので。」
と慌てて対応に追われるなどマジで非常事態です。

「自分はその時こう信じました。淡々と授業を進めている菅原さんは何か策があるに違いない」と思い、必要以上に注意をしない菅原さんに習い、自分は様子を見ることにしました。 
「だって、注意しても無理なんだもん。」

少しづつ落ち着いてきたかな??
でもその二人の子どもに対して「何とかなるんじゃないかな」という思いがありました。じっと観察していると全然授業を聞いていないわけではないのです。走り回って、寝ころんでいても、授業の実験の予想について手をあげたり、答えたり。理由を言っているのです。全然興味を持っていないというわけでもないようです。仮説の授業に少しずつ興味を持ってきたのです。でも相変わらず態度は・・・。いすに座るわけはありません・・・・。

「ものづくり」をしっかり取り組んでいる!
一日目後半はものづくりです。ここで自分にバトンタッチ。「菅原さんお疲れ様です!」といった感じです。
『ものづくりハンドブック』(仮説社)に出ていた「ひっぱりだこ」をみんなで作りました。さすがに興味があるようでみんな熱心に取り組んでくれました。
ふと気づくと元気いっぱいの二人も一生懸命作っているようです。わからない時には手を挙げて作り方を聞いてきます。
こうなればこっちのものかな。

スポイドで飲むお茶はおいしい!!
午後の授業になると二人の行動はあまり目につかなくなってきました。もう授業は菅原さんの仮説実験のぺースで楽しく進んでいます。(でもたまに床に寝ころんで授業を受けていますが・・・・)
白熱したスポイドリレーが終わって、休み時間なるとプレゼントされたスポイドを使ってみんなおいしそうにお茶を飲んでいます。真面目に授業を受けている女の子グループまでもスポイドでお茶を飲んでいます。
「スポイドで飲むとおいしい??」
と質問すると
「おいしい!」
とみんな答えます。スポイドでお茶を飲む姿は一見離れてみると異様です。さすが仮説の授業。
もちろん二日目もスポイドを持ってきて、おいしそうに飲み物を飲む姿が見られました。

「せんせい〜!家でフィルムいっぱいつなげてまわしてみるよ!!」
二日目に入ると子ども達と菅原さんは一つになり、仮説の授業を楽しんでいる様子を受けました。一日目とは大違いのこの雰囲気・・・・。
後ろに座っている保護者もみんなにこにこ。もちろん子どもを捕まえてお尻を叩いた保護者にも笑顔が見られます。
最後の授業時間に、ものづくりで「ダブル回転フィルム」を作りました。みんなとても興味をもって取り組んでくれます。そして作り終わると楽しそうに遊んでいます。
一日め、元気いっぱいの二人組みの一人が
「せんせい〜!家でフィルムいっぱいつなげてまわしてみるよ!!たのしかった!ありがとう!」
と声をかけてくれました。その子は初日、眉間にしわを寄せて「ア〜ン」とこちらを睨付けた子です。
最後には子どもらしい笑顔でお礼を言ってくれました。

最後に
「サマー・サイエンス・スクール」で改めて仮説のすばらしさ、仮説実験授業を受けての子どもの変化、そして授業書がいかに考えられて作られているのかを実感しました。菅原さんが
「仮説の授業を受けていくと、馬鹿なことをやっているのが本当にアホくさくなってくるのよ。」
と言っていました。菅原さんの中には授業を進めていくと元気いっぱい二人組みは、なんとかなるという思いがあったのかな思います。だからどんな挑発に対しても無視して授業を進めたのかな・・・・。 
本当に夏のいい思い出でした。

→ いっしょに参加した菅原さんのレポートはこちら


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