「流れる水のはたらき」の授業
−「知識構成型ジグソー法」と「地域教材化」の試み−

直小(当時) 尾形正宏

 5年生理科の単元「流れる水のはたらき」の授業について紹介します。わたしは新しい学校に赴任するとすぐに,露頭や川の様子を見に行きます(ついでに植物の様子も)。しかし,本校区には大きな川(河原があるような川)が無く,その様子を観察することはできそうにありません。ただし,となりの校区なら大きな川があるのですがね。それを見るのも大切なことです。
 体験活動と地域にあるものを取り入れた授業を組んでみました。また知識構成型ジグソー法にも取り組んでみました。


〈第1時〉 川はどちらに流れる?
@「流れる水と言えば」
「川」

Aみなさんは,家の前にある側溝に流れている水が,どこへ行っているか知っていますか?

「海!」
 誰一人として,詳しくは知らない。

B(北海道の石狩川(白地図)を見せて)…川はどこからどこに向かって流れていますか。

[子どもの意見]

北海道地図「地図に色を塗ってあれば分かるのに…」
といいながらも,一人をぬかして全員正解。
Aさん「川は海から陸の方に流れるのだと思う」
多数「川は山から流れる」「水は,低い方へ行こうとする」

 最近は,本単元の導入でこの問題を必ずやるけど,これだけ正答率が高いのは珍しい。川の水がなくならないことから,海から陸に向かって流れていると考える子がいても不思議ではない。
 今回,ほとんどの子が正しく予想できていたので「じゃあ,なんで,川の水がなくならないのだろう」と振ってみた。森のはたらきに言及する子もいた。

〈川の流域によるようすの違いについて,調べよう〉

C色つきの北海道地図を見せて,出発点には何があるかを確認する。
 川の流れが「山地→平地」と流れることを確認すると「社会科みたいや!」との発言あり。「この単元は社会科と理科との橋渡しの授業になるんだなあ」と,指導者は再認識した。
 山地を流れているあたりを川の上流,平地に出たあたりを中流,海の近くを下流ということを確認する。

D教科書を見て,上流・中流・下流の違いを一覧表にまとめる。


珠洲市を流れる川Eその後,地元珠洲市の川を紹介し,自分達のそばにある川に色を塗る(『珠洲市社会科資料集』より)。






F土山作りの場所を指定して,10分ほど作業(その後は課外で)。

〈第2時〉 ひたすらフリフリ実験
@丸い石と角張った石を見せて,これらの石は,どのあたりにあったのかを聞く。
「海だ」
「丸いのは下流だ」

〈下流の石が丸くて小さいのはなぜだろう〉


A予想→理由発表
「石どおしがぶつかってけずれていく」
「水も長い年月の間に石にあなをあけるって聞いたことがある」
「水がけずっていった」

Bふりふり実験
 わたしたちも流れる水になってはたらいてみよう!というわけ。 このネタは『理科実験の教科書・5年生』より。単純で面白いです。
 
鉢植えのかけら角張った小石水200mLを500mLのペットボトルに入れます。そして,ひたすらふりふりするんです。10分ほどガンバレば,水がどんどんにごってきて,鉢植えのかけらは,しっかり丸みを帯びてきます。そっと,白いトレイの上に取り出すと,割れたかけらも出てきます。ふっていると,たいてい,この写真のような子どもが出てきます。前に来て踊り出すんです。それをみて,みんなニコニコ。
 追試をしてくれた前勤務校の職員も,「こんな実験するよ〜と言ったら,それまでとは子どもたちの目の色が変わった」と言っていました。お薦めです。
 今年の子どもたちは,教室へ持って帰って,さらにときどきふりふりしていました。相当,丸くなりました。

〈第3時〉  流水実験…外で派手に!
 次は,外で実験です。第1時の最後に,外に出て土山を作り始めましたが,半数くらいの子どもたちは,昼休み,外に出て,山を作ってくれました。その山で実験です。今年は,ホースがとどくように,校舎のそばまで土を運びました。

〈土山に水を流すと,地面はどのような変化をするのだろう〉

@予想→理由発表
「土をけずりとる」「穴があく」「どろどろになる」などの意見が出る。「下に水がたまる」という意見などもでてくるが「下の方に土を運ぶ」は出なかった。
 子どもたちは,〈水のようす〉と〈土地のようす〉をごちゃ混ぜて表現しているようだった。改善点あり。

A外で実験
 2班(運動会の紅白)に分かれて,山に水を流す実験をする(流れる水の方向を二つつくる)。
 「おお,けずられた」「ああ,流れていく」「こっちまで水来たよ〜」と興奮気味。そりゃそうだろう,子どもだもんね。何が起きるのかの確認は,次の時間にするので,大丈夫。水遊びしてね〜。
 子どもたちはとっても喜んでいたので,まとめは次の時間にすることにする。

 若い頃は実験を途中で打ち切って教室に戻り,授業を前に進めていたのだが,興奮している子どもたちを強制連行するのはかわいそう。せっかくの機会なので自由にさせたくなってきた。次の時間には,ゆっくりと確認の実験をすることにする。

〈第4時〉 流水実験…室内でじっくりと
 前時の確認からはじめます。

@前の実験では,流れる水で地面はどのように変わりましたか?

「山がけずれた」
「下の方に土が流れてきた」
「川が何本もできた」
「曲がっていった」
「水がにごった」
「あわができた」…などなど。
 やはりここでも,「土地の変化」と「水そのものの状態」とが混同して出てきています。このあたりは,どうやって整理すればいいのでしょうか。このままでもいいような気もしますし,「水だけが流れてきたの」と聞いて整理してもいいような気もします。

Aトレイ(小さな斜面)使って,確認実験をする。
 この方法は,前勤務校にいた頃からやりはじめました。もとはネットでよく似たものを見つけたことから始めたんだと思います。
 実は,卒業生が置いていった「机の引き出し」「給食で使ってるトレイ」が実にピッタリなんです。引き出しの間切りに使うすじにトレイを合わせると,ちゃんと「土地のかたむき」が作れるんですよ。その坂道にペットボトルのフタに穴をあけたところから,水を流します。とても簡単でしょ。
 教室の中でも流水実験ができるのが,とてもいいです。外でやると準備も大変だし,準備したわりには,結局,水遊び,外遊びで終わっちゃう子もいますよね(それはそれでいいと思います)。
 その点,この方法は,流れていく水のようすや川の流れが変化するようすをじっくり見ることができるので,とてもいいです。

 最近の教科書には,同じような実験が出ているそうです。

B実験結果…どんなことが起きましたか?
「川が何本もできた」
「いちどできた川が合体した」
「水の落ちたところに穴が空いた」
「流れの方向が変わった」
「砂が下の方に流れていった」
「やっぱり水のいろは泥水」
「大きな石は,残っていた」

Cまとめ
 流水のはたらき(侵食,運搬,堆積)を教える。ここでは漢字で示してあげる。教科書のような「たい積」では,のちのち,子どもたちは勝手に「体積」という字を使って書くことがある。たとえば,ヨウ素液と紹介しても,時間が経つと「養素液」と勝手に判断する子がいる。「養分があるかないかを見分ける液」だからという連想だろう。だからこそ,まだ習っていない漢字でも,一度は本当の漢字を見せてあげた方がいい(沃素液)。

〈第5時〉 流水実験(室内でじっくりと),知識構成型ジグソー法
 ここで「知識構成型ジグソー法」(以下,ジグソー法と略)を導入しました。ジグソー法でやると,何種類かの実験が同時にできる…という利点があります。

〈流れる水のはたらきが大きくなるのは,どんなときだろう〉

@予想→理由発表
 予定していたものが出てきました。「水の量を多くする」「坂をもっと急にする」「高いところから水を落とす」の3通りです。
 時間もないので,理由発表はせず,出てきた3種類でエキスパート活動に移りました。
 実験に移る前に「条件統一」「対照実験」について,再確認しようと思ったのですが,時間がないと思ったので割愛。ま,プリントにかいておいたのでいいかな。

Aジグソー法の進め方を説明する。
 班の作り方やもどってきてやることなどを簡単に説明しました。昨年,算数のチャレンジにいた子たちは,「ああ〜,あれか。」と言っていたので,覚えていたのだと思います。班を作るのに,5分はかかった気がします。初めてやるときには,この時間をとることが必要です。

Bエキスパート活動(約15分)
 そのとき,もう一度,前回と同じ実験をやって,その同じ実験道具を使ってで,どれか一つの実験をやるようにしました。これで,「変える条件は一つだけ」という条件制御の実験になります。5年生でやっている対照実験,そのものですね。

蓋の穴 1つと3つ

土地の傾き

水を落とす高さ
 結果は,「水の量」と「土地のかたむき」は,その違いが一目瞭然でしたが,「水の落とす高さ」の実験の結果はビミョーでした。高くすると,トレイに当たった水がとびはねて外に出ていったりして,なかなかむずかしいです。何かいい方法がないかなあ。

Cジグソー活動(約10分)
 次に下の班にもどって,交流です。
 エキスパートでやった実験結果を聞いて,それをまとめるのですが,これまた難しそうでした。

Dクロストーク(後ほど5分)
 当日は,クロストークができず,時間切れ。
 理科の時間の前が体育だったためか,理科室に全員がそろったのは,すでに5分を経過していました。この時間に行った実験も欲張りすぎた感もあります。ま,こうして試行錯誤するんですけどね。
 そんなわけで,少しだけ,他の時間をもらって,まとめをしました。

〈第6時〉 「ジグソー法」で課題解決にせまる
 本時は校内研修の一環として「ジグソー法」を紹介したくて,このような授業をしてみました。
 この形の授業で一番難しいのが「課題」とその課題にあった「エキスパート活動」のネタを準備することです。この時間の授業プランには先行実践があります(CoREFのサイトに掲載されています。リンク先はこのページの最後を見てください)。しかし,そのサイトには実際に授業で使用した動画が出ていません。そのため,エキスパート活動に合う動画を集めるのに一番苦労しました。ネットを探しまくりました。今回は主に「理科ねっとわーく」のクリップ動画を利用しました。
 
<どうして川のカーブが大きく曲がったのかを考えよう>

 

@予想→発表(簡単に)
 大井川の中流域のようす(動画)をみせて,川が大きく蛇行するのはなぜかを考える。予想を発表させる。

Aジグソー活動の進め方を説明する。
 まだ,2度目なので,しっかり確認しました。が,ここで,それぞれのエキスパート活動がなにをするのかを全体でいう必要はないようです。時間のムダ。少しでも討議の時間を確保したいと思うのです。

Bエキスパート活動をする。
 3種類のエキスパート班に分かれて,
実験の動画を見てもらいます。各班で,30秒〜1分ほどの動画を2本ずつ用意しました。映像を見て学んだことをメモしてもらいました。
 ただ,子どもたちは,これまでの教師の指導の成果(もちろんマイナスの)か,〈動画に出てきたことをもらさず全てメモすること〉にいっしょうけんめいで,課題を念頭に置きながら,〈自分たちの学んでいることは,その課題とどのようにつながりそうか〉を考えていなかったように思います。これは,たぶん,何度か繰り返すしかないのでしょう。少し時間もかかりました。

Cジグソー活動
 ここでは,まず,学んできたことを交流するのですが,これもまた,〈順番に発表〉の感が否めませんでした。ここでは,黙って聞くのではなく,それについて,どんどん横から発言させることが大切です。とにかく,「普通の会話の状態のとき」を想定して,みんなで作り上げるのが大切なんです。
 どの班も,3つのエキスパートを順番にならべただけで終わっていました。やはり,動的なものを扱う説明なので,その解説の仕方はとても難しいのですが,それでも,もう少し,何か方法がないかと思います。

Dクロストーク
 私の中では,この進め方が一番課題として残りました。実際,教材研究をしているときも,この部分は,なんとなく考えていただけでした。
 これもまた,今までの方法〈順番に説明させる〉になってしまいました。あるときには,それでもいいのですが,今回は6班もあったので,それだけで時間がかかってしまいます。あの場でそれぞれが質疑をうけるともっと時間が必要になってとても1時間では終わりません。

 あとの整理会で「クラスみんなで課題に挑戦!」と言ったからには,そんなふうなクロストークができないだろうか?と,考えました。で,話しているうちに,いいことを思いつきました。それは,グループごとに発表させるのではなく,それぞれの班が考えたことを説明しながら黒板に書いていくのです。

 そのとき,黒板に,小さな磁石をたくさん使って川をかいておきます。子どもたちにそれを使って説明させるのです。すると途中まで説明してつまったりしたら,次々助け船が出てきて,結果として,クラス全体で,侵食−運搬−堆積という流れる水のはたらきによって,川の流れが変化していくようすを説明してくれたのではないか…と思うのです。ここでは,教師自身が,今までの発表の型に囚われた結果,スムーズに課題解決に進めなかったと反省しました。

E確認の動画を見せる
 クロストークの深まり次第で,この動画をいつ見せるのかを考えていました。今回は,繰り返し行われたこと…が,分かっているようで,分かってないようだったので,まとめの前に見せることにしました。
 これで安心して,まとめに移れたと思います。

Fまとめをかく
 個人でまとめることにしました。図をかいてもいいことにしたので,全体での発表はしませんでした。こんなことがあってもいいと思います。18人中16人はしっかりかいていましたが,2人だけ,よく分かんないことをかいていました。

□資料リンク
児童に配布した資料(PDF)
石川県視聴覚教育研究会に提出用にまとめた1ページものの本時の記録(PDF)


参観者からのコメント(本校職員)
 以下の〈視点〉は当時の勤務校の授業で目指しているテーマです。

〈視点1〉「自分の立場を明確にして書く。既習学習や体験を理由づけて書く」


・既習事項を生かして簡潔にまとめていた。
・これまでの学習の振り返りができていた。
・元のグループに戻った際,エキスパート活動で学習したことを,図を使ってしっかり伝えようとしていた。「なんで?」「どういうこと?」という質問も自然にされていた。
・テーマ別にVTR,ワークが作られ,区別することで,「エキスパート」の意味も伝わり,テーマ別にすることで,解決の見通しができると思った。資料等の苦労が生きた。
・自分が調べ考えをもっていく役割があり,考えをもとうとする意識ができる。
・それぞれが責任を持って考える場,説明する場があった。

〈視点2〉「ねらい達成のくふう(つかむ,考える,深める,まとめる」

・ジグソー活動の内容が,パソコンごとに違う内容で,持ち寄って話し合うのでよかった。
・エキスパート活動で考えをもったあとなので,ジグソー活動の際に「聞こう!!」という意識があり,「話そう!!」と積極的に話し合っていた。
・3人の思いを交流するのは楽しい。だって,やってないから,聞きたくなり,知りたくなる。
・かんぺきではないので,それぞれの意見を合わせて答を作っていくことがとても楽しい。必然性あり。
・映像の力はすごい…。ただし,準備は大変だと思う。映像があると具体的なイメージを持つことができていた。
・まとめの前に,動画で確認してからまとめさせた→確かめてから,まとめを書かせることで,理解定着につながるので,よいと思った。
・内と外の違いに関心が行った。まとめて解決につなげることを全体で取り組むことで「情報をどうまとめるか」を学んでいけると思った。
・(授業の最初に,流れる水の)はたらきを確認したことで,課題に対する答を書くときに,けずる,侵食するということを確かめることができた。
・時間は短いが,これをくり返すことで慣れてくるかな。
・ジグソーの話し合いの資料の手立て(3パターン)をそれぞれが書くことで,個々の力はついてくると思った。

 本校の職員にとって「ジグソー法」を取り入れた授業を見るのは初めてのはずです。本来,実験を見せるはずの理科の授業でのジグソー法の授業に,新鮮さと驚きと,その可能性を感じてくれたようです。校内研修会でやった甲斐があるというものです。教育事務所の指導主事たちも勉強しだしたようなので,今後が楽しみです。が,その一方で,単なる型のマネが流行る予感もあって,注意が必要です。
 ジグソー法をやってみたい方は必ずCoREFのサイトで学習してください。


〈第7時〉 外で,流水実験,堤防づくり体験
 まず,石狩川の三日月湖を見せました。前時のプリントを見ていたからか,写真を見せただけで「三日月湖」という声があがりました。
 「どうして,こんな形の湖になったの?」と簡単に聞いたあと,今日の課題にうつりました。

<川の水がふえると,どのような災害が起きることがあるだろう>

@簡単に予想する。

A実際に,外の山で川を作り,流水実験をする。


 最初は,第6時の確認(外側が寝食を受け,内側に堆積する)をする。色砂も利用しておいたのですが,使わなくてもよく分かりました。
 ほおっておくとカーブの外側が決壊するので,みんなで堤防を作る。水を止めてから,小石などで堤防をつくり,再度水を流す…という実験をする。

Bまとめ
 子どもたちは,一生懸命堤防作りを始めたので,教室に戻る時間がなくなりました。こんな時には無理をせず,思いっきりやらせました。
 だから,まとめは,次の時間とからめてやることにしました。

〈第8時〉 災害を防ぐくふうについて(ジグソー法で)
<水害から守るために,どんな工夫をしているのだろう>

 本時も「ジグソー法」を使ってみた。エキスパート活動用の資料には「くふうをしめす写真〉を載せておいた。その写真が何を表しているのかを教科書で調べる。最後は,「天井川」の写真を示し,なぜ,川がこのようになったのかをジグソー活動で考えてもらうことにした。

@予想する
 自分たちがやった実験から考える。防災・減災には,他にもどんな方法がありそうか…。防災,減災と言う言葉も教えたい。とくに減災。

Aエキスパート活動
 ここは,教科書を読ませて,(○○の工夫)というふうな呼び方をつけてもらう。
 エキスパートA…水の力を弱めるための工夫(堤防やブロックなど)
 エキスパートB…水を逃がす工夫(放水路,遊水池,地下タンクなど)
 エキスパートC…水をためる工夫(ダム,自然のダム・森づくり)

Bジグソー活動
 それぞれの良さと弱点を話し合う。
 「天井川がどのようにできたのか」を考える。

Cクロストーク
 天井川のでき方について,クラス全体で解決する。第6時の反省を生かしたとりくみをしてみたい。さて,ちゃんと解決できるだろうか????

 こんなことを考えていたのだが,残念ながら,できなかった。
 また天井川のネタについては,次時にやってみたのだが,難しすぎて,子どもたちだけで解決することができなかった。
 ただ天井川をどのように教えていくのかは,
災害対策と新たな災害を考えるキッカケにもなるので,今後も考えてみたい。
 上の写真は,能登半島の天井川宝達川の様子です。FBの友達が撮ったものです。トンネルの上に川があります。

□資料リンク
配付資料(エキスパート+ジグソーで一枚)
宝達川(天井川)の写真(提供はのと鉄道運転手Tさん)

〈第9時〉 川の観察…砂浜にいきました
〈川の様子を観察して,川の様子や流れる水のはたらきを調べよう〉

 モデル実験で行ってきた流れる水のはたらきについて,実物の川がどうなっているのかを確認するために,出かけることにした。ただし,今回は,砂浜へ行くことにした。
 学校から歩いて約10分。
 住宅地から流れてくる水は,下水道が完備されているおかげで結構キレイ。
 まずは,モデル実験でやったことがここでも見ることができるのかを確認。

@川の外側は崖になっているが,内側には,砂が貯まっている。
A流れが緩やかなところでは,ほとんど何も起きていない。
B流れの速さの確認をしようと思ったのだが,大きなカーブの所で水たまりができていて,ほとんど水は動かなかった。
Cそこで,最後に,海への川筋を少し作ってみた。すると,川の流れは大きく変化して,両側の砂がどんどん運ばれ,川幅もみるみる広がり,これまで川だったところは,干上がってきた。

 本校の近くの川には,河原がなく,河原に降りれる場所もないので,砂浜に連れて行ったが,これもありなのではないかと思う。
 この日の放課後,数名の子どもたちは,この砂浜に遊びに行き,川の流れが,また変わっていたことを報告してくれた。この子どもたちは,海岸で遊ぶたびに,水の流れの変化に気づくことだと思う。そんな意味でも,
砂浜にできた川の観察は,なかなかの教材だと言えるのではないだろうか。
 一方,やっぱり,自分達の身近な川のはたらきについても,見ていきたい。

〈第10時〉 これまでのまとめをする
 見学のまとめをします。見学の時に撮った写真を元に,流れる水のはたらきについてまとめます。これまでの時間調整でもあります。確認プリントをしたりNHKなどの映像を見せてもいいでしょう。

〈第11時〉 私たちの住んでいる土地について考える
 川のはたらきは,山を崩し,土を運び,低地を作ることです。子どもたちにとって,自分の住んでいる土地は,「もともとあるもの」「はじめから平らだった場所」でしかありません。そこをなんとかできれば,川のダイナミズムを感じることが出来るのではないか。そんな気持ちから,今回は,遺跡の発掘写真を導入に使ってみました。

〈わたしたちの住んでいる土地は,どのようにしてできたのだろうか〉

@この写真から,分かることは…
教師「この写真は,どこでしょう。何をしているんだろう」
子ども「遺跡の発掘。昔の住居跡やら…いろいろ出てくる。」
教師「これ,地面から50pくらい下からでてきたんだけど,なんで,地面の下にあったんだろう。」
子ども「…だれかがうめた?」「自然災害?」
教師「専門家は,今の野々江地区の両端にある若山川や金川が氾濫したときに上流から運んできた土で埋まったんだと言っています。さて,埋まったのは,ここだけだと思いますか?」

 学校の東側にある本江寺(ぼんこうじ)遺跡の発掘写真も見てもらいました。下には水が貯まっています。私たちの地面の下は,けっこう水っぽいのでしょう。


A低い土地は,川の流れでできたことを知る
 野々江地区の地形図を渡します。5m以下の土地には,予め線を引いておいてあげます(右の地形図には,その線はありません)。
 この低い部分を青色で塗っていくことで,そこには田がたくさんあること,自分の家が建っている場所も,同じような環境にある…そう,みなさんの家の下の地面も,川のはたらきでできたのです。
 今は護岸工事が終わって,とても土地を変化させているようにはみえない小さな川も,以前はこの土地を自由に流れていたことをイメージ出来たのではないかと思います。
 このような地元の地図を出すと,自分の家がどこらあたりにあるのかを,一生懸命探そうとします。それもまた,実感を伴った理解につながるのではないかと思います。
 なお日本の地形図は,「ウォッちず - 国土地理院」というHPで見ることができます。「地質図ナビ」も機能が豊富です。これについては,6年生の「大地のつくり」で触れる予定です。

B若山川のハザードマップを見る
 珠洲市が作っている「若山川のハザードマップを見てもらいました。これは,第8時にも見てもらったものですが,ここまで学習して,改めて川のはたらきによって,泥水で覆われる可能性のある土地について,考えることができます。
 ついでに,山の方に住んでいる子どもたちには
「崖崩れハザードマップ」も見てもらいました。低い土地との間の部分は,結局,崖になっていて,そこでは,水の削るはたらきが大きいことが分かります。そのあたりに住んでいる子は,「わたしの家の裏に,なにやらそんな注意の看板があった」って教えてくれたりもしました。

Cまとめる
「わたしたちの土地も,川が運んできた土砂が堆積してできた。」

わたしの感想…実体験だけがいいわけではない
 以上,今回の授業の概略を述べさせてもらいました。いちいち子どもたちの感想をとらなかったので,反応は今ひとつ分かりませんが,私の手応えをしては,これまでで一番よかったと思います。

いい動画をたくさん見せる
 実際に川を見に行っても,しっかり勉強している子は少ないですね。最初はいいけど,すぐにあきる(というか,違う遊びを見つける!!。でもわたしは,それが子どもというものだろうと思うんです。ポイントを絞って見学した後は,教師はゆったりと構えていればいい。
 こういう「遊びになってしまうのを教師のテクニックや押しつけでどうにかしよう」と思うよりも,「〈学習の押さえは教室で〉…子どもたちには気分転換を…」と思っていた方がいいと思います。そう思っていた方が,教師・子ども双方にとっても,精神的に楽だしね。
 授業で行う〈流水による実験〉も,土の質の違いやでこぼこなどで,典型的な姿を見せてくれるとは限りません。そこで,動画を登場させて,じっくり確認するようにすれば,少々の実験上でのブレは,解消されるでしょう。
 とくに「NHK for School」や「理科ねっとわーく」には,30秒〜2分の動画がたくさんあります。これらの動画を上手に利用することで,自分だちで実体験したことを,整理することができるでしょう。

参考図書・サイトなど
○科学教育研究協議会編集『理科教室』バックナンバー
○宮内主斗編著『理科実験の教科書・5年生』(さくら社)
○『』
○県埋文センター編『野々江本江寺遺跡出土の「木製笠塔婆」及び「木製板碑」について』(平成19年)
NHK for School
理科ねっとわーく
東京大学CoREF>協調学習リソース>使い方キット(定番教材)
珠洲市ハザードマップ
地質図Navi
石川県河川総合河川総合情報システム
ウォッちず - 国土地理院

2020/09/30

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