授業書<2倍3倍の世界>の一場面から
子供達は「面積2乗の法則」を見つけられるか?
尾形正宏




 仮説実験授業の授業書<2倍3倍の世界>は,数少ない算数の授業書の中でも,ボクのお気に入りの授業書です。天秤を使った実験を取り入れて,「2乗,3乗の法則」を子供達につかんでもらうことができます。ルートの存在も簡単に理解できます。
 計算機の便利さもつかんでもらえます。
 見た目(直感・常識)と法則(計算)との勝負というのが,何回か出てきて,子供達は,この時ばかりは算数大好きになります(う〜ん,むなしい)。

 さて,今回は,その授業での一こまをご紹介しましょう。
 授業は「コピー機の拡大・縮小」と意味とその体験を学習した後,「長さを2倍,3倍にしたら,面積は何倍になるか」という問題を6問やったあと,次の質問がきます。
【質問1】
 <長さを2倍3倍に拡大していくと,面積はそれぞれ何倍になる>という ことを,いちいち重さを測ったりせずに求めるうまい方法はないでしょうか。
うまい方法を見つけた人がいたら,みんなに教えてあげましょう。

 うちのクラスの6年生は22名(男子5名,女子17名)。そのうち,質問に対して書いてくれたのがちょうど半数の11名(うち男子4名,女子7名)でした。
「何となく分かるけど,うまくかけない」という子もいたと思いますが,今回はちゃんと文や絵で表しているものだけを対象に話を進めます。
 子供達の見つけた方法を型分けしてみます。
●自信がないけど型
・なんとなく,2倍だったら2×2=4,3倍だったら3×3=9,4倍だったら4×4=16にすればいい。えーわからーん。ぜったいちがう〜(ゆりえ)
 書いてみたけど,自信がない。自分にこんな法則がわかる分けがない。算数がそんなに得意じゃない子は,そう考える子もいます。算数に苦手意識を持っている高学年の子は「ボクに法則なんてわかる分けないよなあ」と思いがちで,自分なりの考えが浮かんでも,さっと文章に表したりしてくれないこともあります。
●出てきた例だけ挙げる型(問題には2,3,4倍が出てきている)
・2×2,3×3, 4×4。2倍と書いてあれば,×2をする(みやこ)
・面積は,何倍にしたかが分かれば分かる。2倍にしたら,もう1度2倍にする。2×2(あすか)
 法則は見つけていますが,今まで出てきた数字を対象にそれが当てはまるかを考えるところで終わっています。でも,「もし5倍したら,面積は何倍になると思う?」と尋ねれば,おそらく正確な予想を出すと思われます。
●一般化型(他の数字の場合を持ち出す)
・長さが2倍なら2×2をする→4倍。長さが3倍なら3×3をする→9倍。長さが4倍なら4×4をする→16倍。長さが5倍なら5×5にする→25倍。にすると思う(かおり)
・ある図形を2倍にかくだいしたら,面積は4倍。同じ数をかける。2倍×2→4倍,3倍×3→9倍,4倍×4→16倍,5倍×5→25倍,6倍×6→36倍(りょうた)
 自分で考えた法則に従って,新しい場合にも当てはめてみています。一般化しようと言う意識が見られますが,まだ,いくつかのケースを示すだけです。言葉や数式での一般化はもう少しです。
●一般化型(数式や言葉で一般化)
・辺を倍にした数×辺を倍にした数。例,4倍=4×4,面積16倍(しゅん)
・長い方の「せん」が短い方の「せん」のないばいかをみて,拡大した倍のかずにかければこたえがでる(さやか)
・さいしょのは,4×4。χ×χ。同じ数をかけるんじゃ(たかし)
・倍×倍(ひろゆき)
・10倍なら10をかけて,7倍なら7をかけて,6倍なら6をかけて,5倍なら5をかけて,9倍なら9をかけて,8倍なら8をかけて,4倍なら4をかけて,2倍なら2をかけて,3倍なら3をかけて−というふうに,同じ数をかければ出てくる?(ゆか)
 言葉や数式で一般化できています。いわゆる法則にたどり着いているわけです。特に,「辺を倍にした数×辺を倍にした数」や「χ×χ」などと数式で表せるのは,すでに数学をものにしているという感じです。実際,この子たちは,算数の得意な子たちで

 この後「面積2乗の法則」のおはなしがきます。
 半数の子供たちは,うまく書けなかったのですが,友達の意見を聞いて「なるほど,そうか」と頷いていました。これも6問も同様の質問を繰り返したからでしょう。「すとんと腑に落ちる」ということは,こういうことを言うのだと思います。