電磁石の強さの測定実験
2008年10月30日
ゼミ担当教授:畠中洋志
報告:尾形正宏
はじめに
 電磁石の実験ということで,これは小学校でも使えるかも…という思いで参加しました。
 で,実際はどうだったかというと,使えるところもあるし,使えないところもありました。
 そりゃま,中学校も含めた実験ゼミだから,小学校にだけ照準を合わせるわけにはいきませんからね。
 今回の収穫というか安心したことは,「教科書のようなクリップの実験はやっぱりうまくいかない」ということがわかったということです。
 というのも,小学校の電磁石の実験では,電磁石の強さの違いを比較するのに「クリップをぶら下げる」と言うことを行うのですが,それが,うまくいかないことが多いのです。電池を2倍にする(電流の強さが2倍になる)と磁石の強さも2倍になるはずなのですが,くっつくクリップの数は2倍も増えません。また,コイルの巻き数を多くしても,電磁石の力が強くなるはずなのですが,2倍巻いても,そんなに変化は感じられません。要するに,小学生がすかっとするような結果が出ないのです。何班かの実験結果を集めて「電流が強いと電磁石も強くなっているね」といっているだけ。もっといいのがないかなあとは思っていたのです。
 

電磁石づくり〈針金(導線)を巻くコツ〉
コイル作り 電磁石を作ることは簡単なように思えるのですが,実は,子どもたちはけっこう難しがります。
 小学校の授業では,よく鉄釘を入れたストロー(あるいはキットの糸巻き?)に導線(エナメル線)巻き付けていくのですが,毛糸や糸を巻くのとは違い,針金にねじれが出てくると,巻けなくなってくるのです。それまで普通に生きてきた子どもたちにとって,針金を巻くという経験は全くないから,無理もないことなのです。くるっと1回転した針金は,なかなか元に戻りませんからね。大人でもこまるときがあるくらいです。
 そこで,今回はいい方法を教えてもらいました。
 針金の先をスタンドに固定して,電磁石の方を回転させながら巻いていくと,とてもキレイにスムーズに巻くことができるのです。これはとてもいいです。自分が少しずつスタンドに向かって動いていかなければなりませんが,キレイに巻けるので,子どもたちにもできるのではないかと思います。またコイルを2重に巻いていくときには,1重めの部分をセロテープで固定してから巻くとキレイに巻けるということも教えてもらいました。
 こういう知識は,知っている人にとっては何でもないことなのですが,知らない人にとっては,とても参考になることだと思います。


電磁石の強さの測定方法
電磁石の強さの測定のための回路 電磁石の強さと電流の関係を調べます。
 ゼミ生が作った電磁石は全てちがいます。
 それは,銅線(ホルマル線)の直径の違い(1mm,0.7mm,0.4mm)と巻き数の違い(50回,100回,150回)です。ちなみに,わたしが作ったのは,径が0.7mmで50回巻のコイルです。
 そして,電磁石(直径0.7mm,50回巻)と電池(3V)とボリューム(可変抵抗器5Ω)と電流計をつなぎ,回路を作ります。
 その回路は写真のようなものです。



<測定原理>

電磁石と永久磁石T コイルだけの電磁石の強さ

(1)上皿天秤を用意する。その一方の皿の上に永久磁石(フェライト磁石)を置く。その永久磁石の重さと釣り合うだけのおもりを,反対側の皿にも乗せておく。
(2)鉄製スタンドに電磁石を取り付け,一方の極をギリギリまで永久磁石に近づける。電流を流したときに,電磁石と永久磁石が反発するように置く(もし引きつけ合ったら,電池を反対にすればいいだけだから,実際には適当でよい)。

(3)上皿天秤の一方の皿(おもりが乗っている方)に100mgの分銅を乗せる。
(4)上皿天秤が釣り合うように,ボリュームを回し,電流の強さを調節する。
(5)釣り合ったときの電流の強さを読む。

 以下,(3)〜(5)までを,おもりを100mgずつ増やしながら,ボリュームが振り切るまで続ける。

鉄芯入りコイルU 鉄芯を入れたときの電磁石の強さ

 上の(2)の時がちがいます。鉄製スタンドに電磁石を固定して永久磁石と向かい合うようにするのですが,鉄芯が入っているため電流を流さないときも引き合う力が働いています。そこで,電磁石(鉄芯)を近づけても,上皿天秤の皿の上の永久磁石が動かない場所で固定します。すると,右の写真のように,皿と電磁石の間は5p〜10pくらい離れることになります。

 
測定結果
 測定結果は次の通りです。
【コイルのみ】
100mg
200mg
300mg
400mg
500mg
600mg

【鉄芯入り】
100mg
200mg
300mg
400mg
500mg
600mg


5mm離れて
0.5A
1.2A
1.9A
2.5A
3.2A
4.0A

5p離れて
0.8A
1.6A
2.5A
3.1A
4.0A
4.5A

グラフ
電流の強さと電磁石の反発力の関係
考察
 この測定方法の良さは,反発力を利用することでしっかりした比例の関係が導かれることでです。
 しかし,その一方で,鉄芯を入れた場合は,電磁石の鉄芯と永久磁石が引き合うために,「コイルの時」との比較実験ができず,よって,鉄芯を入れるとどれく測定してますらい強くなるのかが判断できないことです。ただ,鉄芯を入れると電磁石の強さが増すことは,別にこういう測定をするまでもなく,何かを吸い付けてみたり,方位磁石に近づけてみれば明らかなことではあります。
 「磁束は,電流の強さ,巻き数,コイルの断面積に比例し,コイルの長さに反比例する」なんてことは,全く忘れていましたが,けっこう役立つ知識かも…と思いました。
 ただし,「はじめに」でも述べたとおり,この方法をそのまま小学校に持ち込むことはできません。
 小学校において,電磁石の強さがおよそ電流の強さや巻き数に比例することが見える測定方法はないものでしょうか? 今後,だれかが見つけてくれるかなあ。あのクリップをつるす実験はだめですからね。


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