富山総合福祉研究所の理念と事業方針
について




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  •  このページでは、富山総合福祉研究所の理念と事業方針についてご説明申し上げます。


    2007年03月01日現在





    ☆理念「人としての尊厳が大切にされる地域づくり」について2006.10.08.

     当研究所は、「人としての尊厳が大切にされる地域づくり」を理念としています。これは、
    介護保険法上の居宅介護支援事業だけではなく、当研究所がかかわるあらゆる研究および相談
    支援に共通の理念です。ここで言う「人としての尊厳」は、human dignity の日本語訳です。
    日本語訳には一般に「個人の尊厳」という言葉も使用されていますが、尊厳の由来は個人に帰
    属するものではないという反対意見などもあることから、当研究所ではより広く承認されてい
    る「人間の尊厳」や「人としての尊厳」という日本語訳を採用しています。





    ☆「営利性について」2002.10.28.

     当研究所は、法人格のみ見れば商法上の合資会社法人であり、営利法人として位置づけら
    れますが、実際には創業者、出資者には全く利益還元がなく、実態としては非営利法人です。
    介護保険法上の居宅介護支援事業は、原則として法人格を取得しなければ都道府県から事業
    者指定を受ける事ができません。非営利という観点から最も望ましいのは特定非営利活動法
    人(いわゆるNPO法人)格を取得する事ですが、NPO法人格取得のためには様々な条件
    を満たす必要がある事と、意思決定のための合意形成にともすると時間がかかり、迅速な対
    応ができないなどのマイナス面も発生する恐れがある事から、これを選択しませんでした。
     また、法人格を取得せず、基準該当と呼ばれる方法で居宅介護支援事業を行う事も制度上
    可能ではあるのですが、基準該当事業所の場合は各市町村ないし保険者と個別に契約を締結
    する必要があること、そして契約はいつも当然に更改されるとは限らないことから、ともす
    れば市町村、保険者と緊張関係を保たなければならない立場である居宅介護支援事業者とし
    て安定性を欠くものと判断し、これも選択しませんでした。
     このような形で、いわば消去法で合資会社という形態を選択する事となったのですが、合
    資会社について調べていくうちに、いろいろおもしろい事が分かってきました。まず、商法
    上の法人であるにもかかわらず、「資本」という概念がありません。有限会社や株式会社は
    資本という「お金」が信用の基盤となっているのに対し、合資会社は創業者の「人間」が信
    用の基盤になっている、だから資本という概念がないのだそうです。「福祉の事は、金では
    なく人間で決まる」と考えるならば、この「合資会社」というスタンスはなかなかおもしろ
    いものがあります。
     また、今般の経済界の対立(グローバライゼーションの波に乗って発展しようとする多国
    籍企業や投資家と公共事業に依存するゼネコンなどの旧来の勢力との対立)の構図を福祉領
    域に当てはめれば、新自由主義的な競争原理で市場を席巻し、規制緩和を政府に強く求める
    株式会社系の事業者と旧来の社会福祉法人、医療社団法人系の事業者の対立が見えてくるよ
    うに思うのですが、そのいずれでもない第三の道、つまり新自由主義の価値観を採らず、か
    つ非営利の名の下に既得権益を守ろうとして組織的に官僚化してしまうような事もない、新
    しいスタイルの経営のあり方を探るという実験的な意味でも「合資会社」という古くて新し
    い組織形態がおもしろいと考えるようになりました。
     もっとも、合資会社はあまりに簡単に設立できてしまうため、ケアマネジメントの質の保
    障に疑念を持たれてしまう恐れがあります。実に、介護支援専門員の登録を抹消された第一
    号のケアマネジャーは、合資会社に所属していました。「資本」による信用の裏付けがない
    だけに、ケアマネジャーの専門職としての能力が厳しく問われる事になります。
     これに加え、合資会社の場合は株式会社における株主総会のようなものがなく、経営方針
    の決定などが独裁的になってしまう危険をはらんでいます。いかに経営を客観化し、公開し、
    風通しをよくするか、また地域に開かれたものにするかが問われる事になります。
     いろいろな意味で実験的な取り組みとなりますが、当研究所の実践がそのまま新しい福祉
    のあり方の提言となり、その足跡が一つの歴史となるように微力を傾けたいと考えています。





    ☆「ケアマネジメント機関としての公平・公正・中立性について」2002.10.28.

     この点については、当研究所はいわゆる「第三者機関主義」の立場に立っています。ケア
    マネジャーは、自らの所属する法人や関連する法人のダイレクトケアサービス(訪問介護や
    訪問看護、通所介護などの直接的な介護を提供するサービス)をケアプランに組み込まない
    という方針です。ダイレクトケアサービスの提供者とは一線を画し、サービス利用者ご本人
    やご家族の権利・利益を第一に考えて行動する事が、ケアマネジャーには求められているか
    らです。当研究所では、パンフレットなどを通じ「ケアマネジャーは、利害関係などのしが
    らみのない第三者機関から選びましょう」と呼びかけています。
     ところで、よく間違われるのですが、「第三者機関主義」は、必ずしも「ケアマネジャー
    は独立開業をしなければならない」とする立場ではありません。社会福祉法人などの併設型
    の事業所に所属しているケアマネジャーでも、理論的には第三者機関となり得ます。要する
    に所属法人や関連法人のサービスを組み込まないケアプランを作ればよいわけです。もっと
    も、法人の経営者の考え方によってそれが事実上難しいという場合もあると思います。サー
    ビス利用者ご本人とそのご家族の権利・利益を守るためには、ケアマネジャー個々の努力に
    委ねるのではなく、法的に「第三者機関主義」を各事業所に義務づける必要があると考えて
    います。





    ☆「環境問題への取り組みについて」2002.10.28.

     当研究所では、福祉と環境は近接する問題と捉え、環境をなるべく傷つけない取り組みを
    行っています。具体的には、

    ・研究所棟建設に際してはリサイクル可能な材料を厳選しました。また、シックハウス症候
     群の原因となるような有害物質の使用は全く行いませんでした。余った木材は地元の小学
     校の図画工作の教材に供しました。屋内は事業のために必要最小限度の広さに抑え、余分
     なスペースを設けませんでした。
    ・大量に消費するプリンタ用紙は、紙詰まりの危険が高まる梅雨時の一時期を除き多少割高
     でも再生紙を用いています(コクヨKB用紙ホワイト再生紙)。
    ・書類を綴じる際には、厚手の書類を除きなるべく針を用いないホチキスで綴じるようにし
     ています(サンスター製ステッチロック使用。これ自体がペットボトルを原材料にして作
     られています)。
    ・ファイルは原料自体が古紙70%利用で廃棄時には金具、プラスチック部、紙部に分別で
     きるエコマーク入り商品を採用しました(コクヨチューブファイルエコツイン)
    ・各ご家庭への訪問など移動の際には、なるべく原動機付自転車を利用しガソリンの消費を
     抑えています(ホンダスーパーカブ50CC)。将来的には電気自動車等を採用できれば
     と考えています。
    ・コミュニティの景観を害する事で問題となっている野立て看板の類は一切建てません。ま
     た、不特定多数の方に宣伝を目的とするチラシを作成・頒布するという事も一切いたしま
     せん。





    ☆「アカウンタビリティ(説明責任)について」2002.10.28.

     当研究所では、事業に関する資料はプライバシーに関するものを除きすべて公開を原則と
    しています。貸借対照表や損益計算書をはじめとする各種帳票は、準備が整い次第インター
    ネット上で公開します。
     また、ケアプラン関係では、ケアマネジメントに関する説明はなるべく口頭のみではなく
    書面を添えて行い(「ケアマネジメント説明書」書式使用)、居宅サービス計画書(1)
    (2)、週間サービス計画表はご本人ご家族にお渡しし、内容を確認の上記名押印いただく
    ようにしています。同様の資料をサービス担当各機関の他、かかりつけ医と市町村介護保険
    担当課にもお届けしています。モニタリング時には書面で関係各機関に結果をお伝えしてい
    ます(「ケアプラン実施状況確認票」書式使用)。





    ☆「個人情報の保護に関する方針について」2007.03.01.

     当研究所の個人情報の保護に関する方針については、富山総合福祉研究所居宅介護支援
    事業所運営規程第12条を基本とし、細目については「個人情報保護に関する措置の概要」
    で定めています。希望される方にはその写しをお渡ししています。

     (参考)運営規程第12条
          「居宅介護支援事業所の介護支援専門員及びその他の職員は、正当な理由な
           くその業務上知り得た利用者およびその家族等の秘密を漏らしてはならな
           い。また秘密保持につき必要な措置を講ずるものとする。」






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