平成15年度介護福祉士養成研修(講義)
老人福祉論アンケート集計結果




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  •    平成15年度介護福祉士養成研修(講義)老人福祉論アンケート集計結果
                実施・回収日:2003.08.19.TUE
       全受講者数83名(定員100名)  回答数57件  回答率68.7%


    (1)老人福祉論の講義の内容について
       □ とてもわかりやすかった                      2
       □ まあまあわかりやすかった                    16
       □ ふつう                              9
       □ やや難しかった                         16
       □ とても難しかった                         8
       □ その他                              5
       □ 無回答                              1

       (その他欄自由記載)
        ・分かりにくかった。社会福祉概論と混ざった内容で、どこがどれなのかわかり
         にくい。
        ・社会福祉とかぶっているところもあり。
        ・ポイントを教えていただいたので勉強しやすいです。
        ・わかりにくい。
        ・重要な部分が分かりづらい。講義を聴いても内容が把握できなかった。


    (2)老人福祉論の講義の方法について
       □ とても良かった                           6
       □ まあまあ良かった                         12
       □ ふつう                              19
       □ あまり良くなかった。                       13
       □ とても良くなかった。                        3
       □ その他                               2
       □ 無回答                               2

       (その他欄自由記載)
        ・はじめにが長すぎると思いました。
        ・レジュメがあって良かった。
        ・自習しにくい内容であった。資料だけでは初めて学ぶ者としては難しい。テキ
         スト持参しているので、もっと使用してもらいたかった(複数回答)。


    (3)老人福祉論の講義の講師について
       □ とても良かった                          11
       □ まあまあ良かった                         14
       □ ふつう                              20
       □ あまり良くなかった。                        7
       □ とても良くなかった。                        1
       □ その他                               2
       □ 無回答                               2

       (その他欄自由記載)
        ・レジュメ全部の説明がほしかった
        ・個人的に好きですが、無理に笑いをとらなくても・・・。
        ・ソフトな語り口で良いが、単調すぎて説得力に欠ける(複数回答)。
        ・おもしろく楽しかった(複数回答)。


    (4)老人福祉論の改善点、要望点、その他ご意見など

        ・全く興味のない分野に興味が湧いてくる進め方であり、参加して良かった。何
         才ですか?
         (ツ)そうおっしゃっていただければ幸いです。年齢は秘密です。
        ・たとえば、福祉三法、六法を丸暗記をするが、あいまいになりやすい。先生の
         講義でその戦後の混乱期の状態の背景を分かりやすく説明を受けるとすんなり
         頭に入る。その時代の流れにより、浮き沈みした制度が頭に入りやすかった。
         (ツ)そうおっしゃっていただければ幸いです。本日ご説明したのは骨格です
            ので、これにレジュメ(2)とテキストを活用して肉付けをしていただ
            ければと思います。肉付けの作業をしていくうちに、骨格を知る事の大
            切さをもっと知っていただけるのではと思っています。

        ・各論のポイントのところを十分に話してほしかったです。午前中と話がだぶる
         ところもあり、こういうことか・・・、と改めて考える事ができました。
         (ツ)各論を話してほしいというご意見と、内容が午前中の講義(社会福祉概
            論)と重複している(ので無駄)というご意見が多く寄せられました。
            後者については、介護福祉士養成講座の分野別の体系がそもそも交錯し
            た内容になっています。講義の場で福祉カレッジのご担当の方よりご説
            明があった通り、特に老人福祉論は、制度論的に社会福祉概論と重複し、
            実践論的に社会福祉援助技術、介護概論、介護技術I II、形態別介護
            技術と重複し、主体論的に老人・障害者の心理、精神保健、医学一般と
            重複します。この事は、体系が未完成であるという意味ではなく、各領
            域が有機的に関連している事を意図的に表しているものであると捉える
            べきでしょう。介護福祉士という国家資格が歴史的に生成されてきた経
            緯を考えるならば、良くも悪くもこの資格が老人福祉に重点化したもの
            である事は疑いの余地がありません。逆に言えば、老人福祉論の学習を
            核にして少しずつ関連領域に拡げていくと、効率良く学習できるかもし
            れません。前者については後述します。

        ・もう少し時間があれば良かった。
        ・研修後も資料、テキストを使用し自習していけるような内容の方が良かった。
         資料だけでは理解しにくく、テキストも併行して学びたかった。「資料の○○
        はテキストの○○ページ」というものがほしかった。
         (ツ)レジュメ各論には、テキストの対照ページを記載いたしましたので、自
            主学習の際にお役立ていただければと思います。各論を進めていくうち
            に、骨格としてお話申し上げた事の意味をご理解いただけるのではない
            かと思っています。

        ・流れに時間を取りすぎているかな・・・と。ポイントの部分を講義してほしか
         った。
         (ツ)ポイントの部分とは「各論のポイント」の事ですね。この点については
            まとめて後述します。

        ・AMと重なっているところがあり、各論のポイントをもっと詳しくやって欲しか
         った。
        ・各論のポイントの解説を重視してほしかったです。
        ・特になし。資料があってわかりやすかったです。
        ・特になし。
        ・レジュメに沿っていくのは良かったが、一緒にテキストを開き、もう少し細か
         く説明をいただきたかった。
        ・傾向と対策について話してほしかった。
         (ツ)いわゆる受験対策予備校的なイメージを持ってこの講義に望まれた方か
            らは、同様の感想を得ているものと思います。この事についての当方の
            考えはまとめて後述します。

        ・教科書の内容と並行して話して欲しい。前おきが長かった。適度に休憩を入れ、
         時間配分をして。
        ・教科書を使用してほしい。
        ・高いお金を出して教科書を購入しました。せっかくだから、もう少し教科書を
         使っていただきたかったです。自分で時間配分が苦手だと分かっているなら、
         もっと授業内容に工夫はできなかったでしょうか?レジュメが中途半端で終わ
         っていますが、どうするつもりなのでしょう。
         (ツ)当方なりに迷いましたが、最終的には「はじめに」と「骨格」を優先す
            る事としました。正直に申しますと、各論が時間切れになる事は半ば確
            信犯的でした。その代わり、レジュメはこれ自体で自己完結している内
            容にしました。あとでテキストと対比して自主学習いただく事を想定し
            ています。もっとも、レジュメを活用するかしないか、活用するとして
            どのように活用するかは各位の判断に委ねます。また、後のフォローと
            して随時質問を受け付けるため窓口を設置いたしました。これも、ご活
            用になるかどうかは各位の判断に委ねます。

        ・老人福祉論についての意見ではないが、ケアマネの質の悪さには閉口する。実
         践経験のない方が良いプランなど立てられるはずもないし、特に在宅の場合、
         ヘルパー経験を必ず積んだ方にプランを立てていただきたい!! まだまだ根
         本的に直していく事項があります。
         (ツ)現場で矛盾に直面し、いろいろ思われる事は分かります。ただ、ケアマ
            ネジャーの資格条件として訪問介護員の実務経験を求める事は困難では
            ないかと考えます。同様に、資格条件としてすべてのケアマネジャーに
            看護資格を求めたり、社会福祉士資格を求めたりすることも困難ではな
            いかと考えます。現時点で、自らのかかえる現場においてケアマネジャ
            ーが本来の仕事をしていないという場合、もし当該ケースにチームケア
            の一員として参加しておられるならば、どうすればそのケアマネジャー
            が本来の役割を果たす事ができるか、チームケアスタッフの一人として
            自分には何が出来るか?という思考もまた専門職として必要ではないか
            と考えます。あるいは、ケアマネジャーが本来の役割を果たせていない
            原因が、そのケアマネジャー個人の資質に因るのではなく、制度そのも
            のの矛盾に因るという事もあるかもしれません。その場合は、介護の専
            門職として、いかに制度を正していくか(専門用語でソーシャル・アク
            ション等と言います。社会福祉援助技術のテキストを参照下さい)、そ
            のために自分には何ができるのかを考えるという姿勢も求められるので
            はないかと思います。根本的に正していく事がたくさんあるというご意
            見には賛成です。

        ・なんとなく難しく思えたけど、義父がなくなり、我が子が障がいを持っていた
         りと家庭の中は渦を巻いていますが、自分のために受講しました。ありがとう
         ございました!!
         (ツ)いろいろ大変な中をご参加いただきありがとうございます。あなたのよ
            うな方が、受験のために無為な時間を費やさずにすむようにしたいとい
            う思いで、今回の講師を引き受けました。今さらこんな事を人に聞けな
            いと思わず、疑問に思われる事はなんなりと当方宛お尋ね下さい。念の
            ため申しますが、相談には一切費用はかかりません。安心してお問い合
            せ下さい。

        ・もう少し中身を濃くして欲しかった。
         (ツ)すでに学習を深めておられる方にとっては、物足りない内容であったと
            思います。

        ・各論のポイントはうれしい。
        ・レジュメは分かりやすく、使いやすくて良かったが、早口でもないが、もう少
         し聴いている方のペースにもあわせて進めていただきたかったです(講義にな
         れていないのですみません)。
         (ツ)むしろ、当方が本講座の講師に慣れていない事が原因です。申し訳あり
            ません。アンケート結果はインターネットで公開する他、参加者各位と
            主催者サイドにお渡しいたします。次年度の講師依頼が来るかどうかは
            分かりませんが、またお引き受けする事があれば、ご指摘の点の改善に
            努めます。

        ・各論のポイントの説明が聞けなくて残念でした。
        ・例えば・・・、が多すぎて、遠回りして、話しが分かりにくい。
        ・時間配分をきちんとして下さい。
        ・骨格の部分がなんとなく理解できたので、3時間の講義にしては十分ではない
         かと思います。
        ・はじめにと老人福祉論の骨格の話が長いように思った。
        ・模擬試験と各論を中心に進めてほしかった!
        ・せっかくですが、ほとんど聴かずに自主学習しました。老人福祉論の講義とし
         ては、骨組みなどしっかり説明され良いと思うのですが、介護福祉受験講習と
         して来ているので、もっとポイントを押さえて幅広く話してほしい。



    (塚本コメント)

     今回の講義をお引き受けするに当たり、専門職としての介護福祉士を育てる目的で講義
    をするのか、国家試験合格者を多く出すために受験予備校のような講義をするのか、自分
    に問いかけてみました。当方がお引き受けできることは前者であり、後者ではないという
    結論に至りました。それでもよいと主催者の方よりご了解をいただいたので、お引き受け
    する事にしました。
     しかし他方で、以前から介護福祉士国家試験を受験する現場人のために勉強のお手伝い
    をしてきた体験として、「どんな勉強の仕方をすればよいのか」、「どうすればこれだけ
    たくさんの事を覚えられるのか」という質問を数多く受けてきており、具体的な内容に入
    る前段階で悩んでいる人が多い事も知っていました。せっかくその人なりに勉強しても、
    なかなか成果が得られず、失敗体験を繰り返す。できればそのような無駄な時間は、なる
    べく少なくしてあげたいという気持ちも当方にはありました。
     なかなか両立しない要請の狭間で、出来上がったレジュメと講義計画はどっちもつかず
    の中途半端なものになってしまいました。この事について、参加された皆様にはとても申
    し訳のない事でした。
     当方なりに考えて出した結論は、まず第一に、対象をあまり勉強していないか、勉強の
    仕方が分からない人に重点化し、「はじめに」でこれからどうやって勉強していくかの具
    体的なイメージを持ってもらえるようにする事でした。これにより、よりレベルの高い人
    のニーズが切り捨てられる恐れがあったため、それらの方々のニーズは質問票と講義後の
    相談窓口設置で対応する事としました。第二に、本講義でいう「各論のポイント」は、受
    験産業流のオーソドックスな講義形態でやり過ごすこともできる内容だったのですが、そ
    れを求める事ができる人というのは、実は自分のニーズを自己認識できている方であり、
    そのような講義を受けるまでもなく自己学習が可能な方でもあると考えました。そこで、
    小手先の豆知識の詰め込みではなく、速効性はないものの将来個々人が自分なりの「老人
    福祉論」を獲得するために必要な基本的枠組みの説明に重点化し、次いで時間の許す限り
    個別の重要事項について順番に解説、基本的枠組みのどの部分に呼応する内容かを一つ一
    つ確認しながら進める事を考えました。結果的には「各論のポイント」にほとんど全くと
    言ってよいほど触れる事ができなかったため、この点については成果を上げる事ができま
    せんでした。しかし、前述の通り、レジュメそのものは自己完結した内容にしてあります。
    各位がレジュメの狙いを理解して活用されれば、相応の成果を上げる事ができるものと思
    います。
     不慣れな講師による不十分な講義ではありましたが、お付き合いいただいた事に感謝申
    し上げます。また、このような形で勉強の機会をいただけました事につき、宮田先生、そ
    して福祉カレッジの皆様に御礼申し上げます。




    補足 講義当日に受けた質問と回答

    問 個人的に福祉は最終的に国が責任を持ってすべきという思いを持っているのですが、
      措置から契約へという国家的背景の意味を教えて下さい。国から民間に降ろした事に
      よる矛盾が、介護保険法の中で出てきているように感じています。今回の報酬改定に
      おいても改悪ないしよりわかりにくくしたという思いの中で働いていますので・・・。

    答 とても難しい問題で、なかなか簡潔にはお答えできません。一つ指摘申し上げるとす
      れば、「措置から契約へ」という事と「国(ないし行政)から民間へ」という事とは、
      必ずしも不可分一体ではありません。例えば、北欧諸国はほとんど措置制度が残って
      いますが、株式会社など民間が福祉サービスを担っている場合があります。つまり、
      正しい答えを見つける前に、問いそのものが本当に正しいのか見直してみる必要があ
      るかもしれません。本年4月の報酬改定にはいろいろ問題があるというご指摘は、当
      方もその通りだと思います。さまざまな矛盾の中で現場の実践者としてご苦労がおあ
      りかと思いますが、お互いあきらめずに、そしてできれば楽しく仕事をしていきたい
      ものですね。



    問 介護保険の住宅改修費の額は、市町村によりばらつきがあるのですか?

    答 基本的に介護保険法による住宅改修費で市町村格差はありません。制度的には市町村
      特別給付等で保険者ごとに個別設定できる余地はあるかと思いますが、事実上そのよ
      うな対応をしている自治体はまずないものと思います。もっとも、介護保険法以外で、
      都道府県や市町村によりバリアフリー化に伴う補助制度などがあり、その限りで市町
      村格差が発生するという場合はあり得ます。



    問 養護老人ホームの入所申請は、市町村ではなく直接施設に対して行うのではないです
      か?

    答 特別養護老人ホームの場合、介護保険法上の介護老人福祉施設として利用する際には、
      市町村ではなく直接施設に対して申し込みますが、養護老人ホームの場合は介護保険
      法上の施設ではありませんので、介護保険法の「母法」(レジュメの各論のポイント
      を参照下さい)である老人福祉法上の措置として、市町村に対して申請する事となり
      ます。特別養護老人ホームの場合であっても、介護保険法上の介護老人福祉施設とし
      てではなく、老人福祉法上の施設として利用する場合(虐待事実が確認された場合の
      一時避難の利用など)は、老人福祉法上の措置として、市町村に対して申請する事と
      なります。







      
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