2003.8.18


ペルーの旅その10
マチュピチュ遺跡の入り口に住んでいる、やさしくて大きな犬、チャップリン。リャマは仲良くなるのが、難しかったけれど、チャップリンは誰とでも仲良くなれる。チャップリンのたぶん、それが仕事のひとつでもあるのだろう。
マチュピチュの夜、新月だった。お星様は空をうめつくすほど。一生分のお星様を見たのじゃないかと思うほどで、天の川は雲のように見える。あまり星の数が多くて、星座を見分けるのがむずかしいほど。阪根さんが「「インカの人たちは、星をむすんで星座を見るという見方ではなく、星のないところの黒い空の部分の形を、いろいろな動物に見立てるというようなことをしているんだよ。陰の部分は、自分たちが生きていく上で、とても大切なものだという見方が、インカでは身に付いていたのだと思うよ」と教えてくれました。星空の下で、友達のちょんみさんの歌「イマココニイルヨ」を歌いました。
朝6時に、マチュピチュの門があく。チャップリンはもう、そこで働いている。夜にてつやさんと話をする機会があった。「僕、ずっとかっこさんに聞きたいことがあった。心がつらくてたまらない子供たちがたくさん、いるよね。僕は、何ができるだろうと思うことがある。周りの大人にも、かっこさんは何を伝えていきたい?」いろんな話を互いにしているうち、てつやさんが泣き出す。ふだんの哲也さんは28歳とは思われないかもしれない。それはたぶん、大人の人と、対等に、そして、まっすぐに責任を持って生きているから。この晩の話のことを私は忘れることがないだろう。てつやさんは限りなく、優しく、そして、温かく、強く、そして、限りなく熱い、すばらしい青年なのだとさらに実感した。
夜明けの光はまず、西側の遠い山の先を照らしていく。少しずつ少しずつお日様の光が、マチュピチュに広がっていく。寒くてたまらずふるえていた身体が、お日様があたったとたんに、まず、心の部分から温まっていく。そして、お日様の温度が体中に広がり、幸せな気持ちもまた、広がっていく。太陽の力の大きさをしみじみと実感する瞬間だった。気が付くと、周りの人みな、お日様に手を合わせている。どこの国の人もそうだ。
マチュピチュの日の出。マチュピチュ全体が光をあびて、輝き出す。