mouitido nimotu to hikouki


「小さなかばんじゃとても無理でしょう。ほとんど自分で持つようなことはないんですよ」とお世話をしてくださる小林さんが教えてくださったのです。父に借りようかな、どうしようかなあと迷いながらデパートに大きな旅行鞄を見に行きました。お店やさんにはすごくたくさん鞄が並んでいました。うれしいことにちょうどバーゲンで半額セールだったのです。だからなおのこといっぱい並んでいたのかもしれません。ちょっとみてみようと思ってひとつさわったら、なんだかとても重いのです。からっぽでこんなに重いんじゃ大変・・とその横に並んでいる違う鞄にさわってみました。今度のは聞いたこともないメーカーだったけれど、鞄についている紙に「一番軽くて丈夫です」と書いてありました。それは願ったりかなったり・・そして本当に軽かったのです。棚からすっと滑り落ちてくる感じだったので、すぐにこれにしようと決めました。たくさんの鞄がまざって流れてくるときにすぐに自分のだとわかるようにショッキングピンクのベルトも一緒に買いました。
 家に帰ると小林さんからツアーに参加する人に向けて書いてくださった持ち物リストが届いていました。「ケニアの朝晩はとても冷えるからセーターとジャケットを用意してください」と書いてありました。セーターとジャケットをいれるときっともうそれだけで前に用意した鞄ははち切れそうになるでしょう。大きな鞄を買ってよかったとほっとしました。
 「虫除けに蚊取りせんこうを持ってきてください」最近テレビで"外でも電子蚊取りせんこう"というコマーシャルを見たのを思い出しました。コードがなくても電池で動く蚊取りマット・・そうだ、あれを買ってこよう・・ホームセンターに行くと、その製品は今年出たところだそうなのに、幾社からも同じような蚊取りマットが出ていました。86時間効果があるもの。20日間効果があるもの。60日間効果があるもの・・キャンプや草取りのときにとても便利そうです。私は20日間のにしました。透明の青いプラスチックの容器の中の小さな扇風機みたいのがとても可愛かったから・・家に帰って、キティちゃんのシールを貼って、手作りのビーズのストラップをつけたら、もう可愛くてしかたがない私だけの電子マットになりました。おっちょこちょいだから車みたいな大きな物だってよその人のと間違えてしまう私。自分のだとわかるようにというよりは、他の人のを間違えて持ってきてしまわないように自分仕様に変えておくことが私にとってはとても大切なのです。
 それから旅行の本もいくつか読みました。「ペットボトルの空を持っていくこと。アフリカで売っている水は2リットル入りだから持ち運べない。炭酸飲料のが堅くて壊れにくくて便利」あわてていつもそんなにも飲まない炭酸飲料を買いに行きました。そうしたら、炭酸飲料にピンクの可愛い桃の形のビーズがついているペットボトルをみつけました。可愛いのに弱いのが私の欠点?のひとつかもしれません。それをうれしくなって買いました。そのペットボトルは途中にウエストのように引っ込んだところがあって、そこにそのビーズの飾りが付くようになっているのです。帰ってからもっと飾りをつけたくなってピンクの髪飾りをくっつけたので、これも私仕様になりました。その他にも「アフリカのホテルはすぐに明かりが消えます。懐中電灯とろうそくを持っていくと便利です」「ウエットティッシュやマスクが必要です」・・・どんどん荷物が増えてきて、大きな鞄もどんどんいっぱいになる一方です。
 ところで私は飛行機に乗るのは、便利だったりいつもは見ることができない景色が見えたり、楽しいこともいっぱいあって好きだけど、飛行機が揺れたりガクンと下がったりするのはすごくすごく苦手です。怖くてしかたがないのです。
 このあいだ小松飛行場から島根へ行く便に乗りました。すごくおもしろくて少し怖い経験をしました。びっくりがいっぱい・・小松飛行場から東京以外へ行くとき、たいていは羽田へ出て乗り換えということが多いので、少し便が遅れるととてもはらはらします。次の便に乗れなくなってしまうから・・だから、島根へ直接行ける便はとてもうれしかったです。でも「島根に行く飛行機はとっても小さいよ」って聞いていました。大きいから安心ってことは決してないのだけど、小さい飛行機ってどんなだろう・・揺れるのかしらってとても心配でした。
 「搭乗手続きを終えた方は入り口でお待ちください」というアナウンスがあって、12,3人くらいの人が集まったら、係りの方が「ご案内いたします」とおっしゃいました。ここからいつもの飛行機とは少し違っていました。みんなで係りの方のあとをついていくと、通ったことのない階段を降りました。そして入り口から外に出て歩いていくと、そこに本当に可愛い飛行機が止まっていました。プロペラがついていて、外国の俳優さんが降りてこられる専用飛行機に似ています。(これに乗っていくのかな?とっても小さいけど、本当にこれなのかな?)そしてその通りでした。飛行機のふたがあいていて、そのふたの裏側にはなんと階段がついています。それが一人やっと通れるような入り口でした。頭をかがめて中へ入ったら、突き当たりに計器がたくさん並んでいる操縦席が見えました。客席と、カーテンでしきられているようでしたが、そのカーテンは開けられていました。客席は片側が一列、そしてもう片側が2列、お客さんが19人乗れる飛行機だということでした。私の席は一番前でした。そこから操縦席には手が届きそうなくらいの距離です。スチュワーデスさんはおられなくて乗組員さんは操縦士さんがお二人おられるだけのようです。おひとりが空のお天気の様子や出発時間についてお話をしてくださいました。計器は丸いものや四角い物や長細い物などいろいろで、一つ一つが何か大切なことを表しているのでしょうか。ボタンはそれこそ無数にあって、天井まで続いています。あんなにたくさんあったら隣のボタンと押し間違えたりはしないかしら?もし間違えてしまったらどうなるのかしら?なんて自分があんまりおっちょこちょいだからいらないことまで心配になってしまいます。操縦士さんはハンドルとそれから自動車のギアみたいなものを動かしました。当たり前のことかもしれないけれど間違いなくこのお二人が操縦しておられるんだと動いている飛行機の中で感じるのはなんだかすごいことでした。私の頭の中でやっぱり物が空を飛んでちゃんと目的地に着くということがやっぱりわかっていなくて、実際に目の前で操縦が行われているのを見るのはすごく不思議な感じです。飛行機はそうして空に飛び上がりました。お二人がお互いににっこり笑い会っておられたから、ああ、安心していいんだなとほっとしました。途中で飛行機は雲の中に入って、前がすっかり見えなくなりました。きっとコンピューターか何か作動してるんだ・・ナビみたいなものがあって、雲の中でもどこにいるのかわかるんだとそう思っても、こんなふうに操縦席の近くで見ていると、すぐに自分の気持ちと置き換えて考えてしまうから、車の運転をしていて、霧の中に入ったら、いくら車のナビがついていてもとても怖くて危ないから、やっぱり雲の中ってきっととても怖いんじゃないんだろうかとまたいらないことを考えました。そしてこのお二人は本当にすごい方だなあ・・今飛行機に乗っている10人とちょっとの人の命をそれこそ今にぎってるんだなあと思いました。そしてお二人を後ろから見ていると、ちょうど夕日がさしこんでああ、後光が差しているようにすら見えるのでした。(よろしくお願いします)と拝みたくなるようなそんな気持ちすらしてくるのです。
 1時間ちょっとで出雲空港に着きました。到着するとまた操縦士さんのおひとりが「ごくろうさまでした。ただいま出雲空港に到着しました」と言いました。どこからともなく拍手が起こって、みんなが口々に「ありがとうございました」と言いました。本当に私にとってもそれは実感でした。
 飛行機ってすごい・・出雲行きはそうしみじみ思った旅でした。アフリカ旅行にはあんまり関係ないけれど、もうすぐアフリカへ行くんだなと思ったら、どんな飛行機に乗るのかなと興味津々だったり少し不安だったりするのでした。

ahurika he