
発熱は外敵(ウィルスや細菌)に対する防衛反応です。
生命力の旺盛な小児期には成人では考えられないほどの高熱が出ます。
逆に、生まれたての新生児や高齢者では免疫力の低下のために、感染症にかかっても高熱が出ない場合があります。このような場合は重篤なことが多く、いわば「戦わずしての敗北」すなわち死を迎えるのです。発熱は外敵と戦うために必要な環境です。勝利に導くためにはむやみに熱を下げてはいけません。多くの場合、体温の上昇期は震えや顔色不良があり重症感がありますが、上がりきってしまえば、かえって楽になります。それを解熱剤で下げると、体温は一時下がりますが、病気の勢いが強ければ再び体温は上昇しその時に辛い思いをします。
当院の方針は、「高熱によって日常生活に支障がある時だけ、解熱剤を使用してもよい」と指導しています。日常生活に支障がある時とは、「眠れない時・水分を摂れない時」です。食欲がないのは全く気にしなくてよいのです。外敵と戦っている時は生命を維持する機能を守るのが本能です。食べなくても水分が摂れていれば、生命は維持されます。無理矢理に食べさせないようにしてください。食欲がないのは、腸管への血流を脳や心臓、肝臓、腎臓へ向かわせるための生体の防衛反応なのです。
合い言葉は「睡眠と水分」です。この二つが最も重要なことです。この二つに支障のない限り解熱剤は必要ありません。
入浴にこだわるのは、日本人がお風呂好きの証拠です。短時間に皮膚を清潔にし、湯冷めをしないようにすれば、たとえ高熱であっても入浴は差し支えありません。それを守れますか?ただ、それだけです。
しかし、極端な考え方は受け入れられにくいので、当院では「37.5℃までで、元気がある時は入浴してください。それ以外は暖かい部屋で身体を拭くだけにしてください」と指導しています。
違います。動物の医者がいるわけでも、動物の病気を診るわけでもありません。
人間のお医者さんが、人間の赤ちゃんからお年寄りまでを診ています。
なお、ぬいぐるみは置いてありますが、診ていません。
推薦図書:「とん とん とん」 「かばた医院のひみつ」