wireless LAN 無線 LAN

 電波を使って LAN を形成するもの,手頃な価格で簡単に構築できるが,暗号化は難しく,費用もかかる。 電波は室内なら 20m,見通しの良い屋外なら 100m くらい届く。 共通の無線周波数を用いてデータの送受信を行なう。 ノートパソコンの普及とともに,様々な場所でインターネットを使いたいという要望が高まったのも普及の理由一つ。 セキュリティーに関して,強い懸念が持たれていたため 802.11 規格と WEP が作られ, 現在は IEEE 802.11b という国際規格が主流。 通信速度は最大 11Mbos,実効5Mbps で,上流が ADSL 程度なら問題ない。 パソコンに接続するアダプターが数千円,家庭内の基地局となるアクセスポイントが1〜2万円である。 最近のノートパソコンには無線 LAN 内臓モデルもある。 設定には LAN の知識が必要で,情報の暗号化などの設定をしないと情報漏出の危険もある。 セキュリティに問題があるために,無線 LAN はメインネットワークのファイアーウォールの外に置くことが望ましいとされている。 物理的な特性の観点から,一般的に有線のほうが無線よりも有利で,今後は無線の活用が進むが,有線とは明確な棲み分けがなされると予測されている。 ノートパソコンでは2003年は内蔵型の『ミニ PCI』モジュールが主流になり,2003年に出荷されたノート機のうち,55%は同機能を内蔵していた。

 第1世代は,有線 LAN の代替を前提としたアーキテクチャで,有線 LAN クライアントすべてが Hub につながるスター型接続になっているのと同様,すべての無線 LAN クライアントが1つのアクセスポイントに接続される。 次世代としては無線メッシュ・ネットワークがある。

 2002年8月7日,総務省は主流の2.4GHz に加え5GHz 帯を開放すると決定。
 マンハッタンでは,10ブロックごとにおよそ60の無線アクセス・ポイントが PDA で感知でき,そのうち約半分はパスワードで保護されておらず,暗号化まで実行しているところはずっと少ないらしい(2002年10月)。
 2003年3月ジュピター・リサーチ社は,アメリカの企業の57%が無線 LAN を導入済みで,さらに22%が1年以内に導入を予定しているとの調査結果を発表。 とくに年間売上高1000万ドル未満の企業が積極的で,83%が導入済み,または計画中。 同1億ドル以上の大企業は71%が導入済み,または計画中。 有線 LAN より,低コスト,短期間で構築できるため,大企業より中小企業が先行しているとみられる。 また,大企業では無線 LAN のセキュリティーに不安を感じ,慎重になっている面がある。
 2004年2月,理経とワイコムは,北海道小清水町でイスラエルのアルバリオン社が開発した 5GHz 帯屋外用無線 LAN システム BreezeACCESS VL を使用した実証実験を開始。 基地局から 8.5km 以上離れた加入者局との長距離通信と,基地局から見通し外となる地域への無線通信実験が行われる。
 2004年4月,公正取引委員会は,パッケージなどに表記されたデータ転送速度が実際には実現できず,それに対する説明がない,または不十分であるとして,無線 LAN の製造・販売を行う事業者に対して注意を行った。 規格上の転送速度は IEEE802.11b で最大11Mbps,11a/g で最大54Mbps とされているが,実際の転送速度は 11b で数Mbps程度,11a/gでは 20数Mbps 程度。 4月12日,JEITA は 『無線LANのセキュリティ』に関するガイドラインの改訂版を作成・発行したと発表。 9月21日にジュピターリサーチが発表した米企業の無線LANに関する調査結果によると,企業への無線LANの導入は着実に進んでいる。 主な理由は『従業員からの要求が高かった』『生産性を高められる』など。 また半数が『セキュリティへの懸念』を障害としてあげたが,導入済み企業のうち,実際にセキュリティ侵害を経験した企業はわずかであった。
 2007年11月に発表された Times の委託で Sophos が実施した調査では,他人の無線 LAN にただ乗りしたことがあると答えたのは54%。 家庭の無線 LAN はパスワードや暗号で保護されていないケースが多く,近所の人や通行人が自由にただ乗りできる状態になっている。 だれかが無線 LAN にただ乗りして映画や音楽を違法ダウンロードしていれば,接続速度が低下したり,ダウンロード制限に影響する可能性がある。
 2008年3月12日,iPass はビジネスユーザーを対象とした2007年の無線 LAN および携帯電話の利用調査結果を発表。 1日当たりの無線 LAN 利用者数は,1位 ロンドン,2位 シンガポール,3位 東京。 利用シーン別では,空港が全体の45%を占め,ホテルも29%を占めた。
 2009年3月11日,日本無線は 2.4GHz 帯無線 LAN で,国内最長距離となる 62.9km・実効速度 1.2Mbps の通信に成功したと発表。 鹿児島県南さつま市と,同鹿児島郡三島村の島・黒島間で通信に成功した。

 アメリカでは,2003年に企業での導入が本格化。 アクセスポイントは,電源はイーサーネット経由で供給の天井などに埋め込むタイプが多い。 集中管理のため,無線やアンテナ部分のみを内蔵したモジュールで,アクセスポイントの機能は,ルーターやスイッチ側に装着するインターフェイスで実現するものもある。  セキュリティ上問題があるといった話が多かったが,最近では暗号化やネットワーク認証を併用することにより,適切な機器を使えば,問題はないとなってきた。

 2.4G 帯の無線 LAN は 802.11b で4チャンネル,802.11g で3チャンネしか使えない。 それゆえ,電波の到達域にそのチャンネル数以上のアクセスポイントがあると相互干渉が起こり,LAN のスループットが低下する。 特に 802.11g ではサブキャリアの衝突が発生するため,速度は激減する。 また,高い場所に設置された場合,障害物がなければ 300m ほど到達するため,問題が起こりやすく,侵入も起こりやすい。 Windows 用のクラッキングツールが登場したため,5文字のパスワードでは1日くらいのパケットを集めるとキーを解読される。


国内無線 LAN 市場
 2005年2月1日に IDC Japan 発表した国内無線 LAN 機器市場規模予測によると,2004年の無線 LAN 機器(アクセスポイントと無線 LAN カード計)出荷数は前年比37%増の485万2000台,エンドユーザー売上高は同9%増の430億円。 成長傾向は今後も続き,2008年には979万9000台,529億円に達すると予測している。 2003年〜2008年までの年間平均成長率(CAGR)は,出荷台数ベースで22.6%,売上高ベースで6.0%となる見込み。 2004年8〜9月に企業を対象に実施した調査では,無線LAN環境導入済みが51.2%で過半数を占めた。


無線メッシュ・ネットワーク(第二世代の無線 LAN)  すべての無線 LAN 機器をルータにする技術で,あらゆる無線 LAN 機器同士が接続し合い,パケットを転送する。 メリットは,アクセスポイントの負荷分散で,端末同士が通信することでボトルネックが解消され,アクセスポイントの故障などのトラブルを解消できる。 また,端末を経由することで,到達距離が延びる。


無線 LAN のセキュリティ
 ESSID と呼ばれる機器レベルの ID と,WEP と呼ばれるパスワードにより実現されているが,セキュリティレベルが低く,外部からの進入は容易とされる。 家庭で利用するのなら(十分ではないが)それなりのセキュリティを確保できるが,企業,特にエンタープライズレベルでは不十分である。 無線 LAN を企業で利用する場合には,IEEE 802.1X と呼ばれる方式のセキュリティ機能を利用して,ユーザーレベルで認証することでセキュリティを確保する。 IEEE 802.11 委員会では,Task Group i(TGi)と呼ばれる研究会で,無線 LAN のセキュリティに関する仕様の拡張が話し合われてきた。
 従来のは,WEP 方式で暗号化していたが,安全確保が不十分なことが企業の採用を妨げていた。 新しい WPA は,暗号キーを一定時間ごとに変えることなどでセキュリティーを強化できるため,新製品はもちろん,比較的最近の機種がファームウェアのアップデートで WPA に対応しつつある。
 2002年12月,気象庁や東京都庁が先週,庁内で無線 LAN の利用を相次いで停止。 東京都庁では,建設局,環境局などで複数の無線 LAN を暗号化せずに使っていた。 病院経営本部では,約80台の職員パソコンの多くが外からアクセスできる状態だった。 経済産業省では,情報システム厚生課の無線 LAN の電波が,外部から受信できる状況で,パソコンには『ハリー・ポッター』などの映画やドラマ,アイドルのビデオなど多くの不正コピーソフトが蓄積されていた。
 2004年6月,Gartner は2008年までに無線 LAN がセキュリティ上の大きな問題になるとの予測を発表。 また,2006年には無線 LAN への不正アクセスの70%が,アクセスポイントとそれを利用する PC のクライアントソフトにおける設定ミスを利用したものになると予測。
 効果は低いが安価で済むのは,ネットワークのパケットを検知する「スニファー」機能を搭載した携帯型の無線機器を購入し,無線 LAN ネットワークの周辺を歩くこと。 ただし,継続して実施することが望ましい。 費用はかかるが効果が高いのは,無線 LAN 用の不正侵入検知センサーを購入することらしい。

 無線 LAN ではアクセスポイントからはビーコンが送信されている。 その構造は先頭から,『FCS,TIM(DTIM),タイムスタンプ,SRC(自己アドレス),DEST(宛先),NID』の順である。 アクセスポイントは,端末を CAM,TAM,PSP,PSNP の4種に分けて把握している。



無線 LAN 機器
 2002年の世界の無線 LAN 機器出荷台数は約1960万台。 メーカー別の販売額は,1位 リンクシス社 3億640万ドル(14.1%),2位 シスコシステムズ 13.9%,3位 メルコ(日本)9.2%,4位 D-リンク・システムズ社 8%,5位 プロキシム社 7.9%(ガートナー社による)。
 2005年2月にインフォネティクスが発表した調査報告によると,2004年第4四半期の世界の売上高は6億1940万ドル(前期比21%減)。 メーカー別のシェアは,1位 シスコシステムズ 17%,2位 リンクシス(シスコ傘下)15%,3位 Dリンク,4位 ネットギア,5 位 バッファロー。


国内無線 LAN 機器市場
 IDC Japa によると,2002年は出荷ベースで228万6,000ユニットと前年比114.6%増となった。



Contnuous Active Mode(CAM) 起動継続モード

 パワーセーブモードに入らない,いつでも送受可能な端末。



Temporary Active Mode(TAM) 一時起動モード

 データ送信をしてきた端末で,その後一定時間起動状態を継続する状態(モード)。 この端末宛のデータを受け取ったアクセスポイントは,少しでも起動中に届くように優先して送信する。



Power Save Polling(PSP) パワーセーブポーリングモード

 アクセスポイントから端末をポーリングして,蓄積データを送る方式。 端末は,ビーコンの周期に合わせて受信モードになり,その TIM で自分宛の情報をアクセスポイントが持っていると知ると,アクセスポイントをポーリングして通信データを受け取ります。 また,ビーコン時に DTIM が入ると,受信状態を継続して同報データを受信する。



Power Save Non Polling(PSNP) パワーセーブポーリング無しモード

 PSP の手順から TIM を抜いたもので,個々の端末宛の情報も DTIM の部分で宛先を示し,指定された端末は受信状態を継続しアクセスポイントからのデータを受け取る。



TIM トラフィックインデケーションマップ

 無線 LAN でアクセスポイントから端末に送信されるビーコンの一部。 または,そのプロトコル。 バッテーセーブに重要な役割を果す。


「無線LANのセキュリティ」に関するガイドライン
 2003年8月に JEITA から発行。 無線 LAN のセキュリティ機能設定を行なわないまま使用したために,通信内容を盗み見られたり,PC に侵入されるケースを懸念したもの。 無線 LAN の専門知識の無いユーザーでも簡単・確実にセキュリティ機能設定が行なえるように,無線 LAN アクセスポイントと無線 LAN 端末の対応を示している。


「無線LANのセキュリティ」に関するガイドライン,改訂版
 2004年4月12日発行。 初期セットアップ中に必ずセキュリティ機能に関する設定画面を通過するように変更し,WEP・TKIP・AES などの暗号化機能の設定を促す。 暗号化機能を有効にしないで初期セットアップを終了した場合,ユーザーに警告する。 初期セットアップでユーザーが意図してオフに設定しない限り,使用時には機器ごとにユニークな暗号化キーを使った暗号化機能がデフォルトでオンになる。 などが特徴で,2005年4月1日より適用開始となる。



Wireless LAN Authentication and Privacy Infrastructure(WAPI)

 中国の独自無線 LAN 規格。 2004年6月1日から中国内での採用が義務付けられる予定だったが,アメリカの通商当局関係者と面談により中止された。 この規格の詳細な情報は一部りの中国の機器メーカーにしか開示されておらず,外国の企業は中国ベンダーと契約して技術ライセンスを受けるか,中国市場から距離を置くかしかなかった。



World Wide Spectrum Efficiency(WWiSE)

 テキサス・インスツルメンツ,エアゴー・ネットワークス,ブロードコム,コネクサント・システムズ,欧州の ST マイクロエレクトロニクスなどが構成する無線 LAN の団体。
サイト:
http://www.wwise.org



TGnSync

 アセロス・コミュニケーションズ,シスコシステムズ,インテル,フィリップス,サムスン電子,三洋電機,松下電器産業,東芝,フィンランドのノキアなどが参加している無線 LAN の団体。
サイト:
http://www.tgnsync.org



WiFi SiStr
 無線 LAN の電波強度を小さな棒グラフで常時表示できるフリーソフト。 2006年4月9日 v1.0.2290.9756 が公開,対応 OS は Windows 2000/XP/Server 2003/Vista。
サイト:http://www.dnsoft.be



無線 LAN 接続切替ツール
 複数の公衆無線 LAN サービスを一括で管理し,自動ログインができるソフト,非商用の個人利用に限り無償。 アクセスポイントの ID や WEP キーといった接続情報は,本ソフトが自動で設定し,複数のサービスで電波が同時に検出されたときに,優先して接続する順位を指定することが可能。
サイト:http://www.netvision.co.jp



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