SirCam,W32.Sircam,TROJ_SIRCAM

 2001年7月中旬に発見されたウイルスの特性を持ったワーム。 2001年8月末までに230万台のコンピューターに感染。 経済的損失は10億ドルといわれる。 友人からの電子メールを装って届き,添付ファイルを開くと活動を開始。 ランダムに選択された件名の付いた電子メールメッセージに添付されてくる。 メッセージ本文もやはりランダムに選ばれ,文頭と文末の行は,英語版ではかならず「Hi! How are you?」と「See you later. Thanks」に, スペイン語版ではかならず「Hola como estas?」と「Nos vemos pronto, gracias」になっている。

 これが活動を開始すると,自らを『c:\Recyled\SirC32.exe』としてコピーし, 同時に『SCam32.exe』というコピーをウィンドウズの System フォルダにも作る。 『SirC32.exe』ファイルは,実行可能(.exe)ファイル起動時のデフォルトのコマンドとしてレジストリーに登録され, 『SCam32.exe』ファイルはドライバーとして登録されることで,システムが再起動されるとこれも一緒に起動する。 次に,Outlook の「アドレス帳」に載っているすべての電子メールアドレスと「Temporary Internet Files(インターネット・キャッシュファイル)」フォルダの中のウェブページの電子メールアドレスを取り出してリストにし, System フォルダ内に『scw1.dll』などといった名前のファイルを作る。 それから,感染したコンピューターのハードディスクと,そのコンピューターがアクセスしている全ドライブをスキャンする。 「マイドキュメント」フォルダの中身を調べ,『.doc』,『.zip』,『.jpg』といった特定の拡張子を持つファイルのリストを作り, そこから無作為にファイルを1つ選び出すと,電子メールにそのファイルと自らのコピーを添付して送信する。 つまり,感染したコンピューターにあるファイルを使って,電子メールの件名,本文,添付するテキストを作成する。 その際,独自の簡易メール転送プロトコル(SMTP)エンジンを使ってメールサーバーに直接接続し,ドキュメントとウイルスを添付した電子メールを, 先に作っておいたリストに載っている全アドレス宛に送信する。 このとき1通ごとに件名や添付ファイル名を変える。
これにより,ウクライナ政府の機密文書や FBI から個人情報などがメールで外部の送られた。 また,組み込まれている電子メールプログラムは,偽のアドレスを作成できるとも言われる。

 通常のワームと異なる点は,感染したパソコンの「ごみ箱」のなかに入り込む点である。 また,ネットワークリソースを探して,接続されているシステムにも増殖する。 さらに,パソコンに秘密の設定をした上,偶然いくつかの条件がそろうと,破壊的な行動に出る。 33分の1の確率で,ハードディスク内の未使用スペースをテキストで埋め尽くして占領するか, あるいはハードディスクの中身を全部削除するか,そのいずれかをランダムに選ぶ。 感染したパソコンにヨーロッパ式の日付表示(日/月/年)が設定してあると,20分の1の確率で, 10月16日にハードディスク上のあらゆるファイルとフォルダーを削除してしまう。
 なお,ワクチンにより SIRCAM.A,TROJ_SIRCAM.A と表示される場合もある。

 ウイルス対策ソフトウェア企業の英ソフォス(Sophos)社によると,サーカムは2001年7月に報告のあった全ウイルス感染件数の65%を占めた。 同社がウイルスの追跡調査を開始した1998年以来,この記録に匹敵する数字を示したウイルスは他にない。 他のウイルス対策企業のリストからも同様の傾向がうかがえる。 英メッセージラボ社や米セキュリティーポータル社の史上最も活発なウイルスの被害リストでは,サーカムが大差でトップにランクされている。 これはつまり,サーカムが信じられないほど蔓延していて,正体を見破られにくいウイルスだということになる。 あるいは,サーカム以上にマスコミを騒がした以前のウイルスは,大半の電子メールユーザーには大きな影響を与えていなかったとも言える。



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