アメリカの特許
アメリカでは2003年後半から,首をかしげたくなるような特許の数が急増しており,ソフトウェア業界の関係者にとってもこのまま放ってはおけない状態になりつつある。
そのため,ソフトウェア業界はアメリカの特許制度の徹底的な見直しを求め始めた。
1990年代前半もハイテクブームで,特許商標庁は対応しきれなかった。
特許制度に過大な負担がかかり,個々の出願を厳密に審査する時間がなかったのが原因。
本来なら,米特許商標庁の審査官が出願された特許を検討する際に,先行技術がないか徹底的に調査するのが理想。
だが,特許出願の急増(この10年間で倍増し,年間35万5400件にまで達している)により,審査官は調査に費やす時間を大幅に削らざるを得なくなっている。
ソフトウェア特許は,審査官にとって前例となるような既存の特許があまりないことも問題。
また,審査官はノルマを達成するために,できるだけ多くの出願を受理する傾向もあるらしい。
この複雑な例外規定は,米国企業が海外メーカーに『コンポーネント』を出荷することを禁じている。
外国メーカーがそれらのコンポーネントを組み合わせて,米国の特許を侵害する機械を作る可能性があるというのが理由。
しかし同法は,理論的には外国企業による同一製品の開発を促す可能性がある,設計図の提供は禁じていない。
多くの評論家は,特許を保有する企業が,『パテントトロール』と呼ばれる行為を働き,保有特許を侵害していると訴えた企業から,不相応な多額の和解金を得るために,差し止め命令を脅しに使っていると批判してきた。
アメリカの特許制度
1952年以降,大幅改正はない。
1999年の改正では,18ヵ月を経過したすべての特許出願の登録前公開を行なうことになった。
特許保有者に特許侵害の可能性があるとして訴えられた企業には,3つの選択肢がある。
特許を侵害していないことを証明するか,使用料と引き替えにその技術をライセンス供与するよう特許保有者と交渉するか,そもそも特許が認められたことが間違いだと証明するかである。
まず,特許保有者はすでに認可を受けているので,証明義務は被告にある。
したがって,多くの企業は,たとえ自社が正しいと信じていても,1件につき被告・原告それぞれに200万ドル近くかかる特許訴訟の費用を避けるだけのために,たいていはライセンス料を払う。
最後の,再審査の請求には法律により一定の制限が課されている。
1981年以来,再審査の請求は2004年までに6932件しかなく,91%は再審査が認められたが,完全に取り消されたものは479件で,部分修正されたのは3061件だった。
2007年4月30日,米連邦最高裁判所は,特許をめぐる裁判に適用されてきた法的基準について,これを覆す判断を担当裁判官の全員一致で下した。
連邦法には,同分野で『平均的な能力』を持った人なら誰でも考案可能と思われる発明には特許を付与できない,と明記されている。
しかし,発明は自明だと後から主張するのは簡単なことから,連邦巡回控訴裁判所(CAFC)は1982年,より客観的な結論を出せるようにするため,法的テストを設けた。
この基準では,発明を自明だと断定するには,平均的な能力を持った人なら発明に用いられている特定の要素を組み合わせることを考えついたはずだと証明する『教示,示唆,または動機』が存在しなければならないと定められている。
この自明性テストを満たすには,実際には書面による証拠が必要なことから,自明だとの主張のあった特許でも,これを覆すことは困難になり,しかも,この基準のおかげで,米特許商標庁からの特許の取得は容易になった,と批判されていた。
早期審査制度
米特許商標庁(USPTO)が2006年8月に導入した,特許の早期の権利化を目的とする審査。
早期に審査を進めるために,出願人が先行技術に関する資料などの調査を行い,先行技術との差異などを説明する必要があるが,審査の結果が特許出願から12カ月以内に出される。
米改正特許法成立『America Invents Act』
2011年9月16日,Barack Obama 大統領が署名し,正式に成立。
米国の特許制度の有効性と公平性を高めることを目的とした様々な施策が盛り込まれている。
国特許商標庁 (USPTO) により多くの資源を割り当て,さらには品質管理プロセスを向上させることにより,特許品質の改善を図る取り組みがある。
また,現在は特許申請から取得まで,平均で3年を要しているが,これを1年以内に短縮させる新たな優先審査制度も設けられている。
さらに同法により,米国の特許制度は『先発明主義』から『先願主義』に移行した。
アメリカの旧特許法とサブマリン特許,潜伏型特許
アメリカは先発明主義で,特許権が成立するまでは非公開で,特許の成立から17年有効。
サブマリン特許とは,取り合えず出願し,次々と修正を行うことで,意図的に特許の成立を遅らせ,その技術が成立したのを見計らって成立,
特許権侵害で訴えるというもの。
あるいは,特許技術を購入して辛抱強く持ち続け,その技術が市場に浸透したら権利を主張する手法。
急に現れた潜水艦が(特許権という)魚雷で攻撃してくる事からの呼称。
特許法の改正前に出願されたものには,以前として潜行中のものもある可能性がある。
それまで成立後17年間有効とされていた規定が,移行規定により出願日から20年も選べるようになった。
すでに事実上の標準技術として広まっているライセンスフリーの技術について,特定の企業がいきなり特許所有の表明とライセンス料の要求を開始した例としては,Unisys の GIF 問題が記憶に新しい。
United States Patent and Tradmark Office(USPTO) 米特許商標庁
出願されたものの未処理のままになっている件数は,2004年現在50万件。
同庁の予算の削減がこのまま続けば,2008年までに未処理件数は100万件に達するらしい。
審査官はソフトウェア特許の場合は,出願1件につき30時間を審査に費やしている。
審査官は1年に30万件の出願を審査し,各々の出願書類には25ほどの項目がある,訴訟になるのはそのうち年間で数千件。
3600人の現職審査官に加えて,今後5年間で2900人の審査官を新規採用する案や,出願プロセスのオンライン化を進める計画などが提案されている。
サイト:http://www.uspto.gov
2004年の企業別年間特許取得件数は,1位 IBM 3415件(12年連続首位),2位 松下電器産業 1759件,3位 キヤノン 1774件,4位 ヒューレット・パッカード 1992件,5位 マイクロン・テクノロジー 1760件,6位 韓国サムスン電子 1707件,7位 インテル,8位 日立製作所,9位 東芝,10位 ソニー。
2006年1月10日に米特許商標局が発表した2005年の米国特許取得件数の番付(暫定)では,1位 IBM 2941件,2位 キヤノン 1828件,3位 ヒューレット・パッカード 1797件,4位 松下電器産業 1688件,5位 サムスン電子 1641件,8位 日立製作所,9位 東芝,10位 富士通。
2006年の特許取得件数は,1位 IBM 3651件(14年連続トップ),第2位 サムスン電子 2453件,3位 キヤノン 2378件,4位 松下電器 2273件,5位 Hewlett-Packard 2113件,6位 Intel 1962件,7位 ソニー 1810件。
2007年に米特許商標局が企業に対して発行した特許は15万7284件。
IBM が前年から500件減となったものの3148件の特許を取得し,15年連続で首位。
国別では,上位25社のうち日本が13社と最も多く,米国は7社,ドイツが2社,韓国が2社,フィンランドが1社。
分野別では半導体関連が4187件,個別の回路やデバイスなどのアクティブソリッドステートデバイス関連が3855件,通信関係が2783件と件数の上位3位に。
2008年の米特許は15万7774件,1位 IBM 4186件,2位 Samsung,3位 キヤノン 2114件。
2010年に米特許商標局が企業に対して発行した特許は過去最多の21万9614件で,前年と比べて31%増加。
IBM が5896件取得し,18年連続で首位。
2位 Samsung(4551件),3位 Microsoft(3094件),4位 キヤノン。
これにパナソニック,東芝,ソニーが続き,これらのほか50位までに日本企業15社がランクインしている。
国別では,米国が50.3%で最も多く,2位が日本(21.3%),3位が韓国(5.4%),4位がドイツ(5.2%),5位が台湾(3.8%)だった。
2012年1月11日,特許件数を調査している IFI Patent Intelligence は2011年に企業に対して発行した特許は過去最多の22万4505件で,前年と比べて2%増加したと発表。
企業別では,1位 IBM 6180件,2位 Samsung 4894件,3位 キヤノン 2821件,4位 パナソニック 2559件,5位 東芝2483件,Microsoft 6位,Apple 39位。
Public Patent Foundation(PUBPAT) 公的特許財団
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