アメリカの携帯電話事情

 初期モデルは自動車電話として売り出されたため,人気は今ひとつ。 携帯電話分野では長い間,アメリカはヨーロッパやアジアとくらべれば落ちこぼれだと思われてきた。 しかし,通信事業者のインフラ投資が成長の大きな要因となり,2003年には格差は大幅に縮まっている。 特に,写真やテキスト・メッセージなどを送れるデータ・サービスが大きな意味合いを持ってきている。 利用者数は2002年で1億3800万人だが,ワイヤレス・メッセージングのユーザーは,全体の10%にも満たない。 月額50ドル程度で1日平均20分程度の通話料金が含まれているプランが一般的だが,受信でも課金されるものが多い。
 2002年にはアメリカの8〜12歳代の21%がすでに持っており,2002年のクリスマスに多くが欲しがっている。 さらに固定電話から携帯電話に乗り換える顧客が相次いでいるため,市内電話かけ放題のサービスを提供する会社にとって,需要は堅調に推移している。 ただし,大都市圏の限られるなど不便さはある。 ワイヤレス電子メールの数は,2001年6月 300万通,2002年6月 約10億通だった。
 携帯電話加入者数は1993年から2003年の間に3400万人から1億5900万人へと300%以上増加し,それに伴い携帯電話のマナーが問題化している。 それに比べると日本では礼儀正しい使用に関する問題はある程度解決しているとみなされている。

 サービスには,ベライゾン・ワイヤレス社,スプリント PCS社,T モバイル社,AT&T ワイヤレス・サービス社,シンギュラー・ワイヤレス社などが参入している。 シンギュラー・ワイヤレス(2位)が,AT&Tワイヤレス(3位)を買収。 加入者数が約4600万人となり,業界トップになる。 2位に転落したベライゾン・ワイヤレスは約4200万人。
 アメリカでの携帯電話の使用期間は平均18ヵ月らしい。 2002年の調査によると1ヵ月当たりの携帯電話での通話時間は,男性の方が女性より約50%多い。 家庭用電話での通話時間は,2001年に女性の方が男性より52.6%多かったが,2002年はほぼ同じとの結果だった。
 携帯電話業界が料金値下げ競争のまっただ中で,業界内の競争が激化し,さらに他社への乗り換えを容易にする新しい規制の発効が目前に迫っていることから,携帯電話会社は,割安な料金プランや携帯電話の無料提供などのさまざまな特典を準備して,既存顧客の引き止めと新規顧客の誘い込みに懸命になっている。 顧客は,契約が切れるとき契約を継続する代わりに特典をアップグレードするなど,通常の規定よりも有利な条件を引き出しているが,こうした交渉ではつねに顧客が有利な立場にある。

 2002年,市場投入を急ぐあまり欠陥製品が発売され,それがゲーム業界に打撃を与えているとの批判がされた。 ベライゾン・ワイヤレスや T モバイル USA,それに AT&T ワイヤレス・サービスのデータサービス・オプションではゲームが圧倒的な人気を集めているが,インターネット接続が切れたり画面が消えたりするなどの欠陥がある。 また,ノキアは2001年と2002年,何千台もの製品をリコールした。
 2002年ごろより,学生,大学を卒業したばかりの若者,それに若いビジネスマンの間で携帯電話だけで生活する人々は増えている。 引越しごとの番号の変更も起こらない。 ただし,帰宅時に留守電をチェックする楽しみはなくなる。
 ボルティモアの調査会社コンテキスト社が行なった文化人類学者による消費生活のトレンド調査によると,携帯電話は10代の若者の社会生活にとって最も重要な手段となり,携帯電話を持っていない者との友だちづきあいを避けるという結果が出た。 つまり,友だちづきあいは,携帯電話の電波が届く範囲にいさえすればこと足りるものになった。 それは,実際に会うことと携帯電話で話すことの間にほとんど差はないと感じている事に現れている。
 2002年夏に行われた,アトランタ,マイアミ,サクラメントの10代約800人の調査では,毎月の電話代は平均約50ドルだった。 10月では,98%の消費者は電話だけに使用しているが,毎日500万から1000万通のショート・テキスト・メッセージも送信されている。 そして,カラー液晶画面の機種に乗り換えるために,買い換えが始まっており,2002年から2006年の間に33.6%の成長が見込まれている。
 J・D・パワー&アソシエーツ社によると,機種を変更するまでの期間は2000年の16ヵ月から,2002年では18ヵ月になった。 携帯電話機の平均小売価格は,1999年の100ドルから2002年では75ドルになり,契約時に無料携帯電話機の利用を申し込んだユーザーの数は,2000年の18%から2002年には28%に増加した。 購入にあたっては,デザイン,特定の機能,使いやすさ,バッテリー寿命,耐久性などが考慮され。 人気があったメーカーは,1位 三洋電機,2位 モトローラと韓国のサムスン電子,3位 京セラ・ワイヤレス。
 特定の状況では携帯電話を使用すべきでないという考えが携帯電話のユーザーの間に浸透してきており,2002年にはこれに賛同する人が米国民の49%に上った。 映画館の中で電話に出てもよいと考える携帯電話ユーザーは,2000年は11%,2002年は6%だった。 2002年12月18日,ニューヨーク市議会はコンサート会場,映画館,劇場,講演会,ダンス公演,美術館,博物館,図書館,画廊など公共イベント会場での携帯電話使用を禁止する条例案を可決した。
 2003年12月5日に LG モバイルフォンズが発表した調査結果によると,女性の約3人に1人が,夫や交際相手の携帯の通話履歴を,のぞき見たことがあると回答。 調査対象は,16歳以上の米国人802人。
 2004年6月28日,シンギュラー・ワイヤレスは,米国では女性より男性の方が携帯電話の使用時間が長いことが分かったと発表。 月平均で男性は445分間,女性は391分だという。 調査対象は,全米の1035人(男499,女536)。
 2004年10月20日に TNSテレコムズが発表した調査報告では,アメリカの家庭の携帯電話料金は月平均69.94ドルだった。
 2005年2月に The Diffusion Group が発表した携帯電話サービスの最新利用事情などを調査したレポート US Mobile Markets: Analysis & Forecasts によると,3G の普及よりも,引き続き第2世代携帯電話サービスに勢いが見られる。
 2006年11月28日,YouTube と第3世代携帯電話における動画コンテンツ利用について提携を発表。
 2007年3月27日に NPD Group が発表した調査結果では,2006年の合計販売台数は1億4300万台。 売り上げはおおよそ88億ドル。 楽曲再生が可能な電話端末は,第4四半期に販売された端末の32%を占めていた。 Bluetooth機能を搭載した携帯電話は,第4四半期は販売された端末の約半数を占めた。 シェアは,Motorola 33%,Nokia やサムスン電子,LG 電子はそれぞれ約15%。
 2008年12月17日に米疾病対策予防センター(CDC)が発表したデータでは,携帯電話のみを所有する米国の世帯は17.5%だった。 CDC が今年1月から6月にかけて実施した『National Health Interview Survey(NHIS)』による。 成人のみの世帯では携帯電話しか所有していない率が高かった。
 2011年7月5日,comScore は米国のモバイル市場に関する調査結果を発表。 メーカー別のシェアは,1位 Samsung 24.8%,2位 LG Electronics 21.1%,3位 Motorola 15.1%,4位 Apple 8.7%,5位 Research in Motion(RIM)8.1%。 プラットフォーム別では Android 38.1%だった。
 2011年9月26日,Nielsen が発表した調査結果では,米国のスマートフォン所有者のうち43%が Android デバイスを使用。 ここ3か月で新規にスマートフォンを購入した人を対象にした調査では半数を超える56%が Android デバイスを選択していた。
 2011年10月,米携帯電話業界団体 CTIA は米国の携帯電話保有台数は,合計で3億2,760万台に達したと発表。 調査によれば,米国成人は複数のスマートフォン,タブレット端末を保有しているため,携帯電話保有台数が人口を上回る結果となったという。
 2012年3月6日,comScore は米国のモバイルマーケットに関する調査結果を発表。 スマートフォンユーザーが前回の調査時から13%増加し,1億人を超えた。 端末のメーカー別シェアは,1位 サムスン 25.4%,2位 LG エレクトロニクス 19.7%,3位モトローラ,4位アップル,5位 Research in Motion。


アメリカの子供の携帯電話
 2007年12月3日に Nielsen が発表した調査結果では,『トゥイーン』と呼ばれる8〜12歳の年齢層の子供のうち,35%が携帯電話を持っており,通話以外の用途として,20%がテキストメッセージングを,5%がインターネットアクセスを使用している。 モバイルインターネットを利用するトゥイーンのうち,41%は通学などの移動中に,26%は友人宅で利用。


アメリカでの携帯電話上でのゲーム利用者
 2004年7月に Yankee Group が発表した調査結果 U.S. Mobile Entertainment Survey では,アメリカにおける携帯電話上でのゲーム利用者は,女性 58%,男性 42%だった。


ワイヤレス・アンバー・アラート
 アメリカの携帯電話業界が2005年5月17日に導入した,子供が行方不明になった時に捜索に協力するため,警察などから要請が入り次第,ユーザーへ一斉にメールを発信,情報提供を呼びかけるシステム。 当初は主要携帯電話会社9社が参加,最大で1億8200万人のユーザーが捜索に協力することになる。
サイト:http://www.missingkids.com



携帯の緊急通報位置追跡システム

 ニューヨーク州では E911 システムと呼ばれるもの,アメリカの28州がなんらかの形で導入している(2003年)。 ニューヨーク州は1991年以来 E911 の配備のため,州の住民の携帯電話の請求書すべてに追加料金として税金を上乗せし,2003年までに2億ドル以上を徴収。 約2000万ドルは現行のシステムのメンテナンスに使われたが,1億6200万ドル近くが『流用された』という。 ニューヨーク州の会計検査課による監査では,,州警察の各署で,ドライクリーニング代,ボールペン代,交通費,レンタカー代,署内の敷地整備代,冬用のブーツ代にされていたらしい。 同様の流用は,カリフォルニア州では5300万ドル,オレゴン州では900万ドル,ロードアイランド州では1000万ドル,ノースカロライナ州では500万ドル,ワシントン州では600万ドルにのぼるらしい。


E911
 日本の110番通報(警察),119番通報(消防)に当たる,米国内で用いられる緊急通報ダイヤル。 固定電話から発信すると,緊急オペレーターには自動的に発信者の位置情報を特定して通知する仕組みなどが備わっている。 またはそれに用いられる,半径90m の精度で携帯電話の位置を特定可能にする技術(のアメリカでの呼び名)。 FCC はすべての通信事業者に対し,2005年までに緊急電話番号である 911 に電話をかけた携帯電話の位置を警察から把握できるよう要求している。
 2005年5月,米連邦通信委員会は,米国内で提供されている IP 電話サービスに関して,E911 への対応を義務付ける方針を明らかにした。
 2007年8月30日,これに違反した(導入期限を守れなかった)として,携帯キャリアの Sprint Nextel,Alltel,United States Cellular に対し,総額282万5000ドルの支払いを求める告示が発行された。



  • Local Number Portability



    The Wireless Foundation ワイヤレス財団

     米国セルラー通信・インターネット協会(CTIA)が設立した団体。 いくつかの携帯電話会社はこのもとでリサイクルプログラムを運営している。
    サイト:
    http://www.wirelessfoundation.org



    ReCellular Inc. リセルラー社

     1991年設立,ミシガン州 Dexter。 ワイヤレス財団と関わりのある携帯電話会社からも使用済み携帯電話を回収。 その数は,1日当たり15,000〜20,000台で,75%が第三世界の携帯電話会社に販売される。 売上代金の70%が携帯電話会社に渡される。
    サイト:
    http://www.recellular.net



    Nextel Communications ネクステル・コミュニケーションズ社

     アメリカの中堅携帯電話の会社,ヴァージニア州 Reston。 2002年5月1日から無制限のウェブ接続サービスを開始。
     2004年2月6日,FLASH-OFDM 方式を採用した,第3世代携帯より高速の無線データ通信サービス『ネクステル・ワイヤレス・ブロードバンド(http://www.nextelbroadband.com)』の試験サービスを開始すると発表。 12月15日,スプリントとの合併を発表。 2004年9月末のユーザーはスプリント2320万人,ネクステル1530万人。
    サイト:
    http://www.nextel.com



  • スプリント PCS 社
  • Verizon Wireless 社



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