the real time operating system nucleus(TRON) トロン
東京大学の坂村 健が,1982年の日本電子工業振興会で,新しい国産マイコンの開発を提案。
オープンなオブジェクト指向や10秒以内に起動するマルチタスクのリアルタイム性,拡張性,漢字・外国語の処理能力を目指していた。
1984年には国産 OS として提唱,開始されたプロジェクト。
『すべてのものにコンピュータが組み込まれる未来』を当初から想定し,『交信能力を持った超小型チップをあらゆるものに入れて,実世界の状況を認識したコンピュータ群が,共同して人間生活をサポートする』というビジョンの実現を目指してきた。
こうしたシステムを TRON プロジェクトでは『どこでもコンピュータ(Computing everywhere)』,『超機能分散システム』と呼んでいたが『母国語は気恥ずかしく,未来を感じられない』(坂村教授)ということで,ゼロックス パロアルト研究所のマーク・ワイザー氏が1991年に提唱した『ユビキタスコンピューティング』という呼称が,現在では定着したとしている。
組込用プロセッサ54億台の約半分に使われているなど,組み込み分野で標準となっているリアルタイム OS。
プロジェクトとしては,組み込み機器用 OS の ITRON,コミュニケーションマシン(PC など)用の BTRON,サーバー用 OS の CTRON といったリアルタイム OS のプロジェクトのほか,32bit CPU の標準を開発する TRON Chip,ユーザインタフェース標準化などの技術プロジェクトがある。
また,TRONプロジェクトによる技術の応用として TRON HOUSE,TRON 電脳自動車,TRON 電脳都市といったプロジェクトを同時進行し,ITRON などの技術プロジェクトにフィードバックを図った。
ログラミング言語や OS のシステムコールなどの外部インターフェイス仕様を無償でオープンに,OS などのシステムの実装はクローズドにして,競争を図り,利益を出せるようにしている。
TRON の意味は,リアルタイムで情報処理を行うための,OS の核になる部分。
すべてのコンピユーターの基本ソフト(OS)を共通化し,メーカー,機種を問わず,互換性の実現を目指す。
これを支える MPU(TRON Chip),機械の中に組み込む A-TRON,パソコン用の B-TRON,
大型コンピューター用の C-TRON,ネットワークの調整を行うための M-TRON などがあり,すべてリアルタイム OS が採用されている。
主要メーカーなど 100 社が参加して TRON 協議会を組織,各種トロンの試作を行って,まず B-TRON の開発に漕ぎつけた。
1989 年,間組などが,TRON 電脳ビル構想を打ち出した。TRON 電脳ハウスのモデルもある。
また,技術試験衛星「きく7号」には宇宙線対策されたトロンチップ GMICRO/200 が搭載されて地球の周りを回っているらしい。
2004年10月,産業交流展2004 での 2004年東京都ベンチャー技術大賞での表彰式で,石原都知事は『TRON PROJECT には,当時の橋本龍太郎通産大臣が米国の圧力に負けて,握り潰してしまった過去がある』と発言。
2007年5月にトロン協会が発表した,『2006年度組込みシステムの技術動向,利用動向に関するアンケート調査報告書』と『トロン仕様関連製品実態調査結果』によると,『システムに組み込んだ OS の API』は,56%が ITRON 仕様および T-Kernel。
組み込みシステムのプログラムサイズの遷移は,1M バイト以上のものが年々増えている。
組み込みシステムに使用されたプロセッサは,SH,H8,ARM,PowerPC を中心に多種類にわたっている。
過去5年間の推移では,ITRON TCP/IP API の比率が年々拡大し,2002年の11.2%から2006年には23%になっている。
TRON Chip
究極の 32 bit の CISC を創るプロジェクト。64 bit への拡張も考慮した設計となっている。
日本の複数の大手半導体メーカーから出荷されている。
Industrial TRON(I-TRON)
1987年に仕様が発表された,機器組込用のリアルタイムカーネル(OS)。
リアルタイム性能を最優先に設計されている。
日本の組込み用 OS の半数以上が I-TRON である。
サブプロジェクトとして,I-TRON のサブセットとしての μI-TRON,ファイルシステムの I-TRON FILE などがある。
IEEE Computer Society から仕様書が出され,世界各国でリアルタイム OS の教科書として使われるなあど,産業界でリアルタイム OS の標準仕様として確立された。
Business TRON(B-TRON)
パソコン用 OS。
486 DX にメモリ 16 MB といった,今となっては非力な環境でも快適に運用することができるシンプルでコンパクトな OS。
コミュニケーションマシン用 OS として,PC などで利用するため「人間と機械の接点」として規定され,マンマシンインターフェイスに注力されている。
インターフェイスの仕様は GUI だけでなく,物理的なスイッチにも及び,その例としては,エルゴノミック配列でデジタイザを装備した TRON キーボードがある。
Human-Machine-Interface(HMI)を重視して設計され,
実身-仮身モデルとし,ハイパーテキストにも似たネットワーク型のファイルシステムを採用。
この HMI を TRON 作法という。
膨大な漢字を扱える文字コード体系を採用。
これは古今東西の全ての文字をコード化したもので,
Windows や MacOS では扱うことのできない多数の文字を扱えることが特徴。
データーは Tron Application Databus と呼ばれる形式で扱い,全てのアプリケーションが同じデーターを扱えるようになっている。
全ての実身/仮身には付箋(プロパティ)を付加することが出来,その一種として機能付き付箋(スクリプト)を添付する事が出来る。
これを組み込んだパソコンが 1991年に発売された。
CEC の推奨パソコンとして採用される予定だったが,アメリカからの圧力により採用されなかった。
1989年,B-TRON が日本の学校向けのパソコンへの導入が考えられたが,アメリカの反発により実現しなかった。
米国製 OS の日本市場への参入を妨害するものとして圧力を受け,教育用コンピュータとしての採用が見送られ挫折,Windows などの OS との標準化競争にも敗れた。
挫折の原因として,米国のグローバルスタンダードに追従したがる日本人の傾向があげられている。
B-right/V R3
PC/AT 互換機で動作する BTRON3 仕様の OS。
Communication and Central TRON(C-TRON)
フレーム用または通信制御用の OS。
HMI がなく,リアルタイム性能重視の点から,I-TRON を高度化した様な OS。
1998年現在,電話交換機に使われている。
Entity TRON(eTRON)
情報流通のためのセキュリティ基盤,128ビット長の ID を使う。
eTRON/16-AE45X
YRPユビキタスネットワーキング研究所/東大/ルネサステクノロジの ID タグで,接触/非接触の両インターフェイスに対応し,EEPROM,ROM,RAM,暗号コプロセッサなどを搭載する。
M-TRON
1998年現在,計画の方向性が変わり,名前も変わっている。
J-TRON
リアルタイム OS である I-TRON と,Java の実行環境を融合した次世代のリアルタイム OS の仕様。
1997年に発表。家電製品や携帯端末機用のリアルタイム OS として実績のある I-TRON OS と,
ポータビリティ(移植性)に優れた Java を組み合わせることにより,
従来の I-TRON 仕様 OS を採用していた機器でも,ユーザインターフェイスの設計やハードウェア制御において,
広く普及した Java が利用可能になる
T-Engine
TRON キーボード
TRON OS で推奨されるキーボード。
エルゴキーボードと呼ばれるタイプの配列を採用しており,人間工学的に使いやすいと言われている。
数千台作られ,そのうち半分は米国で販売。
その後,これから1990年代のエルゴノミクスキーボードが出てきたらしい。
TRONSHOW2003
一般公開は2002年12月12日〜14日, 東京・ラフォーレミュージアム六本木。
主催,トロン協会・トロンシンポジウム実行委員会・T-Engine フォーラム・TRON イネーブルウェア研究会。
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