supercomputer スーパーコンピューター

 高速演算ができ,主として科学技術計算(特にベクトル計算)を目的とするコンピューター。 メインフレームに高速演算装置の一種であるベクトル・プロセッサーを追加した形のものから, コンピューターの機構自体を高速演算向きに設計したものまでを含む。 おおざっぱには大型コンピューターの 100 倍くらいの処理能力がある。 浮動小数点実数(小数部と指数部の積で表した実数)に関する演算をきわめて高速で反復処理できる。 天気予報,コンピューター・グラフィックスの計算,大規模なコンピューター・シミュレーション,天文学, 高エネルギー物理学の大規模科学計算などの応用分野で活躍している。 独力でプログラムを作成できるユーザーが多いため,普通の企業が使うようなたくさんのソフトウェア・パッケージは必要ない。

 1970年代はクレイリサーチ社を代表とする,アメリカの企業が優勢だった。 日本では NEC,富士通,日立製作所の3社が,スーパーコンピューター事業を手がけ, 1980年代後半には本体性能ではアメリカの各社を抜き去った。 その後,アメリカの各社は並列コンピューターを投入し逆転に成功。 1999年現在,スーパーコンピューターの応用ソフトは大半が欧米のもので,計算速度もアメリカ企業が優位である。 2002年から10年間は,日本とアメリカの間で,いかに大量のプロセッサーを動かすかの勝負になると見られている。 2003年7月,米下院科学委員会は,米国内のスーパーコンピューティングの現状に関する公聴会を開催。 そこで,連邦政府機関はグリッド・コンピューティングとクラスターの開発と配備に力を入れすぎで,スーパーコンピューターの開発に十分な投資を行なっていないという批判的な意見が出された。 2004年,Flash mobs で即席のスパコンをつくる試みがなされた。 9月,IBM が開発中の製品が 36TFLOPS を記録して地球シュミレーターを追い抜いた。

 これを使った共同プロジェクトは,実施可能と判断されたにもかかわらず,次から次へと問題が発生し,改善を求める声があとを絶たないのが通り相場だった。
 自動車事故のコンピューター・シミュレーションや航空力学のモデリングは数理モデルが非常に複雑で,数百ないし数千のタスクに分割され,これらのタスクを個々のプロセッサーに割り当てるソフトウェアが使用され,1台のバーチャルなスパコンを構築している。



ASCI ホワイト
 ローレンス・リバモア国立研究所のスーパーコンピューター。 用途は機密扱いの兵器の研究に限られている。



テラスケール・コンピューティング・システム(TCS)
 ピッツバーグ・スーパーコンピューティング・センターに2001年10月1日に設置完了したスーパーコンピューター。 その時点で,ASCIホワイト に次ぐ世界第2位で,演算能力は6テラフロップス。 プロトタイプは256基のプロセッサーを搭載し,エンジニアがハードウェアのコンポーネントをテストする目的で試作された。 最終的には2728基のプロセッサーで構成される。


スーパーコンピューティング技術産業応用協議会
 2005年12月15日に『研究グリッド産業応用協議会(http://naregi.jeita.or.jp)』と『戦略的基盤ソフトウェア産業応用推進協議会(http://www.fsis.iis.u-tokyo.ac.jp/promconf)』が統合して発足,同日現在,計140社・機関が参加。 グリッド産業応用部会,先端ソフトウェア産業応用部会,スーパーコンピュータ部会,スーパーコンピューティング施策部会といった4つの部会が設置される。



ベクトルプロセッサー,ベクトル処理

 科学技術用の数値計算等に適したプロセッサで,浮動小数点演算をパイプラインで並列処理し,大規模な数値計算を高速かつ大量に行うことができる。 科学技術計算で特に時間がかかる,配列データ構造の演算に向く。 2000年の段階では,時代遅れで,費用がかかりすぎるとして,アメリカの多くのメーカーやスーパーコンピューター設計者が放棄した技術。


ベクトル型スーパーコンピューター
 これが強みとする大規模シミュレーションの例には,地球温暖化予測に使われている大気大循環モデルがある。 計算機の中で流れの様子を高速に追うには,FFT のようなベクトル型の計算機が得意とするアルゴリズムが必要になる。
 消費電力など運用コストの高さが問題として指摘されることもあるが,実は計算結果が同じであれば,実行効率も同様である。 また,ベクトル型計算機はプロセッサ当たりの処理速度がスカラー型計算機よりも速く,並列化に必要なプロセッサの数が少なくて済むため,故障する確率が低い。

 1990年代半ばに SGI 社はクレイ社を買収すると,即座にベクトル型スパコンの開発を打ち切り,独自のスパコン技術に力を注ぎ, 同時期に,残る唯一のベクトル型スパコン開発企業だった日本の NEC の製品に454%の関税が課されたため,アメリカでベクトル型スパコンを購入するのはほぼ不可能となった。 アメリカはこの間,クラスター型に集中した代わりに,スパコン技術における世界のリーダーとしての地位を失い,一方の日本は世界最速・最強のスパコン『地球シミュレータ』の構築に取り組んだ。 結局,ベクトル型スパコンの市場は,NEC とクレイ社だけが取り扱う狭い市場に縮小した。 2004年現在,多くの人がクラスター型コンピューターはベクトル型コンピューターが現在処理している問題のほぼすべてを処理できると考えているが,ベクトル型スパコンの一部ユーザーは,特定の種類の問題はベクトル型でなければ解決できないと述べている。 今後,ベクトル型スパコンが生き残るかどうかは,アメリカ政府の判断によるとされ,どんな値段でもアメリカ政府がベクトル型スパコンを購入するのであれば,完全に姿を消すことはありえないと言われる。



High Performance Parallel Interface channel(HIPPI)

 スーパーコンピュータと周辺機器間の高速データ転送のために開発されたインターフェイス。 ANSI X3T9.3 として標準化されている。



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