robot ロボット

 自動的に動き,人間が行なうような方法で作業をこなす機械。 産業用ロボットの大部分は,おもに自動車産業などの組み立てラインで使用されている。
 この言葉を最初に使ったのは,チェコの劇作家カレル・チャペックで,1921年に書いた機械仕掛けの奴隷たちが人間の主人に対して反乱を起こすという筋書きの戯曲『ロッサムの万能ロボット』(R.U.R.)に由来している。 これには『奴隷』という意味が込められていた。 この概念はアイザック・アシモフ(1920〜1992)の SF 小説『私はロボット』で広がる。
 日本でロボット開発が盛んなのは『人とモノを対立させず,協調させる伝統』があるからだと言われる。 この,ロボットが仲間という発想は欧米にはないと言われるが, 日本にこのような発想を植え付けたのは『鉄腕アトム』ではないかと思われる。
 一方,キリスト教では『人は神の似姿』とされ,その人間を模倣する機械は,欧米では反発を招くと思われている。 また,ヨーロッパの文化は精神と肉体の二元論が主流だが, 人型ロボットは,『フランケンシュタイン』のよな,『精神のない肉体』を連想させるので, 倫理・道徳的な議論が起こるかもしれないと見る向きもある。
 1960年代,テレビを見た人々は,21世紀には『宇宙家族ジェットソン』に登場したお手伝い『ロージー』のような家庭用ロボットが家事をこなしてくれると想像した。 1980年代の子どもたちは,合体や変形で強力なマシンになるロボットに夢中になった。 2000年代のロボットは宇宙家族ジェットソンが描いた現実に近づき,掃除をするロボットや,芝を刈ったり飲み物を給仕するロボットなどが開発された。 しかし,次世代代のロボットは,トランスフォーマー(自己変形ロボット)に近いものが主流になるかもしれない。
 また,コメディ・セントラルと TNN は,Battlebots とロボット・ウォーズというリモコン式戦闘ロボットが互いを破壊し尽くすコンテストのもようを放映している。
 2004年になり,アメリカでは自走式芝刈りロボットが普及し始めている。

 周囲の環境に対応できるロボットの設計手法にはソニーの『アイボ』で象徴される,伝統的な『知能を持った』ロボットを作るアプローチと, 周囲の環境に単純に反応する回路を組みあわせるアプローチがある。
 1998年メリーランド大学のコンピューター研究者たちは,もしロボットが全方向を見られるなら,他のセンサーが全くなくても進行方向が決定できることを数学的に証明。 2003年,複数のカメラですべての方向を見られるようにすると,方向探知能力が飛躍的に向上するという研究成果がニュー・サイエンティスト誌(http://www.newscientist.com)に掲載された。 この『目』には,ギリシャ神話の巨人,アルゴスにちなんで Argus eye(アーガス・アイ)というニックネームがつけられた。
 MIT 電気工学部の大学院生である Sommer Gentry 氏は,ダンスパートナーを優しくリードして踊れるロボットの研究開発に取り組んでいる。 ダンスパートナー間のコミュニケーションを分析することから取りかかり,すでに音楽に合わせた手の動きでリードできるロボットが初期の完成段階にある。
 2007年12月14日,NEDO 技術開発機構,産業技術総合研究所,日本ロボット工業会はロボット用ソフトウェアのモジュール化に関する標準仕様が国際標準化団体 OMG で採択されたと発表。
 2008年4月4日,経済産業省の外郭団体である機械産業記念事業財団(TEPIA)は次世代ロボットの導入がもたらす社会経済効果の試算を公表。 高齢者の自立生活支援をもたらす社会保障分野,現役世代の労働参加促進をもたらす労働力分野,担い手不足の問題に直面している産業の人員補助と代替促進をもたらす産業分野について経済効果を算出。 社会保障分野では,2025年に2兆1200億円の抑制効果。 産業分野の経済効果については,2025年には,次世代ロボットにより352万5000人相当の労働力補完,代替が可能だと試算している。


移動型ロボット
 市場は,2005年 100万台程度から,2006年には400万台を超えて,市場規模は数十億ドルになるという予想されている。 期待されるロボットの用途としては,家事,農業の支援,子供の遊び相手,病人や老人の介護,警備業界や軍隊の補助,人間の輸送手段など。


家庭用ロボット
 2004年10月に発表された,国際連合がまとめた報告書によると,芝刈りや床掃除など,家事をこなすロボットの普及が今後ますます進み,2007年には台数が2003年の7倍に増える見通し。 2003年末時点で使用されている家庭用ロボットは60万7000台あり,その3分の2は2003年中に購入されたもの。 うち,57万台は芝刈りロボット。


掃除ロボット
 英ダイソン社の DC06,米エウレカ社の Robo Vac,スウェーデンのエレクトロラックス社の Trilobite などがあり,米フーバー社やイスラエルを本社とするフレンドリー・ロボティックス社も開発に取り組んでいる。


ヒューマノイドロボット
 動作が複雑で多くの自由度を持つため,その学習には一般的な力学計算では莫大な計算量を必要とする。 各種の動作を行うためには,個別の動作に応じて沢山のパラメーターを設定する必要がある。


Eco-Be
 シチズン時計と大阪大学の研究チームが開発している,遠隔操作できる高さ約2.5cm の小型ロボット。 2006年3月の時点での機能は,前後に動くことと左右に曲がることだけ。


IRS-U
 日本で,消防救助活動とレスキューロボットの連携と実戦配備を目的として作られたユニット。 2006年4月23日,NPO 法人国際レスキューシステム研究機構(IRS)は,東京消防庁 第八消防方面本部 消防救助機動部隊内 立川訓練場にて『レスキューロボット実証実験及び想定訓練』を実施,報道関係者に公開。 文部科学省の大都市で大地震が発生した際の人的・物的被害を軽減することを目的とした研究プロジェクトである『大都市大震災軽減化特別プロジェクト(通称:大大特,だいだいとく)』で開発されたもの。 IRS はその中の『レスキューロボット等次世代防災基盤技術の開発』のための中核機関に選定されており,レスキューロボット,インテリジェントセンサ,携帯端末,ヒューマンインターフェイスなどの研究開発のとりまとめを行なっている。 実際にロボットを開発している関連大学・研究機関は25に及ぶ。



ロボット三原則
 アイザック・アシモフの『私はロボット』にでてくる原則。

第一条
 ロボットは人間に危害を加えてはならない。 また,危害が加わるのを見過ごしてはいけない。

第二条
 第一条に反しない限り,ロボットは人間の命令に従わねばならない。

第三条
 第一,二条に反しない限り,ロボットは自分を守らねばならない。



Intelligent Robot 知能ロボット

 人工知能(AI)の指令によって行動するロボット。 現在,産業界で広く普及している産業用ロボットの多くは,単純作業の繰り返しが多い。 それに対して知能ロボットは,より高度な知的機能を備え,複雑で柔軟な動作を行うことができる。 従って知能ロボットは,手足や指などに相当する運動機能のほか,視覚・触覚・聴覚などの感覚機能、 さらには,学習・連想・記憶・推論などといつた人間の頭脳の働きの一部である思考機能も備えているのが特徴。 運動機能として,人間の腕や指のような多くの自由度を持つ操作機構や,歩行・車輪・クローラ(キャタピラ)による移動機構がある。 これに人間並みの感覚機能や思考機能を付け加えて,ロボットがもつ周囲の環境認識,物体認識, ロボットと人間との情報交換などの機能をより高度なものにできる。 ロボットの知能化で,将来,原子炉内,海底,宇宙など人間が身をさらせない場所向きの高度なロボットの出現も期待される。



Biped Robot 歩行ロボット

 二脚(二足)あるいは多脚の,移動ができるロボット。 凹凸のある地面での移動に適した構造をもつ。 二脚や三脚による歩行は,ロボットの重心が支持面から外れる瞬間があって,本質的には不安定であるため,実用化が難しい。 四脚以上のものは静安定的移動が可能。 多くは生物の構造と動作を摸したもの(バイオメカニクス)だが, 人間のように歩く二足歩行ロボットは制御が難しい上,小型軽量でトルクの高いアクチュエーターがないため, 完全な歩行は実現したばかりである。
 2足歩行ロボットは複数の関節を持ち直列にアクチュエータを配置し,人間の歩行メカニズムに近い『シリアルリンク機構』と,複数本のアクチュエータが協調することで脚として機能する『パラレルリンク機構』がある。 多くは前者を採用している。


アシモ
 本田技研が開発した二足歩行のロボット。 名前の由来は,ロボット三原則のアイザック・アシモフ氏にちなんでいるとも言われる。 上司から『鉄腕アトムを作れ』といわれ,開発に14年をかけた。

SDR-X
 ソニーが開発した二足歩行のロボット。



Robot for hazardous enviromments 極限作業ロボット

 原子力プラントや宇宙,海洋,災害現場のように,危険で過酷な環境下で,人間に代わって作業を行うロボット。 1983年に,8年計画で,通産省の『極限作業ロボット』大型プロジエクトが始まった。 最近は,単なる遠隔操作ではなく,環境に関する知識ベースをもち,人工知能の手法を使った,学習や推論, 問題解決ができる第三世代ロボットの技術,テレイグジスタンス(高度な遠隔制御技術)などの技術が必要とされている。



自己変形ロボット

 地形や環境,作業内容に最適になるよう変形するロボット。 狭いトンネルではヘビのような形に,月面のような起伏の多い地形では多数の足を持つ形にかわるもの。 移動システムの形が一定(車輪,脚,キャタピラー)だと,ある特定の地形状況にしか適応できないのを回避するもので,すでにチェーン変形ロボット,格子変形ロボット,モバイル変形ロボットの3種が登場している。 アトムと呼ばれる個々のユニットが組変わることで形を変え,個々のアトムは演算機能,探知機能,コミュニケーション機能を有し,個別に分離・独立して動くことも,互いに結合して新しい形を作ることもできる。


格子変形ロボット
 レゴブロックのように,格子の並びの隣の位置にそれぞれが移動することで形を変えていく。



『行動型の』ロボット工学

 行動型システムは,体で直接,世界に反応するというもの。 MIT の人工知能研究所のロドニー・ブルックス氏が1986年に制作したものは,『ゲンギス』と名付けられた6本脚ロボット。 足のセンサーに接続された,単純な,独立した回路で歩行する。 センサーが地面に触れると,回路は下方向と後方へ地面を押し出す。 空中にあるときは,脚を前に蹴り出す。 それだけで,ものによじ登ったり,込み合った場所を通り抜けるという動作を,すばやく行なえた。



ロボット戦闘部隊

 完全〜部分的に戦闘ロボットを配備した部隊。 アフガニスタンで使われたプレデターが含まれるかどうかは微妙。 少なくとも,アメリカ軍は研究を進めている。
 実現には,本来思考能力を持たないハードウェアで構成された部隊が,作戦の計画や決断を行なえるようにしなくてはならない。 また,分散型の信号処理,移動する敵の動的追跡,知覚情報の保存,使用できる帯域幅の変動,ハードウェアの開発,耐障害性(敵の攻撃からだけでなく,環境に合わせて自ら防御し修復する機能),瞬時の状況把握,各ノードの協調,あるいは動的な移動環境のもと,一刻を争う情報をマルチメディアで伝達する,などの問題を解決しなくてはならない。



ロボット科学教育コンソーシアム

 イーケイジャパン,栄光,ZMP,ラーニングシステムが2002年7月に設立。 ロボット製作を通じて科学を学ぶモデル教室を開校。 構想では小学3・4年生を対象にしたレベル1から,大学生・社会人を対象にしたレベル5まで5段階のカリキュラムが示されている。
サイト:
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2002/07/25/10.html



Robot Services initiative(RSi) ロボットサービスイニシアチブ

 2004年3月24日,ソニー,富士通,三菱重工が設立を発表した,家庭向けロボットの普及促進組織。 ネットワークを介してロボットが提供する情報サービス,もしくは物理的サービスをロボットサービスと定義し,この普及促進を目的としている。



ArtBots

 ロボットはいつ凶暴化するかわからないという恐怖感や,機械に知覚能力を与えようとする技術への嫌悪感を表現しようとする団体(?)。 2003年7月にニューヨーク市で Robot Talent Show というイベントを行った。
サイト:http://artbots.org



Robot Services initiative (RSi) ロボットサービスイニシアチブ

 “人と共存するパーソナルロボットの普及”を目指して,ロボットのハードウェアだけでなく,ソフトウェアやサービスの開発・標準化の促進を目的に設立された団体。 三菱重工業,富士通,ソニーを常任幹事として,計23社・団体が参加。
サイト:http://www.robotservices.org

 2005年3月,サービス提供の基本ルートを公開して基本仕様を策定。
 2007年8月29日,産業技術総合研究所とネットワークロボットの分野において,ソフトウェアとサービスの相互接続を図ることに合意したと発表。 ロボットシステム開発用ソフトウェア『RT ミドルウエア』と,ネットワークロボット用のサービス仕様『RSi プロトコル仕様』の相互利用が可能になる。



SIGVerse(シグバース)
 国立情報学研究所が2010年3月24日に開発したと発表した,ロボットの行動をシミュレートするための仮想空間プラットフォーム。 物理シミュレーションと社会的認知シミュレーション環境を統合し,実社会に近い環境でのシミュレーションが可能。 オープンソースのシミュレータライブラリ『Open Dynamics Engine』を活用した物理・力学シミュレーション環境と,ロボットの視野にある物体を検出したり,視線情報を管理する仕組み,音声の伝わり方をシミュレートする環境を統合した『世界初』(NIIの稲邑哲也教授)の統合プラットフォーム。



  • Open Architecture Human-centered Robotics Platform 3(OpenHRP3)
  • ROBODEX
  • Robocup
  • 掃除ロボット

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