Microcom Networking Protocol(MNP)

 米国 Microcom 社が開発・提唱したモデムの通信プロトコル。 IBM に採用されたことから、モデム業界では標準規格になった。 利点は、モデム同士でエラーの発生防止をはかること、 クラス(Class)ごとに個別にデータ圧縮も可能なことである。 通常はモデム内部の ROM に書き込まれている。 MNP には機能により1〜10までのクラスがあり、発売されているのはクラス5〜10で,基本的に上位互換になっている。 現在のパソコン通信では、クラス4、5がよく使われている。 1〜4 が伝送エラーをなくすためのエラー訂正プロトコル。 5〜9 がデータ圧縮プロトコル。 10 が移動体通信用の回線状態に適応させるプロトコルとなっている。 クラス4までは,V.42 の付録として ITU-T 勧告にも盛り込まれているため, 現在リリースされているほとんどのモデムがクラス4をサポートし, クラス5をサポートするモデムも多い。 MNP 対応のモデムは,MNP 以外のモデムとも接続可能で,相手のモデムの種類,クラスを自動判別して接続する。



MNP1,NMP クラス1
 キャラクター同期をする。非同期通信で物理回線の70%ぐらいの効率。 現在では使用されていないエラー訂正プロトコル。



MNP2,NMP クラス2
 キャラクター同期をする。非同期通信で物理回線の84%ぐらいの効率。 送信された文字を受信側から送信側に送り返すし, データが正しく送受信されたことを確認すしている。 全二重通信が可能なモデムならいずれも実装が可能



MNP3,NMP クラス3
 MNP2 を改良し、同期型で処理できるようにしたもの。 これにより、データ転送のオーバーヘッドが削減できるた。 ビット単位のフレームを生成し, スタートビット、ストップビットを取り去るため、このクラスから、物理速度を上回る効率になる。 またシリアルポート(モデム〜DTE)とモデムポート(モデム〜モデム)のスピードを別々に設定できる。 物理回線の110%ぐらいの効率。



MNP4,NMP クラス4
 エラー訂正、データ圧縮用プロトコル。 送受信するデータをブロック単位にまとめ、エラーチェックを行う。 クラス3に、アクティブパケットアッセンブリ機能(伝送エラー発生類度を計算し自動的にパケット長を変動させ伝送効率を高める機能)と、 オプティマイズドデータフェーズ機能(パケットを生成する際に付加される制御情報〜ヘッダーを、毎回送らずに変化がなければ省略する機能)を追加したクラス。 物理回線の120%ぐらいの効率。



MNP5,NMP クラス5
 クラス4に、ラン・レングス手法アダプティブアクティブ・トークン・ナイジング手法という2つのデータ圧縮手法を行い、 平均値で160%の圧縮率を実現したクラス。物理回線の200%ぐらいの効率になる。 ただし、この2つの圧縮手法はテキスト送信などでは有効だが、 LHA や PKZIP 、ARJ などで圧縮されたファイルを送受信する場合はかえって無駄になり、 クラス4のエラーチェックだけの方が速い場合がある。



MNP6,NMP クラス6
 クラス5に、CCITT V.29(9600半二重)を採用したクラス。 このチップを最大限に活用するため、ユニバーサル・リンク・ネゴシエーションと、 スタティスティカル・ディプレッシングという手法で効率を高めている。 これは,通信回線の状態を検査しながら,徐々に転送速度を高速化することで, モデム+回線の状態を最高性能で利用できるようにするプロトコルである。

 ユニバーサル・リンク・ネゴシエーションとは、 クラス5とクラス6では全二重と半二重の違いがあり接続できないため、 ネゴシエーション(リンク確定動作)を、V.22bis で行い、 クラス6であることを認識した後に、V.29 にシフトする機能。
 スタティスティカル・ディプレッシングとは、半二重の V.29 で、送受信をすばやく切り換えて疑似的に全二重にみせかけ、効率を高める機能。



MNP7,NMP クラス7
 クラス5に、ターボモード(クラス7同士であると認識した時点でスループットを 1.66 倍ほど速くする機能)と、 ラン・レングス手法アダプティブ・ホフマン・マルコフモデルの圧縮手法により物理回線の300%ぐらいの伝送効率を実現している。



MNP8,NMP クラス8
 クラス6にクラス7の圧縮機能を付加したもの。 半二重のためクラス7との互換性がない。



MNP9,NMP クラス9
 9600 bps クラス全二重規格の CCITT V.32 が採用され, V.32 と V.22 との互換性を保つために、拡張ユニバーサル・リンク・ネゴシエーション技術を追加し,エラー検出が効率的になった。 さらに、クラス7の圧縮技術に加えビギーパック・アクノレッジメントとマルチプル・セレクティブ・ネガティブ・アクノレッジメントの2つの技術を採用し転送効率を向上している。

ビギーパック・アクノレッジメント
 V.32 が電話回線周波数帯のほとんどを物理的に使用しているため、アクノレッジメントを返す場合に一時的に伝送を中断しなければならないとき、 アクノレッジメントを独立パケットとして生成せず、データパケットのヘッダーに組み込むようにした機能。


マルチプル・セレクティブ・ネガティブ・アクノレッジメント
 伝送エラーの発生した場合、そのパケットの1つ前までさかのぽって、それ以降を再送していたのを、 そのパケットだけ送り、受け側で並べ替える手法。



MNP10,NMP クラス10

 このクラスは、下位のどのクラスとも互換性があり、さらに、ローバスド・オートリライアブルや、アグレッシブ・アダプティブ・パケット・アッセンブリ、 ダイナミック・スピード・シフトなどの技術が盛り込まれている。 移動体機器など(携帯電話など)、回線状態が比較的不安定な回線を 利用しても、安全に、かつ効率的にデータ通信が行えるようにするプロトコル。 MNP10では、回線の状態により、通信速度やパケットサイズを調節している。


ローバスド・オートリライアブル
 MNP モデムではないモデム接続へのバックワード・コンパチビリティを提供するとともに、 接続時の各諸悪条件をみたすためのマルチオートリライアブルを行う機能。

アグレッシブ・アダプティブ・パケット・アッセンブリ
 回線状況からパケットサイズをリアルタイムに変更しさらにそれを高速化した手法。


ダイナミック・スピード・シフト
 回線状況を判断し、最適な規格を選択する機能。 CCITT V.32,V.22bis,V.22,Bell 212A,Bell 103 から選択し、最適な速度で接続、回線が劣悪条件になった場合は速度を下位に落として安定させ、 条件が回復すればまた高速側にシフトさせる手法(ネゴシエイティッド・スピード・アップシフト)のこと。



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