Dynamic Random Access Memory(DRAM)
メモリー IC の種類を表わす用語の1つ。
DRAM は、データの保持にトランジスタではなくコンデンサーを利用しているため、集積度を上げやすく、比較的低価格で大容量のメモリー IC が製造できる。
このため、低価格が重要なパソコンのメインメモリーには DRAM が使用されている。
情報はコンデンサーに電荷が『ある』『ない』で記憶されるが、この電荷は時間とともに減少していく。
このため、データーを正しく記憶(保持)しておくため、定期的にリフレッシュという再充電を行なう必要がある。
通常、この制御はメモリコントローラーが行ない、読み出したものと同じデーターを書き込むことで行われる。
常にこの処理が行われる事から『ダイナミック』と命名された。
2002年現在は70%が PC 向けだが,今後は通信機器など,PC 以外の機器へも需要が増加し,3〜4年後には50%程度になると見られている。
DRAM で実際にデーターを保持している回路はメモリーセルと呼ばれ,アクセスがかかると1個(1 Bit)のみに読み書きされる。
このメモリーセルの縦横のアドレスが RAS と CAS と呼ばれる。
読み出しは,メモリーセルから RAS で指定された1行が読み出され,その中の CAS で指定された1Bit の内容が出力される。
日本メーカーは,当時最先端だった1MBit DRAM の開発で先行し,世界市場を制した東芝の1988年3月期の生産高は4700億円に達した,ライバル他社は次世代で主導権を取ろうと投資競争を行い,それが過剰設備と値崩れを来した。
1990年代半ばまでは世界をリードし,ピーク時は6社が生産,一時は世界市場の80%を独占していた。
韓国メーカーの追い上げ,アメリカ企業の競争力の回復などでシェアを落としている。
日本の全盛期は1985年頃までだった。
1999年,富士通が撤退し,NEC と日立がエルピーダメモリを設立。
2002年,東芝が撤退。
2003年には三菱の撤退により,エルピーダメモリに集約される。
1980年代半ばにメモリ事業から撤退した米インテルを最後に,その後アメリカのメーカーが首位に立ったことはなかったが,2001年マイクロンがドミニオンセミコンダクターを買収したことで,サムスン電子に代わってトップの座につく。
2000年の DRAM 市場のシェアは,1位 サムスン(23%),2位 マイクロン(21%),3位 現ハイニックス・セミコンダクター(19%),4位 東芝(7%)。
日本企業の敗北の最大の原因は,技術力の競争から価格競争に変わったことが見抜けなかったこと。
製造装置の高度化で,回路を焼き付ける際の手作業の微妙な調節が不要となり,同時に焼き付ける枚数も増えるなど,量産化技術も向上した。
その結果,日本の名人芸は時代遅れとなり,競争は資金力勝負となった。
海外メーカーは巨額の設備投資で大量生産を行い,薄利多売を行った。
一方,日本メーカーは資金を半導体以外の分野に振り向けたため競争力が低下した。
さらに,世界の IT 不況が重なり,パソコンつまり DRAM の販売が減り価格が暴落したのもからむ。
DRAM は単一商品としては最大の市場であるため,
商品としての半導体の性質(歩留まりが向上して増産するほどコストが下がる)から儲かるときは荒稼ぎができ,
半導体部門が総合電器メーカーの殆どの利益を稼ぐこともあった。
1990年代にも DRAM の増産は続いたが,1995年頃から設備投資がかさむようになり,
1998年頃に各社の半導体事業は軒並み大幅な赤字に転じた。
2000年,NEC,インテル,サムスン電気,マイクロテクノロジー社,
インフォテクノロジー社(独),現代(韓)など大手半導体メーカー6社は2003年以降の高性能 DRAM の規格を共同開発することになった。
この規格には CPU とのデーターのやりとりの方法,記憶素子の配線,外装の形状などが含まれる。
対応語 SRAM (Static Random Access Memory)
参照 EDO DRAM
世界 DRAM 市場シェア
1991年,1位 東芝 13.7%,2位 サムスン電子 12.7%,3位 NEC 10.6%,4位 日立 9.5%,5位 TI 8.2%
1999年,1位 Samsung 22.9%,2位 Hynix,3位 Micron,4位 Infineon,5位 NEC,6位 東芝,7位 日立,8位 三菱,10位 富士通。
2000年,1位 Samsung 22.9%,2位 Micron 20.4%,3位 Hynix 18.9%,4位 Infineon,5位 NEC,6位 東芝,7位 日立,8位 三菱,10位 Winbond。
2001年,1位 サムスン電子 27.0%,2位 マイクロン 19.1%,3位 ハイニックス 14.5%,4位 インフィニオン 9.7%,5位 エルピーダ 8.5%
IC Insights(米民間調査会社)によれば,2004年の DRAM 市場は,全世界で売上高268億ドル,市場全体で前年比61%増のプラス成長となった。
シェアは,1位 Samsung,2位 Micron Technology,3位 Hynix Semiconductor,4位 Infineon Technologies,5位 エルピーダメモリ,6位 powerchip,7位 ProMOS,8位 Nanya Technology。
DRAM の集積度(最小線幅)の変遷
年度 幅(μm) 集積規模
1974 8 4 Kbit
1977 6 16 Kbit
1980 3 64 Kbit
1984 2 256 Kbit
1987 1.2 1 Mbit
1989 0.8 4 Mbit
1991 0.5 16 Mbit
1999年から2002年にかけ Samsung をはじめとする複数の DRAM メーカーが,共謀して価格操作を行なっていた疑いで,米司法省が2002年から調査を行っている。
価格操作に関与した Micron Technology は,司法省のリニエンシー (制裁減免) 制度に応じることに同意。
この取引により,Micron は継続中の捜査に全面的に協力する代わりに,起訴や罰金,その他の処罰の対象になることを免れた。
2004年9月,Infineon Technologies が有罪を認め,1億6000万ドルの罰金を支払った。
2005年4月,Hynix Semiconductor が有罪を認め,1億8500万ドルの罰金支払いに応じた。
10月,Samsung Electronics が国際的な価格操作に加わった容疑を認め,3億ドルの罰金を支払うことに同意。
これは反トラスト法の罰金としては,米国史上2番目。
起訴状によれば,Samsung とその子会社 Samsung Semiconductor は,Hynix Semiconductor,Infineon Technologies ,Micron Technology と共謀して DRAM 製品の価格を操作し,Dell,Compaq (当時),Hewlett-Packard,Apple Computer ,IBM,Gateway に卸していた。
Samsung は競合各社と数度の会合を持ち,特定の顧客に請求する価格を協議。
同社は,この秘密の取り決めに基づいて価格相場を設定し,取り決めを監視および実行する目的で,DRAM 製品販売に関する情報を交換していたと司法省は述べている。
2006年7月,アメリカの34の州が,コンピュータメモリ製品メーカー7社を相手取り,価格操作をめぐる訴訟をカリフォルニア州北部地区連邦地裁に起こした。
訴えられたのは,Micron,Infineon,Hynix Semiconductor,エルピーダメモリ,Mosel Vitelic,Nanya Technology,NEC Electronics America で,1998年から2002年まで,共謀してメモリチップの価格を操作したとされる。
この訴訟で被告となっている企業のなかには,メモリチップの価格操作に関する米司法省の捜査の結果,数億ドルの罰金を支払ったところもある。
2006年9月21日,米司法省は Samsung Semiconductor の幹部が有罪を認め,米国の刑務所に服役することに同意したと発表。
2006年10月20日,新たに Samsung Electronics の元幹部 Il Ung Kim 氏と Young Bae Rha 氏,Hynix Semiconductor America の元幹部 Gary Swanson 氏が起訴された。
2006年12月21日,価格操作に関する捜査を進めていた米国政府は,新たに Samsung の幹部1人を起訴した。
アシンクロナス DRAM,Asynchronous DRAM
非同期タイプの一般的な DRAM を指す言葉。
単に DRAM というとアシンクロナス DRAM を指す。
Synchronous DRAM(SDRAM) シンクロナス DRAM
従来の DRAM と内部構造は基本的に同じだが,
DRAM に直接クロック信号を入力し,外部バスインターフェイスがクロック信号に同期してデータの読み書きを行なう。
従来のメモリーチップより高速なデータ転送が可能となり,従来の DRAM の倍以上のデータ転送速度が得られる。
始めはサーバ専用機のメインメモリーとして利用され,1999年現在,メモリーの主流になっている。。
ペンティアムでは1枚ずつ追加することができた。
また,ゲーム機ではセガ・サターンがシンクロナス DRAM を採用している。
RAS,CAS ピンは単独では意味を持たず,Write Enable(WE)などと合わせて SDRAM へのコマンドを構成する。
本来の意味の RAS,CAS に相当するタイミングは SDRAM の内部で生成される。
これに対応した代表的なチップセットは Intel 440BX/810/815/845 や SiS 630 など。
128Mbit DRAM と 256Mbit DRAM は仕様上の違いがあり,それぞれ ROW アドレスは12本と13本,リフレッシュレートは 4Kリフレッシュと 8K という違いがあり,256MB の DIMM モジュールになると DIMM RANK 数が 2RANK と 1RANK,使用 CS 信号が4本と2本,使用 CKE 信号が1本と2本という仕様の違いが生じる。
Intel 440BX/810/SiS 630 は 128Mbit メモリにしか対応できない。
256Mbit では,実容量の半分しか認識されないか,全く認識できない(こちらが多い)。
Synchronous Graphics RAM(SGRAM)
Synchronous DRAM にグラフィックスメモリー向けの機能を付加したメモリー。
SDRAM に1bitごとの書き込みを可能にするライトパービット機能や,
一度に一定量のメモリブロックの書き込みが行えるブロックライト機能など画像処理用の機能を加えたもの。
SyncLink DRAM(SLDRAM)
ソースシンクロナスクロッキングを採用したシンクロナス DRAM の一種。
RAM モジュールに対する指示はパケットを用いる。
データバス幅18bitで,そのときの転送レートは最大800Mbytes/sec(クロック400MHz)である。
High-speed SDRAM(HSDRAM)
米半導体製造メーカーの Enhanced Merroy System 社と Mushkin 社が発表した、PC133 メモリのハイ・パフォーマンス版とでも言える SDRAM モジュール。
同社によると,CL-2 にて 150 MHz 駆動が可能で,ASUSTek の i815 チップセット搭載マザー,CUSL 2 でクロック周波数 166 MHz・レイテンシ 2-3-2 で動作するらしい。
Old JEDEC
SDRAM の2クロックラインのタイプ。
New JEDEC
SDRAM の4クロックラインのタイプ。
こちらが一般的。
PC/100,PC SDRAM 100
Intel が策定した 100MHz バス対応の SDRAM DIMM メモリモジュールの規格。
データのスループットを向上させるために,
100MHz の FSB を採用した Pentium II に,メモリモジュール側で対応するために策定された。
PC133
クロック 133 MHz で動作する SDRAM の規格。
Column Address Strobe(CAS)
DRAM の信号線のひとつ。
RAS を指定した後にこの信号を送ると,立ち下がりエッジで指定した行アドレスのデーターが DRAM から出力される。
SDRAM 以降では単独では意味を持たない。
Cas Latency(CL),CL2,CL3
メモリーの行アドレス(CAS)を指定してからデーターが出力されるまでの待ち時間(クロック数)。
この値が小さいほど高速に動作する。
CL2,CL3 はそれぞれ,このクロック数が2,3クロックを示す。
一般に PC133CL3 は PC100 CL2 として使用可。
Row Address Strobe(RAS)
DRAM の信号線のひとつ。
メモリをコントロールする回路が,DRAM に対して行アドレス(Row Address)を与えるタイミングを伝えるための信号。
立ち下がりエッジで指定した行アドレスのデーターが DRAM から出力される。
この後に CAS が指定される。
SDRAM 以降では単独では意味を持たない。
Cache DRAM(CDRAM)
内部にキャッシュ(SRAM)を搭載し,
そこにアドレスを保存することによりランダムなアクセスに対しても高速にアクセスできる DRAM のこと。
S-DRAM が登場した頃に開発されたが,PC には普及しなかった。
Fast Page Mode(FPM) ファーストページ
DRAM におけるアクセス方式のひとつで,従来の DRAM より読み出し速度を早くしたもの。
高速ページの呼び方もあるが,あまり使われない。
今は単に DRAM と呼ぶことが多い。
パリティチェック機能『あり』と『なし』がある。
セルフリフレッシュ
DRAM 内部に内蔵した回路(タイマー,カウンター)でリフレッシュを行うこと,またはその機能。
この状態になると DRAM への電力供給のみでデーターが保持されるので,省エネルギーになる。
Intelligent RAM(IRAM)
カリフォルニア大学バークレイ校が中心に開発を進めている DRAM で,
1つのチップにマイクロプロセッサーと DRAM を統合したもの。
これによりプロセッサーとメモリー間のデーター転送速度を100倍近く早くできるらしい。
Multibank DRAM(MDRAM)
256 Kbit(32 Kbytes)のメモリセルアレイと X デコーダ,センスアンプ,
制御回路で構成されるメモリーバンクを複数組み合わせたメモリーのこと。
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