copyright 著作権

 著作物を製作(記述)した会社・著者の権利を守る法律・権利。 ただし,世界各国でこの概念・取り扱う法律の詳細が異なり,インターネットの普及と伴に問題が頻発している。 日本では著作権者が個人の場合は死後50年,法人の場合は著作権が発生してから50年である。 批判的な立場からは,大企業が市場における支配権を無制限に引き延ばすための道具,著作権至上主義とも言われている。 また,著作物の「二次的利用」が制限されているので,許可がなければ,著作権のある作品をもとに新たな作品を作ることはできない点が指摘されている。
 アメリカで,著作権保有者がインターネット海賊行為に対して仕掛けた戦争には,複数の業界から激しい反発が出ている。 一連の ISP と技術系企業は,2002年8月ころに,それぞれ不満を表明。 さらに,映画と音楽をインターネットからダウンロードする利用者を狙った論調が誇張され,家電メーカーに製品の作り方まで変えることを強いる法案が議会に提出されたことで,家電メーカーの業界団体は2002年9月17日レコード会社と映画会社の著作権保護キャンペーンを厳しく攻撃し始めた。
 従業員が社内のコンピュータやネットワークに著作権のある音楽や映画をダウンロードした場合,企業に法的責任が及ぶ可能性がある。 2002年4月には,アリゾナ州の Integrated Information Systems という企業が,複数の従業員が社内のサーバー上で何千曲もの著作権侵害音楽ファイルにアクセス・配信していたため,和解金100万ドルを支払った。
 2002年,日本で『ホテルジャンキーズ事件』と呼ばれる事件が発生。 ホテルジャンキーズクラブというホームページ上に,一般の閲覧者が自分の旅行体験談や利用したホテルの感想などを書き込む掲示板があり,そこに投稿された書き込みを無断で書籍に収録したというもの。 裁判所は,掲示板への書き込みは投稿者に著作権があること認め,書籍の著者と出版社に対し出版差し止めと投稿者に合計約110万円を支払うことを命じた。
 2006年9月22日,日本文藝家協会など著作権関連16団体からなる『著作権問題を考える創作者団体協議会』は,著作権の保護期間を現在の『死後50年』から『死後70年』に延長することを求める共同声明を発表。 『欧米諸国などほとんどの先進国は著作権の保護期間を著作者の死後70年までとしており,日本もこうした動きに足並みを揃える必要がある』としている。 議会に参加しているのは,日本文藝家協会,日本脚本家連盟,日本シナリオ作家協会,日本児童文学者協会,日本児童文芸家協会,日本漫画家協会,日本美術家連盟,日本美術著作権連合,日本写真著作権協会,日本写真家ユニオン,日本音楽作家団体協議会,日本音楽著作権協会(JASRAC),音楽出版社協会,日本芸能実演家団体協議会,日本レコード協会,日本歌手協会の16団体。
 2006年10月8日から,テレビやラジオ番組のインターネット配信を促進するため,日本レコード協会(RIAJ)と実演家著作隣接権センター(CPRA)は,レコード製作者や実演者の権利を一任管理する。 それまでは,放送番組をインターネット配信する際,事前に作曲家や実演家,レコード会社などから個別に許諾を得る必要があった。 ただし,ラジオ番組や NHK が放送したテレビ番組をオンデマンドで配信する場合については,利用者と協議して使用料を定めることとなる。
 2006年12月27日,日本弁護士連合会は著作権保護期間の延長に反対する意見書を文化庁等に提出したと発表。 著作権の保護期間(著作者の死後50年)を20年延長して死後70年を原則とすることに反対する理由として,保護期間延長を検討する場合には十分な討議,実証的データの収集,影響が予想される関係者からの意見聴取といったプロセスを踏んだ上で,慎重に検討されるべきであるとしている。 弊害として,『創作者の利益にならない』『利用許諾の取得が困難になる』『創造性のサイクルを害する』『我が国の知財戦略として適切な選択ではない』『戦時加算の解消とは無関係である』『著作物に対してファイナンスされる時期が早すぎる』を挙げている。
 2008年7月6日,欧州委員会は音楽録音物に対する著作権保護の期間を95年(アメリカと同じ)に延長する案を採用。


フェアユース
 米国などで導入されている著作権法上の権利制限規定で,『公正な利用(fair use)であれば,著作者の許諾がなくても著作権侵害にならない』というルール。 日本でもインターネットの普及などを背景に,利用者やネット企業などから導入を要望する声が高まっている。
 2010年1月20日,日本新聞協会など6団体は,文化庁で法制化の議論が進められている著作権法上の『フェアユース規定』に反対する意見書を,審議会の小委員会に提出した。
 2010年4月27日,IT 業界団体はこれが大きな経済的効果を生み出しており,2007年に米国だけで4兆7000億ドルの売り上げをもたらしたと発表。 調査は国際的な非営利団体 Computer & Communications Industry Association(CCIA)が政府や WIPO(世界知的所有権機関)のデータを基に行ったもの。


イギリスの著作権
 「公正使用」と呼ばれる類似の概念が存在するが,アメリカより適用範囲はずっと狭いことが多い。

  • 日本音楽著作権協会
  • アメリカの著作権
  • ドイツの著作権

  • 音楽の著作権

     日本でインターネット上に特有の条文として,公衆への送信可能化権というものがある。 これは,他人の音楽,ビデオ,ソフトウェアを無断でオンラインでアクセス可能にしてはいけないという内容である。
     2004年10月,総務省は,インターネット経由でダウンロードした動画などのコンテンツを,家庭内で限定的に二次利用できる著作権保護技術を開発すると発表。
     2010年3月23日,アイシェアは『若者のモラルに関する意識調査』の結果を発表。 2010年1月,改正著作権法が施行され,『違法配信からのダウンロード違法化』が開始されたとを『知っている』のは全体の60.1%。 認知度が低かったのは女性(53.8%)と10代(45.3%)。 有効回答数834名。 男女比,男性:64.1%,女性:35.9%。 年代比,10代:11.4%,20代:88.4%。 調査期間,2010年3月5日〜9日。


    改正著作権法
     違法録音・録画物を違法と知りながらダウンロードする行為を禁止。 違法着うたの広がりなどに対応した規定で,罰則はない。 検索エンジンのキャッシュや,データバックアップのためのキャッシュは著作者の許諾を得ずに行えると規定。 施行後は検索事業者が日本国内にキャッシュサーバを置いても適法となる。 著作者不明の著作物などを2次利用する際の『裁定制度』を使いやすくする規定や,海賊版 DVD などのネットオークション出品を禁止する規定なども盛り込んでいる。
     2009年6月12日,参院本会議で全会一致で可決,成立。2010年1月に施行。


    著作権情報集中処理機構
     日本音楽著作権協会(JASRAC)や,音楽配信事業者団体などが2009年3月6日に設立を発表した,楽曲のネット配信に伴う著作権処理を効率化するための一般社団法人。 複数の著作権管理事業者の楽曲情報を1つのデータベースに集約し,権利者情報の検索や楽曲の使用報告を簡便に行えるシステムを構築・運用。 システムに,各管理事業者が管理している楽曲データをまとめて収録し,権利者情報の一元検索から配信実績の報告データ作成まで,ワンストップでできるシステムを目指す。 2010年4月にシステム本格稼働の予定。


    私的録画補償金管理協会(SARVH)
     メーカーから補償金を受け取り,権利者に分配する公益法人。 会員は私的録画著作権者協議会,日本芸能実演家団体協議会,日本レコード協会。
     2009年11月10日,デジタル放送専用DVDレコーダーの録画補償金を期限までに支払わなかったのは違法だとして,東芝に対し補償金相当額として3264万円の支払いを求める訴訟を東京地裁に起こした。 東芝は,2月に発売したデジタル専用 DVD レコーダーについて,『補償金の課金対象か疑義がある』として納付期限の9月末までに補償金を支払わなかった。 SARVH は,補償金の支払いを定めた著作権法などに東芝が違反していると主張し,提訴に踏み切った。


    著作権物の公正使用
     コメントや評論,報道,調査,研究,教育において認められる行為で,使用する量が著作権物全体に占める割合や,その目的(営利的か,完全に非営利的あるいは教育目的)などが考慮される。 たとえば,歌の紹介のために歌詞の一部を引用するのは問題ない。 医学的記事・論文や,調査結果の内容の要約をなども,妥当な範囲内なら許される。 しかし,著作権物の見出しを含む全文を収集し,それをビジネスにする行為は,訴えられる可能性がある。

    ・著作物の論評,批評
     ただし,批判としての機能を果たさず,視聴者の好みを満たす手段となるような広範囲な使用は避けるべき。

    ・著作物を図解や例に使う
     引用は必要な範囲を超えてはいけない。出典を明記すると,苦情や訴訟の可能性は低くなる。

    ・著作物が偶然含まれてしまった
     結婚披露宴で著作権付きの音楽が演奏されており,それをビデオ撮影した場合など。著作物が関心の中心として注目を集めるほど,広範囲に使用してはいけない。可能であれば,著作物の出典を記す。

    ・体験,出来事,文化的現象の記録,保存,救済のための再生,再投稿,引用
     テレビやイベントで芸能人や政治家などが問題発言をした場面やゲームプレイ動画など。著作物の複製が,記録目的としては不釣り合いな分量に及んだ場合は公正使用に当たらなくなる。

    ・作品について議論するために,作品あるいはその一部を複製,再投稿,再回覧する
     複製,投稿の目的が議論であることを明確にする必要がある。視聴者が,投稿者の意図が議論を喚起することにあると理解していなければならない。

    ・複数の要素を組み合わせて,各要素の(あり得そうにない)関係に意味を持たせた新たな作品を作る
     マッシュアップ,リミックス,既存の作品に新たな表現を加える場合など。 著作物を組み合わせることで新たな意味が生まれる場合は公正使用となるが,文脈や意味を大きく変えない単なる再利用は公正使用の範囲を超える。 例えば,著作権で保護された楽曲をビデオのサウンドトラックとして丸ごと使う場合は公正使用とはならない。


    著作権問題を考える創作者団体協議会
     日本音楽著作権協会(JASRAC)と,JASRACなど17団体が参加する団体。 2007年1月25日,著作権の保護期間を現在の死後50年から70年への延長を求めるとともに,著作物の円滑な利用を促進するための権利者データベースを保護期間の延長までに整備すると表明。


    Copyright Alliance
     2007年5月17日に発足した,著作権法強化を強力に支持する企業・団体が結成したロビー団体。 著作権関連業界で働く1100万人の労働者の代表を名乗る29の全国規模の団体,企業で構成。 全米レコード工業会(RIAA),米国出版社協会(AAP),全米映画協会(MPAA),Microsoft,Viacom,Walt Disney などが含まれている。



    Original Copyright(C) 著作権表示

     自分の著作権を明示すること。



    世界の著作権法

     国によりさまざまで,アメリカの著作権法は従来,版権物の「公正使用」や「ファースト・セール・ドクトリン」(初回販売の原則)が認められているが,DMCA はこれらの項目を否定しているらしい。 アメリカ以外の裁判所は,ファイル交換ソフトウェアを配布する企業への対処にさほど攻撃的態度を見せていない。 ナップスターの行為は「寄与侵害」と呼ばれるものだったが,多くの国ではこの概念は存在しない。
     日本の著作権法は,すでにアメリカより精緻に作られ,ネット上で音楽を送信する「送信可能化権」を著作権の一形態と定め,コンテンツの無断配信を取り締まることが可能。

     ハリウッドはソニーの家庭用ビデオ『ベータマックス』を著作権法違反で1983年に訴えた。 しかし,1984年に,複製を行なう機器の販売は, その技術に著作権を侵害しない使い方がある場合には法に違反しないという判決が出て,敗北した。 ゆえに,コピー機やカセットテープレコーダーは違法ではないとなる。 さらにこの判決では,著作権の所有者側に当該の新技術を支持するものが存在することも,違法性を否定する要因となると,された。 もし,この判決がなかったら,いまのレンタルビデオの市場はなかったとされる。 この判例のおかげで,HD ビデオプレイヤーの発売が許可された。


    著作権法(日本)の一部を改正する法律案
     アジアなどでライセンス生産された安価な邦楽 CD が日本国内へ環流して販売される,いわゆる環流 CD を防止するために成立した法律。 2004年2月に概要が発表され,6月3日衆議院文部科学委員会にて全会一致で可決。 洋楽の並行輸入が阻害された時には適切な対策を講じるといった13項目における付帯決議が付けられた。 ただし,アジア圏のアーティストによる音楽 CD は,環流防止措置の目的からは欧米の CD と同等に扱われるものの,税関などの運用面では細則が決まっていない。



    著作権保護 CD

     パソコンへのコピーを不可能にする技術を取り入れた CD。 レコード会社は,何年も前からコピーができない CD に取り組んでいるが,実現は難しかった。 BMG がドイツで試験的に販売したときは,再生できないという苦情がたくさん出た。 カントリーミュージシャンのチャーリー・プライドが2001年リリースした CD には著作権保護が施されていたが,保護されていないバージョンが一部の市場にリリースされると,それ がファイル交換ネットワークに出回ってしまった。 業界全体が関わる SDMI はレコード会社,家電メーカー,技術会社の間で意見が一致せず,計画は事実上失敗に終わった。
     現在,マクロビジョン社の技術を導入した CD は2001年中頃から試験的に販売されている。 ファイルにデジタル的なひずみを入れ,普通の CD プレイヤーで再生してもほとんど聞えないが,パソコンにコピーされると,カチッ,パチッという不快な「雑音」として現われる。 今のところ,大量の CD が返品されたとか,消費者から苦情が出たという報告はないらしい。



    Audio Home Recording Act オーディオ家庭録音法

     アメリカで1992年に成立した法律で,個人的なコピーの権利が保障されている。 これによると,著作権の所有者は,家庭で個人的に使用するために音楽をコピーする人を訴えることはできない。 ただし,著作権所有者が消費者に対してこの権利を行使できるよう保証する義務はない。 つまり,コピーできないからといって,著作権所有者を訴えることはできない。 CD からカセットテープへのコピーは法律でも保護されている。



    著作権管理市場

     ヨーロッパの規制当局は,米マイクロソフト社がパソコン用 OS における優位な立場を利用し,急成長中の DRM 分野を支配することを阻止しようと試みてきた。



    追跡システム

     コンテンツの提供者側などが,『ナップスター』に代表されるファイル交換ネットワークでの違法な交換を行うユーザーを追跡できるシステム。 かなり匿名保護機能の強力なネットワークである『フリーネット』でさえ,これらの新しいプログラムには太刀打ちできないらしい。



    Buma Stemra ブーマ・ステムラ

     オランダの著作権保護団体で,カザー社を著作権法違反の疑いで訴えている。
    サイト:
    http://www.bumastemra.nl



    Copyleft

     Richard Stallman 氏の理想である自由を守るための方法の1つ。 著作権(Copyright)を元にした考え方で,GNU GPL という形でライセンス供与されている。 GNU GPL では,ある条件に基づいてソフトウェアを自由に改変し,配布し,コピーする権利を認めている。 その条件とは,改変したソフトウェアを公開する場合,そのソフトウェアも“自由”が保障されていなくてはならない事。 これは,Xwindow の失敗を教訓にしている。



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